【投稿日】 2019年7月3日 【最終更新日】 2021年10月21日

住民票や戸籍の附票の確認は、家出人捜索において基本行動の一つとなっています。

日本人が生活していく上で欠かすことが出来ない住民票・戸籍ですが、実際に家出人探しで役に立つケースとは、一体どのようなものなのでしょうか。具体的な例を挙げながら、詳しく解説していきます。

住民票・戸籍の附票からわかる家出人(失踪者)の情報とは

まず最初に、基本的な項目について確認していきましょう。住民票と戸籍は日常的によく目にする言葉ですが、戸籍の附票(ふひょう)と聞いてピンとくる人はあまり多くありません。

しかし、家出人の捜索において戸籍の附票が役に立つケースもあります。それぞれの役割を改めて確認して、家出人の捜索に役立ててみましょう。

住民票に記載されているのは世帯構成と住所の移動歴

住民票は、その人が現在住んでいる住所を世帯ごとに分けて記載しているものです。例えば、夫婦2人・子供2人の合計4人が同じ住居で暮らしている場合、世帯主とその配偶者・生まれた順に子供2人というように記載されています。

住民票は現在住んでいる市区町村の役所が管理しており、現住所から移動する場合には必ず届出を行わなければなりません。同じ市区町村内で移動する場合には転居届、違う市区町村へ移動する場合には転出届けを出し、次に移動する先の住所も知らせておく必要が出てきます。

もし家出人が転出届を出していた場合、住民票を確認することで転出した年月日や転出する先の住所を知ることが可能となり、捜索範囲を定めやすくなるというメリットがあります。

戸籍に記載されているのは出生から死亡・結婚の記録

戸籍は、生まれてから亡くなるまでの記録や婚姻による除籍など、その人の一生を記載している情報です。二世代が一つの戸籍に記載されており、子供が結婚して独立した場合には夫婦で新たな戸籍が作られます。

戸籍の住所は戸籍がある市区町村の役所が管理しており、移動を申請しない限りは新しい戸籍も親と同じ住所・同じ役所が管理することになります。ですので、「結婚して住んでいるのはA県A市だけど本籍地はB県B市」ということも少なくありません。家出人の捜索でよく注目されるのは、婚姻による除籍や分籍と呼ばれる記録があるかどうかです。

分籍とは、成人した子供が今ある戸籍から分離して独立した戸籍を持つことで、「家族と縁を切りたい」「できるだけ動きがわからないようにしたい」と考える家出人がこの手続きを行うことがあります。しかし、元の戸籍には「移動した先の本籍地」も記載されるようになっていますので、その記録をたどって捜索の手がかりにすることは可能となるのです。

戸籍謄本を取得出来るのは、原則として次のような人に限られます。

  • 家出人本人
  • 家出人の両親
  • 家出人の祖父母やそう祖父母
  • 家出人の子供
  • 家出人の孫やひ孫

これらの人たちは「直系の三親等以内」となり、必要な書類と正当な手続きさえ整えば比較的簡単に戸籍謄本を取得することが出来ます。これに対し、家出人の兄弟・叔父や叔母・配偶者は傍系と呼ばれ、以下のような理由がなければ戸籍謄本を取得することが出来ません。

  • 家出人の親が亡くなり、法定相続人の調査で必要となった。
  • 家出人の財産処理のために必要となった。
  • 家出人の失踪宣告の手続きのために必要となった。

逆に言えば、「正当な理由があれば傍系の親族であっても戸籍謄本を取得出来る」ということになりますので、もし家出人が行方不明となったことで何かしらの法的手続きが必要となった場合には、戸籍謄本の取得が可能であることも知っておくと良いでしょう。

戸籍の附票は住民票・戸籍の両方の情報を合わせ持つ

住民票も戸籍も、家出人捜索の手がかりとして多くの人に認識されていますが、この二つの情報を併せ持っているのが「戸籍の附票」となります。簡単に言うと、「戸籍の住所から離れて暮らしている人の住所を把握するためのもの」で、これにより住民票の記録の正確性を保つという意味合いがあります。

戸籍の附票が家出人の手がかりとして注目される一番の理由は、家出人の住所履歴が残っているという点です。例えば、家出人が生まれてから5回引越しをしたとすると、生まれた時に住民票に登録された住所を含めて6箇所の住所が記載されているということになり、その後の住所も連続的に記録が残っていくのです。

また、戸籍の附票は戸籍がある市区町村の役所で管理されるため、住民票を追いかけることが不可能でも戸籍の附票を見ることで最新の住所を把握出来るというメリットがあります。

家出人が戸籍を分籍・除籍したとしても、直系の親族であれば分籍・除籍した先の情報を追うことも可能ですので、少しでも手がかりを途切らせない手段として、戸籍の附票を調べることも重要となります。

住民票や戸籍の附票を家出人(失踪者)捜索の手がかりに効果的に利用する方法

住民票や戸籍の附票を捜索の手がかりにするため、それぞれの取得を検討するご家族も少なくありません。しかし、実際に手に入れた情報をどのように利用するかがはっきりとせず、上手く活用出来ていないケースも多くあります。

では、家出人の住民票や戸籍の附票を効果的に利用するためにはどのようなことやっておくべきなのか、その具体的な方法を解説していきます。

現時点で家出人が公的にどのような状態なのかをチェックする

まず最初に行うのは、家出人が公的にどのような状態になっているのかをはっきりさせることです。つまり、家出人の情報が公的書類上ではどこが最新となっているのかを確認し、捜索のスタートラインを定めるのです。

調べる内容としては、以下のようなものが主になります。

  • 家出人の一番最新となる住民票の記録を確認
  • 家出人の住民税や国民健康保険の状況確認
  • 家出人のマイナンバーカードやマイナンバー通知カードがどうなっているか
  • 家出人の年金の状況確認

これらのチェックは、家出人捜索の手がかりに役立つだけではなく、残された家族が家出人に関する法的手続きをおこなうためにも知っておくべき情報となります。特に2015年10月より前に家出した人のうち、一人暮らしをしていて行方不明となっている人は、マイナンバーの通知カードも受け取れていない可能性があります。

状況を客観的に捉え、冷静な判断をするためにも大切な行動となりますので、まずは出来るところから少しずつ問い合わせや確認作業を行ってみましょう。

住民票や戸籍の附票の確認は長期的に何度か行う

住民票を移動させずに家出をする人の多くは、次のような考えを持っています。

しかし、住民票が無いという状況は様々なリスクがあり、家出人にとって不都合な点も多く出てきます。実際にあった例としては、以下のような状況です。

このような状況を改善するために必要となるのが住民票なのですが、住民票は記載されている人物の現住所と登録住所が一致していなければなりません。つまり、家出人が自ら住民票の登録やマイナンバーの取得のために動く可能性があるのです。

特にマイナンバーに関しては、2015年に施行されて以降多くの場面で利用されるようになってきており、2019年の2月には戸籍情報との紐付けを見据えた戸籍法の改正案もまとめられ、改正が成立した場合2023年度から施行される見通しです。

家出人の状況によっては、しばらく時間を置いた後に住民票の転出手続きや戸籍の移動をすることもありますので、一度の確認で動きがないからといって諦めることなく、期間を開けて定期的に住民票や戸籍の附票を確認するようにしましょう。

確認出来た情報を元に専門家へ相談する

住民票や戸籍の附票から得た情報は、専門の知識や調査能力がある機関へ相談することでより確実性が増し、家出人の早期発見へつなげることが出来ます。具体的な例としては、以下のようなパターンです。

警察へ家出人の行方不明者届けを出し免許証に記載されている住所を知らせる

家出人が運転免許証を持っている場合、転居や期限に合わせて住所変更をする義務があります。

警察へ行方不明者届けを提出すると、家出人の情報がデータバンクに登録されて全国規模で照会されるので、家出人が免許証の更新をしたタイミングで警察からの連絡と家出人への声かけをして貰えるようになります。

法的手続きに関する問題を弁護士に相談する

家出人の残した債務処理や遺産の相続人になっているといったケースでは、残された家族で住民票や戸籍の附票を取得しても、その後の行動が難しくなかなか進めないことも少なくありません。

家出人に関する法的手続きの一切を弁護士に相談することで、残された家族の心労が軽くなるだけではなく、弁護士を代理人とした住民票や戸籍の附票の取得も可能になります。

探偵に相談し住民票や戸籍の附票を調査に利用して貰う

家出人の捜索を探偵に相談し、その際に手がかりとして住民票や戸籍の附票を役立てて貰うのも良い方法です。住民票や戸籍の附票は重要な個人情報なので、探偵がそれらを取得することは違法です。しかし、すでに依頼人が取得している住民票や戸籍の附票を元に、調査を進めることは出来ます。

家出人は居場所が見つかることを非常に警戒しているため、慎重に調査を進めなければなりません。調査のプロである探偵に頼むことで、家出人に気づかれることなく居場所を突き止められるようになります。

住民票や戸籍の附票は重要な手がかりとなる一方で、取り扱いが難しく自力では上手く役立てられないといったケースも少なくありません。また、家出人の捜索をすべて家族だけで行うには限界があり、精神的にも肉体的にも負担を背負うことにもなります。

「住民票は手に入れたけどこれからどうすれば良いかわからない」「法的な問題が難しくなかなか進まない」といった状況がある場合には、取得した住民票・戸籍の附票をより効果的に利用出来るよう、専門機関へ相談するようにしましょう。

まとめ

家出人の捜索で役立つ住民票・戸籍の附票について、詳しく解説してきましたがいかがでしたでしょうか。最後にもう一度内容を振り返り、まとめていきましょう。

  • 住民票は現在住んでいる市区町村の役所が管理しており、家出人の最新の住所が記載されている。
  • 戸籍の附票は本籍地となる市区町村の役所が管理しており、本籍地から離れた住民の住所が記載され、住民票の正確性を保つ役割がある。
  • 戸籍は婚姻や分籍などで除籍となることがあるが、新しい本籍地が記載されるのでその情報を元に捜索をすることは可能である。
  • 住民票や戸籍の附票を取得することで家出人の最新の記録を確認し、捜索のスタートラインと法的な問題点を確認する。
  • 住民票がない状況は家出人にとってもデメリットがあるため、ある程度の期間が過ぎた頃に手続きをする家出人もいる。
  • 住民票と戸籍の附票の確認は長期的にとらえ、一度の確認で動きがなくても時間を開けて定期的にチェックするように心掛ける。
  • 取得できた住民票や戸籍の附票の情報をより効果的に役立てるため、警察や弁護士・探偵といった専門家へ相談する。

家出人捜索の手がかりとして住民票や戸籍の附票を挙げる人は多いのですが、せっかくの情報も扱いが難しいとうまく効果が得られず、家出人の発見まで時間が掛かってしまいます。住民票や戸籍の附票をどのように利用するかポイントをしっかりと押さえ、専門家の力を借りてより確実に家出人を発見出来るようにしてみましょう。

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