【投稿日】 2021年9月17日 【最終更新日】 2022年10月27日

保険金の不正請求は一般的に被害額が高額になることが多く、初犯であっても実刑判決を受ける可能性が高い詐欺罪に該当します。

この記事では、まず保険金詐欺とはどういう犯罪なのか、どのような手口で行われるのかを説明し、その後保険金の不正請求を見破るにはどうすればいいのか、効果的な調査方法や証拠の集め方、予防法などについて探偵視点で解説します。

そもそも保険金詐欺とは?

保険金詐欺とは、保険金の受け取り条件を満たすために、故意に事故を起こしたり虚偽の申し出をしたりして、保険会社から不正に保険金を騙し取る詐欺行為を言います。

保険金詐欺罪という正式な罪名があるわけではなく、刑法第246条に規定されている詐欺罪に該当し、詐欺罪で有罪となれば10年以下の懲役刑を受けることになります。

 

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

 

保険金詐欺の不正請求のよくある手口とは?

保険金詐欺の手口としては、大きく二つのパターンに分けることができます。

一つ目は、そもそも保険事故が起こっていないのに保険事故が起きたと偽って保険金を請求するものです。

ここで、「保険事故」とは、保険において保険会社等の保険者の保険金支払い義務が発生する事故のことを言います。

二つ目は、保険事故による損失額を捏造して過剰な保険金を請求するものです。

以下に、保険金の不正請求の手口についての事例を紹介します。

交通事故による不正請求

交通事故による保険金の不正請求は、保険金詐欺の典型的な手口です。

自損事故を偽装して車両保険金を不正請求するという事例が多くありますが、その理由としては、車両保険は自損事故でも補償され、事故の報告や現場調査などが自分で容易に操作できることにあると考えられます。

具体的には、古い車を購入して車両保険に加入したうえで、故意に壁などにぶつけて修理代を請求するというものがあります。

また、知人同士で示し合わせて故意に交通事故を起こして自動車保険の不正請求をしたり、わざと被害事故に遭って加害者側の保険会社から補償を受ける「当たり屋」という行為もあります。

さらに、交通事故に遭って、実際には通院していないのに通院したかのような書類を作成して治療費や慰謝料を受け取る行為もあります。

火災保険の不正請求

火災保険は、火災のほかに自然災害など住まいに対する様々なリスクを補償対象としており、保険でカバーする範囲が広いため、不正請求も多様化していると言われています。

この火災保険を悪用する詐欺で近年増えているのは、次のような手口の詐欺です。

それは、家屋の修理や外壁塗装をする業者が関係しているもので、「火災保険の保険金を使って無料で修理や塗装ができる」と言って火災保険に加入しているオーナーと工事契約を結ぶというものです。

このような業者は、突然訪問してきて「屋根や外壁をこのままにしておくと危ない」などと言って工事の必要性を強調し、火災保険の話を持ち出して「ただで修理してもらえるなら」という気持ちにさせて、半ば強引に契約を迫るというケースが多いようです。

そもそも建物の老朽化が原因の外壁の塗装剥がれや、屋根の損傷には火災保険は使えませんし、騙されたとはいえ保険金を請求して保険金の支払いを受けてしまうと詐欺行為を行ったことになってしまいます。

自宅にわざと火をつけたり、損壊させたりする自作自演の不正請求

火災保険の手口の典型的なものに、自宅にわざと火をつける、いわゆる放火があります。

放火が疑われるような保険金請求の場合、保険会社の調査によって、現場から油性反応が検出されたり、無人状態での出火だったり、消防への連絡が異常に遅かったりすることが判明して放火と断定されるケースが多いようです。

車が盗難されたと見せかける不正請求

自動車保険の車両保険では、車両が盗難された場合に保険会社から保険金が全額支払われますので、車が盗難されたと見せかけて保険金を不正に請求する手口があります。

例えば、契約者が海外渡航中に自宅マンションの駐車場から車の盗難にあったという事例があります。

契約者は日本にはいないことははっきりしていましたが、車が駐車してあったマンションの防犯カメラの映像から、不審者が車に近づいてから車が走り出すまでの時間が1分足らずだったことが判明しました。

通常、車の盗難の場合は、ドアロックの解除、ハンドルロックの無効化、キーシリンダーの破壊、イモビライザの破壊などの手順が必要なため、1分未満の短時間で盗難するためにはスペアキーを持っていたとしか考えれないと判断され、不正請求が発覚しました。

保険金詐欺の不正請求を見破るためには?

保険金詐欺の不正請求を見破るためには、不正を行っているという証拠をそろえる必要があります。

保険金詐欺は、前述のように刑法第246条に規定されている詐欺罪に該当しますが、警察は基本的には証拠がないと動いてくれませんので、まず詐欺を行っているという証拠を集める必要があるのです。

しかしながら、最初から故意に騙す意思があったということを立証するのは非常に難しいので、探偵などの専門職に依頼するのが良いと考えられます。

保険金詐欺をしている人が周りにいて不安な人は?

もし、保険金詐欺をしている人が周りにいて不安な人は、次のようなホットラインに電話したり、探偵や弁護士など専門職にどう対応すれば良いか相談してみましょう。

  • 日本損害保険協会 保険金不正請求防止ホットライン https://www.fuseiseikyu-hl.jp/
  • 日本司法支援センター 法テラス https://www.houterasu.or.jp/

基本的に、探偵は相談は無料、弁護士は法テラスなどを使えば無料で相談可能です。

保険金詐欺の予防法

日本では、日本損害保険協会が2013 年1 月に通報窓口として保険金不正請求ホットラインを設置しました。

また、自動車保険、火災保険、傷害保険に関する情報交換制度が設けられ、契約内容、保険金請求歴、不正請求等について損害保険会社などが相互に情報交換を行っています。

このように基本的には、保険契約や保険金請求データなどの中から、不正請求の手口や不正請求歴のある個人や組織に共通する特徴を検知するような方法をとっています。

最近では、IT技術やAI技術などを用いた不正請求検知システムなどの開発も行われています。

まず手口を知る!

しかしながら、不正請求を見つけるための基本は、不正請求の手口を知るということです。

前述のように、保険金詐欺には「保険事故が起こっていないのに保険事故が起きたことにして保険金を請求する」パターンと「保険事故による損失額を捏造して過剰な金額を請求する」パターンがあります。

また、自動車保険、火災保険、傷害保険などの種類によって代表的な手口が分かっています。

過去の事例などを調べて、保険金詐欺の代表的な手口を知っておくことが重要です。

信頼できる調査ができる探偵をパートナーとして持つ

規模の大きな保険会社では、専属の保険調査員と言われるプロの調査員が雇われていますが、その下請け的な立場として探偵会社に調査を依頼することがあります。

もしくは、保険会社が直接探偵会社と契約を結んでいるケースもあります。

いずれの場合でも、保険調査員や探偵は、火災や事故などの原因を突き止め、保険契約者や被保険者の死や怪我、事故そのものに不自然な点や虚偽の報告がないかを調べます。

つまり、保険金を支払うことに問題がないかを判断するためのデータを揃えるのです。

このように、自社で保険調査員を雇用するか信頼できる調査を行うことができる探偵会社をパートナーとして持つということが、保険金詐欺を予防する方法となります。

保険金詐欺の調査・立証は本人では難しい!怪しいなと思ったら探偵事務所へ!

保険金詐欺の調査や立証は、非常に専門性が高い作業になりますので保険会社の担当者が自分で行うのは難しいと考えられます。

保険金の請求内容について、少しでも怪しいと感じた場合は探偵事務所に調査を依頼しましょう!

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