【投稿日】 2021年8月16日 【最終更新日】 2022年10月27日

探偵が素行調査や人探しなどを行うときに、最もよく使う手法のひとつに「張り込み」があります。

この記事では、探偵による「張り込み」は具体的にどのように行うのかについて解説し、あまり知られていない張り込みの技や費用相場についても触れます。

張り込みはどんな時に使われる?

張り込みは、探偵が最も多く用いる調査項目のひとつで、ある一定の場所に待機して調査対象人物の動きを見張ることを言います。

張り込みをする場所としては、調査対象人物の自宅や勤務先、立ち寄り先などその人物がよく出入りする場所になります。

張り込みは、調査対象人物の素行調査するときだけでなく、人探しをするときにも使われる方法です。

探偵が行う張り込みを目的別にまとめると、次のようになります。

  • 浮気調査:浮気の証拠の収集のために、自宅への出入りやホテルへの出入りなどを張り込んで証拠写真などを撮影します。
  • 行動調査:調査対象人物やその家族の行動を把握するために、立ち寄り先への出入りや調査対象人物が接触した人物の確認調査などを行います。
  • 人探し調査:人探し調査を行う際に、判明した調査対象人物の所在を確認します。
  • 信用調査:調査対象人物の風評確認や所在確認、居住確認をします。
  • ストーカー調査:ストーカー被害者宅や嫌がらせ場所での張り込みを行い、調査対象人物のストーカー行為や嫌がらせ行為の証拠をつかみます。

そもそも張り込みって合法なの?違法なの?

探偵による張り込みは、他人のプライバシーや行動などを監視する行為ですので、場合によっては違法行為ではないかと思われがちですが、実は張り込みは合法です。

このことは、「探偵業の業務の最適化に関する法律(2007年成立)」の第二条に「探偵業務」の定義が定められており、その中で「面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行って、依頼者に報告する業務が探偵業務」であるとしていることが根拠となっています。

以下に、「探偵業の業務の最適化に関する法律」から、該当する条文を引用して紹介しておきます。

第二条 この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。

探偵が使う主な張り込みの方法は全部で3種類

次に、探偵が行う張り込み調査にはどのような方法があるのかについて説明します。

探偵が行う張り込みの代表的な方法は次の3種類ですので、順に解説します。

【1】外張り

「外張り」とは、探偵が屋外で張り込みすることです。

外張りをする場所としては、調査対象人物がよく出入りする場所ということになり、どこでどのように張り込むかが最も重要なポイントとなります。

ほとんどの場合は、外張りをする場所の周囲に事前に了解を得ることなく、アンケートスタッフ、交通量調査員など、誰も不審に思わないような人物に扮して、街の風景にまぎれ込んでそれとなく張り込みます。

つまり、普段街で見かけるアンケートスタッフや交通量調査員が、実は探偵だったりすることがあるということなのです。

この外張りをするためには、探偵が変装したり、小道具が必要になったりすることがあります。

【2】内張り

「内張り」とは、調査対象人物の自宅や会社、立ち寄り先などの近くの民家などの敷地内や建物内に、事前に周囲の了解を得て張り込む方法です。

ただし、探偵だということを明かして了解を得ることはなく、地図製作のための調査や交通量調査などという架空の設定を作り上げて了解を得て、敷地内や建物内に入り込み調査対象人物を見張ります。

【3】流し張り

「流し張り」とは、外張りや内張りが難しいときに行う方法で、調査対象人物の自宅や会社、立ち寄り先などが監視できる範囲を、通行人などを装って歩きながら張り込みを行います。

調査対象人物の自宅や会社、立ち寄り先などの近くに、張り込みをする場所が見つからないような場合や、周囲の他の住民の方の視線が気になるような場合に行います。

流し張りの欠点は、周辺の住民などに一度怪しまれると二度と流し張りをすることはできないということです。

つまり、通行人を装っていますので、同じ通行人が同じところを行ったり来たりしていたのでは不審者と疑われて、警察等に通報されかねないので、周囲に気を使いながら行う必要があるのです。

探偵の具体的な張り込み方法

では、探偵が張り込みを行う際に具体的にどのような手順で行うのかについて解説します。

【1】事前調査

まず、張り込みを始める前に、調査依頼者から調査対象人物に関するすべての情報を入手します。

調査対象人物の最新の写真も手に入れておきます。これは、人ごみの中に紛れた調査対象人物を直ちに認識できるようにするためです。

また、依頼者からの情報以外にSNSなどのソーシャルアカウントやネットの会員制サイトのデータなどから調査対象人物の移動手段、勤務先、家族構成、活動時間帯、立ち寄り先、交友関係などについても調査します。

この事前調査は非常に重要なもので、調査対象人物に関するありとあらゆる情報を事前に収集しておくことによって、調査対象人物の行動を予測することができ、調査の成功率を高めることができます。

【2】張り込み方法と張り込み期間の検討

次に、事前調査が完了したら、調査対象人物の自宅や勤務先、立ち寄り先の周囲の状況を詳細に確認し、外張りか内張りか或いは流し張りにするかを決めます。

外張りや内張りの張り込み場所については、その場所の地理を細かく調べて、調査対象人物を効果的に監視できる張り込み位置を特定します。

さらに、近隣の住民に怪しまれず不自然にならないために、どのような人物に扮するかも決めます。

外での張り込み

外で張り込む場合、その場所が公園や長時間張り込んでも目立たない場所、商業地域などであればあまり心配する必要はありません。

ありふれた服装を心がけて、顔の向きをやや上に向け柔らかい表情をすることも重要です。

また、不審に思われて呼び止められた時のための言い訳を考えておくことも必要で、代表的な言い訳は「待ち合わせをしている」というものです。

或いは、取引先に書類を届けるために待っているという言い訳ならば、ビジネスマンに見える服装にしておく必要がありますし、撮影のロケのために場所取りをしていると言い訳するなら、業界人のアシスタントに見えるようなカジュアルな服装にしておく必要があります。

また、調査対象人物の出入りが監視できる場所を、事前に3~4箇所程度考えておき、ひとつの場所で不審がられた場合は別の場所へ移動します。

車での張り込み

車で張り込む場合には、エンジンを切って無人であることを装います。

また、調査対象人物に顔がばれる可能性を極力減らすために、運転席や助手席ではなく後部座席に座ります。

そのため、張り込みに使う車の後部座席の窓には、カーテンやフィルターを付けて外から見られないようにしておく必要があります。

しかし、交通量が多い道路で張り込む場合には、助手席に座って、エンジンをかけたままにして運転者を待っているように見せる場合もあります。

車を駐車する場合は、近くのマンションの駐車場や青空駐車場などを利用します。

商業施設や商業ビルでの張り込み

商業施設や商業ビルでの張り込みの場合は、死角があったり複数の出入り口があったりしますので、難易度が高くなります。

このような場合は、複数の探偵で張り込みをしてすべての出入り口を監視するようにします。

住宅街での張り込み

住宅街で張り込む際は、調査対象人物や近隣の住民にもばれないようにする必要があります。

近隣の住民に怪しまれて警察を呼ばれることになってしまうと、その近辺にはもう近寄れなくなります。

住宅街で常に同じ位置で張り込むと、近隣の住民に怪しまれてしまう可能性がありますので、調査対象人物を中心にして、一定時間ごとに円を描くように張り込み場所を変える必要があります。

飲食店での張り込み

飲食店や喫茶店などの小規模な店舗に調査対象人物が入店した場合には、まず出入口の確認を行います。

出入り口が複数ある場合は、調査対象人物がどの出口から出ていくか分からないからです。

出入り口が1箇所しかない場合は、店舗の外で張り込みをする場合もあります。

もし同じ店舗に入る必要がある場合は、調査対象人物が入店してから少し時間を空けて入ることが大切です。同時に入ってしまうと顔を覚えられてしまう可能性があるからです。

入店後は、店内がすべて見渡せる席か、調査対象人物のすぐ後ろの席に座り、スマホやガラス、手鏡などを利用して間接的に監視するような張り込みをします。

なぜなら、喫茶店は人が少なく距離も近いため、調査対象人物が探偵の視線に気づく可能性が高いからです。

また、すぐに後を追えるように代金は注文後すぐに支払う、調査対象人物が店に入った証拠品としてマッチなどをもらっておくなどもポイントです。

ホテル、ホテル街での張り込み

浮気調査の場合は、ホテルやホテル街で張り込みをして調査対象人物がホテルから出る瞬間を撮影しなければなりませんが、撮影していることがばれないように十分注意する必要があります。

カメラを構えていることがホテルにばれると、営業妨害になるため警察に通報されたり、呼び止められたりすることがあります。

最悪の場合は、ホテルに付き合いのある反社会勢力を呼ばれたりします。

また、デリバリーヘルス業者などが出入りするホテルの近くでは、送迎のポン引きが待機していることがありますので、このような縄張り意識がある人物を刺激しないように注意する必要があります。

【3】張り込み

最後に、探偵が実際に行っている張り込み技の中から、代表的な3つを紹介します。

張り込み技1:太陽光を背にする

探偵の張り込み技その1は、太陽光を背にして張り込むことです。

探偵は、張り込みをしていることを、絶対に調査対象人物に知られてはいけませんので、昼間に張り込む場合は、太陽を背にして周囲から顔がよく見えないようにします。

これは、夜張り込むときも同じで、街灯やコンビニ、店舗の明かりなどの光源を背にして張り込みます。

また、このように太陽や光源を背にして張り込むと、周囲がまぶしくてよく見えないという状態になることを避けることができますので、調査対象人物を見逃すリスクを減らすことができます。

張り込み技2:張り込み先の人や環境に溶け込む

探偵の張り込み技その2は、張り込み先の人や環境に溶け込むことです。

張り込みをするときに最も重要なことは、調査対象人物にばれないことと通行人や近隣の住民に怪しまれないことです。

そのためには、張り込み場所の環境に溶け込まなければなりません。

例えば、次のような扮装や変装などをして、張り込みであることがばれずに周囲の人に怪しまれないような工夫をします。

  • 犬の散歩を装う
  • 地図製作のための調査員を装う
  • 工事現場の調査員を装う
  • アンケート調査員を装う
  • 交通量調査員を装う

張り込み技3:周辺の張り込みが難しいようであれば目張りや専門機器を検討

探偵の張り込み技その3は、「目張り」という仕掛けや専門機器を利用することです。

ここで目張りとは、ドアなどの出入り口に紙テープなどを挟んで調査対象人物が出入りしたかどうかを確認する仕掛けのことです。

つまり、調査対象人物の部屋のドアにこの目張りという仕掛けをして、出入りを見張ることができます。

しかし、調査対象人物の部屋に同居人がいると、同居人が出入りした時にも目張りが外れますので、目張りだけだと確実に調査対象人物が出入りしたかどうかを特定できません。

そこで、WiFiネットワークカメラを設置して、映像によって調査対象人物が出入りしたことを確実に把握する方法を用いることもあります。

WiFiネットワークカメラは音声を配信することもできるため、映像と音の両方で調査対象人物を確実に捉えることができます。

張り込みの費用相場はどれぐらい?

探偵が素行調査や人探しをする際に張り込みだけを単独で行うことはなく、尾行や証拠収集なども含めて行います。

従って、張り込みだけの見積もりもありませんし、費用相場というものもありません。

探偵の素行調査や人探しの一般的な相場は、調査員2人につき2~2.5万円/時間程度です。

これには、張り込みや尾行、証拠撮影のための機材費などのすべてを含んでいます。

なお、探偵の料金体系として、「時間料金制」「バック料金制」「成功報酬制」の3種類があり、どの費用体系を選ぶかによって調査費用が変わってきます。

張り込みは、簡単そうに見えて個人では難しい!

この記事では、探偵が素行調査や人探しなどの調査を行うときに、最もよく使う張り込みについて詳しく解説しました。

張り込みを実行するまでにかなりの準備が必要なことやテクニック、注意点があることがお分かりいただけたかと思います。

TVドラマなどでよく見る張り込みですが、実際の張り込みは体力や神経を消耗する重労働ですので、個人で行うのはなかなか難しいと考えられます。

素行調査や人探しで張り込みが必要な場合は、プロである探偵に依頼することをおすすめします。

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