【投稿日】 2021年11月12日 【最終更新日】 2022年10月27日

急ブレーキや幅寄せなどで相手の車の通行を妨害する「煽り運転」。

2017年以降相次いで発生した煽り運転による人身事故により煽り運転を問題視する声が数多く上がったことを受け、2020年6月には煽り運転を取り締まる「妨害運転罪」が施行されました。

妨害運転罪の施行により、他の車両等の通行を妨害する目的で急ブレーキや車間距離不保持などの違反行為を行うことは交通指導取締りの対象となりました。

しかし、実際に煽り運転の被害を受けた方や、テレビなどで警察の対応を目の当たりにした方の中には「警察は煽り運転では動かない」と感じている方もいるようです。

しかし、それは大きな誤解を含んでいます。

そこで今回は、「そもそも煽り運転で警察に相談できるの?」という疑問から警察に煽り運転として立件してもらうために必要な事について詳しく解説いたします。

そもそも煽り運転に罰則はある?警察に相談することはできるの?

2020年6月、煽り運転を取り締まるために「妨害運転罪」が施行されました。

妨害運転罪の施行により、他の車両の通行を妨害する目的で車間距離を詰めたり幅寄せしたりする行為や、急ブレーキをかける「煽り運転」を行った場合、最大で5年懲役または100万円の罰金が科されることになりました。

妨害運転罪に該当する行為を行った場合は下記の罰則に加え、免許の取り消しがなされます。

通行妨害の目的で交通に危険を及ぼすおそれのある方法により、一定の違反をした場合 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
上記の行為に加え、高速での停車など著しい危険を生じさせた場合 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金

このように、煽り運転は厳しい罰則のある違反行為なので、煽り運転を受けた時点で警察に通報することが可能です。

煽り運転を受けた場合は安全な場所に避難してから警察に連絡!

煽り運転を受けた場合の通報は、煽り運転を受けている最中や直後などの即時連絡が奨められています。

とはいえ、被害を受けている最中に警察に通報するのは同乗者がいない限り難しいのが現実です。

煽り運転を受けている最中の通報が難しい場合は、相手の車のナンバーと車種を控えた後、パーキングエリアやサービスエリアなど、人目のある駐車場に避難してから警察に通報しましょう。

パーキングエリアやサービスエリアなどに避難した後はすべての窓を閉め、車のドアをロックし、警察が到着するまで車内で待機してください。

車のドアや窓を閉めるのは、相手から罵声を浴びせられたり、暴行を加えられたりする可能性があるからです。

もしも煽り運転を行った相手からドアや窓を開けるよう指示されたとしても絶対に開けないようにしましょう。

煽り運転で警察に立件してもらうために必要なこととは?

「煽り運転では警察は動かない」と言われているのは、警察が煽り運転の事実を確認しても厳重注意のみに留めるケースがあるからです。

実際に、数々のテレビ番組で煽り運転への警察の対応が報道され、問題視する声が上がりました。

警察が煽り運転の事実を認識しても厳重注意とする理由は、証拠集めが重要になるにも関わらず、煽り運転ではその証拠集めがとても難しいからです。

警察が証拠集めを行い煽り運転として立件するためには以下の3つの事が必要となります。

  • 必要な事1:客観的証拠
  • 必要な事2:通行を妨害する意思の立証
  • 必要な事3:即時連絡

3つすべてを揃える必要はありませんが、できるだけ多くの項目を揃えるとそれだけ警察が立件できるようになる可能性が高くなります。

必要な事1:客観的証拠

煽り運転で警察に立件してもらうためには、客観的証拠が何より重要です。

立件に必要な他の証拠や情報が揃っていたとしても、客観的証拠が揃っていない場合は立件することが難しくなってしまいます。

煽り運転の客観的証拠とは煽り運転を受けている最中のドライブレコーダーの映像や目撃者の証言です。

もしもドライブレコーダーをつけていない場合は、煽り運転の事実の証明や犯人の特定ができるような客観的証拠を別の方法で集める必要があります。

必要な事2:通行を妨害する意思の立証

煽り運転を立件するためには「通行を妨害する意思」の立証が必要不可欠です。

たとえ車間距離不保持を行った事実があっても、運転者に通行を妨害する意思がなければ煽り運転にはなりません。

通行を妨害する意思の立証には、客観的証拠や関係者の供述などによる裏付け行う必要があります。

例えば、何度も急ブレーキをかけて煽り運転を行った相手に警察が事情を聞いた際に「通行を妨害するつもりはなかった」と答えられたら、通行を妨害する意思を証明するのは難しくなります。

しかし、ドライブレコーダーの映像などの客観的証拠を元に「客観的に見て通行を妨害す意思がある」と判断されれば、通行を妨害する意思があったと判断されます。

つまり、相手が通行を妨害する意思を否認したとしても、客観的証拠があれば立証できる可能性があるということです。

通行を妨害する意思立証する際にもドライブレコーダーの映像は貴重な証拠となります。

必要な事3:即時連絡

煽り運転の被害を受けた場合はできる限り即時連絡を行うことをおすすめします。

パーキングエリアやサービスエリアへなど人目に付く駐車場で通報するのが安全ですが、緊急を要する場合は運転中に通報しましょう。

通常、運転中に電話をするためにスマホや携帯電話を使用することは道路交通法で禁止されていますが、緊急の場合は第71条第5号の5「傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く」という条項が適用されます。

つまり、緊急を要する警察や救急などへの連絡は違反にはならないということです。

後日連絡でも対応してもらえるケースはありますが、ほとんどの場合ドライブレコーダーの映像が必須となります。

また、もしドライブレコーダーの映像がある場合でも、映像が不鮮明で車両のナンバーなどが確認できない場合は、逮捕・立件まで至る可能性が低くなってしまうことがほとんどなので、できる限り即時連絡を行いましょう。

煽り運転で警察に立件してもらうためには客観的な証拠が何より大切!

上記で解説した通り、煽り運転で警察に立件してもらうためには客観的な証拠が何より大切です。

客観的証拠がなければそもそも煽り運転の事実を確認できないだけではなく、通行を妨害する意思の立証も行うことができません。

日本の法律には「疑わしきは罰せず」という原則があり、警察もこの原則に則っています。

「疑わしきは罰せず」とは、加害者が罪を犯したことが99%明白であっても、100%でなければ処罰することはできないというものです。

つまり、客観的証拠によって煽り運転を行った事実や通行を妨害する意思が100%証明できなければ動くことができません。

テレビなどのメディアでは「煽り運転では警察は動かない」と言われるケースがありますが、動かないのではなく客観的証拠が不十分であるために動くことができないのです。

そのため、警察に確実に動いてもらうためには、客観的証拠を十分に集める必要があります。

煽り運転の客観的証拠集めはどのように行えばいいの?

煽り運転の客観的証拠を集める方法は以下の2つです。

煽り運転では、自分で集められる客観的証拠と言えばドライブレコーダーの映像が挙げられます。

しかし、現在はまだドライブレコーダーを搭載していない車が多いため、必ず提出できるものとは限りません。

ドライブレコーダーの映像が提出できない場合は探偵に依頼し煽り運転の事実の証明や犯人の特定ができるような客観的証拠を集めましょう。

【1】自分で集める

自分で集められる客観的証拠にはドライブレコーダーの映像があります。

ドライブレコーダーは一定の時間が経過するとデータが上書きされてしまうことがほとんどです。

そのため、煽り運転の被害に遭ったら警察に通報した後、安全な場所に移動してから速やかにドライブレコーダーのデータを保存するようにしましょう。

また、客観的証拠だけではなく、加害者の車のナンバーや車種などの情報も犯行を決定づける重要な手がかりとなります。

ドライブレコーダーを設置していない場合は、加害者の車のナンバーや車種などの情報をできる限り記録した上で、探偵に相談しましょう。

【2】探偵に依頼する

探偵は聞き込みや張り込み、尾行によって自分だけでは集めることができない客観的証拠や犯人の情報、目撃者の証言を集めることが可能です。

例えば、車のナンバーや車種などが分かる場合はそれらの情報から犯人を特定し、指名や住所などの身元情報を調査することができます。

犯人を特定し、目撃者の証言を集めることができれば警察に動いてもらいやすくなります。

特に、同じ道や時間帯に繰り返し煽り運転が行われるようなケースでは、自分で犯人を特定しようとすると気づかれてしまい別のトラブルへ発展するケースがあるため、犯人の特定に関わるような証拠については自分で集めようとせず、調査のプロである探偵に依頼しましょう。

煽り運転の証拠集めは探偵に依頼しよう!

煽り運転を受けた被害者がどれだけ被害を訴えても、ドライブレコーダーの映像などの客観的証拠がなければ警察が動くことができません。

ここで重要なのは、警察は「動かない」のではなく、客観的証拠がなければ「動けない」という点です。

煽り運転では、煽り運転をしている映像や目撃者の証言が必要になりますが、ドライブレコーダーの映像がない場合、客観的証拠を自分で集めるは難しいでしょう。

客観的証拠が集められない場合は探偵に依頼することで目撃者を集めたり、犯人を特定したりすることで警察に動いてもらいやすくなります。

客観的証拠が不十分である場合は探偵に依頼して警察が煽り運転として立件できるような証拠集めを行いましょう。

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