反社会的勢力とのつながりを断つことは、企業の経営者にとって重要な課題です。少しでも安全な企業態勢を確保するため、最近では取引先だけではなく従業員の反社チェックをするところも増えてきました。

しかし、一個人である従業員の反社チェックは大変デリケートなため、二の足を踏んでしまう経営者の方も少なくありません。では、従業員の反社チェックとは一体どのようなものなのでしょうか。従業員の反社チェックの重要性と、チェックを行うべき具体的なケースについて解説していきます。

従業員の反社チェックをやるべき理由とは

従業員が反社会的勢力と繋がっていると、雇用している企業にはさまざまなデメリットがあります。ここでは、従業員の反社チェックをおこなうべき具体的な理由をみていきましょう。

企業コンプライアンスを実現するため

企業にとってコンプライアンス(法令遵守)を実現することは、社会的にクリーンな企業であることを示すと共に、取引先や顧客に対して安心感を与えるためにも極めて重要です。反社会的勢力の積極的な排除は、コンプライアンスの実現に欠かすことが出来ません。

反社会的勢力として一般的に認識されているのは、次のような項目です。

  • 暴力団の構成員。暴力団に所属している者。
  • 暴力団の準構成員。暴力団を支える協力者としてさまざまな方法で資金を集める。エセ同和やエセ右翼などの標ぼうゴロが有名。
  • 暴力団のフロント企業。一見すると一般企業を装っているが、実質的な経営権を暴力団が握っている。
  • 暴力団との密接関係者。直接的に暴力団に所属していないものの、背後にいる暴力団の威力を借りて不当な取引や要求を行う。地上げ屋や総会屋などが有名だが、暴力団排除条例の制定にともない徐々に被害が減ってきた。
  • 特殊知能暴力集団。株価の操作やインサイダー取引に長けており、税理士や弁護士の資格を持った者が関わることが多い。
  • 暴力団を抜けて5年を経過していない者。警察からも要観察になっているので情報はあるが、抜けた暴力団からの接触も考えられるため注意人物となる。
  • 半グレ集団と呼ばれる団体やそれに所属する者。暴力団ではないが、詐欺による金銭搾取や集団暴行で金品を巻き上げるなどの行為を行い、社会的に問題となっている。

上記の項目で共通しているのは、暴力や脅しなどの違法行為を武器にして不当な利益を上げているという点です。

つまり、反社会的勢力との繋がりがある企業はコンプライアンス(法律や規則を守ること・法令遵守)が果たされていないとみなされます。コンプライアンスは企業に勤める従業員すべてが実現すべきものなので、もし従業員が反社会的勢力とつながりがあった場合、企業全体が批判されることになるのです。

暴力団排除宣言をしている企業が増えている現在、反社会的勢力とのつながりは企業に大きな損害を与えます。従業員の一人一人にまでコンプライアンスを徹底し、問題がある従業員には毅然として態度で接しなければなりません。

企業の乗っ取りを防ぐため

従業員が反社会的勢力と繋がりがある場合、企業にとって1番怖いのは企業の乗っ取りです。とくに反社会的勢力に弱みを握られてしまっている従業員の場合、企業機密を漏らして反社会的勢力に利用されたり、企業に深く関われるよう手引きをすることもあります。

反社会的勢力と繋がっている従業員がいるということは、企業が常に危険にさらされているのと一緒です。従業員によっていつのまにか企業内に入り込んだ反社会的勢力が、役員レベルまで一斉に入れ替わり企業を乗っ取ったケースもあります。

長い時間をかけて育ててきた大切な会社を守るためにも、細部にまでしっかりと目を配り従業員が反社会的勢力と繋がっていないかを確認しなければなりません。

銀行や他企業との取引を安全に継続するため

現在多くの銀行や企業が、暴排条項を盛り込んだ契約書を使用しています。暴排条項とは、暴排条例に基づき反社会勢力を排除する旨を明文化したものです。暴排条項が盛り込まれた契約書を交わしている場合、相手企業が少しでも反社会的勢力と繋がっている時には契約を解除できます。

暴排条項を盛り込んだ契約書は幅広く効果があり、従業員が反社会的勢力と繋がっていても契約破棄になることがあります。つまり、従業員たった一人のせいで大きな取引がなくなるのです。

取引先がなくなるということは、企業にとっても大きな損害です。お互いに安心して取引を継続するためにも、従業員の反社チェックは大切なものとなっています。

従業員が反社会的勢力と繋がっていることで起こる問題とは

反社会的勢力と繋がっていることが問題だとわかっていても、具体的な事例がないとイメージしにくく、企業全体で意識共有することが難しいです。ここでは、従業員が反社会的勢力と繋がっていることで起こった具体的な事例をご紹介します。

保険契約の売り上げのために反社会的勢力の人と契約を結んだケース

従業員が自身の売り上げを伸ばすため、反社会的勢力の人と任意自動車保険の契約をした結果、頻繁に事故が起こり保険金を払うことになったケースです。保険の営業が自らの知り合いに保険契約を依頼することはよくありますが、相手が反社会的勢力の場合その保険を利用し、不当に利益を得ることも少なくありません。

コンプライアンス意識を高めるためにも従業員の事前調査をしっかりと行い、いざというときに対応出来る体制を整えるようにしましょう。

従業員が交友関係にある反社会的勢力に仕事を回していたケース

従業員が反社会的勢力と繋がっていると、交友関係にある反社会的勢力に仕事を依頼することがあります。とくに産廃企業や土木関係ではいまだに反社会的勢力が幅をきかせている地域も多く、場合によっては企業全体が社会的に非難されることも少なくありません。

従業員を雇う時や雇った後でも、反社チェックをして反社会的勢力との交友関係を確認し、万が一に備えてはっきりとした処遇を検討するようにしましょう。

従業員が交友関係にある反社会的勢力にホテルの会場を提供したケース

反社会的勢力は頻繁にパーティーを主催することがあり、参加した人は勿論のこと、会場を提供した企業も社会的な非難の的になります。しかし、従業員からの紹介の場合安心してしまうケースも多く、その結果実は反社会的勢力に会場を提供していたという事実に後から気がつくのです。

従業員だからと安心するのも、コンプライアンス違反を犯す落とし穴です。面接時の対応や勤務態度の良し悪しに関わらず、少しでも気になることがあったら反社チェックをすることをおすすめします。

従業員の反社チェックをやるべき具体的なサインとは

従業員の反社チェックが大切なのはわかっていても、疑うべき具体例がないとなかなか調査に踏み切れません。では、従業員のどのような行為が反社チェックを必要とするサインなのでしょうか。従業員の反社チェックをおこなうべき具体的なサインをご紹介します。

採用時に提示された暴排条項の契約書に同意しない

従業員の面接時に、暴排条項を盛り込んだ契約書にサインを求めてみましょう。暴排条項とは暴力団排除条例をもとにした項目で、暴力団や反社会的勢力の介入を食い止めるために極めて有効な手段です。

この時、暴排条項に同意しない、もしくは渋るような態度を取るようでしたら要注意です。暴排条項に決められた書式はありませんが、多くの会社が採用している内容は以下のようになっています。

  • 自分(従業員)は反社会的勢力ではないこと
  • 自分(従業員)の交友関係に反社会的勢力に属する者はいないこと
  • 自分は(従業員)は過去に反社会的勢力に属したことはないこと
  • 採用後も反社会的勢力と一切の関わりを持たないこと
  • 契約同意後に虚偽が判明した場合には、契約破棄や退職処分になってもよいこと

もし文書作成が難しい場合には、弁護士などに相談して適切な文書を作成するとよいでしょう。

既存の従業員に暴排条項の契約書の提出を求めたが同意しない

すでに雇用している従業員の反社チェックとして、暴排条項を盛り込んだ契約書にサインを求めてみましょう。

既存の従業員の中には、入社後に何年も経ってから契約書にサインすること自体に不快感を持つ人もいます。そのことを踏まえた上で、まずは会社の方針と暴排に対する意識をしっかりと説明して共有しましょう。

もし会社の方針をしっかりと説明した上で、それでも契約書へのサインを渋るようでしたら要注意です。

仕事上のトラブルを上司に報告せず顧客が解決している

反社会的勢力の手口の一つに、トラブルを解決してあげて借りを作らせるという方法があります。仕事上のトラブルに口出しして丸く納めたり、出来れば知られたくない大きな失態をこっそり処理する代わりに、見返りとして金品を求めるのです。

もし従業員が仕事上でトラブルを犯した時、「〇〇さんが助けてくれたので処理できた」「〇〇さんにお礼をしたい」などの発言が見られるようであれば、一度調査をした方が良いでしょう。

従業員の顧客からのクレームが多い

従業員が反社会的勢力と繋がっている場合、意図的に仲間と計画した上でクレームをつけることがあります。クレームの目的は、お詫びのサービスや金品などの搾取です。表向きは一般の顧客を装い従業員を介してクレームをつけ、何かしらの見返りを求めるのです。

従業員自体の仕事ぶりからクレームが多い場合もありますが、多すぎるクレームそのものも大きな問題です。万が一ことを考えて、特定の従業員にクレームが多発している場合には調査した方が良いでしょう。

従業員の家族や交友関係に違和感がある

もし従業員の家族や交友関係に次のような点が見られるようなら、従業員とその周囲の人を調べる必要があります。

  • 従業員の交友関係にある人の言動に違和感がある。
  • 政治的発言が多い。
  • 社会運動や特定の政治活動に積極的。
  • 年齢に見合わない高級車や高級腕時計を所持している。
  • 従業員の家族が地域的に治安が良くない場所に住んでいる。

反社会的勢力は一見すると見分けにくいのですが、その性質上ふとしたところで一般と異なる部分に気づくことがあります。肝心なのは、ちょっとした違和感を放置しない姿勢です。少しでも気になることがあったらそのままにせず、従業員とその家族・交友関係のある人を調べるようにしましょう。

従業員の反社チェックを探偵に依頼するメリットとは

従業員の反社チェックを行うと決めたとしても、どのように調査を行えば良いのか悩む人も少なくありません。なぜなら、反社チェックを依頼出来る企業のほとんどが取引先といった大きな括りで、従業員という一個人にまで対応出来ないからです。

従業員の反社チェックに1番適しているのは探偵事務所です。従業員の反社チェックを探偵に依頼するメリットについて、詳しくご紹介します。

自力調査ではできない部分も詳しく知ることが出来る

従業員の反社チェック調査では、次のような調査が必要です。

  • 従業員のこれまでの交友関係を調べる。
  • 従業員のプライベートな行動を調べる。
  • 従業員の家族について調べる。
  • 従業員と仕事上で関わっている人について調べる。
  • 反社会的勢力と接触がある場合には証拠も集めておく。

もしこのような調査を自力で行う場合、調査に慣れていない人には心身共に相当な負担が掛かります。また、調査の目的である反社会的勢力との接触は危険なことも多く、場合によっては調査自体を諦めざるを得ません。

知識と経験が豊富な探偵に依頼することで、危険を避けて必要な情報を手に入れることが出来ます。

従業員に気づかれない

従業員の反社チェックの調査で重要なのは、調査していることを気づかれないようにすることです。もし反社会的勢力と接触があれば警戒されてしまいますし、問題がなくても気づかれるとお互いに関係が悪くなってしまいます。

優良な探偵事務所なら守秘義務の厳守は当然ですが、従業員に気づかれるリスクが限りなく低くなるよう入念な準備をして調査を進めます。反社会的勢力の調査対象には暴力団関係も含まれるので、探偵に調査を依頼する方が安全です。

裁判でも有効な調査報告書が手に入る

従業員が反社会的勢力と接触がある場合、雇用している企業側はコンプライアンスに従って対応することになります。しかし、従業員の中には調査自体の無効を求めたり、反社会的勢力と一緒に契約破棄の無効を申し立てる人もいます。

そんな時に必要なのが、裁判でも有効な証拠です。探偵事務所では、手に入れた証拠を調査報告書としてまとめ、依頼者に渡します。探偵の作成した調査報告書は裁判でも有効な証拠として認められているので、安心して提出出来るのです。

さらに、しっかりとした調査報告書があれば、警察や弁護士にも相談しやすくなります。警察や弁護士は、はっきりした証拠がなければなかなか動き出すことが出来ません。反社会的勢力に毅然と向き合うためにも、探偵の調査報告書を用意して警察や弁護士と連携を取ることが重要です。

アフターケアがあるので今後の相談が出来る

調査結果で従業員が反社会的勢力と繋がっていることがわかったら、次に行うのは適切な対応です。すぐに相談できる警察や弁護士がいればいいですが、もしいない場合にはまた相談先を探さなければなりません。

優良な探偵事務所ではアフターケアも行われており、警察出身のカウンセラーや反社会勢力に強い弁護士を紹介してもらえます。反社会的勢力との戦いは、証拠を掴んでからが本番です。専門家に相談することで、より適切な対応を見定めることが出来ます。

無料相談窓口で気軽に相談出来る

反社チェックの重要性が社会的に広く認識されていても、気軽に相談できる窓口はなかなかありません。背後に暴力団が関係しているかもと思うと、滅多なところでは相談出来ません。

多くの探偵事務所では無料相談窓口を設けており、ちょっとでも気になることがあったらすぐに相談することが出来ます。誰かに話すことで頭の中がまとまり疑問点がクリアになりますので、 まずは無料相談から始めてみましょう。

まとめ

従業員の反社チェックの重要性と具体的なチェック内容について、詳しく解説してきましたがいかがでしたか?最後にもう一度内容を振り返り、まとめてみましょう。

  • 従業員の反社チェックは、企業コンプライアンスの実現・乗っ取りや取引停止・社会的批判を回避するために必要である。
  • 各都道府県の地方公共団体は暴力団排除条例(暴排条例)を制定しており、企業は暴力団との繋がりを排除し利益供与を行わないようにしなければならない。
  • 従業員の反社チェックは暴排条例の観点からも外せない項目で、暴排条項を盛り込んだ契約書を取り交わすことはとても重要である。
  • 暴排条項を盛り込んだ契約書を拒否したり、トラブルを顧客に処理してもらう・家族や交友関係者に違和感がある従業員がいた場合には、従業員の反社チェックを行うようにする。
  • 従業員の反社チェックは大変デリケートで危険もともなうので、探偵に依頼して証拠集めをしてもらい、その後に警察や弁護士と連携をとって対応するとよい。

反社会勢力との繋がりがある従業員は、できれば水際で食い止めたりところです。しかし、暴排条例が施行されて以降、反社会勢力はますますわかりにくくなっており、気が付いたら従業員が反社会勢力と繋がっていることも少なくありません。

大切なのは、企業が暴排をしっかりと意識して従業員まで目を配ることです。従業員の動向で少しでも気になる部分があったら、探偵事務所の相談窓口を利用して素早い対応が出来るよう準備をしてみましょう。