【投稿日】 2022年8月15日 【最終更新日】 2022年9月4日

労務管理とは、従業員の労働に関する様々な事柄を管理する業務であり、その目的は、「法令遵守とリスク回避」と「生産性の向上」にあります。

労働条件や就業規則、労働環境、従業員の健康維持などに関しては、労働法と呼ばれる各種関連法に対応しながら管理することが求められ、こうした法令遵守は、企業としての社会的責任でもあります。

また、労働環境の整備や従業員の健康維持などを通じて働きやすい職場を実現できれば、生産性も向上するでしょう。

したがって、逆に言えば労務管理に違反することは、法令遵守せずにリスクを背負い、生産性が下がるということになります。

本記事では、労務管理違反について、労務管理に関連する法律や罰則を挙げ、労務管理違反のよくある事例と、労務管理違反の調査方法、またその是正対策について、詳しく解説していきます。

労務管理違反とは

労務管理違反とは、会社が労働基準法など労働基準関係法令に違反することです。

労働基準関係法令の目的の一つは労働者を守ることなので、会社がそれに違反すれば、労働者の権利や利益、安全などが損なわれることになるのです。

労働基準関係法令には、多くの法令があり、労働者の労務に関わるものであることから、総称して「労働法」と呼ぶこともあります。

労務管理に関連する法律と、それらに違反した場合の罰則について一つひとつ解説していきます。

労務管理に関連する法律

労務管理に関連する法律は多岐にわたりますが、抑えておくべき重要なものは以下の9つです。

  • 労働基準法
  • 労働契約法
  • 労働組合法
  • 労働安全衛生法
  • パートタイム有期雇用労働法
  • 高年齢者雇用安定法
  • 育児介護休業法
  • 男女雇用機会均等法
  • 個人情報保護法

一つひとつどのような法律なのかを詳しく見ていきましょう。

労働基準法

労働基準法は、労働者保護のために、労働者の労働条件について定めている法律です。

有給休暇のルールや、就業規則の効力についても、労働基準法で定められています。

労働基準法に違反した場合は、罰金または懲役の刑を科すこととされています。

労働基準監督署監督官には、この法律が守られるように会社に立ち入る等の権限や、司法警察員としての権限が与えられており、日常的に労働基準法が遵守されるような仕組みが定められているのです。

労働契約法

労働契約法は、使用者と従業員の間の労働契約の基本原則について定めている法律です。

契約社員の雇止め法理や、無期転換ルール、解雇権濫用法理など、重要な原則が定められています。

労働組合法

労働組合法は、労働組合の活動や団体交渉のルール、労働組合が会社と結ぶ労働協約の効力などについて定めている法律です。

日本国憲法では、労働三権として、団結権、団体交渉権、団体行動権が保障されており、労働組合法は、これらを具体的に保障するために定められています。

労働組合がある会社、或いはユニオンなどの外部の労働組合への加入者がいる会社の労務管理においては、重要な法律です。

労働安全衛生法

労働安全衛生法は、労働災害の防止や、過重労働の防止について、企業の義務を定めた法律です。

職場における労働者の安全と衛生を確保し、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています。

この法律では、労働災害や健康障害を防ぐために、事業者が安全衛生管理体制を整えること、危険な機械や有害物には防護措置を講じること、必要な教育や健康診断を実施すること、作業環境を管理・改善すべきことなどが定められています。

パートタイム有期雇用労働法

パートタイム有期雇用労働法は、パート社員や契約社員の労務管理に関わる法律です。

パートタイム労働者を雇い入れた時は、契約期間や昇給、退職手当、賞与の有無、並びにパートタイム労働者の雇用管理の改善等の窓口を、当該労働者に明示しなければなりません。

同一労働同一賃金のルールについても、この法律で定められています。

高年齢者雇用安定法

高齢者雇用安定法は、主に定年後の再雇用制度の設計や、定年後の嘱託社員の労務管理に関わる法律です。

育児介護休業法

育児・介護休業法は、育児休業制度、介護休業制度の整備を企業に義務付ける法律です。

令和3年に改正され、男性の育児休業取得促進のための枠組みの創設や、育児休業を取得しやすい雇用環境整備、有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和などが定められました。

男女雇用機会均等法

男女雇用機会均等法は、職場における男女の差別を禁止し、募集・採用・配置・昇給・昇進・教育訓練・福利厚生・定年・退職・解雇などの面で、男女とも平等に扱うことを定めた法律です。

セクシュアルハラスメントの防止措置についても、定められています。

個人情報保護法

平成29年の改正個人情報保護法の全面施行により、中小企業をはじめとする全ての事業者が個人情報保護法の適用対象となりました。

事業者は、営利・非営利を問わず、個人情報をデータベース化して、事業活動に利用していれば該当します。

従業員の個人情報の取り扱いについては、個人情報保護法を遵守することが重要です。

労務管理違反に関する罰則

労務管理違反に関する罰則とは、具体的に言うと労働基準法に違反した場合の罰則です。

労働基準法に違反した場合の罰則には4段階あり、30万円以下の罰金から、懲役10年・300万円以下の罰金まであります。

以下に、その代表事例を見ていきます。

1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金

労働基準法に違反した場合の罰則で最も重いものは、「1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金」です。(労働基準法第117条)

この罰則に該当するのは、憲法上の要請でもある「強制労働の禁止」に違反する行為です。

使用者は、暴行・脅迫・監禁その他の精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

従業員の意思に反した労働、従業員の自由な意思によらず、恫喝や暴力、監禁といった手段で無理やり労働させることは、この法律に違反する行為になります。

また、従業員が退職したいと言っているのに辞めさせない行為、借金をかたに労働させる行為、前に貸していた分を給料から一方的に控除する行為などもこれに含まれます。

1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

次に重い罰則は、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。(労働基準法第118条第1項、第2項)

この罰則に該当するのは、以下の行為です。

  • 労働者からの中間搾取
  • 最低年齢未満の児童を労働させる行為
  • 坑内労働の禁止・制限違反
  • 最低賃金を下回っているまたは労働時間分の給料の不払い

何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

中間搾取とは、従業員と使用者の間に入って、給与の一部を搾取することを指します。

仕事を紹介すると言って斡旋し、給与の一部を搾取するといった行為が該当します。

ただし、人材派遣会社のように法律で定められている業態の会社が、企業に従業員を派遣する行為は、法律違反ではありません。

使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。

最低年齢とは、原則として中学校卒業(義務教育の修了)までを指します。

坑内労働の禁止・制限については、労働時間の制限規定や、妊娠中の女性・18歳未満の年少者の坑内労働の禁止などが当てはまります。(労働基準法第63条・64条)

また、労働災害に関する違反(労働安全衛生法14条・20~22条・61条・100条など)も50万円以下の罰金(または懲役6ヶ月以下)になります。

6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

3番目に重い罰則は、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」です。(労働基準法第119条)

この罰則に該当する違反する行為は非常にたくさんありますが、代表的なものは以下の通りです。

法定労働時間を超えた労働

従業員に対して1日8時間、週40時間を超える労働をさせることは、原則としてできません。

この時間を超えた労働をさせることは、労使間で労働基準法第36条に基づく「36協定」を締結して、所轄の労働基準監督署への届け出が必要になります。

休憩・休日を取らせない

従業員の労働時間が6時間を超える時には45分以上、8時間を超える時には1時間以上の休憩を与える必要があります。

また、企業は原則として従業員に少なくとも週1日の休日を与える必要があります。

有給休暇を与えない

勤続期間が半年以上となった労働者には、労働期間や労働時間数に応じた有給休暇を与える必要があります。

産休・育児時間を取らせない

労働者から産前産後休業や育児休業の申出があったら、雇用者は必ず認めなければなりません。

時間外労働や休日及び深夜労働に対する割増賃金の未払い

労働者に時間外労働、休日労働、深夜労働(午後10時~翌午前5時までの労働)をさせた場合には、所定の割増賃金を支払わなければなりません。

賃金の割増率は、一般の時間外労働の場合に1.25倍、深夜労働の場合に0.25倍、休日労働の場合に1.35倍となります。

違約金を含める債権と賃金の相殺

雇用者は労働者に「違約金」を支払わせることはできません。

例えば労働者が雇用契約に違反して、契約期間中に退職したり、迷惑行為をしたりしても、違約金として給料から差し引くことなどは許されませんし、労働者が借金などをしていても、賃金との相殺は認められません。

一方的・予告なしの解雇

雇用者は、労働者を解雇する時必ず1ヶ月前に解雇予告をしなければなりません。

それが不可能な場合、不足日数分の解雇予告手当を払う必要があります。

30万円以下の罰金

労働基準法違反に科される最も軽い罰則は「30万円以下の罰金」です。(労働基準法第120条)

この罰則に該当する違反行為も多岐にわたりますが、代表的なものは以下の通りです。

労働者に対して労働条件を明示しない行為

労働者が入社する際には、雇用者は労働条件や就業規則の内容について通知しなければなりません。

就業規則の未作成・届出違反

10人以上の従業員がいる事業所には、就業規則を作成し、過半数労働組合または過半数代表者の意見を聞いた上で、所轄の労働基準監督署長に届け出る義務があります。

また、就業規則は従業員が確認できるよう、周知しなければなりません。

療養補償や休業補償・障害補償がない

労働者が労災に遭って療養する場合、雇用者は治療費や休業補償、後遺障害が残った場合には障害に対する補償を負担すべきとされています。

これは、労災保険に加入して、必要な時に保険給付を受けさせるべき義務です。

法定の上限を超えた制裁としての減給

減給の懲戒処分は、その1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないとされています。

労務管理違反のよくある事例

労務管理違反のよくある事例は主に次の5つです。

  • 労働基準法違反
  • 労働安全衛生法違反
  • ハラスメント
  • 不当解雇
  • 過労死等

一つひとつ詳しく見ていきましょう。

労働基準法違反

労働基準法違反には、罰則の項で挙げたように、たくさんの事例がありますが、ここでは、特に5つの項目について挙げていきます。

法定労働時間に関する違反

埼玉県草加市内の運送会社が、労働者1名に36協定の締結・届出がないまま、違法な時間外労働を行わせたとして、労働基準法第32条違反で送検。

中間搾取に関する違反

大阪市西成区で外国語の翻訳・通訳事業を展開していた会社が、無許可で約120戸の農家に外国籍の労働者約230名を農作業員として斡旋し、総額約2,100万円の利益を得たとして、労働基準法第6条違反で送検。

残業代・休日及び深夜の割増料金に関する違反

愛知県江南市の学校法人が、労働者2名に対して、2ヶ月分の時間外労働の割増賃金約56万円を支払わなかったとして、労働基準法第37条違反で送検。

賃金に関する違反

東京都渋谷区で、不動産の企画設計や売買・仲介などを中心に事業を展開していた企業が、労働者27名に対して、1ヶ月分の定期賃金合計770万円を支払わなかったとして、労働基準法第24条違反で送検。

解雇に関する違反

山形県山形市の企業が、解雇予告をせず解雇し、解雇予告手当を支給しなかったとして、労働基準法第20条違反で送検。

労働安全衛生法違反

労働安全衛生法違反は、主に労災事故に関する事例です。

ここでは、次の5つの事例を紹介します。

  • 足場組立作業の作業者による安全帯の使用状況について、作業責任者が監視を怠ったために労災事故が発生したケース。(労働安全衛生法第14条作業責任者義務違反)
  • 移動式クレーンを使用させるにあたり、立入禁止措置を講じないまま使用させたために、労災事故が発生したケース。(労働安全衛生法第20条機械等による危険の防止措置義務違反)
  • 手すり等による墜落防止措置を講じない足場上で作業をさせたため、労災事故が発生したケース。(労働安全衛生法第21条作業等による危険の防止措置義務違反)
  • ビル解体工事において、吹き付けられた石綿を除去する作業場所を隔離せずに解体作業を行ったケース。(労働安全衛生法第22条健康障害の防止措置義務違反)
  • 4日以上の休業を要する労働災害が発生したのに、労働基準監督署に報告しなかったケース(労災隠し)。(労働安全衛生法第100条1項労災報告義務違反)

ハラスメント

ハラスメントには、主にパワーハラスメントとセクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントがあります。

パワーハラスメント(パワハラ)は、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義されており、その典型的な事例は以下の6つの類型とされています。

  • 身体的な攻撃(暴行・傷害)
  • 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
  • 人間関係からの切り離し(隔離・仲間はずし・無視)
  • 過大な要求(業務上明らかに不要なことや、遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
  • 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないこと)
  • 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

パワハラの具体的な事例としては、就業規則に違反した鉄道会社の職員(現場労働者)が、就業規則の一字一句の書き写しを命じられ、職員が手を休めると上司が怒鳴ったり机を叩いたり蹴ったりし、腹痛を訴えても病院に行くことを認められなかった、という例があり、この例は裁判により、企業及び上司に対して、連帯して損害賠償及び慰謝料支払いを命じられています。

また、セクシュアルハラスメント(セクハラ)には、職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により、当該労働者がその労働条件に付き不利益を受けるもの(対価型セクハラ)と当該性的な言動により労働者の就業環境が害されるもの(環境型セクハラ)があります。

セクハラの具体的な事例としては、以下のようなものがあります。

  • 上司から性的な関係を含めた交際を求められ、拒否したら仕事上の嫌がらせを受けた。
  • 時々、肩や髪の毛などを触る上司がいて、不快で仕方がない。
  • 職場の男性たちが、性的な会話をしたり、女性社員に性的なからかいをしたりする。
  • 職場で顔を合わせる度に、「まだ結婚しないのか」「相変わらず色気がない」などと言われる。
  • 社内で、ありもしない不倫の噂を立てられ、好奇な目で見られて困っている。
  • 上司から、頻繁に食事に誘われたり、砕けた表現のLINEが来たりする。付き合っているつもりらしくて困っている。
  • 性的な指向について個人的な意見を言ったら、「気持ち悪い」と言われてしまった。

マタニティハラスメント(マタハラ)には、女性社員が妊娠したこと、出産したことその他の妊娠または出産に関する言動により、就業環境が害されるもの(状態への嫌がらせ型)と、その女性社員の産前休業その他の妊娠または出産に関する制度或いは育児休業等に関する制度や措置の利用に関する言動などにより、就業環境が害されるもの(制度等の利用への嫌がらせ型)の2種類があります。

具体的な事例としては、以下のようなものがあります。

  • 妊娠の報告に対して、「こんな忙しい時期に妊娠するなんて」「休まれると私達にしわ寄せがくる」などのネガティブな反応をする。
  • 出産や育児のための休暇申請の際に、「今休まれると困る」「休むなら辞めてもらうしかない」などと休暇取得を困難にする発言をする、或いは認めない。
  • 「女性は出産したら専業主婦になるべきだ」などの個人的な価値基準を押し付ける。
  • 妊娠中の女性に対して、一方的に仕事内容や就業時間を変更する。
  • 立会い出産や育児休暇を希望した男性社員に対して「男のくせに」等の発言をする。

不当解雇

不当解雇とは、労働基準法・労働契約法等の法律の規定や就業規則の規定を守らずに、事業主の都合で一方的に労働者を解雇することを言います。

不当解雇になる例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 労働者の国籍、信条、社会的身分を理由とした解雇
  • 業務上の負傷や疾病のための療養期間及びその後30日間、並びに産前産後休暇の期間及びその後30日間の解雇
  • 解雇予告を行わない解雇
  • 解雇予告手当を支払わない即時解雇
  • 労働基準法やそれに基づく命令違反を申告した労働者に対する、それを理由にした解雇
  • 労働組合に加入したことなどを理由とする解雇
  • 不当労働行為を労働委員会等に申し立てなどをしたことを理由にした解雇
  • 女性であることを理由とした解雇

具体的な事例としては、精神的な疾病があり休職命令を受け、休職した日数が一定数に達したため、そのまま解雇となったが、復職することが完全に不可能ではなかったため、不当解雇となった事例があり、この場合は、労働審判で解決金を得て合意退職となりました。

過労死等

過労死等とは、長時間にわたる過重な労働によって、疲労の蓄積が生じ、その結果、脳・心臓疾患を発症したり、精神障害を発症したりし、これらを原因とした死亡もしくは死亡には至らないこれらの疾病のことを言います。

平成27年度の脳・心臓疾患に係る労災認定件数は251件(うち死亡96件)で、業種別では道路貨物運送業が、職種別では自動車運転従事者が最も多く、年齢別では40歳以上に多くなっています。

また、平成27年度の精神障害に係る労災認定件数は472件(うち未遂を含む自殺93件)で、業種別では道路貨物運送業、社会保険・社会福祉・介護事業、医療業等に多く、職種別では一般事務従事者が最も多く、年齢別には30~40歳代に多いという結果です。

具体的な事例としては、平成12年に電通過労自殺事件があり、これは、長時間にわたる残業を恒常的に行う業務に従事していた従業員(当時24歳)がうつ病に罹患して自殺した事例があります。

この事例では、最終的に、企業が自殺した従業員の遺族に対し、1億6,800万円を支払うという和解が成立しています。

労務管理違反の調査方法

労務管理違反の調査には、労働基準監督署による公的な調査と、探偵社による私的な調査があります。

ここでは、次の二つの調査方法を詳しく見ていきます。

労働基準監督署の調査

労働基準監督署の調査の目的は、「労働者の雇用・賃金・安全・健康を確保すること」です。

具体的には、労働基準法・労働安全衛生法・最低賃金法といった労働関係法令に違反していないかを確認し、違反があれば是正させます。

調査対象となるのは、労働関係法令で定められた項目です。

労働関係法令では、「労働条件の最低基準」を定めており、労働基準監督署は、これらが遵守されているかをチェックします。

例えば、労働時間の実態や労働条件、年次有給休暇の取得状況、最低賃金の確保や賃金台帳のチェック、残業代の支払い状況、衛生管理者や産業医の選任、安全衛生委員会の設置、健康診断の実施状況などの調査項目が一般的です。

労働基準監督署による調査には、定期監督・申告監督・災害時監督・再監督の4つがあります。

定期監督

労働基準監督署の監督計画に基づき、定期的に事業場を選んで行う調査です。

監督計画は、最新の行政課題を反映しており、例えば「長時間労働」が問題視される時期であれば、長時間労働が起こりやすい事業場が選出されます。

申告監督

労働者等から、企業の法令違反について申告・相談を受けた場合に実施される調査です。

労働者と企業の間で個別的なトラブル(不当解雇・残業代の未払い等)が発生した際に行われることが多いです。

災害時監督

労働災害によって労働者が死傷した場合に行われる調査です。

企業が提出した「労働者死傷病報告書」等を基に、法令違反が疑われる企業を選定して実施されます。

労災の発生状況や原因究明、法令違反の有無について調査し、再発防止のための指示や指導を行います。

再監督

是正勧告を受けた後に、きちんと改善されたかを確認するための調査です。

また、期限までに報告書を提出しなかった場合も、「改善がなされていない」と判断され、再監督を受けることがあります。

探偵社による調査

探偵社による調査は、事業主によって行われる場合が多いです。

多くは、相手に内密に行われることが多いでしょう。

労務管理の中でも、ある特定の人物にフォーカスした調査が特徴です。

社員の不正行為の実態調査

就業規則違反、勤務外の二重労働、横領・背任、情報漏洩、欠勤や休職など、問題社員の調査、退職社員の競業や動向の調査、人材引き抜きに関する調査などを行います。

採用調査

有用な人材を確保してくために、履歴書や面接だけではわからない詳細で個人的な人物調査を行います。

幹部候補の昇進などに関しての調査

取引先との間に現れた不審な仲介人物の調査や、商品・消費者トラブルを装う悪意のある人物の交友関係や、幹部候補のバックグラウンドに関する調査を行います。

労務管理違反の是正対策

この項では、労務管理違反の是正対策について解説していきます。

具体的には、以下の4つです。

  • 過重労働を防ぐ取り組み
  • 休業制度の整備
  • 体調不良者への配慮や休職者の管理に関する取り組み
  • ハラスメント防止に関する取り組み

それぞれ重要ですので、これらの取り組みを上手く取り入れていくことが求められます。

過重労働を防ぐ取り組み

企業には、「労働者が安全と健康を確保しつつ就業するために必要な配慮をする義務」があり、これを安全配慮義務と呼びます。

この安全配慮義務は、労働契約法第5条に定められている法律上の義務です。

過重労働は、従業員の精神疾患、過労死、過労自殺に繋がる危険があり、企業の労務管理においては、従業員が過重労働に陥らないように管理することが重要となります。

具体的には、以下の2点がポイントです。

ポイント1.労働基準法の残業規制を守る

企業は、各従業員の時間外労働、休日労働が36協定に定められた時間数の範囲内にとどまっているかどうかを常に確認する体制を作る必要があります。

労働基準法上、36協定では、時間外労働は原則として月45時間、年360時間以内とされています。

ただし、例外として、年に6ヶ月まで、月45時間を超える時間外労働をさせる場合があることを、36協定で定めることが可能です。

その場合も、1ヶ月の時間外労働が、休日労働と合わせて100時間未満になるよう抑える必要があります。

労働基準法の残業規制の内容を正しく把握し、企業として残業規制を守ることができるような体制を作ることが重要です。

ポイント2.長時間労働をなくす

36協定の制度は、労働基準法上、最低限守るべき基準を定めたものであり、これを守っていれば過重労働の問題が起きないというわけではないことに注意する必要があります。

企業は、労務管理の取り組みとして、毎月の従業員の時間外労働・休日労働を60時間以内にコントロールする仕組みを設けておくべきでしょう。

休業制度の整備

産前産後、育児、介護などの休業制度の整備は、法律上の義務であると同時に、従業員が継続的に就業できる環境を作るためにも重要な労務管理のポイントです。

これらの制度について、企業側から積極的に利用を促し、さらに利用をサポートしていくことが求められています。

男性の育児休業取得を促進したり、妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認をしたり、育児休業の分割取得を可能にしたりすることは、改正育児・介護休業法で定められているため、積極的に制度の整備を進めましょう。

体調不良者への配慮や休職者の管理に関する取り組み

体調不良者への配慮や、休職者の管理も、労務管理のポイントの一つです。

従業員から体調不良の申出があった場合は、企業として迅速に対応し、必要に応じて仕事の内容を軽減したり、勤務時間を減らしたり、一定期間休職させるなどの対応を執りましょう。

また、法律上義務付けられている健康診断を正しく実施し、異常所見があった場合は、放置せず医師の意見を聴くことが必要です。

意志の意見を踏まえて、必要に応じて、業務の軽減や就業時間の短縮などの措置を講じることが義務付けられています。

さらに、休職制度の整備をし、休職に入る従業員、休職中の従業員、休職から復職する従業員をサポートする仕組みを作ることが必要になります。

ハラスメント防止に関する取り組み

企業には、普段からパワハラ・セクハラなどのない職場を作るために必要な対策を講じる法的な義務があります。

厚生労働省のパワハラ防止指針・セクハラ防止指針の中で、特に重要なのは以下の10項目であり、これらは「ハラスメント10項目」と呼ばれています。

  • ハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、周知・啓発する
  • ハラスメントについての対処の内容を就業規則等に規定し、周知・啓発する
  • 相談窓口を予め定め、周知する
  • 相談窓口担当者が適切に対応できるようにし、また、広く相談に対応する
  • 事実関係を迅速かつ正確に確認する
  • 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行う
  • 事実確認ができた場合には、加害社員に対する措置を適正に行う
  • 再発防止に向けた措置を講じる
  • プライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知する
  • 相談したこと等を理由として不利益な扱いをされない旨を周知・啓発する

これらの項目を早急に履行できるよう、積極的に職場の周知・啓発を進めましょう。

労務管理は法律に照らし合わせて綿密に行おう

労務管理違反に関して、その関連する法律や罰則、よくある事例、調査方法、是正対策を解説してきました。

労務管理は、関連する法律を正しく理解し、その法律に照らし合わせて、綿密に行うことが重要です。

この記事を参考に、今の企業で足りないところや整備の遅れているところを見極め、労務管理違反にならないよう、積極的に整備を進めていきましょう。

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前述の通り、労務管理違反の調査については、労働基準監督署による公的調査と、探偵事務所による私的調査の2種類があります。

探偵事務所SATの私的調査は、社員の労務管理違反、または役員や社長などの労務管理違反に関する調査などの実態を秘密裏に、明らかにすることが可能です。

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