【投稿日】 2019年7月2日 【最終更新日】 2021年10月21日
通話機能だけではなく、調べ物や買い物・コミュニケーションツールとしても多くの人が所持するようになった携帯電話やスマートフォンは、家出人(失踪者)の捜索の手がかりとしても重要な位置を占めています。しかし、その中には大事な個人情報が詰まっており、たとえ家族であったとしても、安易にアクセスすべきものではありません。
家出人(失踪者)の携帯電話やスマートフォンの情報から一体どのようなことがわかるのか、自分では無理でも警察や探偵、弁護士ならできるのかなど、具体的な活用方法まで解説します。
SAT探偵事務所 京都本部の代表取締役社長。
浮気調査や人探しといった個人向けのメジャーな調査はもちろん、他所では受任できない難度の企業向けの調査(信用調査、与信調査、M&A時等におけるDD 等)や経営コンサルティング業務にも従事している。
家出人(失踪者)の携帯電話やスマホの情報は有力な手がかりになる
現代社会において、携帯電話やスマートフォンは単純な通話だけにとどまらず、様々なシーンで利用されています。そして、それらの情報は家出人の捜索を行う上で重要な手がかりとなることがあるのです。
具体的にどのようなことがわかるのでしょうか。
位置情報から家出人の居場所を特定できる
携帯電話やスマートフォンで知ることが出来る「位置情報」によって、現在地を特定することができます。
携帯電話・スマートフォンの位置情報から調査するメリット
- 初動で聞き込みなどの手間をかけないため、迅速に確実な位置情報が得られる
- 家出人がその場所にいなくても、携帯電話・スマートフォンから様々な情報が得られる
ネットワークを利用した位置情報は、心当たりや噂から見当をつけるより正確です。ある程度の誤差はあるものの、ほぼ間違いなく携帯電話やスマートフォンはその指し示す場所にあります。もし本人がそこにいなくても、携帯電話・スマートフォンが見つかれば、その中にある情報が今後の捜索の大きな手掛かりになる可能性は高いです。
また初動で聞き込みなどの手間がなく迅速に調査を進められるのも大きな利点です。特に行方不明者が未成年者や高齢者の場合、自力では帰宅出来ないような状況も考えられます。一刻も早い位置情報の入手は、家出人の安全を確保するために極めて重要です。
位置情報については後で詳しく説明するので、こちらもご参照ください。
通信履歴から交友関係を知ることができる
携帯電話やスマートフォンに残された通信履歴・保存データは、家出人の交友関係や行動を知る上で極めて重要な情報です。
家出人が訪れそうな場所や出かけた目的などを知るには、交友関係の把握は欠かすことができません。現在では1人1台以上の所有も珍しくない携帯電話やスマートフォンからは、家族も知らない家出人の交友関係に関する多くの情報が手に入ります。
スマホの保存データから家出人の行動を探る
小さなパソコンともいうべきスマートフォンが手元に一台あれば、実に多くのことができます。しかもその行動の多くは端末内に履歴として残るので、家出人の行動を知るための重要な手がかりとなるのです。
スマートフォンから分かる持ち主の行動
- 公共交通機関の予約
- 仕事の検索
- 引越し先の検索
- ホテルの予約
- 家出先の知人とのやり取り
- SNSへの書き込み
- スマートフォンの機能・アプリを利用した支払いの履歴
見てわかるとおり、過去の行動だけでなく、現在の状況を知るのに役に立つものも多いです。スマートフォンは家出の原因から現在地まで、実に多くのことを知る手がかりとなります。
携帯電話やスマホの情報から自分で家出人(失踪者)を探す方法
個人の携帯電話・スマートフォンを他人が使用したり保存データにアクセスしたりすることは、本来してはならないことです。しかし家出や失踪という異常事態においては、正当な手続きを踏めば、家出人のスマートフォンを捜索に利用することができます。
家族や婚約者などの立場なら、個人情報にもアクセス可能です。但し当然ですが虚偽の申告や情報の悪用は犯罪になり得ますので、くれぐれも注意してください。
携帯やスマホのGPS機能(微弱電波)で家出人・失踪者の居場所を探る
家出人の使用している携帯・スマホのGPS機能がオンになっている場合には、家出人の居場所(携帯・スマホの現在地)を特定できます。
GPSとは、携帯電話の発する微弱電波を人工衛星からの電波で測って、地球上の位置を特定するシステムです。GPS機能を利用したアプリは多く、GPSを常時オンにしていなくても、該当するアプリを使用していれば追跡が可能です。
GPSを利用したアプリの例
- GPSを利用したゲームアプリ
- 地図などナビゲーションシステムアプリ
- 友人同士のコミュニケーションツール
- 災害時の確認アプリ
参考サイト:iシェアリング 位置情報アプリ
参考サイト:家族の安心をささえる、絆アプリCOCODAYO
こうしたアプリは、日常生活ではあまり意識していなくてもいざという時に役立つというメリットがあり、特に未成年者や高齢者を見守るといった点では大きな力を発揮します。
GPS機能を利用するためには、お互いにフォローし合うなどの事前準備が必要となることもあります。小さいお子さんや高齢者の家族がいる場合は普段から確認しておくといいでしょう。
携帯電話会社の位置検索サポートを利用する
携帯電話会社によっては、万が一機器が紛失・盗難された場合に捜索することが出来るよう、位置検索サポートの登録サービスを行なっていることがあります。
これは、携帯電話やスマートフォンから発せられる電波がどの基地局に繋がったかで位置を把握する方法で、この電波を追跡することで現在位置を特定出来るという仕組みです。各携帯電話会社のみがこの情報を把握しており、刑事事件などで情報開示の要請があった場合などにも役立てられています。
このサービスは、各携帯電話会社のお客様サポートセンターやインターネット上のHPにアクセスすることでいつでも検索することが可能で、契約時に定めたれたIDやパスワードが分かっているという時には有効な手段となります。
家出人が契約者となっている場合には難しいかも知れませんが、もし家出人の携帯の契約者が家族の誰かになっている時には、位置検索サポートのサービスを利用してみるのも良いでしょう。
携帯・スマホの契約会社へ発信履歴の明細書を請求する
家出人の携帯電話やスマートフォンの発信履歴を知りたい場合には、明細書の請求を各携帯電話へ申し込むことができます。明細書でわかるのは発信履歴のみで、着信履歴は記録として残っていません。残っているのは、以下のような情報です。
- 発信日時
- 通話先の電話番号(番号のみで名前までは記録されていない)
- 通話時間
- 過去3ヶ月から半年ほどの期間の発信記録
ただし、発信履歴は極めて重要な個人情報となるため、明細書の請求には次のような条件が必要となります。
- 携帯やスマートフォンの契約者(名義人)本人であること。
- 契約者からの委任状があること。
- 刑事事件の捜査の一環として、裁判所から情報開示命令が出されていること。
詳細については契約している会社によって若干異なる点も出てきますので、一度お客様窓口で問い合わせたり、Webで公開されている内容を確認するようにしましょう。
参考サイト:通話・通信の明細 | My docomo | NTTドコモ
参考サイト:ご請求・お支払い(各種照会・お手続き方法のご案内) | スマートフォン・携帯電話をご利用の方 | au
参考サイト:電話の通話履歴やメールの送受信履歴を取り寄せできますか? | よくあるご質問(FAQ) | サポート | ソフトバンク
書類の偽造やなりすましなどの問題が増えたことにより、各携帯電話会社では個人情報の取り扱いに非常に慎重となっています。少しでも疑いがある場合には、使用している家出人に連絡を入れることもあるため、請求の際には十分な配慮と注意が必要です。
無料通話アプリを利用した通信記録の情報は各アプリ会社へ
スマートフォンでの通話の場合、電話回線を通さず無料通話が出来るアプリを通して連絡を取り合うことが増えてきました。アプリを通した無料通話は、携帯電話会社へ連絡しても発信記録の明細を取ることは出来ません。
無料通話アプリの通信記録は、そのアプリを提供している会社へ直接申し込むことになります。情報開示条件はそれぞれに異なるため、事前の準備確認が必要です。
少しややこしく感じるかも知れませんが、アプリによる通話に関してはアプリの提供会社と携帯電話会社の両方へ問い合わせると確実です。
家出人のスマホと情報共有しているデバイスを調べる
スマートフォンの利用者は、様々な目的でスマートフォンを活用しています。そして利便性をより高めるため、他のデバイス(パソコンやタブレットなど)と情報共有することで、より利便性を高めている人も多いです。
スマホと他デバイスの情報共有の例
- スマホとタブレットに同じメールアドレスを登録しておき、スマホに入ったメールがタブレットにも着信するように設定する。
- スマホのデータを定期的にパソコンへ保存し、バックアップデータを作っておく。
- スマホに入れているチャット機能アプリをパソコンやタブレットと連動させ、どの機材(デバイス)を使用していてもすぐに返事が出来るように設定する。
もし家出人がこのような使用方法を日常的に行なっていた場合、残されたパソコンやタブレット内にスマートフォンの通信記録が残されていたり、継続して家出人のメールが着信し続けたりする可能性があります。
ただし、機種や設定によってはアクセスした途端に家出人へ連絡がいくこともありますので、その点にも十分な注意が必要です。
多デバイス間の情報共有(同期)は便利な機能ではありますが、慣れていないと扱いが難しく、間違って手がかりを消してしまうことも考えられます。もし不安なら自分で弄らず、PCやネットに詳しい探偵に依頼してください。
家出人(失踪者)の携帯電話・スマホから情報収集が難しいケースとは
入手出来れば家出人の捜索に大変有効となる携帯電話やスマートフォンの情報ですが、そのためにクリアしなければならない問題点も多く存在しています。携帯電話やスマートフォンの情報収集が難しくなるケースについてみていきましょう。
携帯電話・スマホの電源をオフにしていると居場所がわからない
携帯電話やスマートフォンは電子機器ですので、電源が入っていない状態では当然使用不可能です。つまり、家出人が意図的に電源をオフにしていたり電池切れを起こしてそのまま放置している場合、電波が発せられないので追跡もGPS機能の利用もできません。
しかし、日常生活で携帯電話やスマートフォンを利用しなければならない機会は大変多いので、何かのタイミングで電波を発したりGPSが反応したりする可能性はあります。家出人と連絡が取れない状態でも、定期的に連絡を入れてみましょう。
携帯電話・スマホの契約者が家出人本人である
携帯電話やスマートフォンの契約者が家出人本人の場合、次のような問題が起こる可能性があります。
- 契約が解除されており連絡がつかなくなる。
- 家出人の通信履歴を問い合わせることが難しくなる。
- 残された家族からの申し出が家出人へ通知されることで、関係が悪化する可能性がある。
計画的に失踪する家出人は、事前に携帯の契約解除を行うなどの準備をしていることも多く、例え家族であっても中々手がかりを掴めないケースも少なくありません。また、携帯電話会社には個人情報を守る義務があるため、契約者である家出人への通知を止めることも難しいでしょう。
通信通話料の関係から、複数台を1人の契約者にまとめていることも珍しくありません。携帯電話やスマートフォンの情報は個人情報であることを良く認識しておき、携帯電話会社への問い合わせ前には契約状況を確認するようにしましょう。
家出人の失踪に刑事事件性がない
携帯電話やスマートフォンの情報開示条件の一つに、刑事事件の捜査上必要性があると判断され、裁判所からの命令が出ていることというものがあります。具体的な例としては、以下のような状況です。
- 家出人が何かしらの犯罪をはたらいている可能性がある。
- 家出人が何かしらの事件・事故に巻き込まれて行方不明となった可能性がある。
- 家出人が13歳以下の未成年者、もしくは痴呆症などを患っている高齢者であり、一刻も早く発見をしなければならない。
つまり、警察が家出人の捜索を積極的に行うケースに当てはまれば、携帯電話会社も情報提供などの協力を行いますが、家出人に命の危険性がなく刑事事件として認められないと、情報を集めることが難しくなるのです。
下記の記事では、行方不明となっている家出人に緊急性があるかどうか、ケース別に詳しく解説をしております。
捜索したい家出人がどのようなケースに当てはまるのかを確認し、適切な場所へ相談した上で携帯電話やスマートフォンの情報を集めるようにしましょう。
家出人(失踪者)の携帯電話の情報開示は自分でできる?弁護士は必要?
家出人捜索の有力な手掛かりが得られる「通信履歴の情報開示」ですが、日常生活と縁遠いことだけに、なかなかイメージが掴めないという人も少なくありません。
では、実際に情報開示の申し込みをした人はどのような流れで行なっているのか、その具体例を見ていきましょう。
申し込み前の事前準備
どのような場合においても必ず行わなければならないのが、「情報開示条件を満たしているかの確認」です。最低でも以下の項目は必ずチェクする必要があります。
- 家出人の所有する携帯電話やスマートフォンの契約者が誰になっているか。
- 通信履歴の明細を請求出来る条件が整っているか。
- 明細を請求する時に必要な身分証明書などが揃っているか。
- 契約時に設定したパスワードやアカウントの確認
これらの項目のうち、「契約者が情報開示を求める本人であること」「明細を請求するにあたり必要な身分証明書を持っていること」の2点は、最低でもクリアしていなければなりませんので、よく確認をしてから行動するようにしましょう。
アカウントとパスワードでWeb上のサイトから申し込む
通信履歴の明細を一番早く手に入れる方法は、各携帯電話会社のサイトから申し込むことです。アカウントやパスワードがわかっていれば、その場でWeb上から明細を確認することが可能となります。ただし、契約しているキャリアによっては、事前に「通話履歴明細確認のための申し込み」をしなければならない場合があります。
必要条件に関しては各携帯電話会社で詳細に説明をしておりますので、Web上から通話明細確認を行う場合には、一度契約会社のサポート項目からチェックをするようにしましょう。
店舗で申し込みを行う
アカウントやパスワードがわからない、Web上での確認が難しいという時には、実際に店舗へ出向き通信履歴の明細書の発行を申し込むことが出来ます。「家出人が使用している携帯・スマートフォンの契約者であること」「顔写真付きの身分証明書等があること」という条件が整っていれば、比較的スムーズに申し込みを行うことが可能です。
ただし、明細書は書類として郵送で送られてくるため、申し込んでから数日は待つ必要があります。また、「月ごと」「回線ごと」で書類が分かれるため、書類一枚に付き100円?200円の料金が別途掛かってきます。
「今すぐに知りたい」「緊急性があり時間がない」というケースにはあまり向いていない方法となりますので、行方不明となった家出人の捜索に事件性や緊急性がある場合には、すぐに警察へ届け出を出しそちらから働きかけて貰う方が良いでしょう。
弁護士に依頼して情報開示を求める
自分たちでの情報開示請求が難しい場合でも、弁護士に依頼をして家出人の携帯電話やスマートフォンの情報開示を求めることができます。しかし、弁護士はあくまで「依頼された案件の処理のために情報開示を求める」ことになりますので、そこには必ず「情報開示を求める正当な理由」が必要です。
例としては、以下のような状況です。
- 行方不明となった家出人が借金を背負っており、その債務処理のために情報開示が必要である。
- 行方不明となった家出人が所有している車や契約している駐車場などを緊急で処理しなければならないので、法的に問題がないよう処理するため情報を集めたい。
- 養育費や慰謝料の支払いを裁判で命じられたのに逃げた家出人に対し、法的に訴えるために調査する必要がある。
つまり、家出人に対して何らかの法的手続きをしなければならないという状況に対し、その依頼を受けた弁護士が必要だと判断して情報開示を求めるのです。弁護士の仕事は、刑事・民事に関係する問題を法的に処理することですので、依頼を考える前にまず法的な必要性があるかどうかを判断するようにしましょう。
家出人(失踪者)の携帯電話・スマホの情報を集める時に注意すべきこと
重要な手がかりとなる携帯電話やスマートフォンの情報は、家出人捜索の上で非常に便利な反面、注意すべき点も存在します。どのようなことに気をつければ良いのか、ポイントを押さえていきましょう。
知りたい情報を絞っておく
利便性が高い携帯電話やスマートフォンは多くの捜査に役立つ情報が保存されている一方で、何からどう調べれば良いのか迷う人も少なくありません。そうならないために、前もって必要な情報とその優先順位をある程度決めておきましょう。
携帯電話やスマートフォンの情報を調べることでわかるのは、主に以下のような項目です。
- 通信履歴で通話した相手の電話番号を知る。
- 通信した日時を知る。
- GPS機能で居場所を知る。
- 位置情報検索で現在地を知る。
- 家出人が携帯電話やスマートフォンを解約していないかどうか。
- 家出人のメールアドレスが使用可能かどうか。
もちろん全部調べられればいいのですが、家出人捜索はスピードが命なので、どこから手を付けるかはとても大事です。わからなければ是非、警察や探偵に相談してください。
情報開示条件を満たしているかどうかを確認する
個人情報保護の観点から、携帯電話会社は入念に情報開示の条件を満たしているかどうかを確認します。家出人を早く探し出したいと思うあまり、よく確認せずに携帯電話会社へ連絡する人もいますが、必要な書類がなかったり説明不足だったりすると、詐欺やなりすましなどを疑われてしまう可能性もあるのです。
「契約者本人であること」「警察が事件性・緊急性を認めていること」などの情報開示条件をよく確認し、情報開示請求に正当性があることを明確に証明できるようにしておきましょう。
入手できた情報の取り扱いには注意する
家出人の通信記録を入手した家族の中には、次のような問題行動をとる人もいます。
- 入手した電話番号に片っ端から連絡をとり迷惑を掛ける。
- 入手した電話番号を不特定多数の人に知らせて捜索する。
- 入手した情報をコピーして捜索の協力者に配布する。
せっかく入手できた携帯電話やスマートフォンの個人情報も、このような行動をとってしまうと逆に家族が訴えられることもありますし、家出人との関係の悪化も懸念されます。また、基本的に通信記録には電話番号だけしか記載されていないため、個人で捜索を行うには限界があります。
一番良い方法は、入手できた情報を手がかりの1つと考え、捜索のプロである警察や探偵に相談することです。特に探偵は民事・刑事問わず調査できますので、家族が入手した大切な情報の活用方法が広がります。
多くの探偵事務所では無料相談窓口も設けていますので、携帯電話やスマートフォンから得た手がかりをどのように利用すれば良いのか、一度相談してみるのも良いでしょう。
警察なら携帯電話・スマホから行方不明者の位置を特定できる?メリットとデメリット
警察は刑事事件に関する捜査権限があります。もし家出や行方不明に刑事事件性が認められれば、一般人にはできないような捜査も警察なら可能です。
しかし、どんな場合でも捜査してくれるわけではありません。むしろ家出や行方不明では警察が動かないケースも多いです。
ではどんな場合に警察は捜査してくれるのでしょうか。また、警察の捜査にはどんなメリットがあるのでしょうか。
警察によるGPS捜査のメリット
警察は行方不明人(家出人)に対して、ケースに応じて事情聴取や公開捜査、遺留品を元にした鑑識、警察犬を用いた捜査などを行います。しかし携帯電話・スマートフォンの普及が目覚ましい現在では、GPS情報も捜査に利用するようになりました。
警察の携帯電話・スマホを用いた捜査のメリット
- 個人ではアクセスできない状態でも携帯電話会社の協力によって捜査が可能
- 本人の同意がなくても情報を取得できる(対象の端末に通知がされない)
- 街中の監視カメラの映像と照らし合わせると、より詳細に行動を把握できる
警察が必要だと判断すれば、多くの場合、携帯電話会社は警察の捜査に協力します。機種や使用状態によっては、携帯電話会社からの遠隔操作によってスマホのGPSをオンにすることも可能です。これは家出人の捜索には非常に役に立ちます。
また、2015年に総務省のガイドラインが改正され、警察が携帯電話・スマホの位置情報を取得する際、持ち主に通知する義務がなくなりました。
これまではGPSで位置情報を取得しようとすると、対象となるスマホにはその旨の通知が表示される仕様でした。しかしいくつかの機種では通知されない設定が可能となり、実際に持ち主に知られることなく警察が位置情報を取得できるようになったのです。
これによって、例えば行方不明者の携帯・スマホが誘拐犯などの手に渡っていても、警察が捜査していることを犯人に知られずに済みます。
行方不明者届(旧捜索願)を出せば警察は必ずGPSで居場所を特定してくれる?
上でも述べましたが、警察は行方不明者探しにはあまり積極的に動いてくれません。特に成人の家出は本人の意思である場合が多く、そうなると警察には介入できないからです。行方不明者届を警察に提出しても、警察がGPSによる位置特定などの捜査をしてくれるのは、明確な事件性が認められるケースだけと考えてください。
警察に行方不明者届を提出し、行方不明者本人が捜索願不受理届を提出しておらず、且つ事件性があると警察が判断して検証許可状が発行された場合のみ、警察はGPSから位置情報を取得することができます。
行方不明者が捜索願不受理届を提出していれば、行方不明者届自体が受理されません。この点にも注意が必要です。
警察が積極的に捜査する「特異行方不明者」とは?「一般家出人」との違い
行方不明者には「一般家出人」と「特異行方不明者」の2つがあり、どちらに分類されるかで警察の捜査への積極性が大きく異なります。
- ■一般家出人
- 緊急を要する事情や事件性のない行方不明者。警察のデータベースに登録されるだけで、警察による特別な捜査は行われない。パトロールや別の事件の捜査で発見されれば、本人が拒否しなかった場合のみ届出人(親族)に報告される。
- ■特異行方不明者
- 警察が捜査の緊急性が高いと判断した行方不明者。主に誘拐などの犯罪に巻き込まれる、あるいは既に被害に遭った可能性の高い行方不明者を指し、行方不明者届を受理すれば捜索が行われる。
例)子供、遺書を残した行方不明者、自分の意思で家出したと考えられない行方不明者 など
この判断基準は法律で定められていますが、家出した子供はや徘徊癖のある老人などは原則的に特異行方不明者に分類されます。特異行方不明者と判断されればGPSなどの情報も含め、警察はあらゆる方法を駆使して捜索するため、基準に当てはまりそうなケースでは特に、警察への相談・届け出が有効です。
探偵が携帯電話・スマホでできる家出人(失踪者)探しの方法
探偵も携帯電話・スマホを様々な調査に利用します。行方不明者や行方不明者を探すために非常に役に立つツールであり、携帯電話・スマホに保存された情報は持ち主の居場所特定の有力な手掛かりです。
しかし探偵は、警察のような捜査権限を持っていません。それでも探偵に依頼するメリットはあるのでしょうか。
警察も弁護士も動けないときこそ探偵に
探偵は警察や弁護士とは異なり、それぞれの依頼に適切な調査法・対処法をとることができます。もちろん違法な調査はしませんが、事件性や法的な問題がない段階でも調査に当たれるのは大きな強みです。
家族や婚約者がいなくなった、連絡がつかない。このような場合に事件性がないか、法的な問題がないかを探偵が調査し、その調査結果から警察や弁護士が動いてくれることもあります。
携帯電話・スマホを用いて適切な調査ができる
行方不明者や失踪者の携帯電話・スマホが手元にあったとして、調査の素人にそこからどれだけの調査ができるでしょうか。GPSと連動しているアプリやクラウドサービスなど、ある程度知識がなくては適切な取り扱いができません。
また、普通の人が何とも思わないような写真や通話履歴なども、探偵が見れば有力な手がかりとなることがあります。
迅速・確実に情報を引き出し調査に役立てることができるのが、探偵です。自分で携帯電話・スマホを調べる前に、探偵に依頼することを是非考えてみてください。
家出人・失踪者・行方不明者の捜索には携帯電話を活用しよう
家出人捜索の手がかりを携帯電話やスマートフォンから手に入れる方法について、詳しく解説してきましたがいかがでしたのでしょうか。もう一度内容を振り返り、まとめてみましょう。
- 携帯電話やスマートフォンを利用した捜索のメリットには、「位置情報から居場所を特定する」「通信履歴から交友関係を知る」「保存データから家出人の行動を探れる」といったものがある。
- 携帯電話やスマートフォンから家出人の捜索の手がかりを探る方法には、「GPS機能を利用した捜索」「位置検索サポートを利用した捜索」「契約している通信会社へ発信履歴の明細書を請求する」「家出人のスマートフォンと情報共有しているパソコンやタブレットを調べる」といったものがある。
- 携帯電話やスマートフォンの情報は個人情報になるため、「契約者本人であること」「契約者の委任状があること」「刑事事件の捜査に必要で裁判所からの命令が出ていること」と
いった情報開示条件が必要となる。 - 携帯電話やスマートフォンの情報を調べる時には「何が知りたいのか」といった目的をはっきりとさせ、項目を絞って調べるようにする。
- 入手した個人情報の取り扱いには十分注意し、個人による無理な捜索は避けて警察や探偵事務所への情報提供の一つとして考える。
普及率が急速に高まり日常生活に欠かせなくなっている携帯電話やスマートフォンは、家出人捜索の重要な手がかりである一方で、その取り扱いが難しく個人では利用しきれないといった問題も出てきます。出来る範囲内で捜索を続けながら、難しいと感じた部分は探偵などの第三者を上手に利用して、家出人の早期発見に繋げるようにしてみましょう。
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