【投稿日】 2019年6月5日 【最終更新日】 2021年10月21日

大切な人が家出をしたという事実は、どのような形であれ残された人にとって大変苦しいものであることに変わりはありません。しかし、その家出が「計画的な家出」か「突発的な家出」かによって、残された人がやるべき行動に少し違いが出てくるのです。

計画的な家出と突発的な家出、この二つの違いについて具体的なケースを挙げながら、それぞれの対処法を解説していきます。

「計画的」か「突発的」か、家出人が行方不明となった時に確認するべき二つのケース

「大切な人が家出をした」「突然行方不明になった」という状況は、似ているようですが少し異なってきます。両方とも「失踪」に変わりはありませんが、そこに「自分の意思による失踪かどうか」という確認作業を入れることで、計画的な家出か突発的な家出かがわかるようになるのです。

では、どのようなケースが計画的・突発的と判断されるのが、具体例を挙げながらみていきましょう。

突発的に失踪するケース

家出をする意思が無い状態の人が、突然失踪するケースが突発的な失踪に当たります。突発的な失踪の場合、生命や身体の危険性や事件・事故に巻き込まれている可能性が高く、一刻も早い捜索が必要となってきます。突発的な失踪と判断される具体的な例としては、次のようなものが挙げられます。

精神的疾患や痴呆症などの病気による失踪

精神科の薬の副作用や痴呆症の影響などにより、行方不明者が感情や自意識をコントロール出来ず失踪するケース。最悪の場合には自殺や事故などの可能性が高くなる。

外出先で災害や事故などに巻き込まれたことによる失踪

外出先で災害や事故などが起こり、行方不明者となるケース。命の危険性が高く一刻も早い捜索が望まれる。

誘拐や殺人などの犯罪に巻き込まれたことによる失踪

普段通りの生活をしていて突然行方がわからなくなるケース。貴重品などが残されていることも多く、行方不明者の生命・身体の危険性が高くなる。

一時的な感情の爆発による失踪

家族や恋人同士の喧嘩で頭に血が上り、突発的に失踪するケース。感情のコントロールが未熟な未成年にも起こりやすい。短時間で帰宅する可能性もあるが、未成年者の場合は犯罪に巻き込まれる率も高くなる。

精神的なショックから突然起こる失踪

会社の倒産やリストラ・学業不信や受験の失敗など、精神的に受けたショックから自失状態となり失踪するケース。心神喪失の可能性が高くなるため、一刻も早い捜索が必要。

突発的な失踪のケースは緊急性が高くなるため、警察も積極的な捜索をすぐに行う傾向にあります。早期からの捜索であるほど見つかる確率も高くなりますので、突発的な失踪と判断する時にはすぐに警察へ届け出るようにしましょう。

計画的に失踪するケース

行方不明となった家出人に確固たる意志があり、計画的に準備をして家出をするのが計画的な失踪です。このケースの場合は家出する直前まで気づかれないようにすることも多く、逃亡が成功するまで時間を稼ぎ、かなり時間が経ってからようやく残された人が気がつくことも少なくありません。

計画的な失踪と判断される具体的な例としては、次のようなものが挙げられます。

計画的自殺を行うための失踪

最初から自殺を行う目的で計画的に行われる失踪。書き置きや遺書などが残されることも多く、行方不明者の命の危険性が高くなるので早急に警察へ届け出る必要がある。

浮気による失踪

不倫状態にある愛人と駆け落ちをするため、事前に計画して失踪するケース。命の危険性は低くなるが、民事的な解決を行うためにも早急に対応した方が良い。

家庭内のDVから逃げるための失踪

両親や配偶者からのDVから逃れるため、計画的に失踪するケース。行方不明者が被害者であることが多く、場合によっては警察へ「行方不明者届の不受理届」を提出していることもある。

家出人が犯罪を犯している可能性がある失踪

行方不明となった家出人が実は犯罪を犯しており、罪を逃れるため事前に準備をして失踪するケース。

計画的な失踪の場合、命の危険性や犯罪者の逃亡といった可能性がない限り、警察は積極的には動きません。しかし、行方不明者届が受理されたことによって全国の警察へ情報が行き渡り、警ら中の声掛けや職務質問などで行方不明者が見つかることもあります。

浮気や結婚詐欺の可能性がある場合には、時間が掛かると訴えるべき相手を逃す可能性が高くなりますので、警察への届出と同時に探偵事務所に相談してみると良いでしょう。

行方不明となった家出人が「計画的」か「突発的」か判断基準となる証拠や証言をケース別に解説

行方不明となった家出人が「計画的」なのか「突発的」なのかを判断するためには、ある程度の判断基準が必要となってきます。では、どのようなものが判断基準の材料となるのか、具体的な証拠や証言の例をケース別にみていきましょう。

突発的な失踪と判断される証拠や証言とは

突発的な失踪と判断するためには、「家出人が失踪するつもりがなかったという証拠や証言」が重要となってきます。具体的な例としては、以下のようなものです。

  • 財布や携帯などの貴重品や衣服がそのまま残されている。
  • 家出人の部屋にある物が減ったり整理されていない。
  • パソコンの履歴やメールのやり取りに家出に関係する発言がない。
  • 家出人の出先で災害や事故が起こった後に連絡が取れなくなっている。
  • 書き置きや遺書、失踪をほのめかすメモなどが一切ない。
  • 家出人の関係者から特に問題のある証言がない。
  • 行方不明となった家出人に、家出を計画する能力がない(痴呆症のある老人や小学生など)

突発的な失踪の場合、一番難しいのは「突発的であることを相談した先に説明すること」です。そのためには、突発的な失踪の証拠や証言のほかにも「緊急性が高いこと」「家出人の素行」についてしっかりと伝え、「残されている人が感じている違和感や不安」を相談する先に理解して貰わなければなりません。

「無いことを証明する作業」は大変かも知れませんが、突発的な失踪のケースと照らし合わせながら、一つ一つ確認していきましょう。

計画的な失踪と判断される証拠や証言とは

計画的な失踪と判断するためには、「家出人が自分の意思で計画的に失踪したという証拠や証言」が重要となります。具体的な例としては、以下のようなものです。

  • 書き置きや遺書が残されている。
  • 家出を計画するメモや日記が残っている。
  • 財布や携帯などの貴重品がなくなっている。
  • 家出人の部屋の物が整理され、なくなっているものがある。
  • 転職先や転居先を探した形跡がある。
  • 公共交通機関や宿泊先を予約した形跡がある。
  • 家出や自殺に関する本やネット上での検索履歴がある。

計画的な失踪の場合、「証拠や証言が家出人捜索の手がかり」となります。つまり、「判断材料=相談先へ提出・報告するべきもの」ということを理解しておき、集めた証拠はしっかりと保存するようにしましょう。

家出人の失踪で残された人たちがやるべきことをケース別に解説

家出人の失踪で起こるさまざまな問題の解決には、残された人たちがやるべきことをどれだけ行ったかという点が大きく関係してきます。的確な証拠集めや捜索活動・相談先の選択といった点を確実にこなしていくことが重要となるのですが、計画的失踪か突発的失踪かによってやるべきことの順番や内容が微妙に変化します。

残された人たちがやるべきことについて、ケース別に具体例を挙げながら解説していきます。

突発的な失踪と判断されるケースでやるべきこと

突発的な失踪と判断されるケースの場合、残された人たちがやるべき項目とは以下のような内容となります。

  • すぐに家出人の勤め先や学校、友人、知人関係者へ連絡し情報を集める。
  • 警察へ行き行方不明者届を提出。
  • 家出人の行動範囲内で思いつく場所をすべて探してみる。
  • 家出人に連絡を取り続ける。
  • 早い段階で探偵事務所に相談する。

突発的な失踪は命の危険性や事件・事故の可能性が高くなるため、わかった段階で関係者に連絡して情報集めや捜索の協力を仰ぐ一方、早急に警察へ届け出る必要があります。理想的な流れとしては、以下のような順番です。

突発的な失踪と判断される場合の行動の流れ

  1. 突発的な家出と判断した段階から家出人へ連絡と取り続ける
  2. 警察へ行き行方不明者届を提出
  3. 家出人と関係者や友人・知人へ連絡して協力を求める
  4. 心当たりの場所を探す
  5. 警察の対応が思うようにならない時には探偵事務所へ相談

可能であれば手分けして同時作業を行い、家出人の早期発見へ繋がるようにしましょう。

計画的な失踪と判断されるケースでやるべきこと

計画的な失踪と判断されるケースの場合、残された人たちがやるべき行動とは以下のような内容になります。

  • 自殺のための家出の場合は、すぐに警察へ行き行方不明者届を出す。
  • 書き置きが残されている場合は、警察へ行き「行方不明者届の不受理届」が出ていないか確認する。
  • 家出人が残したものを調べ、失踪の原因と考えられる証拠を探す。
  • 家出人の勤め先や学校、友人、知人関係に連絡をし、失踪の原因に関する証言を集める。
  • 失踪後の早い段階で探偵事務所に相談する。

計画的な失踪で注意をしなければならないのは、状況によって臨機応変に行動するという点です。計画的な失踪は、大きく分けると次の3つの項目に分類されます。

  • 命の危険性があるケース(計画的自殺を目的とした失踪)
  • 犯罪が関係しているケース(結婚詐欺や横領・その他の犯罪を犯し逃亡するための失踪)
  • 警察が積極的に動かないケース(浮気・DVからの逃走・家庭内の問題による失踪)

家出人が行方不明となった原因によって緊急性の有無が変わるので、それに合わせてやるべき事の順番を決めなければなりません。具体的な例としては、以下のような順番です。

計画的失踪で命の危険性があると判断される場合

基本的には「突発的な失踪と判断される場合の行動の流れ」と同じようにする。もし判断が難しい場合には、まず警察や探偵に連絡をして判断をお願いする。

家出人が犯罪を犯している可能性がある場合

  1. 判断材料とした証拠や証言を持って警察へ行き、行方不明者届・もしくは被害届を提出
  2. 探偵事務所へ相談する

民事性が高く警察が積極的に動かないケースの場合

  1. 判断材料とした証拠や証言を持って警察へ相談
  2. 行方不明者届の不受理届けが出ていないか確認
  3. 行方不明者届を提出
  4. 探偵事務所に相談
  5. 家出人の友人・知人に連絡して情報提供や協力を求める

計画的な失踪の場合、かなり早いタイミングで探偵事務所への相談が行われています。これは、家出人に時間的な猶予を与えずスピーディーに動くために重要な点となっており、これにより家出人の発見率も高くなります。探偵事務所では、さまざまな家出のケースを考えた上で具体的なアドバイスなどを受けることもできます。

家出人が計画的に失踪している時には、その失踪原因で状況判断して相談先を決めるようにし、的確な捜索で家出人を早期発見出来るようにしましょう。

失踪により司法的な問題が起こった場合にやるべきこと

計画的・突発的のどちらのケースであっても、家出人の財産や負債・権利関係で司法的な問題に直面することがあります。具体的な例としては、以下のようなケースです。

  • 行方不明者が契約していたアパートや駐車場を解約したい。
  • 残していった持ち物をすべて処分したい。
  • 相続権がある人が行方不明状態なので、財産放棄させる方向で進めたい。

家出人が失踪した後も、家出人本人が契約したアパートや財産の所有権は継続している状態です。もし残された人が勝手に家出人の持ち物の処分や財産放棄をした場合は違法とみなされ、家出人の発見後に問題となる可能性もあります。

一番良いのは、弁護士や司法書士といった専門家に相談し、法的手続きを正当に踏んで処理をしていくことです。その際、警察への届出の事実や探偵事務所が作成した「家出人捜索に関する報告書」などがあると、司法判断的に正当性が認められやすくなります。

やるべきことが多い中で処理していくのはなかなか難しい部分もありますが、専門家の力を借りて一つずつクリアしていきましょう。

まとめ

計画的な家出と突発的な家出について、その違いや対処法などを詳しく解説しましたがいかがでしたでしょうか。最後にもう一度内容をまとめてみましょう。

  • 家出をする意思がない人が突然行方不明となるのが突発的家出のケースで、命の危険性や事件・事故に巻き込まれている可能性が高くなる。
  • 自分の意思で計画的に準備をして行方不明となるのが計画的家出のケースだが、家出の目的や原因によっては緊急性を要するものがある。
  • 突発的な失踪と判断するためには「家出した本人に失踪の意思がなかったことを証明する証拠や証言」が必要となる。
  • 計画的な失踪と判断するためには、「家出した本人が自分の意思で失踪したということを証明する証拠や証言」が必要となる。
  • 突発的な家出は命の危険性や事件事故の可能性が高くなるので、速やかに警察へ行方不明者届を提出し、早急な対応をすることが大切である。
  • 計画的な家出は目的や原因によって判断がことなってくるが、臨機応変に対応して緊急性があるかないかを判断し、警察へ行方不明者届を提出したり早い段階で探偵事務所に相談する。
  • 計画的か突発的かに関わらず、家出人に失踪により司法的問題が発生することもあるので、状況によって弁護士や司法書士などに相談し、正当な法的手続きを取るようにする。

家出が計画的なのか突発的なのかを判断することは、家出した行方不明者を捜索するための重要なアプローチです。判断するために確認した内容が重要な証拠や証言となり、それによって捜索が進むことも少なくありません。

心当たりが無い場合は難しいと感じるかも知れませんが、家出の具体的な例と照らし合わせていきながら、必要な証拠や証言を集めて判断材料にしてみましょう。

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