【投稿日】 2023年1月27日 【最終更新日】 2023年2月3日

夫婦間の悩みとして多いのが「不倫」。

若い時の不倫は勿論ですが、熟年になってからの不倫も多いのが現状です。

そんな熟年不倫が発覚した時に慰謝料や財産分与がどうなるのか気になるという人は多いのではないでしょうか。

今回は、熟年離婚をする際には、どのくらいの慰謝料をもらえるのか、財産分与の仕組みはどのようになっているのか、などについてご紹介していきます。

熟年離婚の原因別慰謝料相場

熟年離婚時の慰謝料相場は50万~500万と非常に幅が広く、原因ごとに確定する金額が異なります。その経緯や原因について、詳しく見ていきましょう。

一般的な離婚の原因で、慰謝料をとることができるものは以下の通りになります。

離婚の原因 慰謝料相場
相手の不倫や浮気 約100万円〜500万円
DV(ドメスティックバイオレンス) 約50万円〜300万円
モラルハラスメント 約50万円〜300万円
悪意の遺棄 約50万円〜300万円
セックスレス 約100万円〜300万円

相手の不倫や浮気:約100万円〜500万円

不貞行為、つまり不倫や浮気が原因で離婚する場合には多額の慰謝料を請求することができます。

不貞行為は、民法770条に定められている法定離婚事由です。

また、不貞行為については、最高裁判所による以下のような判例が存在します。

民法770条1項1号の不貞な行為とは、配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わない。

不貞行為の内容や期間、婚姻期間によって慰謝料は増減します。

この幅は約100万〜500万円とされています。

不貞行為を原因として慰謝料を請求する場合には、証拠集めをしっかり行わなければなりません。

探偵を雇って浮気相手と一緒にいる写真や動画などを入手したり、不貞行為が行われているという確固たるメールなどのやり取りの収集などが必要です。

決定的な証拠があればあるほど、慰謝料請求を有利に進めていくことができるでしょう。

DV(ドメスティックバイオレンス):約50万円〜300万円

DV、ドメスティックバイオレンスは、配偶者などの親密な関係にある者から振るわれる暴力のことです。

DVには、殴る蹴るなどの身体的DV、暴言や無視などの精神的DV、生活費などを与えない経済的DV、外出禁止や身柄の拘束などの社会的DV、性交渉を強制するなどの性的DV等に分類されます。

DVを理由に離婚する場合には、慰謝料の請求が認められますが、その度合いによって慰謝料の請求額が異なることを覚えておきましょう。

慰謝料相場は50万~300万程度と言われていますが、DVがあまりにひどく、後遺症にあたる症状が残る場合にはもっと要求できることもあります。

モラルハラスメント:約50万円〜300万円

モラルハラスメントとは、精神的・暴力的発言や嫌がらせを行う行為のことで、略して「モラハラ」と呼ばれます。

モラハラは主に、倫理や常識を超えた嫌がらせが該当します。

熟年夫婦に良く起こるのが、長年にわたっての相手の言動や行動が許せなくなり、相手の性格や生活習慣に対して暴言を吐いたり嫌がらせをしたりする行為です。

モラハラの難しいところが、DVと違って証拠が押さえにくいところにあります。

精神的なものが主になる為、「嫌だと感じた」ならばモラハラに該当してしまうのです。

何気ない言葉でも傷ついたと感じればモラハラに該当し、その立証が難しいものです。束縛や洗脳もモラハラにあたります。

こちらも、きちんと証拠を押さえて慰謝料請求に持って行くことが重要です。

相手の発言を録音しておくなどの証拠集めによって、慰謝料請求額が変わってくることを頭に入れておきましょう。

悪意の遺棄:約50万円〜300万円

悪意の遺棄も、不貞行為と同じく民法770条に規定された法定離婚事由の1つです。

民法752条に定められている「同居の義務」「協力義務」「扶助の義務」において、正当な理由なく悪意を持って遺棄することが該当します。

裁判で認められた「悪意の遺棄」については次のような事例があります。

  • 配偶者よりも浮気相手を優先して一方的に連絡を遮断し、生活費なども送らない。
  • 配偶者に障害があるのにもかかわらず放置し、生活費を与えない。
  • 事前に相談や連絡をせずに一方的に連絡を遮断し、別居を継続している。
  • 不貞行為が発覚した途端連絡を遮断し、配偶者からの話し合いも拒否し続けている。
  • 配偶者が働けない状況下にあるのにもかかわらず、意図的に生活費を与えない。

夫婦間にある同居や協力、扶助を意図的に拒絶する行動が悪意の遺棄にあたります。

しかし、単に別居して生活費を送っている場合などは悪意の遺棄として認められない場合があります。

別居することで配偶者の生活を脅かす場合などは、慰謝料請求が可能です。

その場合の請求額は、約50万~300万円とされていますが、熟年夫婦の場合、遺棄されていた期間が長くなるのでそれ以上に請求できる場合もあります。

セックスレス:約100万円〜300万円

セックスレスとは、「特に事情なくカップルや夫婦における合意した性交渉が1ヶ月以上行われず、そのあとも長期にわたって行われないと予想されるもの」と定義されています。

セックスレスを原因とした慰謝料請求は、その事情を考慮したうえで行われるのが一般的です。

例えば、婚姻期間やセックスレスの期間、セックスレスの理由、どちらかが性交渉を希望しているかなどです。

若い夫婦の場合には1年以上のセックスレスで慰謝料請求が認められますが、熟年夫婦の場合、長年のセックスレスや双方とも性交渉を望んでいなかったときには慰謝料が請求できません。

従って、0円ということもあり得ます。

慰謝料請求ができない原因もあるので注意!

熟年離婚を希望していても、慰謝料請求が出来ない場合もあります。

それは、性格の不一致が原因の場合、重度の精神障害がある場合、自分にも非がある場合、信仰・宗教の違いがある場合の4つが挙げられます。

これらは離婚原因が相手に一方的にある場合とは判断されないため、慰謝料請求までに至りません。

離婚の際にはその原因をしっかり認識しておきましょう。

熟年不倫における財産分与のとりわけ

熟年夫婦における財産分与は、慰謝料とは別に取り分ける必要があります。

婚姻生活中に夫婦で協力して貯めた財産を離婚の際にはそれぞれの貢献度に応じて分与していかなければなりません。

財産分与は、あくまで「夫婦期間中に築いた財産」のみとなるので気を付けましょう。

財産として認められるものは以下の通りになります。

  • 現金
  • 不動産
  • 家財道具
  • 夫婦で加入した保険
  • 夫婦で購入した株
  • 退職金
  • 年金
  • 夫婦生活のために借りた借金

相手の名義で購入しておいたものであっても夫婦間の財産であると認められます。

ただし、結婚前に購入して使用していたものなどについては共同財産とは認められないので注意しましょう。

婚姻期間に夫婦で築いた財産は、特別な貢献がなければ基本的には半分ずつで分配されます。

専業主婦であったとしても、原則として50%の分配を受けることができるということです。

不倫された側なので財産分与は多く貰えるはずだと思っている人も多いかと思いますが、基本的には財産分与と不倫の慰謝料は法律上では別問題として扱われます。

財産分与というものは、あくまで結婚生活中の財産を分けるための制度であり、そこに不貞行為による影響は及びません。

ほとんどの場合が財産は半分ずつ分配されるということを覚えておきましょう。

熟年不倫による慰謝料の請求方法

熟年不倫による慰謝料請求の手順や財産分与のための手続きなどはどのように行えばよいのでしょうか。

大まかな流れは次の通りです。

それぞれのポイントを解説していきます。

STEP1:話し合い

不貞行為が発覚した場合にはまず相手との話し合いを行いましょう。

離婚を希望している場合には、その旨を伝え、離婚条件を出していきます。

この時に、慰謝料請求や財産分与を行いたいということも伝えておかなければなりません。

特別な貢献がない場合には、財産分与は基本的には50%ずつの分配になる為、そのような分け方をするべきだと考えている旨も伝えましょう。

話し合いの際に気を付けたいことは、熱くなって相手を執拗に攻めてしまう事です。

それによって相手も意固地になり、慰謝料請求を拒否する場合もありますので、できるだけ冷静に「こういう状態で、こういう証拠があるので慰謝料はこのくらい請求します」という話し合いをするようにしましょう。

話し合いをしても相手が納得しない場合には、弁護士に相談する必要があります。

慰謝料の相場をしっかり弁護士から説明してもらったり、相手にも弁護士を立てることを勧めたりしても良いでしょう。

もし相手に会いたくない場合には、代理人として弁護士をたてて話し合いを進めていくことも可能です。

STEP2:協議離婚書の作成

離婚の話し合いを進め、お互いの合意が確認できたら離婚協議書(協議離婚合意書)の作成に進みましょう。口頭での約束では立証できません。

特に、慰謝料や財産分与、養育費などがかかる場合には必ず証書の作成が必要になります。

公正証書にしておくことで、相手が不払いや踏み倒しなどをしようとしても相手の資産や財産を差し押さえ、取り立てができるようになります。

STEP3:離婚調停の申し立て

熟年離婚の場合、慰謝料も財産分与も高額になることが予想されるため、夫婦が自分たちだけで話し合っても合意に至らないケースが多くなります。

合意に至らず、どちらも引かない場合には、家庭裁判所で離婚調停の申し込みをしなければなりません。

離婚調停を行うことで、調停委員に入ってもらい、話し合いを進めていく形になります。

慰謝料や財産分与についても、調停委員会から提示されるため、客観的かつ中立のものとして受け入れやすくなります。

その条件でお互いに納得することで調停が成立して離婚となります。

STEP4:離婚訴訟をする

調停でも合意しなかった場合には、裁判によって離婚や慰謝料、財産分与の問題を解決していかなければなりません。

離婚裁判を行い、慰謝料請求と財産分与の訴えを進めていくには、提訴する段階で細かい請求を立てておかなければなりません。

訴訟によって夫婦の財産である証明をしっかりと行うことで裁判所が財産分与の計算を行い、判決によって支払いを命じてくれます。

不貞行為が証明できた場合にも、裁判所から相手に支払いの命令を出してくれるという形になります。

法律に則り支払いを命じられるため、相手は基本的に拒否することができません。

実際の慰謝料請求の事例

実際に不貞行為が原因で慰謝料請求をし、いくら獲得できたのかについての事例を紹介していきます。

目安と参考にしてみて下さい。

事例1 結婚歴25~30年、子供アリ。
夫の浮気が発覚し、浮気相手の同僚の女性に対して慰謝料を請求。
150万円の慰謝料を獲得。
事例2 結婚歴16~20年、子供アリ。
夫の浮気が発覚し、離婚をせずに夫と浮気相手を別れさせるため、不倫相手の女性に慰謝料を請求。
150万円の慰謝料を獲得。
事例3 結婚歴26年~30年、子供なし。
メールなどの媒体から不倫関係が発覚し、夫と不倫相手の女性に対して慰謝料を請求。
100万円の慰謝料を獲得。
事例4 結婚歴27~31年、子供アリ。
夫と不倫相手が半同棲生活を送り、不倫関係にあることが発覚。
夫と女性に対して慰謝料を請求。
200万円の慰謝料を獲得。
事例5 結婚歴26~28年、子供アリ。
職場の女性と夫の浮気が発覚し、子供の精神的損害が見受けられたため離婚し、慰謝料を請求。
150万円の慰謝料を獲得。

このように、熟年不倫による慰謝料を請求で獲得している事例はかなり多くなっています。

確実な証拠集めが非常に大切なことがよくわかります。

慰謝料相場や財産分与は場合によって異なる!

長年生活を共にした配偶者の不倫が発覚すると精神的にも大きなダメージになることが想定されます。

慰謝料の請求がどこまで行えるのか、どのように財産分与は行われるのかなど悩みは尽きません。

離婚原因である不貞行為がどういうモノで、どのくらいの期間行われていたかによって請求できる慰謝料は変わってきます。

財産分与に関しては、慰謝料とは別物と考えられるため、原則で共有財産の半分ずつ分配するものだと覚えておきましょう。

慰謝料の請求や財産分与に関しては、状況によって変わるものがありますので、一人で全て抱え込もうとせず、専門家である弁護士に相談したり、調査を探偵事務所に相談するのが望ましいと言えます。

熟年不倫の慰謝料請求に関する調査は探偵事務所SATまで!

熟年不倫の慰謝料請求の場合、大切なのは裁判で有効な証拠と、正確な財産調査です。

慰謝料請求においては、証拠の有無が大きく金額などに影響を及ぼします。

そのため、まずは相手の不倫が原因であるという証拠を収集しておくことが何より大切です。

また、熟年不倫による離婚の場合、若い世代に比べるとお互いに作ってきた財産も多く、それらを適切に分配するために調査が必要になります。

熟年不倫による離婚で精神的ダメージを受けただけではなく、さらに金銭的にも損をしないためにも、証拠の収集や、財産調査はしっかりと行っておきましょう。

探偵事務所SATでは、熟年不倫に関する証拠の収集や、財産調査依頼を承っております。

熟年不倫による慰謝料請求などにお悩みの場合は、一人で悩まず、まずは探偵事務所SATまでご相談ください。

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