【投稿日】 2023年2月5日 【最終更新日】 2023年2月16日

不動産取引を行う際、あるいは法人が金融機関から借り入れを行う・法人設立届を提出する際などには「登記簿謄本」が必要となります。

「登記簿謄本」には、「不動産登記簿謄本」と「法人登記簿謄本」があり、これらは法務局で申請をして簡単に取得することができます。

そこで、今回は「法人登記簿謄本」を例に、具体的な取得方法と、基本的な登記簿謄本の見方について解説します。

登記簿謄本とは?

会社の「登記簿謄本」とは、会社の重要事項が記載された書類のことです。

会社設立後であれば、誰でも取得することができます。

登記簿謄本と登記事項証明書の違い

登記簿謄本と似た名称の書類として「登記事項証明書」が存在します。

「登記簿謄本」と「登記事項証明書」の違いは、コンピュータで処理しているかどうかです。

「登記簿謄本」とは、登記事務をコンピュータで処理していない登記所(法務局・支局・出張所)で、登記事項を登記簿に直接記入している場合に取得できる「登記簿原本の写し(コピー)」のことです。

しかし、現在では全ての登記所はコンピュータ化されており、登記簿に記載された登記事項は「登記記録」というデータになっています。

そのため、登記所では「登記記録」を専用の用紙に印刷した「登記事項証明書」を取得することになります。

したがって、「登記簿謄本」と「登記事項証明書」は名称が異なるだけで、実質は同じものです。

2つの書類が証明する内容に違いはなく、「登記簿謄本」の提出が必要とされている場合に「登記事項証明書」を提出しても全く問題はありません。

【参考】そもそも登記とは?

「登記」とは、個人や法人の権利関係をはっきりさせるために世間に公開されるものです。

「登記」をすると、その情報は法務局の「登記記録」として保存され、一部の例外を除いて公開されます。

つまり、「登記記録」を確認すれば、誰がどのような権利を有するのかを把握することができるということです。

登記記録上の情報を参照することで、特定の取引をスムーズに行うことができるようになります。

「登記」の種類には、以下があります。

  • 法人の概要を公開して取引を円滑に進める「商業登記」と「法人登記」
  • 不動産の所有権を保証する「不動産登記」
  • 20トン以上の船舶の所有権を示す「船舶登記」
  • 金銭債権の譲渡を明確にする「債権譲渡登記」
  • 十分な判断力がない人(高齢や障がいなどの理由による)の代理人を決める「成年後見登記」

登記を申請する機関を「登記所」と言うことがありますが、正式には「法務局・支局・出張所」のいずれかです。

登記簿謄本の種類

「登記簿謄本」には、次の4種類が存在します。

  • 履歴事項証明書
  • 現在事項証明書
  • 閉鎖事項証明書
  • 代表者事項証明書

それぞれの特徴は次の通りです。

【1】履歴事項証明書

「履歴事項証明書」とは、「現在、効力のある登記事項」と「交付請求があった日から3年前の日に属する年の、1月1日以降に抹消された事項等を含む、全ての登記事項」が記載された証明書です。

「履歴事項証明書」によって、現在の登記情報と過去の登記の変更箇所を知ることができます。

たとえば、ある会社の「登記簿謄本」が必要な場合は、この「履歴事項証明書」の全部の項目が記載されている「履歴事項全部証明書」を取得しましょう。

なお、この「履歴事項証明書」には、「閉鎖事項証明書」の記録は含まれていないので、必要な場合は別途取得する必要があります。

【2】現在事項証明書

「現在事項証明書」とは、「現在、効力のある登記事項のみ」が記載された証明書です。

たとえば、現在事項証明書を請求した前日に何らかの登記情報の変更があった場合、過去の登記記録は記載されません。

しかし、商号と本店所在地については、1つ前の変更点まで記載されます。

【3】閉鎖事項証明書

「閉鎖事項証明書」とは、すでに閉鎖した登記記録が記載された証明書です。

たとえば、会社の本店が移転して管轄法務局が変わった場合や、合併によって会社が消滅した場合などは、会社の登記簿自体が閉鎖されてしまいます。

したがって「履歴事項証明書」には記載されません。

そのため、閉鎖前の登記内容を把握したい場合は、「閉鎖事項証明書」を取得する必要があります。

なお、コンピュータ化される前の「閉鎖事項証明書」は、閉鎖時の管轄法務局でしか取得することができません。

【4】代表者事項証明書

「代表者事項証明書」とは、会社の代表者について記載された証明書です。

代表者の住所・氏名のほかに、商号・本店・会社法人等番号も記載されています。

登記簿謄本が必要なケース

法人の「登記事項証明書」や「登記簿謄本」は、事業を進める際に必要不可欠な資料です。

一般的に、次のような状況の時に提出が求められます。

【1】銀行口座の開設や変更

法人が、金融機関で新規に法人用銀行口座や株式口座開設、法人名変更、住所変更、代表者の変更などをする際には、本人確認書類として「登記簿謄本」が必要となります。

ほとんどの場合、発行日から3ヶ月以内の原本提出が求められます。

【2】融資の申請

事業資金として金融機関に融資を申し込む場合には、必ず法人の「登記簿謄本」を提出する必要があります。

融資申請時に必要な書類は、すべての項目が記載された「登記簿謄本」または「履歴事項証明書」です。

通常は、取得後3~6ヶ月以内の書面の提出が求められます。

【3】補助金の申請

国などに対して補助金や助成金の申請をする場合も、原則として「登記簿謄本」の提出が必要です。

融資の際と同様に、取得後3~6ヶ月以内の書面の提出が求められます。

【4】不動産の賃貸契約

法人が社宅などを賃貸契約するときには、法人の「登記簿謄本」が必要になります。

【5】許認可の申請

建設業や飲食店の営業許可などにかかわる許認可申請の際も、法人の「登記簿謄本」が必要です。

登記簿謄本の取得方法

「登記簿謄本」や「登記事項証明書」は、法務局で誰でも簡単に取得することができます。

現在は、法務局の窓口や郵送での取得の他に、オンラインでの取得も可能です。

【1】窓口での取得方法

法務局の窓口で「登記事項証明書」や「登記簿謄本」を取得する場合は、申請書に必要事項を記入し、手数料600円の収入印紙を貼って、申請します。

注意点は、法務局が開いている平日にしか利用できないことです。

【2】オンラインによる取得方法

オンラインで「登記事項証明書」や「登記簿謄本」を取得する場合、法務省のホームページの「登記・供託オンライン申請システム」から手続きを行います。

「登記・供託オンライン申請システム」での申請方法は、申請者の個人情報を入力し、「かんたん証明書請求」にログイン。さらに、請求情報を入力します。

オンライン申請での書類受け取り方法として、証明書の「郵送」か「法務局の窓口交付」のいずれかが選択可能です。

手数料は以下の通り。

  • 郵送:500円
  • 窓口交付:480円

この手数料は、各金融機関のインターネットバンキングや、Pay-easyで支払うことができます。

【3】郵送による取得方法

郵送で「登記事項証明書」や「登記簿謄本」を取得する場合、法務局のホームページから申請書を印刷して手続きを行います。

まず必要なことは、申請書へ必要事項の記入と、手数料600円の収入印紙添付です。

続いて、返信用封筒(宛先を記入し、必要な切手を貼ったもの)を同封して、最寄りの法務局に郵送します。

法務局から書類が返送されるのは、おおよそ1週間後程度と想定しておきましょう。

登記簿謄本を取得できる人

法人の「登記簿謄本」や「登記事項証明書」は、誰でも所定の手数料を納付すれば取得することができます。

なお、「登記簿謄本」や「登記事項証明書」を取得するときに、申請者の身分証明書を提出する必要はなく、基本的に誰でも取得できるのが特徴です。

登記簿謄本の記載事項と見方

会社の「登記簿謄本」には、次のような事項が記載されています。

記載事項 記載例
会社法人等番号 ○○○○-○○-○○○○○○
商号 株式会社○○○○○
本店 東京都○○区○○ ○丁目○-○
公告をする方法 官報に掲載してする
会社成立の年月日 令和○年○月○日
目的 1.○○○業
2.△△△業
3.人材派遣業
4.不動産の売買・仲介・管理並びに賃貸業
5.前各号に附帯する一切の事業
発行可能株式総数 ○○○株
発行済株式の総数並びに種類及び数 発行済株式の総数 ○○○株
資本金の額 金○○○万円
役員に関する事項 取締役 ○○○○
取締役 △△△
代表取締役 □□□□・住所
登記記録に関する事項 設立 令和○年○月○日登記

会社法人等番号

「会社法人等番号」とは、「商業登記」「法人登記」の「登記記録」1件ごとに記録されている数字12桁の識別番号のことです。

商号

「商号」とは会社名のことで、同一の住所でなければ同じ商号を使用することが可能です。

つまり、全国各地に同じ商号の会社が存在することも十分にありえます。

本店

「本店」の欄には、会社の登記簿上の住所が記載されています。

公告をする方法

「公告をする方法」については、次の3種類と定められています。

  • 官報に掲載
  • 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載
  • 電子公告

会社成立の年月日

「会社成立の年月日」とは、会社設立の登記を行った日のことです。

目的

「目的」とは、事業内容や事業目的を指します。

発行可能株式総数

「発行可能株式総数」は、会社の株式を発行することができる上限数を示し、この数を超えて株式を発行することはできません。

株式発行数に上限が定められているのは、既存株主の保護のためです。

既存の株主以外に向けて多くの新株が発行されてしまうと、既存の株主の影響力が低下してしまう可能性があります。

発行済株式の総数並びに種類及び数

発行済株式の総数並びに種類及び数とは、会社が現在発行している株式数のことです。

基本的にその数は発行可能株式総数以下となります。

資本金の額

「資本金の額」とは、資本金の金額を示したものです。

準備金の額や負債額などは登記されません。

役員に関する項目

「役員に関する項目」には、取締役、代表取締役、監査役、会計参与、会計監査人の役職にある人の名前が記載されています。

役員は、任期ごとに交替します。

つまり、人が入れ替わるたびに登記をする必要があるということです。

また、代表取締役のみ、代表者として住所が記載されます。

これは「訴状の送達先として」など、社会的必要性からです。

つまり、代表者は、住所を変更するたびに住所の変更登記をする必要があるということです。

登記記録に関する事項

「登記記録に関する事項」には、その会社の設立や本店の移転、合併、破産といった事項が起きた日付を記載します。

登記簿謄本は誰でも窓口・オンライン・郵送で取得することができる!

今回は、「法人登記簿謄本」を例に挙げて、その「取得方法」や「基本的な見方」、記載内容について説明しました。

会社の「登記簿謄本」があると、その会社の概要を公開情報として得ることが可能です。

また、会社情報の公開がされることで、会社が実際にあることを証明することができ、取引などを円滑に進められるといった恩恵があります。

こうした恩恵が公に得られるように、登記簿謄本は誰でも取得可能となっています。

現在では、窓口での取得だけでなく、オンラインや郵送などの方法によって取得できるようになっているので、登記簿謄本が必要な場合には、ぜひ本記事の情報を参考にしてみてください。

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