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借用書の住所は現住所?お金を貸した相手(債務者)の引越し先を調べたい
【投稿日】2019年10月24日

お金を貸した相手がいくら信用のおける相手でも、突然引っ越してしまい、連絡が全くつかなくなることはあります。お金を借りた側(債務者)の現住所がわからなければ、債権の回収はできません。
しかしお金を貸す際に正しい書式で借用書を作成していれば、借用書の住所から相手の現住所を調べることも可能です。
もしものときに備えた正しい借用書の書き方と、引っ越してしまった債務者の転居先(現住所)の調べ方について解説します。
お金を貸した相手が引っ越してしまったときも役に立つ「借用書」
借用書は簡単にいえば、お金の貸し借りの契約書です。法的拘束力はありませんが、2者の間にお金の貸し借りがあったことの証明となり、裁判の証拠としても使えます。
借金の返済に関するトラブル全般に備えるために作成するものなので、債権者(貸した側)と債務者(借りた側)の状況・関係性などに合致した文面にしなくては意味がありません。
法的に有効な借用書の書き方・作成方法
借用書は債務者が債権者宛てに、「私はあなたに〇〇円借りました」という形式で書くのが基本です。
借用書に記載する必須項目
- 借用書の作成日
- 貸主の氏名
- 「借用書」(書面のタイトル)
- 借入金額(借りた金額 / 返す金額)
- 「相手方から記載の金額を借りた」という事実の明記
- 利息計算に関する取り決め
- 返済期日と返済方法
- 実際に金銭を受領した日付
- 借主の住所・氏名(署名)・押印
借用書作成時の注意点
- アラビア数字や普通の漢数字は使わず、「大字」(壱、弐、参、伍、拾…)で数字を記す
- 1万円以上の貸し借りの場合には適正な金額の収入印紙を貼る
借用書は1通のみを作成し、貸主(貸した側 / 債権者)が保管します。
多額の借金の場合には、銀行の融資やローンなどの契約時と同じく、本格的な契約書となる金銭消費貸借契約書の形式をとる方がベターです。金銭消費貸借契約書は簡易的な借用書に比べ、利息・遅延損害金・返済方法などをより詳細に記したものになります。
借用書と金銭消費貸借契約書の主な違い
- 金銭消費貸借契約書は2通作成し、双方がそれぞれ1通ずつ保管する
- 金銭消費貸借契約書は収入印紙代が高額
- 金銭消費貸借契約書には連帯保証人が必要
※借用書も金銭消費賃借契約書もそれ自体には法的効力はない(強制執行などは不可能)
金銭消費賃借契約書は法定利率や準拠法についても記載しなくてはならないので、作成の際には弁護士や行政書士などに依頼すると安心です。
相手の転居などのトラブルに備えるために注意する点
簡易的な借用書にせよ金銭消費貸借契約書にせよ、保証できるのは書面に記したことのみです。つまり作成の段階から、それ以降のトラブルもしっかり考慮に入れて条文を決めなくてはなりません。
借主の転居に対応するための注意点
- 「借主(借りた側)は転居したら転居先を貸主に通知する」旨を条文として記載
- 住民票の住所と実際の住居が異なる場合は両方の住所を記載
- 法的効力を持たせるために公正証書化しておく
借用書も金銭消費賃貸契約書も法的な効力はありませんが、引越しの際の住所の通知の義務を記載しておけば、借主がそれに同意した証明になります。さらにそれらの条文に法的効力をもたせるためには、公正証書化が必要です。
もちろん違法な取り決めやその他の不備があっては意味がないので、万全を期すためには弁護士に相談してください。
参考リンク:裁判所|公正証書
参考リンク:法務省:公証制度について
弁護士に依頼して借用書の住所から引っ越した債務者の転居先を調べる方法
一般の個人では無理でも、弁護士なら公的な書類の開示・閲覧が認められるケースがあります。弁護士にできる対象人物の現住所の特定方法は、主に以下の2つです。
住民票・戸籍謄本を請求する
住民票・戸籍謄本・戸籍の附票を請求するためのポイント
- 借用書(金銭消費貸借契約書)がある
- 旧住所を確実に知っている
- 借金に関して弁護士に法的な解決を依頼する
※弁護士は住民票などの取得だけの依頼は受けられない
お金を借りたまま引っ越した相手の旧住所の住民票や戸籍謄本を請求すれば、そこに記載された転居先の住所を知ることができます。住民票ではわからなくても、戸籍謄本の附票には現在までの転居の記録があります。
弁護士に限らず誰でも、正当な理由があれば他人の住民票・戸籍謄本の請求はできますが、問題はその「正当な理由」が認められるかどうかです。
もちろん借用書は必要ですが、その借用書が本物かどうか第三者には判断できません。また相手が住民票などに閲覧交付制限をかけていたら、いくら借用書があっても請求が認められないこともあります。
一方、弁護士や司法書士、行政書士には業務上必要な場合に、住民票などの書類を取得できる権限があります。閲覧交付制限がかかっていても、少額訴訟を起こすなどの名目があれば取得が可能です。ちなみに探偵にはこのような権限はありません。
参考リンク:住民基本台帳法 第12条の3 本人等以外の者の申出による住民票の写し等の交付
参考リンク:戸籍法 第10条の2
弁護士では現住所を見つけられないケースも…
債権者からの依頼があれば業務上の権限で、債務者の住民票・戸籍などから現住所を調べられる弁護士。しかしそれは、住民票や戸籍謄本に転居先に関する記載があった場合のみです。
住民票などから現住所がわからないケース
- 転出届や転居先での住所登録がされていない
- 住民票を移動せず家族・親族や友人の家に居候している
弁護士も司法書士も行政書士も、調査のプロではありません。そのため住民票や戸籍の附票をたどる以外の方法で、対象人物の現住所を調べるのは難しいです。その場合、弁護士は探偵と連携して住所を調査することもあります。
探偵に依頼して借用書の住所から引っ越した債務者の転居先を調べる方法
探偵には弁護士などのような職務上の権限はありませんが、特定の人物について様々な方法で調査ができます。また単純に「相手の住所を調べたい」というだけの依頼に応えられるのも、弁護士とは異なる点です。
ただし当然ですが、違法な調査はできません。
借用書の住所をもとに郵便物の転送先を調べる方法
引越し前の住所がわかれば、郵便物の転送先を調べるという方法があります。
書留や特定記録郵便などでは追跡サービスが利用できます。追跡サービスを利用すれば、相手の住所の管轄の基地局がわかるので、その周辺で張り込みや聞き込みをして住所を特定します。
その他の手がかりから調べる方法(データ調査)
引っ越した相手が郵便物の転送を設定していなければ、できる限り多くの情報を集めて地道に調べるしかありません。
引っ越した相手を探す手がかりになるもの
- 氏名・年齢・婚姻状況・家族構成・経歴・国籍などの基本情報
- 携帯電話・固定電話の番号
- 旧住所とそこでの固定電話の番号
- 実家の住所・電話番号
- 勤め先の住所・電話番号
- 残された私物・手紙など
- 交友関係(匿ったり連絡を取ったりしていそうな人物)
- 生活態度・趣味(立ち寄りそうな場所など)
- SNSやネット掲示板の情報
- 車の特徴とナンバー
これらの手掛かりを元に地道な聞き込みや張り込みをしたりビラやホームページで呼びかけたり、探偵同士のネットワークで探したりします。郵便の転送で割り出す方法に比べて時間もお金もかかるのが普通ですが、最近ではSNSなどが普及しているため、ふとした手がかりから簡単に見つかることもあります。
もちろん情報が多いほど調査はスムーズに進むので、探偵に依頼する際は前もって知っている情報をまとめておきましょう。
借用書から相手の転居先を調べるには弁護士か探偵か?
トラブルを想定した借用書、あるいは金銭消費賃貸契約書を作成しておけば、お金を貸した相手が引っ越してしまっても新しい住所を調べられるケースは多いです。
弁護士なら住民票をはじめとする公的書類を請求する方法で調べることになります。これは弁護士などの仕業に与えられた特別な権限であり、この方法で見つかれば非常に楽です。ただし同時に少額訴訟などの法的解決を依頼しなくてはなりません。
探偵には弁護士のような権限はありませんが、探偵ならではの技術やネットワークを駆使して様々な方法で調査が可能です。相手の現住所を特定してからどうするか考えることも、住所と併せて素行調査を依頼することもできます。
法的措置をとることを決めているなら弁護士、相手を探し出すことを重視するなら探偵というふうに、よく考えて自分に適した方を選んでください。
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