【投稿日】 2021年11月15日 【最終更新日】 2022年10月27日

ニュースなどで度々話題になる不法投棄。

道路脇や山中などに放置されるケースだけではなく、私有地に繰り返し不法投棄される場合や産業廃棄物を大量に捨てるような大規模な不法投棄もあります。

不法投棄の被害を受けた時の相談先の一つとして警察がありますが、「不法投棄では警察は動かない」と思っている方が少なくありません。しかし、それは大きな誤解を含んでいます。

そこで今回は、そもそも不法投棄は警察に相談できるのかという疑問や警察に不法投棄を立件してもらうために必要なことについて解説いたします。

そもそも不法投棄は警察に通報や相談できる?

不法投棄は立派な犯罪です。

一度だけしか不法投棄を行っていない場合でも何度も繰り返し不法投棄している場合でも、違法行為であることに違いはありません。

そもそも不法投棄とは、「廃棄物の処理および清掃に関する法律」で規定されている分別、運搬、処理の方法に反して一般廃棄物や産業廃棄物などを放置する行為を指します。

不法投棄に該当する例として以下のようなものが挙げられます。

  • 空き地や山中に家庭ゴミや粗大ゴミを放置する
  • 道路脇にゴミをポイ捨てする
  • 所有している土地に大きな穴を開け、産業廃棄物を捨てる

上記の例のように、不法投棄には個人が行うものと法人が行うものがあり、それぞれ罰則が異なります。

個人 5年以下の懲役または1000万円以下の罰金、またはその両方
法人 3億円以下の罰金

また、不法投棄を行った犯人だけではなく、不法投棄を行うことを知りながら廃棄物を運んだ場合も、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられる可能性があります。

このように不法投棄は罰則がきちんと定められている犯罪です。

ただし、不法投棄されているものが一般廃棄物の場合と産業廃棄物の場合では通報先が異なります。

現行犯を見かけたら警察にすぐに通報!(当事者との接触は避ける!)

不法投棄は立派な犯罪であるため、現行犯を見かけたらすぐに警察に通報しましょう。

この時に大切なのは不法投棄を行っている犯人との接触は避けることです。

不法投棄を行っていることを直接注意することはトラブルの原因になります。

少し離れたところから警察に通報し、状況を説明するようにしましょう。

自治体に相談するのが基本!

現行犯を見かけた場合はすぐに警察に通報するべきですが、現行犯ではなく不法投棄された後で発見した場合は自治体に相談するのが基本です。

不法投棄を相談先には以下のような機関があります。

一般廃棄物の不法投棄は役所または役場へ相談し、工場などのから出た廃棄物である産業廃棄物の不法投棄を見つけた場合は都道府県または政令市の保健所へ連絡しましょう。

もしも大量の産業廃棄物が不法投棄されている場合や、放っておくと大規模な不法投棄に繋がる可能性があると思われるような不法投棄を見つけた場合などは環境省の不法投棄ホットラインに連絡するのも一つの方法です。

もしも一般廃棄物か産業廃棄物かの判断がつかない場合は、役所または役場に相談するか環境省の不法投棄ホットラインに連絡しましょう。

警察に不法投棄として立件してもらうために必要な事とは!?

不法投棄が現行犯でない場合は自治体に相談するのが基本ですが、不法投棄が何度も繰り返される場合は警察に相談しましょう。

不法投棄で悩んでいる方の中には「不法投棄では警察は動かない」と思っている方は少なくありませんが、実際は不法投棄は立派な犯罪なので基本的に警察は動きます。

ただし、警察が動くためには必要な事がいくつか存在します。

実際に警察に不法投棄を通報して動いてもらえなかった経験がある方はこれからご紹介する必要な事を押さえずに被害にあった事実のみを伝えている可能性が高いです。

警察に不法投棄として立件してもらうために必要な事とは以下の3つです。

ただし、3つすべてが揃わなければ警察は不法投棄を立件しないというわけではありません。

揃えられるものをできるだけ揃えて警察に提出することで立件してもらいやすくなります。

必要な事1:客観的な証拠

警察に立件してもらうために必要な事は全部で3つありますが、その中でも特に重要なのが客観的な証拠です。

他の事が揃っていたとしても、客観的な証拠が不十分である場合は立件してもらうことが難しくなります。

不法投棄の客観的な証拠とは、不法投棄をしているところや犯人の顔を映した画像や写真、不法投棄が行われた現場状況を映した写真、目撃者の証言などです。

不法投棄された場所に防犯カメラが設置されている場合は防犯カメラのデータを提出することで不法投棄の客観的証拠が十分揃う場合があります。

もし防犯カメラの所有者が別にいる場合は警察を通して防犯カメラの映像の開示を依頼しましょう。

必要な事2:故意であることの証拠

警察が不法投棄を立件するためには、故意に捨てられたものであることを証明する必要があります。

もし犯人が「偶然落としてしまっただけ」と主張し、故意に捨てたことが証明できない場合は「疑わしきは罰せず」の原則によって警察は不法投棄を立件することが難しくなってしまいます。

このような事情を知っている不法投棄の常習犯は空き地や山中ではなく道路脇に不法投棄をするケースがあります。

道路脇に不法投棄をするのは、「偶然落としてしまった」という主張が通用するからです。

一方で空き地や山中に不法投棄した場合は偶然落ちてしまうことはないのでこの主張は通りにくいと言えます。

このように、不法投棄は現行犯ではない限り不法投棄をする側が有利になってしまうのです。

このような理由から、警察が不法投棄を立件するためには故意であることを証明する証拠が必要となります。

必要な事3:被害届の提出

必要な事の3つ目は被害届の提出です。

被害届は捜査のきっかけの1つに過ぎず、通報など他のきっかけがあれば警察は動きます。

しかし、もし被害届を出すことができる時間的余裕があるのであれば、提出したほうが警察は動きやすくなります。

実は不法投棄でも被害届の提出は様々な自治体が推奨しています。

その中の1つである徳島県阿波市のホームページでは以下のような文言が記載されています。

清掃しても何度となく不法投棄が繰り返される場合は、警察署に被害届を提出する又は環境衛生課へご相談ください。

特に何度も繰り返し不法投棄が行われる場合や、大規模な不法投棄の場合は警察に被害届を提出しましょう。

不法投棄の立件には客観的な証拠の有無が重要

不法投棄だけではなくすべての犯罪に当てはまることですが、警察に立件してもらうためには犯人だと疑われる人物が犯罪を行ったことが明確となるような客観的な証拠が必要です。

「警察は不法投棄では動かない」と思われがちですが、動かないのではなく客観的な証拠がないことが理由で動けないのです。

実際に警察に動いてもらえなかった経験がある方は客観的な証拠が不十分であった可能性があります。

なぜ警察は客観的な証拠がないと立件することができないのかというと、「疑わしきは罰せず」という原則があるからです。

「疑わしきは罰せず」というのは不法投棄の被疑者が限りなく黒に近い灰色であっても、被疑者が不法投棄を犯したことを100%証明できなければ立件することができないということです。

つまり、犯人と思われる人物が不法投棄を行ったことが明確となるような客観的な証拠が揃っていれば警察は動くということです。

そのため、警察が不法投棄を立件するためには客観的な証拠の有無がとても重要なのです。

不法投棄の客観的な証拠集めはどのように行うのが良い?

警察が不法投棄を立件するために必要な客観的な証拠を集める方法は以下の2つです。

不法投棄は当て逃げや客観的な証拠を自分で集めるのが難しい傾向があります。

客観的な証拠を集めるのが難しいのは、犯人がその場を去った後に不法投棄が発見されるケースが多いことが理由です。

そのため、自分で証拠を集めるのが難しいと感じた場合は探偵に調査を依頼しましょう。

【1】自分で集める

自分で集められる不法投棄の客観的証拠は少ないのが現状です。

そのため、犯人が不法投棄を行った確固たる証拠を自分だけで見つけるのは難しいでしょう。

しかし、以下のような情報はメモしたり写真に撮ったりした保存しておくと警察が捜査する際の手がかりとなります。

  • 日時や場所、不法投棄されたものの量
  • 不法投棄を行った人物の特徴
  • 不法投棄を行った人物の車種やナンバー、色など

もしも防犯カメラを設置しており、不法投棄の現場が映っている可能性がある場合は防犯カメラの録画データを警察に提出しましょう。

【2】プロの探偵に頼む

探偵は警察と同様に、聞き込み、張り込み、尾行を行うことが許可されています。

そのため、特に繰り返し行われるような不法投棄の場合は、張り込みや尾行を行うことで犯人を特定し、客観的な証拠を集めることが可能です。

探偵ではない素人が不法投棄の犯人を捕まえようと張り込みや尾行を行うと、犯人に気づかれてしまいトラブルに発展する可能性があります。

探偵に依頼すれば安全に客観的な証拠を集めることができるため、無茶な行為はせずに探偵に依頼するようにしましょう。

探偵の調査の結果、犯人が不法投棄を行う現場の画像や動画を入手することができれば、不法投棄の確固たる証拠となるので警察に動いてもらうことできる可能性が高くなります。

証拠が集まらない時には、探偵への依頼を検討しよう!

「不法投棄では警察は動かない」のではなく、基本的には動くものの、動けない場合があるということを解説してきました。

警察が動けない場合とは客観的な証拠が不十分である場合です。

現行犯であれば犯人の特徴や車のナンバーなどの情報を得ることができますが、現行犯でない場合は客観的な証拠を自分で集めるのは難しいと言えます。

一方で調査のプロである探偵に依頼すれば、聞き込み、張り込み、尾行などの方法によって客観的な証拠集めや犯人の特定を行うことが可能です。

もしも客観的な証拠が不十分であることが理由で動けないと言われた場合は探偵に依頼して証拠集めを行いましょう。

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