【投稿日】 2022年8月19日 【最終更新日】 2022年9月4日

会社内で不正が行われる場合、たいていその会社に対して、社員が何か不満を抱えている事が多いと言われます。

では、社員の不満をなくして、従業員満足度を上げるためには、どうしたらいいのでしょうか。

本記事では、従業員満足度を向上させるメリット、社員のエンゲージメントを向上させるための対策方法について、解説していきます。

従業員満足度とは

従業員満足度とは、「従業員が企業にどの程度満足しているか」を図る指標のことです。

従業員満足度の指標としては、仕事内容、職場環境、人間関係、給与待遇、福利厚生などが挙げられます。

つまり、従業員が、組織の用意するものに満足しているかどうか、個々人の満足の度合いを調査するものです。

したがって、福利厚生や労働環境などを、企業努力によって改善・改良していき、従業員がその取り組みに対して評価し、満足していたら、モチベーションが上がったり、エンゲージメントに繋がったりしますが、必ずしも企業の業績に結び付くものではありません。

従業員エンゲージメントとは?従業員満足度とどう違う?

従業員満足度とよく混同される指標が「従業員エンゲージメント」です。

従業員エンゲージメントとは、米国で1990年代に生まれた新しい概念であり、1990年にウィリアム・カーン氏(当時:ボストン大学心理学教授)が発表した論文の中で、「社員が仕事に対して、肉体的にも、心理的にも、感情的にも打ち込むこと」と定義されています。

日本ではいろいろな表現をされていますが、大まかに言うと「従業員が企業に対して深い愛着や誇りや信頼感を抱いており、自発的に貢献する意欲を持っている状態」を意味していると言えるでしょう。

つまり、従業員が企業や現在の業務内容に価値を見出しており、組織や同僚を信頼して絆を感じ、自分から貢献したいというやる気を持って業務に打ち込んでいる状態であり、それが企業にとって生産性や業績アップの面でメリットとなっている状態と言えます。

「エンゲージメント」には、約束・婚約等の意味がありますが、契約書などで使用する「contract」とは違い、ドライな関係ではなく、互いが相手を信頼し合い、貢献し合おうとする、より人間的な関係性というイメージがあります。

従業員エンゲージメントには、それを構成する次の3つの重要な要素があります。

  • 企業の方向性や理念に対する理解度
  • 組織に対する共感度と帰属意識
  • 自発的な行動意欲

企業の方向性や理念に対する理解度とは、従業員がどれだけ組織の理念やビジョンを理解しているか、ということです。

組織と従業員双方の理想が合致することで、理想を実現するための意識が高まります。

従業員エンゲージメントには、会社への共感度と帰属意識も重要です。

従業員が会社に共感するほど、主体性を持って仕事に励むようになるでしょう。

理解だけでなく、共感することで、組織の一員としての自覚が高まり、帰属意識も生まれます。

従業員一人ひとりが、自主的に組織のために行動しようとする姿勢や意欲も、従業員エンゲージメントを構成する重要な要素です。

自分の行動が、業績向上や企業の成長に繋がっていると感じるほど、自発的に行動する意欲が高まります。

また、「働きやすさ」や「仕事へのやりがい」も従業員エンゲージメントの重要な要素です。

精神的に安定した状態で働くためには、上司や同僚との円滑なコミュニケーションが欠かせません。

業務上のやり取りだけの一方的な会話にとどめるのではなく、お互いに尊重し合える質の高いコミュニケーションを取ることが大切です。

風通しの良い職場環境とともに、社員一人ひとりの個性や能力を発揮しやすい組織文化の醸成や、バランスの取れた業務量なども、働きやすさの向上に繋がります。

「仕事へのやりがい」という点では、社員は自分の努力や貢献が明確な結果となって表れた時に「仕事へのやりがい」を感じることができます。

結果には、具体的な数字で表されるものと、心理的に効果を与える周囲からの反応や評価の2種類がありますが、両者を実感できると、社員の意欲はさらに向上するでしょう。

自分の仕事に自信を持ち、自己肯定感が高まれば、会社における自身の存在価値を見出して、会社への貢献度も高まることが期待できます。

内部不正発生のきっかけと従業員満足度の関係

従業員満足度とは、従業員個々人がどれだけ会社に対して満足しているかを表す指標です。

内部不正発生のきっかけとは、一体どのような関係があるのでしょうか。

過去にIPA(情報処理推進機構)が行った「組織内部者の不正行為によるインシデント調査」によれば、内部不正の気持ちを高めると考えられる項目として回答割合の多かった上位8項目のうち、上位3項目を含む6項目が、組織における待遇への不満や、上司などへの不満となっています。

このように内部不正発生のきっかけの多くに、その組織に対する不満、つまり従業員満足度の低さが関係していると言えるのです。

特に、待遇面での不満や、組織、上司、人間関係への不満があると、不正に繋がりやすいと言えます。

したがって、内部不正を発生させないようにするためには、従業員満足度を上げる工夫が必要となります。

しかし、従業員満足度をあげていくためにはどうすれば良いのでしょうか。

従業員満足度をあげる方法としては、給料や待遇面の改善、社員の意見を吸い上げた上での人事改革、福利厚生を充実させるなど様々な方法が考えられますし、何から手をつけて良いかが分からないと思います。

そのため、前述した従業員満足度を示す指標の1つである「従業員エンゲージメント」を高める方法から始めるのがベターです。

一般的に、従業員満足度が高い会社は、従業員エンゲージメントも高い傾向にあると言われています。また、従業員エンゲージメントを高めることは、従業員満足度を高めることにも繋がってくるので、まずは、従業員エンゲージメントを高めることから検討していきましょう。

従業員エンゲージメントを高めるメリット

従業員エンゲージメントを高めるメリットは主に次の5つです。

  • 離職率が低下し、人材が定着しやすくなる
  • 生産性が上がり、従業員の仕事の成果や質が向上する
  • 職場の活性化につながる
  • 顧客満足度が向上する
  • 企業の評判が上がり、優秀な人材が集まりやすくなる

メリット1:離職率が低下し、人材が定着しやすくなる

従業員エンゲージメントの高い従業員は、離職率が低い傾向にあります。

退職傾向にある人材というのは、「仕事にやりがいがない」「経営方針に共感できない」など、何かしらの不満を抱えているものです。

エンゲージメント向上は、企業への理解や信頼を高め、企業の理念やビジョンとの共感を促します。

企業の理念やビジョンと働く意義が共感している従業員は、組織への不満が少なく、帰属意識や愛社精神が高いため、離職する可能性が低くなるでしょう。

組織としては、従業員が自分はサポートされ、感謝されていると感じられる職場環境を作り、コミュニケーションと透明性に注力することが求められます。

また、エンゲージメント向上に伴って、エンゲージメントが高い従業員が増えることで、企業の一体感が強まります。

企業全体が活気溢れる状態であれば、企業に貢献してくれる優秀な人材も、職場を離れることは考えず、長く活躍してもらえることになるのです。

こうして定着率が向上すれば、人材不足により無理に採用することなく、戦略的に求める人材に焦点を絞って採用を行うこともでき、採用にかかるコストの削減にもなるでしょう。

メリット2:生産性が上がり、従業員の仕事の成果や質が向上する

海外のデータではありますが、ギャラップ社は発表した「The Relationship Between Engagement at Work and Organizational Outcomes」によれば、従業員エンゲージメントスコア上位25%と、下位25%の会社を比較したところ、エンゲージメントが高い会社の方が、生産性も売上高も利益率も高くなり、品質の欠損や欠勤率は低くなることがわかっています。

エンゲージメントが高い会社では、低い会社と比べて、生産性が17%、利益率は21%高く、品質の欠陥は41%、欠勤率は37%も低いことが実証されているのです。

また、株式会社リンクアンドモチベーションが発表した研究結果「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開~エンゲージメントスコアの向上は営業利益率・労働生産性にプラスの影響をもたらす~」によれば、従業員エンゲージメントのポイントが1ポイント向上すると、営業利益率が0.35%上昇する、という結果もあります。

仕事にエンゲージメントを感じている従業員は、その仕事を上手くこなし、最初から正しく成し遂げようと努力しています。

仕事に集中しているのでミスも少なく、作業効率もアップし、予定通りに仕事を完了する可能性が高いです。

また、エンゲージメントが高い従業員は、自分の仕事に対して感情的な繋がりを持っているので、多くの場合、自分たちが提供している製品やサービスに誇りを感じています。

従業員が常にベストを尽くすことにコミットしていると、その仕事の質も向上し、成果も上がるでしょう。

そうした従業員が多いエンゲージメントが高い組織では、従業員が会社の理念に共感し、業績向上のために自発的に貢献しようとしたり、会社に対する愛着が強いため、会社が抱えている課題に対しても積極的に取り組もうとしたりします。

こうした従業員の自発的な努力により、全体としての生産性を向上させることができるのです。

メリット3:職場の活性化につながる

従業員エンゲージメントを高めることで、組織に対する貢献意欲の高い従業員が増えることになります。

そのため、「目標を達成するにはどうすれば良いか」「組織をより良くするにはどんな方法があるか」といった前向きな意見が、従業員から生まれやすくなるでしょう。

また、仕事の「やらされ感」も減るため、従業員がより生産的に仕事に取り組むようになります。

このように職場が活性化することで、業績への好影響も期待できるでしょう。

メリット4:顧客満足度が向上する

従業員エンゲージメントが高いということは、従業員が自分の仕事に対して意義を感じ、こだわりを発揮しやすい状態です。

売上を向上させるには、顧客が求める質の良い製品やサービスの提供が必要です。

従業員一人一人が、自分の仕事に対して誇りを持って積極的に取り組むことで、提供する商品やサービスの品質も高まりやすくなるでしょう。

また、明るい雰囲気の職場で、結果も出ている中では、ネガティブな感情が生まれにくく、顧客対応が高いレベルで安定することも大きく貢献します。

顧客に接する全ての従業員が、顧客の問題解決に向かって力を発揮する状況です。

結果として、顧客の満足度アップにつながり、企業としての信頼度もより向上させることが可能になるのです。

メリット5:企業の評判が上がり、優秀な人材が集まりやすくなる

顧客満足度が向上し、顧客が求める質の高い製品やサービスを提供できる企業に対して、顧客側は良い感情を持つようになり、企業の評判も上がるでしょう。

また、エンゲージメントの高い従業員が多い職場は、自然と雰囲気も良くなり、職場の雰囲気が良い企業は評判が良くなるため、優秀な人材が集まりやすくなります。

さらに、エンゲージメントの高い従業員は、エンゲージメントの低い従業員に比べ、明らかに熱意に溢れ、自発的・積極的に行動し、指示を受けなくても情熱を持って自ら尽力します。

こうした従業員が、イノベーションの原動力となり、会社のビジネスを発展させていくため、企業の評判は、うなぎ登りになっていくでしょう。

このような企業には、何もしなくても優秀な人材が集まってくるものです。

従業員エンゲージメントを高める10の対策

従業員エンゲージメントを高める具体的な方法としては、以下の10個が代表的です。

  1. 企業理念・ビジョン・ミッションを浸透させる
  2. 納得性の高い人事評価制度にする
  3. 業務内容に適した人材を雇用または昇進させる
  4. ワークライフバランスやストレスケアを推奨する
  5. 適正な給与支給やインセンティブ、評価・表彰などを充実させる
  6. 社内コミュニケーションを活性化させる
  7. 管理職のリーダーシップとフィードバック能力を高める
  8. 従業員にスキル構築とキャリア開発の機会を与える
  9. 従業員エンゲージメントを高めるチームを作成する
  10. エンゲージメントを測定して、常に把握と改善を行う

具体的な方法について一つひとつ見ていきましょう。

対策1:企業理念・ビジョン・ミッションを浸透させる

企業理念・ビジョン・ミッションを従業員に浸透させることは、エンゲージメントを向上させる上で最も重要です。

従業員が企業の理念やビジョンに共感すればするほど、「企業に貢献したい」という思いが高まり、企業が成功するために自発的に行動しようとする意欲が形成されます。

企業が掲げる理念やミッション、ビジョン、バリューなどを明確にし、企業のあるべき姿をまとめた「ブランドブック」や、企業研修、社内報、キックオフミーティング、面談など、あらゆる場で従業員に浸透させることが大切です。

経営トップ自らが企業理念などを従業員に理解させ、浸透させるための主体となることは、エンゲージメントを向上させる基本として、多くの企業で実施されています。

経営トップが率先して「顧客や社会に提供できる価値は何か」を明らかにすることで、従業員からの賛同も集めやすくなり、企業としての一体感も高まり、エンゲージメントが向上するでしょう。

また、企業の目標達成のためだけに行動するのではなく、企業の理念やビジョンが従業員の自己実現にも繋がるものであれば、従業員のモチベーションはさらにアップし、より効果が期待できます。

対策2:納得性の高い人事評価制度にする

従業員エンゲージメントを向上させるには、基準を明確にした公平な人事評価制度の採用が欠かせません。

曖昧な基準では、会社に公正に評価されていないと感じて、従業員の会社に貢献しようという気持ちが薄れてしまいます。

したがって、従業員エンゲージメントの向上には、透明性が高く、公平・公正な評価と、社員の貢献度に応じた報酬の付与がなされる人事評価制度の構築が重要です。

例えば、成果だけを評価するのではなく、「企業理念の体現度」や「成果に至るまでのプロセス」を評価基準に加えるという方法もあります。

人事評価の基準は、会社によって異なるため、会社と従業員との間に認識のズレが生じないように、どのような基準で従業員を評価しているのかなど、評価のフィードバックを面談などで伝えるのも良いでしょう。

評価への納得度を上げることで、従業員の仕事への積極性や意欲を高めることが可能になります。

対策3:業務内容に適した人材を雇用または昇進させる

業務内容に適したエンゲージメントが高い人材を雇用したり、選抜して適材適所に配置したりすることは、企業のエンゲージメントを向上させます。

それは、エンゲージメントの高い従業員が、企業の進むべき方向を示す理念やミッションを理解し、企業が成功するために自発的に行動するためです。

エンゲージメントの高い従業員を雇用または選抜・昇進させて、ビジネスの適材適所に配置することで、生産性が上がり、ビジネスが成功する可能性が高まります。

また、従業員の性格やスキルに適した人事配置を行うことは、業務内容に対する満足度を高める上でも重要です。

今のポジションでやりがいを感じていたり、専門性を高めようと思っていたりする従業員もいれば、もっと違う業務をやりたいと思っている従業員もいるでしょう。

したがって、人事異動の際は、まず従業員本人の意向をヒアリングするようにしましょう。

対策4:ワークライフバランスやストレスケアを推奨する

持続的な従業員エンゲージメントの向上を実現するためには、ワークライフバランスの推進は不可欠です。

「休みが充分に取れない」「長時間の残業が常態化している」などという職場環境では、従業員も自組織に貢献したいとは感じなくなるでしょう。

また、仕事の後に休む時間が充分にないと、燃え尽き症候群や体調を崩すリスクが高くなり、仕事への関心やチームの生産性に影響を与える可能性があります。

そのため、休日制度や勤務時間を見直して、従業員のワークライフバランスを整えることが重要です。

例えば、柔軟に勤務時間を調整できる「フレックスタイム制」や、あらかじめ有給休暇の取得日を決めておく「計画的付与」、残業しない曜日を決める「ノー残業デー」などの施策が挙げられます。

働き方改革が叫ばれる中では、多様な価値観を持った従業員にやりがいを持って働いてもらうために、それぞれの価値観に合った働き方を提案し、価値観に合った職場環境を整えること、そして「自分らしい働き方を実現できる企業である」と感じてもらえる環境を作ることが重要です。

心身ともに無理なく、自分らしく働くことができ、仕事と家庭のバランスが取れることで、長期的な心身の健康維持や、充実感を得ることもできるため、高い従業員エンゲージメントを持続させることに繋がります。

この他、産業医面談や産業カウンセラーとの定期的な面談、ストレッチやヨガの研修など、ストレスケアを推奨することも有効です。

対策5:適正な給与支給やインセンティブ、評価・表彰などを充実させる

適正な報酬や評価・表彰制度を充実させることで、従業員のモチベーションが上がり、エンゲージメント向上に繋がります。

報酬や評価・表彰が適正であることで、従業員の企業に対する理解や信頼が深まるためです。

エンゲージメントは、企業に対する理解や信頼がなければ高まることはありません。

そのため、報酬や評価・表彰を適正に行い、制度を充実させることで、エンゲージメントを向上させる可能性が高まります。

また、「個人として尊重してもらえている」と従業員が感じる環境ほど、それに報いようとして、会社への貢献意欲も一層高まることになります。

そのため、従業員の頑張りを称賛することも、従業員の自尊心を高め、さらなる貢献意欲に繋がるでしょう。

具体的には、社長賞やMVPをはじめ、定期的に表彰の場を設けることや、日頃表面化しにくい成果や貢献などに対して、社員同士が感謝の気持ち(ピアボーナス)を贈り合える「ポジティブポイント」の仕組みなどを取り入れることで、従業員の意欲を高めやすくなります。

対策6:社内コミュニケーションを活性化させる

人は、「一緒に働いている人のことをよく知らない、信頼できない」という状態では、自組織への愛着も持ちにくいものです。

そのため、社内コミュニケーションを活発化させ、従業員同士の関係性を深めることも大切です。

例えば、各種イベントやクラブ活動などで従業員同士の親睦を深めたり、人脈を拡げたりといった、互いを知るための社内コミュニケーションは、居心地良く働きやすい職場作りの一助となり、従業員エンゲージメントを構築しやすい環境作りにもなります。

従業員同士が感謝の言葉を紙に書いて贈り合う「サンクスカード」や、定期的なランチミーティングなども良いでしょう。

近年は、リモートワークが中心の職場も多いため、オンラインでの1on1ミーティングや、社内SNSの活用なども有効です。

また、上司から部下に対して、透明性のある情報を提供し、従業員が積極的に発言できる環境も重要です。

上司や同僚との接点を常に感じさせることで、従業員の帰属意識も高めやすくなります。

対策7:管理職のリーダーシップとフィードバック能力を高める

社員のエンゲージメントを高める上で、「リーダー(管理職)がどのようなマネジメントをするか」は、非常に重要な要素です。

ひと昔前には「支配型」リーダーシップが多くを占めていましたが、現在は「サーバントリーダーシップ」という手法が注目されています。

サーバントリーダーシップとは、社員が最大限の力を発揮できるよう、環境作りに奉仕する、「支援型」リーダーシップのことです。

リーダー(管理職)が部下に積極的に関わり、意見に耳を傾けた上で、組織の進むべき方向を指し示し、奉仕することで部下を導きます。

部下を支えながら、一人一人の可能性を引き出す役割もあります。

立場を振りかざして指示や命令をするのではなく、信頼関係を重視し、部下の声に耳を傾けながら、目標やビジョンを達成していく手法です。

管理職が部下からの信頼を得ることが、部下のモチベーションアップに繋がるため、管理職に対して、「チームワークの取り方」や「変化への対応力」「権限委譲の重要性」など、リーダーシップやマネジメントスキルの向上を目的とした研修やワークショップを行うと良いでしょう。

また、従業員が「正当に評価されている」と感じるかどうかは、上司の伝え方にも左右されます。

そのため、従業員エンゲージメントを向上させるには、上司のフィードバック能力を高めることも重要です。

具体的には、管理職向けに「フィードバック・評価面談研修」を実施し、部下との効果的な面談方法や評価の伝え方を学ばせるのも一つの方法でしょう。

上司のマネジメント手法を改善することで、チーム全体の意欲を高めることに繋がります。

対策8:従業員にスキル構築とキャリア開発の機会を与える

従業員が自らの成長を感じられる職場ほど、「もっと組織のために働きたい」という意欲も高まります。

そのため、従業員の成長を支援できるようなスキル構築やキャリア開発の機会を与えることも効果的です。

従業員に新しいスキルを身につけ、才能を高められるように時間や場所を提供することで、従業員は自分の能力に自信を持ち、仕事の質を向上させることができるでしょう。

例えば、「キャリアデザイン研修」を実施して、従業員に今後のキャリア設計を促したり、「管理職研修」や「中堅社員向け研修」をはじめ、階層別のOff-JTを手厚くしたりする方法があります。

従業員個人の資格取得や学び直し、自己投資を支援するなどの方法もあるでしょう。

スキル構築の機会やキャリア開発支援を充実させることで、「会社が自分のことを大切にしてくれている」という従業員の満足度に繋がり、帰属意識の向上も期待できます。

対策9:従業員エンゲージメントを高めるチームを作成し、情報収集と分析を行う

会社のマネージャーと従業員が一緒に従業員エンゲージメントを高める活動を実施するため、マネジメントに協力してくれる従業員を募り、そのための活動委員会などを合同で設置します。

この際、従業員エンゲージメントの高い従業員を選ぶことがポイントです。

熱意に満ち溢れている従業員や、高いパフォーマンスを発揮している従業員などは、エンゲージメント率が高いと判断できます。

そして、エンゲージメント・レベルとパフォーマンス・レベルが高く、今後も継続して働いて欲しい、他の従業員もこうであって欲しいと思われる実際の従業員を、職種・職位ごとにモデルケースとして何名かピックアップし、彼らを以下のような要素において情報収集・分析します。

既に人事部にある情報を活用するだけでなく、個別のインタビューやアンケートで協力してもらっても良いでしょう。

  • 職務内容
  • 給与・報酬レベル
  • 職務経歴(社内・社外)
  • スキル
  • 過去3年分のパフォーマンス(人事評価の内容・結果)
  • 自分のパフォーマンスを向上・維持するために何を考え、どんな行動をしているか
  • この会社・組織全体のパフォーマンスや業績を最大化するため、誰と何を話し、どんな行動をしているか
  • この会社・組織に感じる愛着、魅力は何か、またその逆の要素は何か

こうした情報収集・分析の結果を整理し、さらに上記の活動委員会が従業員に期待する要素を加えて、望まれる従業員像である「ベストタレントモデル」を職種・職位ごとに構成します。

さらに、ベストタレントモデルの基準に近い従業員を増やしていくため、会社においてどのような点を改善していけば良いか、分析し、洗い出していきます。

こうして、従業員と企業が一体となって従業員エンゲージメントを向上させる活動を行っていくことが重要です。

対策10:エンゲージメントを測定して、常に現状把握と改善を行う

従業員エンゲージメントの向上には、常にエンゲージメントを測定して、現状を把握・分析し、企業と従業員の関係改善を図る必要があります。

エンゲージメント向上は、長期間にわたり継続して実施する取り組みであるため、定期的に従業員エンゲージメントをサーベイ(現状把握のために行われるアンケート)することによって、数値として可視化され、改善へと取り組むことができます。

また、サーベイは定期的に実施することが重要で、どの程度取り組みが進んでいるのか、従業員の意識に変化が生まれているか、など、会社の状況を定点観測することができるでしょう。

定期的なサーベイによって、常に従業員エンゲージメントの状況を観察し、PDCAを回しながら、長期間継続して改善を進めていくことが重要です。

従業員エンゲージメントを高めても、不正をする人員は100%は防げない!疑わしい重要人物の調査なども時には行う決断も重要!

従業員エンゲージメントを高めることは、内部不正防止に有効ですが、あくまで内部不正が起きにくくすることはできても、100%内部不正を起きないようにする事は難しいと言えます。

そのため、従業員エンゲージメントを高める施策を行いながらも、機密情報を取り扱っている部署の人間や、重要ポストの人間、社内で怪しい・不審な動きをしている人間については、時にはしっかりと行動や素性、反社会的勢力との繋がりなどを調査することも重要です。

主にこういった調査は探偵事務所などに依頼するのが一般的です。

このように従業員を信じることも重要ですが、何か経済的事情や、交友関係などの影響ですぐに変わってしまうのが人間です。

一度内部不正が起きてしまうと、企業がいままで積み上げてきた社会的信用や同時に売上や取引先などを一気に失ってしまう事にもなりかねません。

そうならないためにも、疑わしい人物がいる場合には、しっかりと企業の内部調査をすることも重要と言えます。

従業員エンゲージメントを高めて不正のない会社に!100%防げる訳ではないので、リスクヘッジもしっかりと!

従業員エンゲージメントを高めることで、従業員満足度も同時に高まると言えます。

会社に対する愛着や信頼感があって、自発的に会社に貢献しようという社員が、不正を行う理由はありません。

したがって、従業員エンゲージメントを高めることが、不正をなくす一番の近道であり、正道であると言えます。

今回ご紹介した代表的な10の対策のうち、できるところから実践し、長期的なスパンで従業員エンゲージメントを高めるように継続して努力することで、不正のない、活気に溢れた良い会社にしていきましょう。

一方で、それで内部不正が100%起きないという事ではないので、合わせて、疑いのある社員の調査を行うなど、リスクヘッジもしっかりとしておきましょう。

探偵事務所SATでは、企業内部における疑わしい人物の素性(本当の経歴、過去の犯罪歴など)行動や素行、交友関係、反社会的勢力とのつながり、などを調査することが可能です。内部不正は起きてからでは遅いので、もし疑わしい人物がいる場合には、当事務所までご相談ください。

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