【投稿日】 2021年11月16日 【最終更新日】 2022年10月27日

人を脅すことで恐怖心を与えることを指す脅迫。

知人や友人とのトラブルが発展して脅迫されるケースだけではなく、近年ではネット上で脅迫文が書き込まれるケースが後を絶ちません。

脅迫を受けたら警察に相談するのが解決への近道ですが、「脅迫では警察は動かない」と思っている人が一定数存在します。しかし、それは大きな誤解を含んでいます。

そこでこの記事では、そもそも脅迫で警察に相談することができるのかという疑問や脅迫で警察に立件してもらうために必要な事について解説いたします。

そもそも脅迫で警察に相談することは可能?罰則はあるの?

脅迫は刑法第222条に定められている犯罪です。

起訴されて有罪となれば二年以下の懲役または三十万円以下の罰金が科せられます。

このように、脅迫は罰則がもう消されている立派な犯罪です。

そのため、脅迫をされた事実がある場合は警察に相談しましょう。

そもそも脅迫とは、「生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して脅迫すること」を指します。

脅迫の対象範囲は本人または本人の親族です。

つまり、「お前を殺すぞ」という発言はもちろん、「お前の息子を殺すぞ」という発言も脅迫に当てはまるということです。

しかしその一方で、「恋人を殺してやる」「友人に危害を加える」と言った発言は脅迫罪が成立しません。

また、脅迫罪は強要罪のように「未遂罪」がありません。

つまり、害悪を告知した時点で相手が恐怖を感じたかどうかに関わらず脅迫罪が成立するということです。

脅迫を受けたら最寄りの警察署に相談!

脅迫を受けた場合は最寄りの警察署の担当部署に相談しましょう。

実際に大阪府警察では、脅迫で警察に相談する際は緊急の場合を除いて事前に連絡してから警察署に出向くことを推奨しています。

あなたが、脅迫等何らかの犯罪被害にあっているとお考えならば、「1 証拠を保全する」で説明する資料を準備し、平日(午前9時00分から午後5時45分)にあなたの住所地を管轄する警察署に事前に連絡の上相談に行かれてはいかがでしょうか。また、あなたの身に直接危害が及ぶおそれがあり、緊急の場合は、すぐに110番通報してください。

もしも、「脅されたけれど脅迫に当てはまるかどうかわからない」という場合は警察相談専用窓口「#9110」に電話をかけて相談すると、警察の視点から適切なアドバイスを受けることができます。

脅迫で警察に立件してもらうために必要な事とは?

脅迫の被害に遭った場合は警察に相談することが可能ですが、場合によっては警察が脅迫罪として立件できない場合があります。

一部で「脅迫では警察は動かない」と言われているのはこのためです。

そもそも日本の法律には「疑わしきは罰せず」という原則があり、警察もこの原則に則っています。

そのため、脅迫を行ったとされる人物が脅迫を行ったことが99パーセント明白であっても、100%でなければ処罰することができないということです。

警察に脅迫が事実であることを100%証明するためには必要な事が3つあります。

  • 必要な事1:客観的証拠
  • 必要な事2:悪質性が確認できる情報
  • 必要な事3:加害者の情報(分かっている場合のみ)

必ずしも上記3つすべてが必要という訳ではありませんが、警察に相談する前にできるだけ証拠や情報を集めて提出することができれば警察は立件しやすくなります。

必要な事1:客観的証拠

警察に脅迫を立件してもらうために必要な事のうち、特に重要となるのは客観的証拠です。

客観的証拠とは、犯行の裏付けとなる証拠のことを指します。

客観的な証拠がなければ、警察は「疑わしきは罰せず」の原則により立件することが難しくなってしまいます。

脅迫の場合、客観的証拠に当てはまるのは以下のようなものです。

  • 相手から脅迫されている最中の録音・録画テープ
  • 相手から届いた脅迫メール、LINE、文書
  • 相手がネット上に書き込んだ文章のスクリーンショット
  • 相手から脅迫されているところを目撃した人の証言

ネットの掲示板やSNSなどで脅迫された場合、サイトの管理者が不適切な投稿であると判断すると投稿が削除され、見ることができなくなってしまう場合があります。

また、LINEなどで脅迫メッセージが送られてきた場合も送信取り消し機能によって見られなくなる可能性があります。

掲示板、SNS、LINEなど、投稿内容が削除できる媒体に書き込まれた脅迫メッセージについては、速やかに書き込まれた日付と時刻が分かるようなスクリーンショットを撮影し、保存しておきましょう。

必要な事2:悪質性が確認できる情報

警察は、脅迫された本人が恐怖心を感じていたとしても、脅迫を行った人物の言葉が客観的に見て人に恐怖心を与えるほどの悪質性はあるかどうかや、普段の被害者との関係性や態度などを総合的に判断して立件するかどうかを決定します。

例えば、仲の良い友人同士のじゃれあいで「殺すぞ」と発言したとしても脅迫罪と認められるケースはほとんどありません。

一方で執拗に執着してくる人物や、普段から暴力的な人物から「殺すぞ」と言われた場合は客観的に見て相手に恐怖心を与え、悪質性が高いと判断される可能性が高いです。

このように悪質性の高さも警察が立件するかどうかを判断する1つの材料となります。

警察が悪質性を確認するためには、どのような状況でどのような人物に脅迫されたのかを確認できる情報が必要です。

上記の客観的な証拠と合わせて、詳しい状況を口頭で説明できるようにまとめておきましょう。

必要な事3:加害者の情報(分かっている場合のみ)

加害者の氏名や住所が分かっている場合は、客観的証拠や悪質性が確認できる情報と併せて警察に提出しましょう。

加害者の情報が分かっていれば、警察は動きやすくなります。

ただし、知人や友人に脅迫された場合は加害者の情報を取得しやすいものの、ネット上で脅迫された場合は発信者情報開示請求を行う必要があるため、簡単には加害者の情報を取得することができないのが現状です。

しかし、もし加害者の情報が分からない場合でも悪質性が高いと認められれば警察は捜査を開始します。

警察に相談する場合はできる範囲で情報を集めるようにしましょう。

脅迫の立件には客観的な証拠の有無が重要!

上記の警察が脅迫を立件するために必要な3つの事から分かるように、脅迫を立件するためには脅迫の事実を証明する客観的証拠がとても重要です。

前述した通り、「脅迫では警察は動かない」と一部の人々に思われている理由は客観的証拠不十分により立件できないケースがあるからです。

客観的証拠が不十分であるということは、脅迫が事実であることが100%証明できないということです。

100%証明することができなければ、「疑わしきは罰せず」の原則により警察は動くことができません。

つまり、警察は動かないのではなく動けないのです。

そのため、警察に確実に動いてもらうためには客観的証拠を十分に揃える必要があります。

脅迫の客観的証拠を集める方法とは?

脅迫の客観的証拠を集める方法は以下の2つです。

脅迫の証拠を集める際はなるべく安全な方法を選ぶことが大切です。

特に危害を加える内容で脅迫されている場合は、証拠集めを行っていることに気づかれると別のトラブルに発展する可能性があります。

自分で客観的な証拠を集めることが困難であると判断した場合は探偵に依頼しましょう。

【1】自分で集める

先ほどご紹介した客観的な証拠の中には、自分で集めることができる証拠がいくつかあります。

口頭での脅迫が繰り返される場合は事前に防犯カメラや録音テープを用意しておくことで脅迫の証拠が集められる可能性があります。

ただし、脅迫を行っている相手に録音・録画していることを気づかれてしまうと別のトラブルに発展してしまうケースがあります。

無理はせず、安全に集められる範囲で証拠を集めましょう。

【2】探偵に依頼する

探偵は聞き込み、張り込み、尾行を行うことが許可されています。

そのため、繰り返し文書や口頭で脅迫が行われるようなケースでは、張り込みや尾行を行って犯人を特定し、住所や氏名などの情報を取得することが可能です。

探偵の調査の結果犯人の特定や目撃者を集めることができれば、客観的証拠を十分に揃えることができるため、警察に脅迫として立件してもらえる可能性が高くなります。

前述した通り、自分で無茶な方法で証拠集めを行ってしまうと、相手に気づかれてトラブルに発展する危険性があるため、客観的な証拠が不十分で警察に動いてもらえない場合は探偵に依頼して安全に証拠を集めましょう。

脅迫の証拠が集まらない時は探偵に依頼しよう!

ここまで、警察が脅迫として立件するためには客観的な証拠が必要であることを解説してきました。

もしも警察が脅迫で相談したのに動かなかったケースがあったとしたら、動かなかったのではなく客観的証拠がないことが理由で動くことができなかったということです。

脅迫の場合、ある程度自分で客観的証拠を集めることは可能ですが、自分で集めた客観的証拠だけでは弱いと判断される可能性があります。

そのような場合は探偵に依頼して客観的証拠の収集だけでなく犯人の特定などを行って警察に提出しましょう。

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