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家出人の銀行口座は手がかりになる?調べる時に知っておきたい条件や注意点
【投稿日】2019年7月1日
家出人の捜索を行う時、手がかりとして注目されるのが銀行口座です。普段は何気なく利用している銀行口座ですが、出入金の記録には利用者の個人情報が詰まっており、家出人捜索の手がかりとして重要視されることもあります。
では、家出人の銀行口座を調べることでどのようなメリットがあるのか、調べる際の注意点とともに詳しく解説していきます。
家出人の銀行口座が捜索の手がかりになる場合も!銀行口座を調べる目的とメリット
銀行口座の出入金の記録は、そのまま利用者の生活を反映しています。高熱費の引き落としやローンの返済、契約しているアパートや駐車場の賃貸料など、個人情報の特定に繋がる手がかりが残されているのです。
家出人の捜索における銀行口座調査の具体的な目的と、それにより得られるメリットをみてみましょう。
家出人の生存確認
家出人の家族にとって一番心配なのは、家出人の生存確認ですね。
携帯に連絡しても音信不通だったり、目撃情報や手がかりなどがなかなか得られないと、家出人の生死もわからず精神的に大きな負担が掛かってしまいます。そのような場合、銀行口座の動きがあるかどうかを調べることで家出人の生存確認をするという方法があります。
家出をした日時よりも後で銀行口座に動きがあれば、少なくともその時までは生きていることが証明されます。逆に、銀行口座にまとまったお金が入っているのに一切口座に動きがなく、家出人との連絡も取れないといった状態が続くと、事件や事故といった突発的な家出(行方不明)の可能性が高いと判断出来るのです。
多少のタイムラグはありますが、銀行口座の動きで家出人の生存確認する方法は、残された家族にとって心の負担を減らすことが出来るメリットです。手元に通帳やキャッシュカードがある場合、記帳や残高確認といった方法で生存確認することが可能です。
家出人の足取りと捜索場所の手がかりを掴む
家出人の捜索で問題となるのは、「どこをどう探せば良いのか見当をつけにくい」という点です。思い当たる場所をすべて探すことは時間も労力も必要となり、それでも見つからない場合には精神的なショックも少なくありません。
銀行口座の出入金記録には、「いつ」「どこで」「いくら出入金があったか」が記載されています。このような情報を利用して地域を特定することで、家出人の足取りや捜索場所の見当をつけやすくなるというメリットがあります。
出入金の記録は英数字で記載されていますので、その英数字を銀行に伝えてどこの地域のなのかを尋ねるようにしましょう。場合によってはコンビニや店舗などに備え付けられているATMの可能性がありますので、その時にはコンビニや店舗に直接問い合わせる必要があります。
家出人との繋がりを保つ
家出人を探すご家族の中には、「お金が尽きれば帰ってくるかも知れない」と考える人もいるのですが、逆にお金が尽きることで犯罪に走ったり、自ら命を断つといった悲しい選択肢をする家出人も存在します。最終的に家出をやめて帰ろうと思っても、その時にはすでに所持金が尽きてしまい、自力で帰宅することが困難な場合もあるのです。
万が一の時を考えて少額ずつでも入金することが出来れば、家出人の犯罪・自殺の抑止効果や自主的な帰宅へうながすといったメリットが得られます。衣食住の心配がなくなることが家出人に考える余裕を持たせ、帰宅を待ちわびる家族の気持ちが伝わりやすくなるのです。
大きな金額を入金すると家出が長引く危険性もありますので、一週間を生き延びられる程度の金額(1万〜2万円程度)を目安にすると良いでしょう。
家出人の銀行口座を調べる時に知っておくべき条件や項目
様々な効果が期待される銀行口座の調査ですが、家族であっても個人情報となるためその扱いは大変難しく、情報を得るためには条件を満たさなければなりません。
家出人の銀行口座情報を得るためにしっておくべき項目について、詳しくみていきましょう。
銀行の取引記録は通帳があれば記載出来る
銀行で行われた取引の情報は、通帳記入を行うことで簡単に手に入れられます。もし家出人の通帳が手元にあるのであれば、まず通帳記入を行ってみましょう。ただし、通帳記入による情報の取得は、「現在使用中の通帳であること」「通帳が使用できるATMであること」が条件となります。
もし次のような状況の場合には通帳記入が困難となりますので、よく確認してから記帳してみましょう。
- 家出人が長期間通帳記入を行なっていなかったので情報が短縮記録されており、過去の情報を手に入れることが出来ない。
- 新規の通帳は家出人が持ち出しており、古い通帳しか残されていない。
- 通帳を発行した銀行が近くになく、ATMによる通帳記入が出来ない。
また、次のような条件がすべて揃っている場合、通帳の再発行が可能になることがあります。
- 家出人が未成年である。
- 未成年の家出人が通帳だけを持ち出し、キャッシュカードは家族が持っている。
- 家族の身分証明書や住民票などがある。
ただし、新しい通帳を再発行してしまうと古い通帳は破棄状態となるので、家出人が持ち出した通帳は一切使用出来なくなります。家出人との繋がりを保つことを優先したい場合には、よく検討してから判断するようにしましょう。
家出人の家族であっても簡単に行うことが出来ない手続きがある
身分を偽った詐欺などが増加したことにより、以前に比べて個人情報に関する規制が厳しくなっているため、たとえ家出人の家族であっても銀行側が対応出来ない手続きもあります。
特に以下のような請求に関しては大変厳しくなっており、場合によっては違法行為と取られる可能性もあります。
家出人の口座に関する情報開示の請求
家出人の口座に関するすべての情報開示の請求は、個人情報保護の観点から銀行側が応じることが出来ません。具体的な例としては、以下のような項目です。
- 家出人の口座の預金残高
- 家出人のローンの状況
- 家出人の口座の取引先情報など
家出人の口座に関する情報は、家出人との関係性や身分証明が明らかであったとしても一切請求に応じないことが一般的となっています。ただし、銀行によっては「口座が閉じられていないか」「口座が動いているか」程度の情報であれば、口頭で伝えてくれる場合もあります。
家出人の口座の取引停止・凍結の請求
家出人名義の口座を取引停止にしたり、凍結して使用出来ない状態にすることも出来ません。名義人以外で銀行口座の取引停止や凍結が行われる場合、次のような条件を満たさなければなりません。
- 銀行口座の名義人が死亡した時(届出により凍結)
- 支払うべき金銭の滞納により債権者が訴えた時(税金の滞納・借金・養育費の支払いなど)
- 銀行口座が犯罪に使用されている可能性がある時(振り込め詐欺や本人確認書類の偽造など)
例外として、家出人が生死不明で長期間見つからず、裁判所へ申し立てをして失踪宣告を受けた場合にのみ、残された遺産の相続人が銀行に届け出るケースは認められます。しかし、それ以外のケースで家出人の家族が取引停止や凍結を申し出ても、銀行側が応じることはありません。
ネット銀行の口座状況を確認することは難しい
インターネット上で取引が行われる「ネット銀行」には、基本的に通帳が存在しません。通帳の紛失や盗難・悪用を防止するというメリットから、多くの人がネット銀行を利用するようになっていますが、もし家出人がネット銀行を主流に使用している場合、家族がネット銀行の履歴を確認することは大変困難となります。
どうしてもという場合には、パソコン内のデータを確認してパスワードを調べてみたり、早い段階から弁護士に相談して情報開示のための手続きを行うといった方法を取るようにしましょう。
銀行口座の情報開示には裁判所への申し立てが必要
どうしても詳細な銀行口座の情報を知りたい場合には、裁判所へ銀行口座の情報開示の申し立てをする必要があります。
ただし、裁判所へ申し立てるケースの多くは債権回収や遺産整理・判決により言い渡された慰謝料や養育費の差し押さえなどを目的としており、緊急性がない家出人の場合には申し立てが受理されない可能性もあります。
家出人の銀行口座情報の開示を求める申し立てで、認められるケースとしては以下のような理由が挙げられます。
- 家出人が養育費や賠償金を支払ってない。
- 家出人が多額の借金をしており、債権回収に伴う情報開示が必要。
- 家出人の失踪宣告が受理され、家出人の遺産整理の為に預金残高の情報が必要。
- 家出人の生死確認のために口座の動きを知る必要がある。
銀行口座の情報開示は、個人情報保護法に関わるデリケートな問題となるため、裁判所も慎重に判断していきます。何故知りたいのか・現在どのような状況であるのかなどを詳細にまとめ、申し立てが受理されるよう心がけてみましょう。
個人情報である家出人の銀行口座を調査する時の注意点
少しでも家出人の安否を確認したい家族にとっては、銀行口座の動きは大変気になる情報です。しかし、家族であったとしても家出人の銀行口座は重要な個人情報なので、取り扱いを間違えないよう十分注意する必要があります。
家出人の銀行口座を調べる時にはどのような点に注意しなければならないのか、その詳細についてみていきましょう。
行き過ぎた調査は家出人との繋がりを断つ可能性が高くなる
銀行口座の情報は大切な個人情報であり、それを守る銀行側は個人情報を保護する義務があります。つまり、何か問題が起こったり不審な動きがあった時には、口座を守るために名義人に連絡をする可能性があるのです。
もし残された家族が心配のあまり行き過ぎた調査を行なってしまうと、銀行側が口座の名義人である家出人に注意勧告の連絡を入れることもあるため、繋がりを持つつもりが返って溝を深める結果にもなりかねません。デリケートな情報となるので決して無理はせず、可能な範囲内の調査にとどめておくことも大切です。
裁判所への申し立てを個人で行うのは難しい
銀行口座の情報開示は裁判所への申し立てが不可欠ですが、この手続きを個人で行うのは大変難しく、残された家族にとって精神的負担が掛かる可能性があります。特に、家出人が借金や養育費の未払いなどで行方不明となっている場合、口座に残されている預貯金の差し押さえといった手続きまで行わなければなりません。
このような法的手続きについて悩む場合には、弁護士に相談して代理人となって貰うという方法があります。弁護士には弁護士法に基づいた「弁護士照会制度」というものがあり、この制度を利用することで「債務を行わずに行方不明となった家出人の口座情報」を得られる可能性があるのです。
弁護士に相談することで裁判所への申し立てもスムーズになりますので、迷ったり判断に困った時には一度弁護士に相談してみると良いでしょう。
探偵が口座情報を調べることは出来ない
家出人の口座情報について、探偵に調査を依頼しようと考える人も多いのですが、探偵が銀行口座を調査するためには違法行為を行わなければならないので、優良な探偵事務所では依頼を受けることがありません。
家族が調べた口座情報を手がかりとして活用することはありますが、多くの探偵はその他の手がかりと合わせて総合的に判断しながら調査を進めるようにしています。つまり、口座情報はあくまで沢山の手がかりの中の一つと捉えられているのです。
家出人の早期発見で一番重要なのは、「時間を置かないこと」です。銀行口座はとても貴重な手がかりではありますが、それだけに情報を得るまで時間が掛かる可能性が高くなります。
家出人の口座情報を一つの手がかりとして捉え、家族が出来る範囲内で口座情報を調べるのと平行して、探偵事務所に家出人捜索の相談をしながら捜索を進めていくようにしましょう。
まとめ
家出人の銀行口座を調べるとどのようなメリットがあるのか、注意点とともに解説してきましたがいかがでしたでしょうか。最後にもう一度内容を振り返り、まとめてみましょう。
- 家出人の銀行口座を調べると、「家出人の生存確認」「捜索場所や範囲の手がかり」「家出人との繋がりを保つ」といったメリットが得られる。
- 手元に家出人の通帳が残されている場合、通帳記入を行うだけである程度の情報を知ることが出来る。
- 家出人が未成年でキャッシュカードのみが手元にある場合、通帳の再発行が出来ることもあるが、その場合には未成年者が持ち出した通帳は破棄されることになる。
- 家出人の銀行口座の取引停止や凍結は、例え家族であっても行うことは出来ない。
- 家出人の銀行口座の情報開示は、裁判所への申し立てが受理された時のみ行われる。
- 銀行口座の情報にこだわり過ぎて行き過ぎた調査を行うと、銀行側から名義人である家出人へ連絡が入ってしまい、関係が悪化する可能性があるので注意が必要。
- 情報開示の申し立ては個人でも行うことが出来るが、裁判所へ提出するための書類作成や情報開示の正当性を示すという点で困難な状態もあるので、無理をせず弁護士に相談することも視野に入れる。
- 探偵が銀行口座の情報を調べる場合、違法行為を行わなければならない可能性が高くなるので、優良な探偵事務所では銀行口座の情報調査は依頼を受けない。
- 家出人の銀行口座の調査は手がかりの一つと考えておき、家族の出来る範囲で調査をしながら平行して探偵への相談を行うようにする。
銀行口座の情報は、家出人の動向を把握する上で大変有効ではありますが、その調査は大変な作業となりリスクも伴います。冷静に状況を判断しながら可能な範囲内での調査を進め、別の方法による捜索も同時に行うよう心掛けていきましょう。
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