【投稿日】 2019年7月17日 【最終更新日】 2021年10月21日
固定電話の盗聴はかなり昔から行われていますが、最近ではスマートフォンを含む携帯電話が広く使用されるようになり、盗聴のターゲットもそちらに移りました。固定電話・携帯電話ともに、盗聴のターゲットになりやすいです。
固定電話・携帯電話が盗聴されやすい理由とその手口、そして盗聴されないための対策や盗聴の発見方法について解説します。
SAT探偵事務所 京都本部の代表取締役社長。
浮気調査や人探しといった個人向けのメジャーな調査はもちろん、他所では受任できない難度の企業向けの調査(信用調査、与信調査、M&A時等におけるDD 等)や経営コンサルティング業務にも従事している。
固定電話も携帯電話も盗聴のターゲットになりやすい
遠いところと音声のやり取りをする電話機は、盗聴に利用するのに非常に都合がいい機器です。かつてはそれを利用して固定電話回線越しに盗聴するインフィニティ型盗聴器というものもありましたし、携帯電話であれば通話状態にして盗聴したい場所に仕込むだけで盗聴ができます。
現在電話機の主流となっているスマートフォンであれば、アプリが充実しているため様々な機能を付け加えることができ、その中には盗聴に利用できるいわゆる盗聴アプリというものもあります。
スマホは、基本的に持ち主がどこにでも持ち歩くものです。よって相手の家に侵入するといったリスクを冒さずとも、盗聴アプリを仕込むことができます。つまり個人をターゲットにした盗聴であれば、スマホほど使い勝手のいい盗聴器はありません。
電話での通話内容だけでなく、周辺の音声まで拾う電話機の盗聴。それを防ぐためには、ほんの小さなサインでも見逃さないようにしてください。
固定電話の盗聴を発見・防止する方法
まずは固定電話の盗聴器を発見する方法からです。固定電話周辺に仕掛けられた盗聴器は、一度撤去して犯人を見つければ、続けて再び仕掛けられるということはあまりありません。
盗聴されていることに早く気づくようにして、しかるべき処置をとりましょう。
固定電話の盗聴を見つけるためのチェックリスト
固定電話が盗聴されている時のサイン
- 電話の音声にノイズが入る(特に虫の羽音のようなブーンというハミング音)
- 無言電話・いたずら電話や何の用かわからない電話がかかるようになった
- 電話でしか話していないはずの内容を他の人が知っている
- 固定電話周辺に見覚えのない機器や小物がついている
- 使用していないときに電話から電子音がする
- 心当たりがないのに電話料金が上がった
- 家に出入りした業者や知人が不審な行動をしていた
- 不審な人物が来てから電話にノイズなどの現象が起こるようになった
電話でしか話していないことを他の誰かが知っていた場合、電話機に限らず部屋の中のどこかに盗聴器が仕掛けられている可能性が高いです。
あるいはこのチェックリストのうち複数思い当たることがあれば、もっと大きな被害につながらないうちに盗聴器発見調査を依頼してください。家の中を盗聴するのは、空き巣などが留守を狙うための場合もあります。
固定電話に仕掛けられる盗聴器の種類と特徴
固定電話に仕掛けられる盗聴器の種類
- インフィニティ型盗聴器:電話機の内部に設置するもの。電話回線を利用して盗聴する。
- クリップ型盗聴器:電話線をクリップで挟む形で壁の内側に設置するもの。アナログ電波を受信器で拾って盗聴する。
- 擬態型盗聴器:電話機周辺のコネクタ、端子、分岐アダプタ、ヒューズなどに似せたもの。アナログ電波を受信器で拾って盗聴する。
以前はインフィニティ型盗聴器がよく固定電話に仕掛けられていましたが、現在では販売されておらず、被害件数も減少しています。それに代わって増えてきているのが、クリップ型と擬態型の盗聴器です。
クリップ型盗聴器は壁の内側にある電話線に仕掛けるため見つかりにくいですが、同時に簡単には設置できないという特徴もあります。また電話線に何かを仕掛けること自体が有線電気通信法違反という罪(参考:e-Gov 有線電気通信法第三条)であり、同時にこの盗聴器を見つけても、勝手に撤去することはできません。NTTなどの技術者に依頼する必要があります。
擬態型盗聴器は、電話機や電話線の周辺にあっても不自然でない部品に似せて作られた盗聴器です。配線に詳しい人でなくてはわからないため、やはり簡単には見つけられません。
盗聴器発見器や広域受信器を使った発見方法
固定電話周辺に仕掛けられる盗聴器は、素人には見つけづらくかつ撤去しづらいのが特徴といえます。目視で見つけるには、普段から電話機周辺をよく観察しておかなくてはなりませんし、それも入居前から設置されていた盗聴器には無意味です。
しかしクリップ型盗聴器も擬態型盗聴器もアナログ電波を発するため、盗聴器発見器や広帯域受信器で見つけることは可能です。
- 盗聴器発見器:盗聴器を発見するためのアナログ電波に反応する機器。安価なものや簡易なものは電器店でも入手可能。
- 広帯域受信器:一般的な盗聴器発見器よりも広範囲の電波(周波数)に対応した受信機。盗聴内容を聞くこともできる。
盗聴器発見器よりも広帯域電波受信器の方が高性能で、より多くの種類の盗聴器を見つけることができます。
盗聴器発見器は値段などによって性能はまちまちであり、少なくとも市販のもののうちほとんどが、確実に盗聴器を見つけるには役者不足です。さらに問題は、盗聴器以外の電化製品の電波にも反応してしまうことです。発見器の性能とそれに見合った使用者の技術がなくては、盗聴器の設置場所は特定できません。
広帯域受信器はより多くの電波に反応するため設定などが難しく、素人が扱うのはまず無理です。
盗聴器発見業者・探偵などに調査を依頼する方法
盗聴器の発見調査はプロに任せるのがやはり最も確実です。盗聴器の発見調査を行う業者には、盗聴器発見のみを扱う専門業者、探偵、警備会社の3つがあります。
盗聴器発見のための機材とノウハウであればもちろん、盗聴器発見専門業者以上のものはありません。盗聴器は今でも日々小型化・構成の課が進んでおり、専門業者であればそれに逐一対応しますし、これまでに蓄積した知識と技術もあります。
探偵に依頼する場合は、盗聴器発見を得意とする会社を選ぶのが大事です。これは相談の際に発見方法や機材について説明を求めたり質問をしたりすることで見分けることができます。盗聴器発見器だけでなく、広帯域受信機やスペクトラムアナライザーといった特殊な機材をそろえているかどうかなどから判断してください。
また探偵は盗聴器発見の技術や機材の性能だけでなく、調査力も大事なポイントです。機材ですべての盗聴器のパターンに合わせて探すのではなく、依頼者の話から犯人像や盗聴の目的を推理して問題の解決に役立てます。解決とは単に盗聴器を撤去するだけでなく、2度と設置されないように犯人を見つけて、その原因から断ち切ることです。それができるのは探偵だけです。
警備会社にも家庭内の盗聴器発見調査を請け負っているところがあります。探偵と違って調査はしませんが、犯人に危害を加えられるかもしれないといった場合には、24時間の身辺警護もしてくれます。対象や時間帯を絞っての対応でないため金額は高くなりますが、危険から身を守るには最も適した業種です。
携帯電話・スマートフォンの盗聴を発見する方法
携帯電話(スマートフォンも含む)を盗聴に利用するには、主に2つの方法があります。ひとつめは、携帯電話を通話状態あるいは自動着信設定にして、盗聴したい場所に隠す方法。もうひとつは、盗聴したい相手のスマホに盗聴に利用できるアプリをインストールする方法です。
前者は仕掛けられてもその携帯電話を見つければ済みますが、後者は偽装された盗聴アプリであればひと通りスマホを調べてもなかなか見つかりません。しかも盗聴アプリは次々と巧妙なものが作られています。
スマホは便利ですが、その分だけガラケーなどの携帯電話よりも盗聴されやすいのです。ちなみに携帯電話やスマホの通話はデジタル電波なので、他の機器で傍受(盗聴)するのは、基本的には不可能です。
スマートフォンに仕掛けられる盗聴アプリ
盗聴アプリと呼ばれるものは、本来は録音やスマホの管理のために作られたアプリです。スマホは録音・録画・通信性能が携帯電話よりも高く、アプリによってその性能を様々な目的に利用できます。そして盗聴にも非常に有効なのです。
盗聴によく使われるアプリ
- Cerberus(ケルベロス):盗難・紛失防止のために作られたアプリ。GPS機能やマイクでの録音機能、遠隔操作での通話機能まであるため、盗聴に利用されやすい。
- ALON DICTAPHONE:録音アプリ。他の機器をリモコンとして録音操作ができるうえ、録音ファイルの送信も可能。
- セキュカム:動画を撮影する監視カメラアプリ。動きを感知したときのみ起動するため、無駄な電池消費をしなくて済む。
どれも正しく使えば犯罪被害を防止することのできるアプリです。自分のスマホはもちろん、他人がいつのまにか隠したスマホやもう使っていないスマホにインストールされている可能性もあります。どれもインストールされても画面に表示されないなど、仕掛けられたことになかなか気づけない仕様になっています。
スマホの盗聴を発見する方法
携帯電話・スマホが盗聴されていないかのチェックリスト
- バッテリーがいつの間にか熱くなっている
- 電源を切るときに完全に切れるまでに時間がかかる
- インストールした覚えのないアプリが入っている
- 携帯電話から音がしたのに着信通知も何もなかった
- おかしなメッセージが出る
- いたずらメールなどのリンクをクリックしてしまった
- 使用明細に覚えのないものが含まれている
これらのうち複数に心当たりがあれば、まずは覚えのないアプリをすべて削除し、スマホを初期化してください。実際スマホにアプリを仕掛けられたてしまったら、自分でできることはそのくらいしかありません。
そして根本的な解決のために犯人を捕まえたいと思ったなら探偵に依頼し、被害を届け出たいなら警察に相談することになります。
スマホの盗聴アプリへの対策
- 自動ロックの設定時間を短くし、第三者に見破られにくいパスコードを設定する
- スマホにセキュリティアプリをインストールしておく
- 絶対にスマホをなくさない・第三者の手に渡さない
- スマホのアプリ一覧をチェックして見覚えのないアプリを逐一削除する
- 設定から「実行中」のアプリに覚えのないものがないかチェックする
- 不審な点があればスマホを初期化する
- フリーWi-Fiや不明なWi-Fiには接続しない
- 使わなくなったスマホは悪用されないように破棄するかロックしておく
スマホの盗聴アプリを仕掛けられてしまうと、有効な対策がありません。盗聴発見アプリというものもありますが、盗聴アプリの性能に追いついていないのが現状です。
しかしセキュリティアプリをインストールしておけば、危険なWi-Fiやウィルスなどを察知するため、盗聴アプリを仕掛けられる危険性を抑えることができます。自動ロック設定や定期的なチェックも予防策としては有効です。
使わなくなった古いものも含めて、スマホはしっかり管理しておきましょう。
見つけにくく対策しづらい電話機の盗聴
固定電話も携帯電話も、盗聴を発見したり盗聴器・盗聴アプリを撤去したりするのは素人には難しいです。しかし固定電話に仕掛けられた盗聴器であれば、見慣れているプロならすぐに発見できますし、探偵であれば犯人や目的の調査もできます。チェックリストで思い当たる項目があれば、できるだけ早くにプロに相談してください。
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