【投稿日】 2022年8月27日 【最終更新日】 2022年9月4日

会社の経営をしている場合、あるいはマネジメント層に就任した場合、部下や社員の副業の実態が気になることがあるかも知れません。

従業員の住民税に注目することで、当人の副業の実態が明らかになることがあります。

本記事では、住民税やそれにともなう決定通知書から副業を見分する方法について紹介します。

社員の副業を見抜くには住民税に鍵がある!そもそも住民税とは?

結論から述べると、従業員が副業をしているかどうかを知りたいのであればその方の住民税について調べることで解決します。

一般的に住民税の支払い手続きに伴い、決定通知書というものが自治体から企業に配布されます。住民税の実態を把握し、個々人の副業がどうなっているか知りたいのであれば、この決定通知書を判断材料とします。

住民税とはどんなもの?

住民税とは、地方税の一種であり、わかりやすく言えば、住んでいる市区町村の公的費用を分担するために収入額に応じて支払うものです。

住民税は基本的には、市町村などの自治体が賦課徴収します。

賦課徴収とは?

  • 税務署や自治体が税額を判断する課税方式のことを賦課課税方式といいます。
  • 税額の判断には、国税庁への相談や調査を介すことがあります。
  • 税額が決まると、納税者には通知書が送られます。
  • 上記手続きが行われて徴収するタイプの税金を賦課徴収といいます。
  • 代表的なところでは、住民税・固定資産税など地方税、加算税・過怠税など国税が該当します。
  • 主に商用目的関係ではない税金に対して適用されます。
  • 税額を決める自治体に不備があると、実態に反する税額を要求される「過払い」のようなトラブルが問題となることも。

所得税は、納税する人が自ら計算したりして、国に対して収める税金です。

一方で、住民税は所得税と違い、税金を収められる側の自治体が所得額・税額を計算して納付書を納税者に送ります。納付書を使い、個人で住民税を納めることになります。

住民税の計算には均等割と所得割が適用される

毎年6月ごろから納付が始まる住民税ですが、税額の計算が所得税の計算方法である「所得額×税率」とは異なります。

住民税の計算方法は「均等割」と「所得割」の2つがあり、詳しくは以下のような形をとります。

住民税の計算方法って?

  • 均等割:所得額がある一定以上の額となる場合に課される税額が決まった額となる計算方法。2022年における最新の状況では5000円で、内訳は都道府県民税1500円+市区町村民税3500円
  • 所得割:住民税を、前の年の所得額に応じて決める方法で、税率は10%

社員の副業を見抜く時は「特別徴収」に注目!

本章では「果たして住民税に対してどのようなアプローチをすれば副業を見定められるのか?」というテーマで問題に向き合う場合に知っておくべき、「特別徴収」について解説します。

住民税の徴収方法は2種!「特別徴収」の場合に副業があるかどうかわかる!

住民税の徴収方法は「普通徴収」と「特別徴収」の2種類があります。

  • 普通徴収:納税する人が自分の力で住民税を支払う(納付する)方法
  • 特別徴収:給料や公的年金から天引きされる形で支払われる

企業に属している場合は特別徴収により、本人が感知することなく自動的に納税されているようなケースが多くあるため、住民税についての認識を持てていない人もよく見受けられます。

しかしながら、この特別徴収により従業員が副業をしているかどうかがわかってしまうのです。

特別徴収の場合には翌年から「住民税決定通知書」が会社に届くようになる

企業側の業務のひとつ「年末調整」では、業務プロセスのひとつに従業員など給与を支払って差し上げている相手が居住する自治体に「給与支払報告書」を提出するというものがあります。

同プロセスでは、次年度の住民税徴収方法を選択することになります。

ここで「特別徴収」を選ぶことで、次の年の6月以降の住民税決定通知書が企業に届くようになります。

通知書の内容に従って、企業側は従業員の代わりに給与から住民税を天引きして納めるのです。

この決定通知書は、納税者自身が行う確定申告によっても発行されるようになります。

確定申告書には第二表というページがあり、ここに「住民税に関する事項」という欄があります。その中から、「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」の項目で「特別徴収」に納税者自身が◯をつけて確定申告書を完成、提出することで、納税者が務める企業へ「副業での収入も加味された所得税の額がわかる住民税決定通知書」が届くことになります。

このようにして、自社の社員が副業をしているかどうかが判明します。

副業の実態が知りたいなら住民税決定通知書のここを見よ!

企業側が従業員の副業事情について知りたい場合、特別徴収に関わる情報が記載された住民税決定通知書を参照することで、判明の一助となることがわかりました。

では、具体的に住民税決定通知書のどこを見れば副業が分かるのでしょうか。

主にみるべきポイントは次の3点です。

【ポイント1】前年度と比べた住民税額が多いかどうか?

まず、当年の住民税決定通知書と前年度までなど以前の通知書を比較します。

この際に見るべきポイントは、それぞれの通知書における住民税額の差です。

もし副業の可能性がなかった年度よりも、可能性がある年度における住民税額が上がっていた場合、もしくは前段落までに解説した計算方法と照らし合わせて結果に加減が見られる場合に、その予想が当たっている可能性があります。

ただ、住民税額の多寡をそのまま副業の実態・証拠として直結させることはできませんので、ご注意ください。

その理由として住民税額が増える要因は、納税者に何らかの収入があった場合などあらゆるケースが考えられるためです。

中途採用の人の場合、前職における退職金がそれなりの額だったのかも知れませんし、相続によって財産や土地の承継を受けたのであれば、そちらも住民税増加の理由となります。さらにWワークを認めているのであれば、そちらの給与も住民税増加の原因です。

【チェックポイント2】どの所得が増えると副業の可能性があるか?

住民税決定通知書の中で所得税や住民税を納付するために参照される部分、つまり課税対象となる部分を知っておくことで「この所得が増えているから、副業をしている可能性がある」と見抜くことができます。

本項では課税対象所得について紹介します。通知書における課税対象所得とは以下の10項目です。

不動産所得 賃貸料収入(例:アパート・マンション・駐車場・テナントなど)
事業所得 個人事業主としての収入(例:出店・農業・フリーランスなど)
雑所得 上記・下記すべてのどれにも含まれない収入(例:年金・非営業用貸金の利子・原稿料・講演代・仮想通貨/暗号資産売却収入など)
利子所得 預金/貯金・公社債における利子による収入
配当所得 株式の配当や投資信託の分配金などによる収入
給与所得 正社員・派遣社員・アルバイト・パートとして支払われる給料・賞与
退職所得 退職金・iDeCo・小規模企業共済で一時的に受け取る収入
山林所得 5年超保有した山林を伐採・売却するなどして得た収入
譲渡所得 不動産・金・美術品・株式など財産の売却による収入
一時所得 懸賞金・ふるさと納税による返礼品・生命保険の満期返戻金などによる収入

前半で強調した3項目が、副業があるかないかにより変動する項目です。

事業所得なんかはフリーランスで劇的な利益を得た場合、飛び抜けた額となる可能性があります。損失が生じた場合も同じです。赤字計上が増額したことで、全体の所得が少なくなった結果、所得税が極端に少なくなることも考えられるでしょう。

配当所得や譲渡所得は株式が関わるため、変動する要因が多い項目です。特に譲渡所得は自己が保有する不動産などを売却しても変動するので、副業のあるなしを見定めるための判断材料とはしづらくなります。

【チェックポイント3】所得額・住民税額の極端な少なさ

損益通算を行うと、所得額と納税額が減り、ここにも副業の可能性を見出せることがあります。

損益通算とは、各種ある所得のうち、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得における損失(赤字)を、総所得金額、退職所得金額あるいは山林所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除(他項目の黒字と相殺)することです。

本件をチェックするには、まず所得欄のうち事業所得や不動産所得に目を向けましょう。

これらが赤字の場合、副業をしているかもしれません。

また、副業による税金の増加を抑えるために、ふるさと納税の額を大きくしていたり、ふるさと納税の控除額を多くしている場合も考えられます。この場合「税額控除前所得割額」を確かめて、例年よりも大きいと判断された場合は副業を疑うことができるかも知れません。

副業があるかどうか気になった時はまずこんなことから始めよう!!

もし仮に従業員の副業が明らかにできたとしても、いきなり当人に追求し始めるのはあまりにも早計な行為です。

その理由として第一に、副業という行為が法的に何の問題もないものであることが挙げられます。

仮に雇用主側がどれだけ圧力をかけ、就業規則で副業を禁じて従業員を縛り付けたとしても、実質的には何の法的強制力もなければ根拠ともなりません。

そのため、副業をめぐり係争に発展したとして、副業が発覚した当事者には本来何の瑕疵もなく、逆に副業を追求する側には何の大義名分もなければ、勝てる見込みなどそもそもないということを雇用主として肝に銘じておきましょう。

そもそも会社側が副業を喜ばないとわかっているにも関わらず従業員が副業に及ぶ場合、会社側が考慮してあげるべき生活上の金銭的障害といった要因を従業員が抱えていたり、正当な給与支払い・福利厚生の提供をしていないなど会社側に問題がある・従業員の実態を十分に把握できていないケースがほとんどです。

それでも従業員の副業について、追求したい場合には以下のことから始めてみましょう。

<1>社内における副業に関する規則を再確認

従業員の副業が気になるのであればまず就業規則の確認に立ち返りましょう。雰囲気だけで「副業禁止」などというムードを管理職が演出していたとして、それは単なるパワーハラスメントに過ぎません。

就業規則がどのように解釈できるかは人によって異なることもあります。副業が全面的に禁止していると読み取れるのか、そうではない就業規則なのか程度は最低限把握すべきです。

また不動産などを相続する場合、本人が望むと望まざるに関わらず賃貸経営の役割を得てしまっている場合もあります。そもそも不動産のような財産を指して副業であると指摘し、何らかの強制力を及ぼそうとする権利など企業側は持っていません。

<2>所得項目増減の本当の原因を確かめる

前章でも解説したように、「この項目が増減しているから、絶対に副業をしているんだ!」などと直ちに決めつけることなどできません。

所得増減の理由には、やむを得ない事情を従業員が抱えていたためかも知れなければ、退職金など単純に正当な対価を得ただけというようなあらゆるケースが考えられるためです。

どうしても気になるのであれば、雇用側の権限を逸脱せず、相手の人権を侵害しない範囲で当人に質問してみることも手の一つです。社員がSNSを利用している場合、チェックしてみると何らかの可能性が浮き彫りになることもあります。

<3>マイナンバーを情報照会に使うのは注意!

企業が把握した社員のマイナンバーを使って、自治体や税務署に何らかの情報照会をしようとしても応じられることはありません。正当な理由ではないからです。

仮に軽い気持ちでマイナンバーを使って個人情報を掌握しようとしたのであれば、会社の評判を落とすことに直結するでしょう。

社員の副業を知りたいなら住民税決定通知書の特別徴収に注目すれば見破れる!

社員が副業をしているかどうかが気になった場合、その可能性を探る一助として住民税に注目することが挙げられます。

社員の住民税について把握するには、会社に届く住民税決定通知書を利用します。通知書には特別徴収という項目があります。特別徴収に関わる項目は3つあり、その増減によって、その社員が副業をしているかどうかの判断をすることができます。

副業をしている社員が「普通徴収」で住民税を納めている場合には、探偵事務所などの調査が有効!

基本的に副業をしている社員が「特別徴収」という支払い方法を確定申告の際に選択していた場合には、これまでの方法で副業を暴くことができますが、「普通徴収」で納めていた場合には、特に会社の住民税の額などに影響しないため、経営者や経理担当者が気づきにくくなります。

基本的には、特別徴収で確定申告すると会社にバレるということが、ネット上の記事などで公開されているため、会社に内緒で副業している方の多くは、普通徴収で住民税を支払っています。

普通徴収で納めていた場合には、経営者や経理担当者が副業を見破るのは至難の技です。

こういったケースには、自分で暴くのではなく、探偵事務所に調査を依頼するというのが有効です。

副業をしている社員の多くは、普通の社員にはない交友関係を持っていたり、会社から退社後に副業に出かけたりする人がほとんどです。

しかし、怪しいと思って経営者などが個人で調査をする個人情報保護法違反になってしまう可能性があります。

そういった個人について普通以上に深く調査できるのが探偵事務所です。探偵であれば、探偵業法に基づき、怪しい社員の行動や交友関係、副業を行っている証拠などを徹底的に調査することが可能です。

もし、「副業しているみたいだけど、住民税は特に変化がない」という疑わしい社員がいた場合には、探偵事務所SATにご相談ください。メールやお電話にてご相談を受け付けております。

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