【投稿日】 2022年6月16日 【最終更新日】 2022年7月7日

近年、モンスター社員の存在に頭を悩ませている企業が増えてきています。

働き方や業種の多様化により、モンスター社員自体も複雑になり、その線引きもあいまいになってきています。もし自分の会社にモンスター社員がいた場合にはどのように対処していけばよいのか、その事例や原因などと併せてご紹介していきます。

モンスター社員とは?

モンスター社員とは、仕事や職場での態度が常識はずれであったり、他の社員に対して問題行動を起こす社員のことをさします。常識的にありえない主張や行動を行い、周りに迷惑をかけたり、仕事の進行を妨げたりする人のことです。

自分のことだけを考えた行動をとり、周りに対して高圧的な態度を取ります。それだけではなく、弱者のように振る舞い、自分が被害者であるような言動をするのもモンスター社員に含まれます。

近年では、その種類は様々になっており、企業の対応によっては、モンスター社員が訴訟を起こすケースもあるようです。

モンスター社員の種類

モンスター社員の具体的な種類は大きく分けて次の5つに分類されます。

これらは性格との線引きが難しいところではありますが、明らかなルール違反を行ったり、社会規範から大きく逸脱していたりする場合には厳しく対処していくことが必要になります。

1:パワハラ型

職場での自分の立場を利用して部下や同僚などを攻撃する「パワーハラスメントタイプ」。パワハラは近年社会問題にもなっていますが、その実態はなかなかなくなりません。職場の雰囲気を悪くし、他の優良な社員が退職する原因にもなりかねないので注意が必要になります。

仕事自体は出来て、成績も残しているけれど自己中心的な行動でパワハラを行っているという人も少なくありません。具体的な行動は、以下の通りになります。

  • 上司や同僚に暴力を振るい、暴言をはく
  • 社長や上司に対する誹謗中傷を繰り返す
  • 部下や弱い立場の社員に対していじめやハラスメントをする
  • 他の社員に対して横暴な態度をとる

このような兆しが見えた場合にはモンスター社員の可能性があります。

2:自信過剰型

自信過剰型は、自分だけが正しいと強く主張を押し通そうとするタイプです。

自分の意見が通らないと、感情的になったり、周囲に同情を求めたりします。常に自分が正しいと思っており、周りに対する配慮が欠けているのが特徴です。横暴でわがまま、頑固で融通が利かないという特徴もあります。自分の能力を過剰に評価している印象です。

自信過剰型の特徴は以下の通りになります。

  • 業務命令に従わずに自分の権利ばかり主張する
  • 正論を通すことにこだわり、業務命令に従わない
  • 叱られたり注意されたりした場合に逆上する
  • 常に言い訳をして自分を通そうとする

3:被害妄想型

歪曲して物事を捉えてしまい、自分が攻め立てられているような気になってしまう被害妄想型。

何をされても自分はだめだと思い込み、業務に支障が出たり、周りにストレスを与えたりする特徴があります。自分自身でストレスをため込み過ぎて些細なことに疑心暗鬼になってしまいます。どんなに気を使っても、悪意と捉えてしまう特徴があります。心に余裕がなく、他の人へ気を遣うのも難しいタイプです。

卑屈さが根源となり周りを攻撃してしまうことも多く、周囲の人間にもストレスを与えています。

  • 業務に不備があったので注意したら酷い言い方をしたと吹聴する
  • 周りから嫌われていると被害妄想し、パワハラを受けていると訴える

4:反抗型

反抗心が強く、何を言われても反抗してしまうタイプです。

指示や指導に対して全く応じようとしません。上司だけではなく同僚のアドバイスや部下からの言葉にも耳を傾けない傾向にあります。自分の決めたもの以外認めないというスタンスなので孤立しやすい傾向にあります。

  • 順序を決めて進める仕事なのにその順序に文句を言って仕事を行わない
  • 注意しても聞き入れず同じミスを繰り返す
  • 意図的に忠告を無視し、勝手なことする

5:怠惰型

仕事に対するやる気がそもそもない社員のタイプです。

放っておくと仕事をさぼったり、無断欠勤・遅刻が増えていく傾向にあります。仕事をしているふりをするのがうまく、自分でもその自覚があるのが特徴です。他の社員よりも仕事量をこなしていないのに早く帰ったり、遅刻して来たりする傾向にあります。

  • 病気休職や体調不良による欠勤を繰り返す
  • 無断欠勤を繰り返す
  • 遅刻や早退を繰り返す
  • 仕事をさぼる

モンスター社員が生まれてしまう原因

モンスター社員が生まれてしまう原因は、主に2つあります。「職場環境がモンスター社員にあっていない」ことや「コミュニケーション不足」が主に原因とされています。これらの原因について詳しく見ていきましょう。

1:職場環境が合っていない

企業の職場環境がモンスター社員を生み出している原因である可能性もあります。モンスターがすべて悪いと思うのではなく、まず職場環境がどうなっているのか、確認していく必要があります。

モンスター社員の放置によって新たにモンスター社員を生み出してしまっているという悪循環もあります。また、能力に見合っていない仕事量や人事配置などに不満を持ち、モンスター化しているという可能性もあります。社員の意見を聞き、どのようにしていけば職場を改善できるのかを検討していくことが必要になります。

2:コミュニケーション不足

リモートワークの普及やデジタル化により、社員同士でもコミュニケーションが不足していることも大きな原因となります。

周りの人のことを意識しなかったり、思いやったりしないことで主張が激しくなり、基本的な伝達や話し合いなどが出来なくなっている可能性があります。

モンスター社員の行動もコミュニケーション不足によるものだと考えると、コミュニケーションをとっていくことが必要だとわかります。

モンスター社員を抱えるリスク

モンスター社員を抱えることで、会社はかなりのリスクを背負うことになります。仕事面での停滞は勿論、金銭面などでも損害になります。

1:仕事面

モンスター社員が職場にいることで、雰囲気を悪くして仕事がはかどりにくくなる空気にしてしまいます。他の社員たちにも影響を与え、業務が停滞する恐れがあります。

例えば、モンスター社員の言動、態度の悪さ、欠勤するモンスター社員のカバー、モンスター社員にストレスを感じてしまうなどと言う事も起こりかねません。

こうなると、優秀だった社員がストレスを感じてネガティブになってしまい、そのまま退職してしまう事も考えられます。

モンスター社員と関わることで不快な気持ちになったり、苦痛を味わう可能性もあります。

モンスター社員により職場の雰囲気が悪化することで業務の進行や質を悪くさせ、能力を発揮できない社員は退職も考えてしまうでしょう。

企業にとっては組織構成も安定しない状況になってしまいます。

2:金銭面

金銭面でのリスクは、まずモンスター社員への給与が考えられます。モンスター社員は怠慢や欠席が多いにもかかわらず他の社員と同じ給与を与えられ、仕事の功績は遺していないということが多いです。そういった社員に給与を払っていると言う事は会社にとって損失となります。

モンスター社員の存在は、職場の業務を全体的に停滞させてしまうことがあります。そうなると、本人の給与どころか、他の社員の仕事の成績に影響して多大な損失につながっている可能性もあるのです。

社員の退職理由がモンスター社員になり得ると、再度人員補充のためにコストを割くことになるため、そこでも金銭的なリスクが発生します。

モンスター社員への対策方法

では、職場に現れてしまったモンスター社員に対してはどのように対策したらよいのでしょうか。対策方法は「注意・指導を行う」「規則や制度を見直す」「普段のコミュニケーションを大切にする」の3つになります。

1:注意・指導を行う

モンスター社員への対応のもっとも身近な対応方法は社員への注意指導です。

企業は職場の管理や職場環境を維持するために、相手がモンスター社員であるかどうかにかかわらずまずは問題行動をした職員に対して注意指導し、自らの言動や態度を反省させ、行動の改善を促すことが重要です。

また、このとき周りの社員が見ていない場所で注意するようにしましょう。激しい言葉を使っていなくても、周りが見ている中で叱咤されると精神的に苦痛を感じる人もいるのでパワハラだと訴えられかねません。

該当社員のどういった態度が他の社員へ影響しているのか、どういったものに迷惑しているのかなどをきちんと説明し、納得してもらうことが必要になります。

問題社員のみを気にかけていては他の社員から不満が漏れる可能性がある為、特定の一人だけをむやみに叱ったりなれなれしくしたりしないよう心がけるのも大切です。

どうしても手に負えない場合には社労士に相談するのも一つの手です。

2:規則や制度を見直す

やる気がない社員の中には、自分に何を求められているのか分からず、何をするべきなのか認識できていないせいで怠惰になってしまっている人もいるでしょう。例えば自分の行う業務がわからず、自分がやらなくても誰かがやってくれるだろうと判断してしまったり、交通機関での遅延による遅刻は自分に責任がないと考えて連絡をしなかったりします。

そういう社員には、きちんと自分が行うべきことを指導し、制度として設定するのが良い解決策です。

例えば、事前に就業規則などにおいて「遅刻する場合には必ず連絡をする」と定めたり、具体的に何を行えば評価につながるのか、何をしておかなければならないのかなどを明確にしておくことが大切になります。

評価や規則がしっかりしている企業は社員からしても安心感があり、信頼にもつながります。

3:普段のコミュニケーションを大切にする

モンスター社員は、コミュニケーション不足から不満が募り、職場への非難の意味で反発することもあります。それらを防ぐためにもモンスター社員や他の社員ともコミュニケーションを取っておくことが必要になります。

しかし、不用意に馴れ馴れしく接するのではなく、常に企業側として視点を高く保ち、毅然とした態度で向き合いながら会話をしたり、チャットツールでこまめに連絡を取り合ったりしましょう。無闇な同情や、軽くあしらったり、強い言葉を使わずに冷静でいることが昼用です。

重要なことは、モンスター社員にだけ優しくするのではなく、平等に接することです。モンスターだから、というレッテルを貼って接しないようにしましょう。

モンスター社員の問題事例

モンスター社員が起こした問題の事例をいくつかご紹介します。どれも訴訟問題にまで発展し、企業に対するイメージが悪化しているのがわかります。モンスター社員によって周りに被害が及び、最悪の結果となっています。

1:乙山青果ほか事件(名古屋高裁平成29年11月30日判決)

事案の概要

この事件は、原告である職員が、上司からのいじめやパワーハラスメントを受け、その報告を受けていたにもかかわらず放置していたとし、自殺するに至ったことを理由として、職員の遺族が雇用主に対して安全配慮義務違反及び雇用主と上司に対して「民法709条」及び「同法715条」に基づく損害賠償を請求した事案。

判決結果

裁判所は、上司によるいじめやパワーハラスメントの事実、雇用主がこれを放置した事実を認定し、上司及び雇用主の両方に、遺族からの損害賠償請求を認めました。

引用元:裁判例結果詳細

 

2:さいたま市(環境局職員)事件(東京高判平成29年10月26日)

事件の概要

この事件は、指導係から暴行を受けるなどのパワーハラスメントを受けていた職員が、雇用主に相談をしていたにも拘らず、事実確認や配置転換を怠ったことにより既往症であったうつ病が悪化して自殺をしたとして、遺族が雇用主に対して安全配慮義務違反及び国家賠償法に基づく損害賠償を請求した事案。

判決結果

裁判所は、雇用主が、指導係による暴力やパワーハラスメントについて相談を受けた時点で適切に対応していれば、うつ病の悪化や自殺は発生しなかったとして、損害賠償請求を認めました。

引用元:裁判例結果詳細

モンスター社員を産まない職場づくりを!

モンスター社員は、職場環境によって生まれてしまう事が多く、それらを避ける為には常に職場環境を確認して、より良い状態にしておく必要があります。

まずは会社自体にできることが無いかを考え、次に本人への指導を行っていきましょう。モンスター社員を放置していると、他の社員への影響もあり、最終的には訴訟問題にまで発展する可能性があります。

職場環境を整え、モンスター社員を産まない職場づくりをしていきましょう。

裁判にも使える調査資料!モンスター社員に関する調査は、探偵事務所にお任せ!

モンスター社員に関する調査は、あくまで個人を対象にした調査のため、個人情報保護法の観点から、一般の方が行うには違法リスクが高く、難しいと言われています。

一方で、そういった個人情報などを含む調査を探偵業法の範囲内で行うことができるのが、探偵です。

実際に、探偵事務所SATでは、モンスター社員に悩む企業からの依頼で、そういった調査に対応しております。

例えば、会社を無断欠勤し続けている間に、モンスター社員がどのような行動をしているのか、また、どのような経歴をもち、過去に同じような問題を起こしていないかなど、様々な角度から調査をすることが可能です。

こういった調査資料をもとに訴訟を行うケースもあります。

モンスター社員に悩む企業様は、ぜひ抱え込まず、一度探偵事務所SATにご相談ください。提携弁護士も無料にてご紹介可能です。

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