【投稿日】 2022年6月19日 【最終更新日】 2022年7月7日

仕事に対する言動や、職場での態度に著しく問題がある、モンスター社員と呼ばれる問題社員は、放っておけば、職場環境に重大な悪影響を及ぼします。

また、モンスター社員は対応に多くの労力を割かれるだけでなく、離職者が増えたり、職場全体の士気が下がり、業務が滞ったりするなど、企業に重大な不利益をもたらすことにもなります。

そこで今回は、こういったモンスター社員に共通する10の特徴を挙げ、彼らを合法的に退職に追い込むにはどのような流れを追えばいいのかを、解説していきます。

※注意:あくまで、労働基準法に基づいて合法的に辞めさせる流れについて解説しています。

モンスター社員に共通する10の特徴

モンスター社員には、共通する特徴があります。

ここではそれを、以下の10項目に分けて解説していくことにします。

以下、具体的な例を挙げながら、見ていきましょう。

特徴1.頻繁な欠勤、遅刻

モンスター社員は、欠勤や遅刻が多いことが第一の特徴です。

それも、当日の朝になって、突然連絡をしてきて休む、或いは連絡もなしに無断欠勤する、連絡なしに頻繫に遅刻する、といったことが多いでしょう。

遅刻や欠勤をすることで、業務に支障が出たり、社内の会議や取引先との面談に出席できなかったりすれば、周囲に多大な迷惑をかけることになります。

ところが、モンスター社員には、そのような自覚がないことがほとんどです。

そのため、何の罪悪感もなしに、遅刻や欠勤を繰り返します。

特徴2.自己中心的・協調性の欠如

モンスター社員は、周りの状況を考慮したり、場の空気を読んだりといった、協調性に欠けます。

自己中心的に物事を考えているため、他者の意見に耳を傾ける事もせず、自分が周囲に不快な思いをさせたり、迷惑をかけたりしていることにも気づけません。

自分の仕事だけを優先し、チームとしての仕事は人任せにするようなこともあるでしょう。

職場内の人間関係の調和を顧みることもないので、よくトラブルを引き起こします。

周囲とほとんどコミュニケーションを取らず、報連相ができない社員もおり、上司が把握しきれないところで取り返しのつかないミスが発生するなど、業務に重大な影響を及ぼす恐れもあります。

また、自分の考え方や判断に強いこだわりがある一方で、自分とは関係がないと判断したことに関しては、ひたすら無関心です。

そのため、何かトラブルが起きた時にも、相手の立場を考えたり、相手に対して寛容さを持ったりすることができず、自分の主張を通すことだけに強くこだわって一歩も譲歩せず、問題がこじれるといったことも起きがちになります。

しかし、彼らは自己中心的な考え方について、「自分の価値観で物事を決めて、自己責任で行動する」という正しい考え方であると思い込んでいるため、まず会社のルールを守るという意識がそもそもありません。

会社のルールに反する行為をしていても、「自己責任でやっているし問題ない」などと考えることが多いのです。

特徴3.自信過剰・他責

モンスター社員は、過度に成果を主張し、上司・部下問わず自分のことを認め、尊敬されることを求める特徴があります。

優越感で安心しておくために、自分の能力を見せつけたいという自己顕示欲や、認められ、求められる存在であることを確認するための承認欲求も強いです。

自信過剰で、自分のことを過大評価したり、自己を正当化したりする行動が多く見られ、自

分の仕事の成果を誇張して伝えたり、根拠のない自信から「自分は選ばれた人間だ」と主張し、それが認められないと感情的になって周囲を振り回したりします。

自分が有利に評価される、認められる環境を作るために、周囲をコントロールしようとするのです。

また、仕事で何かミスがあった時には、自分に非があると認めません。

上司や同僚にミスを指摘されたとしても、「ミスが起こるような環境だから」「○○の申し伝えが遅かったから」などと原因を環境や周囲のメンバーのせいにして、他を責めるといった行動が目立ちます。

常に「自分は正しい」と思い込んでいるため、上司の指導や同僚の助言に耳を傾けることがなく、むしろ会社に不満を抱くようになります。

特徴4.業務命令の拒否・不履行

モンスター社員は、上司から仕事を言いつけられたのにもかかわらず、本当は余裕があっても余裕がないからと断ったり、サボって仕事をしなかったり、自身の業務をまともに遂行しようとしません。

仕事中にスマホでゲームをしたり、ネットサーフィンをしたりと、業務に集中しない社員もいます。

一方、自分のポリシーにこだわり過ぎるあまり、敢えて上司の指示に従わない社員もいます。

上司の指示に従わなかったり、まともに仕事もせず、報連相すらしないとなると、組織で成果を出す企業にとっては、非常に悪影響を及ぼすでしょう。

また、自身がやりたくない仕事や苦手な仕事は、人に押し付けることも多いです。

こうしたことにより、周囲の他の社員の業務負荷が増大するため、放置しておくと、真面目

に業務を遂行している他の社員のモチベーションに悪影響を与える可能性があります。

特徴5.ハラスメント行為

モンスター社員は、ハラスメント行為が目立つのも特徴です。

職務上の優越的な立場を利用して、業務上必要かつ相当な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を負わせる「パワハラ」だけでなく、女性に対する性的な嫌がらせをする「セクハラ」や、妊娠中の女性に対する「マタハラ」、近年は、定時帰りや残業禁止を強制する「時短ハラスメント」や、家族の介護をしている人に対して嫌がらせする「ケアハラスメント」といった行為もあります。

相手の気持ちや立場を考慮せず、自分の考えや感情を見境なくぶつけたり、相手を攻撃したりするため、こうしたことで部下が潰されたり、退職したりしてしまうケースも珍しくありません。

一方、上司に対する「逆パワハラ」というのも存在します。

わざと上司に従わなかったり、上司に誹謗中傷したり、暴言・暴力を振るいます。

近年では、ネット上で上司を誹謗中傷するケースも多く見られるようです。

また、業務上の指導をした上司に対して、「それはパワハラではないのか」「労基署や弁護士に訴える」などと言って、上司の注意指導に応じないこともあります。

さらに、指導に応じないだけでなく、謝罪を求めたり、弁護士への相談や労基署への相談をほのめかして、慰謝料の支払いなどを求めてくる場合もあるのです。

中には、周りの同僚などに呼び掛けて、集団で無視してくるケースもあります。

モンスター社員からの逆パワハラにより、注意指導している上司の方が、精神的に疲弊し、中には精神疾患を発症し、最悪の場合には離職してしまうケースもあるほどです。

特徴6.能力不足

モンスター社員は、会社として適切に教育しているにもかかわらず、成果が出ない、ミスを繰り返す、といった行動が長期間改善されないことがあります。

能力が不足しているのに、やる気も出さず、勉強もしようとしない社員もいるでしょう。

資格取得を命じても、資格勉強の努力を一切しない社員もいます。

また、自分の能力のなさを隠そうとして、ミスを認めなかったり、隠蔽しようとしたりして、重大な過失に繋がる事もあります。

能力が著しく不足しているモンスター社員には、通常割り当てるべき仕事を割り当てることができなかったり、任せられる仕事がなかったりするため、他の職員に負荷がかかってしまい、職務が滞ったり、職場環境が悪化したりして、会社側としても対処に困ってしまうでしょう。

特徴7.無駄なおしゃべり、暴言、居眠り、不倫などの問題行動

モンスター社員は、業務中に、他の社員に対して執拗に話しかけたり、無駄なおしゃべりを延々と続けたり、他の社員に対して暴言を吐いたり、居眠りしたり、などといった問題行動も見られます。

また、職場内で不倫を繰り返すなど、社内の風紀を乱すような行動をとることもあります。

特徴8.社外での問題行動

モンスター社員は、社外での問題行動を起こすこともあります。

例えば、ギャンブル依存があって、ギャンブルを繰り返した結果、借金を作り、消費者金融から会社に連絡が入るということもあるかもしれません。

また、女癖が悪く、浮気や不倫をして会社に素行調査が入ることも有り得ます。

仕事帰りに飲んでケンカをして、相手に怪我を負わせ、会社に損害賠償請求が入るといった例もあるようです。

要するに、普段からの素行が悪い人が多いのです。

特徴9.規則違反・犯罪行為

モンスター社員は、そもそも会社の規則を守ろうという意識がない人が多いです。

或いは、規則を知りながら、それを破る社員もいます。

例えば、社内ノウハウや取引先の情報、他の社員の個人情報など、拡散してはならない情報をネット上などで拡散する、競合他社に漏えいする、などです。

こうしたことがあると、情報を拡散したモンスター社員の損失だけにとどまらず、ブランディングの低下など、会社も大きな損失を被るでしょう。

また、架空の出張費や交通費を計上して不正に金銭を取得したり、顧客から得た金銭を自分の懐に入れたりといった犯罪行為が見られることもあります。

特徴10.配偶者や親などからの要求

モンスター社員の中には、その配偶者や親などを通じて、様々な要求をしてくる者もいます。

例えば、本人の父親から「うちの子がパワハラにあってうつ病になってしまった。どうしてくれるんだ」などと電話がかかってくるケースや、本人の夫から書面が届き、「今後の連絡は本人ではなく自分宛にしろ」などと指定してくるケースです。

このような場合、この父親や夫は、法的に見れば何らの代理権も有していない場合が多く、本人の個人情報をどこまで開示して説明していいのかという問題もありますし、仮に説明しても、「本人はそう言っていないから、お前が噓をついているんだ」などと決めつけて話をされれば、話が全く前に進みません。

家族・親族は「本人は悪くない。会社や他の社員が悪い」と決めつけて糾弾するため、怒りを鎮めるために状況を理解してもらうこともできないでしょう。

モンスター社員を合法的に辞めさせる流れ

このように問題だらけのモンスター社員は、会社にとって不利益でしかありません。

では、このようなモンスター社員を辞めさせるには、どうしたらいいのでしょうか。

会社にとって社員を解雇するということは、簡単にできることではありません。

それ相応の手順が必要です。

そこで以下では、モンスター社員を合法的に辞めさせる流れについて解説していきます。

手順としては、次の7段階あります。

※注意:あくまで、労働基準法に基づいて合法的に辞めさせる流れについて解説しています。

これらの手順を踏まないと、解雇が無効になる事もあるため、注意しましょう。

STEP1:証拠を収集し、記録する

まず最初に、本人の具体的な問題行動を記録に残すことが重要です。

客観的な視点で状況を正しく把握し、どのような問題行動が行われたのか、他の社員とどのようなやり取りがあったのかを細かくチェックします。

そしてそれを全て時系列で5W1Hを整理して記録していきます。

例えば、SNS上で誹謗中傷があれば、スクリーンショットなどで証拠を残したり、暴言・暴力があれば、可能な限り録音したり動画を撮ったりするといいでしょう。

メールや書面でのやり取りは、もちろん全て残しておきます。

社員が「不当な扱いをされた」として訴訟を起こしたり、労働組合に駆け込まれたりした場合などは、社外の第三者が監査するため、その時の証拠になります。

また、本人に対して指導した記録も取っておきましょう。

後から「パワハラだ!」と訴えられないためにも、録音して、声や口調が威圧的でなかったか、指導の文言が妥当であったか、それに対して本人はどう対応したかを残しておくのです。

このような場合、相手に録音の許可を求める必要はありません。

相手の同意なしにした録音も、裁判では立派な証拠になります。

STEP2:本人に口頭や書面で注意指導を行う

モンスター社員を処分する前段階として、本人に対する注意指導は必要不可欠なものです。

注意指導は、口頭で何回も辛抱強く行うことから始めます。

口頭での注意指導は、問題行動の後すぐに行うことが、最も効果的です。

その理由は、発生した問題行動をすぐに注意せず、時間を置いてから注意すると、よほど客観的な証拠が存在していない限り、「私はそんなことはやっていません」と言い逃れをする可能性があるからです。

注意指導の対象となる行為は、必ずしも客観的な証拠が残るものではありません。

このような場合、口頭での指導を行った上、その指導の状況を録音しておく、または指導内容やその際の本人の態度などをタイムリーに記録しておくことで、問題行動を取ったことの一つの証拠になります。

口頭の他、メールや、LINEなどのチャットツールで注意指導を行う場合もあります。

メールやチャットツールの良いところは、比較的速やかに注意指導ができることと、送った日付、時間、内容が記録され、それに対する相手からの返答内容も同時に記録されることです。

もっとも、チャットツールによっては、過去のやり取りを編集・削除できるものもあるため、送信取消などによって証拠隠滅が図られる可能性もあります。

そのため、モンスター社員とのやり取りの記録は、スクリーンショットでの保存や、トーク履歴の保存などによって、その都度残しておくようにしましょう。

口頭やメール、チャットツールなどでの注意指導を繰り返しても改善されない場合は、次の手続きを想定し、書面による注意指導を行います。

書面での注意指導の際には、注意指導の内容のほか、当該問題行動が就業規則の服務規律に違反している旨を付け加えておくと、注意指導の理由が明確になります。

これは、企業としてモンスター社員に注意指導をして、改善の機会を与えた、という事実を証拠として残す方法としても有効です。

また、注意指導書を交付する際、合わせて、自らの行動の改善点等を検討させて提出するよう指示することも有益です。

実際に提出されれば、社員の態度も明らかになりますし、提出を拒否したとすれば、その態度自体が次の手続きへの根拠となります。

STEP3:始末書や誓約書を提出させる

何度注意指導を行っても改善が見られない場合には、モンスター社員に始末書や、今後問題行動を行わないことを約束させる誓約書などを提出させます。

こうした始末書や誓約書を提出させることで、モンスター社員による問題行動の事実について、当該モンスター社員自身が認めたことの証拠にもなります。

これらについて、モンスター社員が提出を拒む場合には、企業として企業側の認識や対応などについて、書面やデータで残しておくことが望ましいでしょう。

STEP4:人事異動・配置転換で対応する

それでもまだ改善されない場合には、転勤などの配置転換や部署異動などの人事異動で対応します。

例えば、モンスター社員による攻撃の矛先が、特定の社員に向いている場合などは、配置転換が有効です。

ただし、配置転換を行うには、「就業規則などに根拠が定められていること」「権利の濫用にあたらないこと」が必要であり、配置転換後の勤務場所や業務内容によっては、当該社員の勤務環境を大きく変えてしまう場合があるため、事情を良く考慮する必要があります。

特に、配置転換によって業務内容等が変わり、給与が下がるような場合は、労働条件の不利益な変更として、当該社員の同意が必要となり得るため、注意が必要です。

配置転換の検討は、仮に検討の結果、配置転換先がなかったり、本人に配置転換を打診したが拒否されて解雇に至ったりした場合でも、企業が当該社員の雇用維持を図るために、他の適正な配置場所を探すという努力、つまり解雇を回避するための努力をしたことの証明にもなります。

STEP5:懲戒処分で対応する

配置転換先がなかったり、配置転換を打診したが拒否されたりした場合は、懲戒処分を検討しましょう。

懲戒処分とは、使用者が労働者に対して行う労働関係上の不利益措置のうち、企業秩序違反行為に対する制裁を言います。

諭旨解雇や懲戒解雇以外の懲戒処分は、譴責、降格、減給、出勤停止などが考えられます。

ただし、減給については、以下のようなルールもありますので、注意が必要です。

労働基準法第91条(制裁規定の制限)

第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

引用元:労働基準法第91条

いずれの懲戒処分を行う場合も、裁判など後々のトラブルに備えるため、モンスター社員の行状が、就業規則や各種法令などに照らし合わせて、懲戒事由に該当するものであることを立証できる証拠書類などを作成しておく必要があります。

また、懲戒処分を言い渡す際は、戒告として問題行動を改めなければ懲戒解雇にする旨も伝えておきましょう。

STEP6:退職勧奨する

退職勧奨とは、会社側が社員に対して「もうあなたを雇えない、辞めてくれないか」などと退職を勧めることです。

注意すべき点は、退職勧奨は解雇と異なり、あくまで社員が自主的に退職するように促すということです。

退職勧奨とは、あくまで会社側と社員による「合意退職」を目指すものであり、退職勧奨により社員が退職する場合、退職に関する本人の同意があるため、後で紛争に発展する可能性がかなり低くなるメリットがあります。

ただし、モンスター社員が素直に退職勧奨に応じることは少ないでしょう。

労働組合に駆け込むか、労働裁判に持ち込めば、何ヶ月分かの給与を払うだろうと考えている可能性も大いにあります。

その場合、相手の予測を上回る金額を提示しないと、退職勧奨には応じないでしょう。

もしモンスター社員に対して退職勧奨を穏便に進めたい場合は、希望退職のように退職金の割増や、再就職支援など、ある程度モンスター社員に寄り添った退職条件を提示する方法もあります。

退職勧奨には、社長も出席するか、社長が別の場にいてもすぐに連絡が取れるようにして、その場で決められる態勢を整えておくのがいいでしょう。

そのためにも、事前に弁護士などに依頼し、いざ決裂となったら、徹底的に争うというだけの覚悟を決めて臨むことをおすすめします。

また、退職勧奨の際は、必ず録音しておきましょう。

相手も録音している可能性が高く、こちらだけ録音していないと、裁判で不利になりかねません。

なお、執拗な退職勧奨は、「退職強要」とみなされ、程度によっては強要罪や脅迫罪に該当することや、ハラスメント行為に該当し、慰謝料等の損害賠償請求の対象になることもありますので、注意が必要です。

STEP7:解雇する

解雇は、モンスター社員に対する対応策の最終手段です。

解雇には、普通解雇と、諭旨解雇と懲戒解雇があります。

普通解雇とは、やむを得ない事由がある時に、使用者が一方的に労働契約を解約することを言い、懲戒解雇以外の解雇のことです。

諭旨解雇とは、一定期間内に退職願を提出させ、提出があれば、会社側の温情により、退職金や解雇予告手当等の点で、懲戒解雇より緩やかな処分とすることです。

一方、懲戒解雇では、退職金や解雇予告手当を支給せずに、即日解雇とすることができます。

しかし、日本の労働法では、使用者が労働者を解雇するハードルは非常に高くなっており、懲戒解雇には、就業規則や労働契約において定められている解雇事由に該当する事が必要です。

モンスター社員の行動については、就業規則や労働契約のどこかに抵触する場合が多いため、懲戒解雇処分にすることが可能な場合が多いです。

ただし、労働契約法により、正当性が認められない場合には、解雇無効になることがあり、一般的には、会社側が解雇を回避するための努力を尽くしてもなお、解雇が真にやむを得ないと認められる特段の事情がある場合のみ、解雇が認められると解されています。

例えば、次の様な項目を総合的に考慮した結果、会社側に落ち度はないと認められるような場合には、解雇が正当なものとして認められる可能性が高いでしょう。

  • 問題行動の悪質性
  • 注意や指導を十分に行ったかどうか
  • 配置転換などが可能だったか、配置転換を試みたか
  • 労働者に対して改善に必要な猶予期間を十分与えたか
  • 使用者側から労働者側に対して不適切な言動はなかったか

しかし、モンスター社員が反論してきた場合には、紛争や裁判になる事が必至ですし、会社が損害賠償責任を負ってしまうリスクをゼロにすることはできません。

そのため、解雇通知書作成の段階で、弁護士に相談しておくことをおすすめします。

このような社員は、解雇通知書を渡すと、すぐに解雇理由証明書の提出を求めてくると考えられるため、その準備も並行して進め、解雇通知書と解雇理由証明書との間に、内容的な齟齬がないようにしておく必要があるからです。

また、解雇する前に、当該社員に経歴詐称がないかどうか確認しておくのもいいでしょう。

こういう社員は、いろいろな企業を渡り歩いている可能性が高く、経歴を詐称していることが往々にしてあるからです。

もし当該社員に経歴詐称があった場合は、裁判でかなり有利になります。

いずれにしても、解雇に当たっては、労働裁判を前提として考える必要があるでしょう。

したがって、あくまでも解雇は最終手段と認識したうえで、できる限り自主退職させることを目指す方が賢明だと言えます。

モンスター社員を解雇する場合の注意点

ここまで、モンスター社員を合法的に辞めさせるための流れを解説してきましたが、お分かりの通り、社員を解雇するハードルはかなり高いと言えます。

それでも、モンスター社員が退職勧奨に応じず、一方で問題行動は一向に改善しないなど、解雇が必要となる場合はあるでしょう。

そのため、もう一度、モンスター社員を解雇する際の注意点を挙げておきます。

①解雇は段階を踏む必要がある

前述したように、モンスター社員に問題行動が見られても、解雇するまでには段階を踏む必要があります。

問題行動を原因としていきなり解雇してしまうと、会社側が解雇を回避する努力を怠っていると評価され、損害賠償請求をされてしまう恐れがあります。

そのため、非常に悪質な就業規則違反(犯罪行為など)の場合を除いて、口頭での注意指導から、配置転換などの対処を経て、懲戒処分、退職勧奨と、段階を踏んで対応していきましょう。

②解雇理由の客観的合理性・社会的相当性を慎重に審査する

解雇理由に客観的合理性と社会的相当性が認められなければ、解雇が無効になってしまいます。

単に、「就業規則や労働契約に違反しているから」とだけ考えて解雇するのは不適切です。

したがって、会社側として、解雇を回避するための注意指導・配置転換その他の措置を十分に講じたか、ということを慎重に審査しましょう。

③事前に弁護士などに相談してチェックを受ける

モンスター社員の解雇については、前述のように、後に社員との間で労働裁判などの深刻な紛争が発生するリスクがあります。

そのため、事前に社労士や労働問題に詳しい弁護士などに相談し、モンスター社員を解雇することが可能かどうかチェックしてもらいましょう。

その際、証拠となる記録が重要になります。

繰り返しになりますが、問題行動や注意指導から、懲戒処分や退職勧奨のやり取りまで、記録をしっかりと取っておくようにしましょう。

モンスター社員を解雇したいなら弁護士や探偵事務所など第三者に相談を!

以上、モンスター社員の特徴と、当該社員を合法的に辞めさせるための流れを解説してきました。

もう十分にお分かりでしょうが、モンスター社員といえども、解雇するのは大変ハードルが高いものです。

そのため、基本的には、退職勧奨の方法によることをおすすめします。

その際、強要行為やパワハラが行われることを防ぎつつ、社員にとってもメリットのある提案をすることがポイントです。

退職勧奨が上手くいかない場合には、解雇も選択肢に入りますが、法律上の要件が厳しいため、安易な解雇は禁物です。

時と場合によっては、労働裁判や紛争などを含め、会社自体の不利益や損失に繋がることもあるため、社労士や弁護士、探偵事務所など客観的な立場の第三者に相談しながら、十分に準備をして解雇に当たるのがいいでしょう。

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