【投稿日】 2022年3月28日 【最終更新日】 2022年4月4日

インターネットが普及し、誰もがアクセスできる世の中になった今、TwitterやInstagramといったSNSサービスやブログなど、多くの人がインターネット上で情報を発信してコミュニケーションを取っており、現実世界とネットの境目が徐々に薄れつつあります。

特にSNSは、人と人との距離感や距離の取り方を急速に変化させました。

それに伴って急増しているのが、ネットストーカーによる被害です。

ネットの発達は様々なことを可能にしたと同時に、新しい犯罪の形をも生み出してしまったのです。

ただ、ネットストーカーという言葉は聞いたことがあっても、実際はどんなことをされるのか、はっきりとはご存じない方も多いのではないでしょうか。

或いは、自分がしていること、されていることはネットストーキングではないか、と不安に思っている方もいらっしゃるかもしれません。

そこでこの記事では、ネットストーカーとはどういうものか、ということから、実際にどんな被害事例があって、どのように対処したらいいのか、また、被害を防ぐためにできることは何かを詳しく解説していきます。

ネットストーカーとは

ネットストーカーは、サイバーストーカーとも呼ばれ、インターネットを利用して特定の人物にしつこく付きまとうストーカーのことです。

彼らの行為は、サイバーストーキング、ネットストーキングと呼ばれ、サイバー犯罪の一種であるとされています。

現実世界のストーカー事案では、行き過ぎた好意によるつきまとい被害が主ですが、ネットストーカーの特徴は、恋愛感情の他に、インターネットコミュニティでの揉め事によって激しい憎悪を抱き、執拗な誹謗中傷やプライバシーの暴露をする行為が目立つことです。

ネットストーカーは、被害者の近しい人物や元恋人などであるケースもありますが、全く知らない人であるケースもあるため、犯人の特定が難しいケースも多くあります。

ネットストーカーの主な行為

ネットストーカーに該当する主な行為は次の通りです。(あくまで代表例で、例外やその他該当する行為もあります)

【1】拒否してもしつこく大量のメールやメッセージを送り付ける

SNSやブログのプロフィールなどから、勝手な想像の下に一方的に好意を抱き、その感情がエスカレートして、被害者にしつこく大量のメールやメッセージを送り続けることがあります。

被害者がブロックや着信拒否をしたり、もうメッセージを送らないで欲しいと訴えても、しつこくDMやリプライを送り続けたり、電話をかけ続けたりします。

時には違うアカウントや電話番号からしつこく接触してくることもあり、どんなに逃れようとしても追ってくるため、精神的に追い込まれます。

【2】被害者の個人情報を入手・特定し、暴露する

ネットストーカーの典型的なケースが、被害者のアカウントなどを調べ上げて個人情報を特定し、暴露するという手法です。

位置情報や公開されているプロフィール、SNSの書き込みなどといった断片的な情報を基に、検索エンジンなどを駆使して個人情報を探し出し、特定するのです。

そして、特定した情報をネット上のいろいろなサイトで暴露し、拡散します。

個人情報には、本名、住所、家族構成や家族の名前、勤務先や学校、友人や恋人の名前なども含まれます。

これにより、被害者の勤務先や学校に対して、また家族や友人などに対して直接的な嫌がらせをするようなことに発展する場合もあります。

個人情報はどういったものであっても、本人が明らかにしていない情報を他人が晒すのはプライバシーの侵害に当たり、犯罪です。

また、晒された個人情報を元に、新たに別の誰かがストーカー行為をする危険性もあります。

【3】SNSや匿名掲示板などに被害者の誹謗中傷を書き込む

ネット上で揉め事が起こり、それによって加害者が被害者に激しい憎悪を抱いた場合に多く起こる行為です。

被害者が書き込んでいるSNSやウェブサイトを検索エンジンで根こそぎ探し出し、そこに誹謗中傷などを書き回ったり、SNSにリプライなどで誹謗中傷を書き込んだりします。

こういった被害者のSNSアカウントに直接誹謗中傷を書き込むこともあれば、5chなどの匿名掲示板にスレッドを立てて誹謗中傷をしたり、自分でブログやホームページを開設し、そこで被害者の誹謗中傷を行ったりするようなパターンもあります。

これがエスカレートすると、加害者は仲間を募り、さらに大人数で攻撃をするケースに発展する場合もあります。

被害者自身のアカウントでの誹謗中傷であれば、アカウントをブロックするなどで対応ができますが、全く知らないところで誹謗中傷をされている場合には、被害を食い止めるために、自分に関する嫌がらせがされている掲示板を探すなどの余計な手間がかかるのが厄介なところです。

【4】勝手に被害者の秘密を暴露する

元配偶者や元恋人など、被害者と近い関係を有しており、被害者の極めて個人的な状況などを知っているネットストーカーに多いのがこのパターンです。

被害者のブログやSNSのコメント欄に出向いて、性的嗜好や個人的な趣味など被害者が隠しておきたい秘密を暴露して晒し物にしたり、被害者が親しくしているフォロワーなどにDMを送りつけ、知られたくないことを知らせたりというような悪質な行為です。

この場合、被害者の秘密を無断で公開した加害者が、他者に被害者を誹謗中傷するように扇動することで、加害者の数が増大していってしまう可能性もあります。

【5】SNSで被害者のデマ(悪い嘘の噂)を流す

加害者が、SNSで被害者のデマ・悪い嘘の噂を流すことがあります。

例えば、恋愛や性的関係に関して(「誰々とできている」など)の噂、過去に罪犯罪を犯したかのような噂、酷い言動をしたという噂などで、名誉毀損、信用毀損に当たります。

【6】被害者のアカウントを乗っ取る、またはなりすます

ウイルス技術などを活用して被害者のパソコンに侵入したり、IDやパスワードを入手したりして、インターネットサービスのアカウントを乗っ取る事で、被害者になりすます行為もネットストーカー行為に該当します。

勝手にSNSやブログを立ち上げて、被害者の意思とは無関係の書き込みを、さも本人の意見であるかのように書き込んだり、掲示板に勝手に書き込みをすることで、あたかも被害者が迷惑行為を行っているように見せかけるなどといった様々な嫌がらせ行為を行います。

これにより、被害者自身の状況が悪化したり、根拠のない誹謗中傷を受けたり、時にはネット上のみならず現実世界での活動が制限または停止にまで追い込まれるケースもあります。

【7】 被害者にスパムメール(メールボム)を大量送信する

スパムメールは「迷惑メール」とも呼ばれるものです。

一般的にスパムメールといえば、受信者を特定せず、無差別にメールを送りつける行為のことですが、ネットストーカーはこの中でもメールボムという手段を使って、被害者のみに対して大量にメールを送りつけてきます。

被害者がフリーメールアドレスを使用していれば、メールの受信は一定の制限がかかりますが、大量にメールボムを送りつけられることによって受信容量に負荷がかかり、正常なメールが受け取りにくくなるなどの被害が出ます。

【8】被害者に送られて来たメールを盗み読む

実社会のストーキングでも、自宅に盗聴器をしかけたり、車にGPSをしかけたりといった行為をするストーカーがいますが、ネットストーカーもこれとよく似ており、勝手に被害者のメールアカウントにアクセスして被害者が送受信したメールを盗み読むことがあります。

また、ウイルスを使ってパソコンにアクセスし、データを閲覧したりする人もいます。

【9】被害者の住所を特定する

位置情報やプロフィールだけでなく、ネットにアップした動画や写真などの背景に映り込んだ建造物や河川などの風景も、複数集まればある程度の場所を特定することが可能になります。

そういった情報を割り出すことで、相手の住所を特定し、実際に相手の自宅近くに行くというケースもあります。

ネットストーカーからリアルでの物理的なストーカーに発展する場合もあるのです。

【10】被害者の家族・友人などを詮索し、嫌がらせをする

被害者だけではなく、その周辺の家族関係や友人関係も把握しようとつとめ、詮索や攻撃を行う加害者もいます。

Facebookをはじめとして、TwitterやInstagramなどのSNSを利用すれば、被害者のオンライン・オフラインの交友関係が把握できてしまうケースは珍しくありません。

被害者の友人などに対して、被害者の事実無根の悪口などを拡散し、被害者を苦しめようとする行為や、被害者本人になりすまして、家族や友人に不適切な言動をすることにより、被害者の人間関係を悪化させるなどという行為もストーカー行為の1つです。

また、家族や友人に対して、現実世界で直接攻撃することも考えられます。

ここまでくると、リアルのストーカーとほぼ変わらないと言えるでしょう。

実際にあったネットストーカーの被害事例

実際にネットストーカーにあった被害事例を3つご紹介します。

被害事例①:好意がネット上での脅迫や誹謗中傷に発展

Nさん(女性)は、SNSでプロフィールや自分の写真、近況などを投稿し、すべての人に公開していた。

するとある日、全く面識のない男性から「僕とつきあってください」というメッセージが届いた。

最初は適当に返事をしたりしていたが、あまりにもしつこくメッセージが送られてくるため、「迷惑ですので、もうメッセージしないでください」という返事をしたところ、事態が急変。

次の日から、脅迫的な言葉が並べられたメッセージが次々と送られてきたり、Nさんを誹謗中傷する投稿がされたりするようになった。

そのうち、「お前の住所はわかっているんだ」というメッセージとともに、自宅の住所が送られてきた。

Nさんは、アカウントを削除し、引っ越しまでする羽目になった。

被害事例②:匿名掲示板の炎上からSNSの誹謗中傷に発展

Rさん(男性)は、ある匿名の掲示板によく出入りしていた。

ある時、ちょっとした政治的な発言をしたところ、ものすごく敵意のあるレスポンスが来た。

驚いて、当該の発言は削除したが、それからその掲示板にRさんに対する誹謗中傷が大量にアップされるようになり、次第に攻撃する人の数も増えていった。

Rさんはその掲示板を利用するのをやめたが、後日自身のFacebookやTwitterに全く知らないアカウントから誹謗中傷の投稿がされた。

なぜSNSアカウントがバレたのかわからなかったが、そのアカウントを通報した上で、自身のアカウントも削除せざるを得なくなった。

被害事例③:LINEからリアルなストーカー行為に発展

Kさん(女性)は高校生の頃、LINEで20歳の男性と知り合った。

初めは好意を持ってやり取りしていたが、1日に何十回もメッセージが届き、しつこく返信を求められることにうんざりして、男性をブロックすると、男性の態度が急変。

「死ね」「殺すぞ」といったメールが1日に100通を超えるようになり、SNS上で事実無根の悪い噂を拡散されるようになった。

そのうち住所と学校を特定され、自宅に大量の脅迫的な手紙が送り付けられたり、学校帰りに付きまとわれたりもするようになったため、警察に相談。

警察の介入でストーキングはなくなったが、数年経った今でもトラウマになっているという。

ネットストーカーの被害に遭った時の対処法

上記のようなネットストーカーの被害に遭っているのではないかと思ったら、行為がエスカレートする前に、早急に対策を取りましょう。

ネットストーカーの被害に遭った時の対処法として6つの方法を挙げておきます。

【対処法1】友人や信頼できる大人、警察や弁護士、探偵などいろいろな人に相談する

「ネットストーカー被害に遭っている」と感じたら、一人で抱え込まず、まずは誰かに相談することが重要です。

未成年の方であれば、まず両親や身内など信頼できる大人に相談してみましょう。

大人の方であれば、まずは信頼できる友人に相談するのも良いでしょう。

信頼できる相談相手が周りにいない場合や、事態が深刻な際、相談先として最も有効であり、安全なのは警察です。

ストーカー規制法の改正により、2017年からネットストーカーも取り締まりの対象となったため、警察による取り締まりの効力が以前よりも強まりました。

警察庁の情報発信ポータルサイト「Café Mizen-未然-」では、相談窓口などの情報がまとめられていますので、まずはこちらを参照すると良いでしょう。

弁護士に相談することも一つの手です。

弁護士はネットストーカーを直接取り締まることはできませんが、相談すれば法的にどのような手段がとれるのか等、適切な助言をしてもらえます。

弁護士に相談する際は、法的トラブル解決の総合案内所「法テラス」を利用してみるのも良いでしょう。

また、加害者を特定できない場合、探偵に依頼するのも有効です。

探偵は、加害者が被害者の個人情報を調べ上げるように、加害者のことを調べ上げ、証拠を集めてくれます。

加害者が特定され、証拠も揃えば、警察も動きやすいため、取り締まりやすく、迅速な対応をしてくれるでしょう。

【対処法2】必要な証拠を集めておく

ネットストーカーへの対処には、証拠が命なので、被害に遭っていると客観的に判断できる情報を集めておくのが何より重要です。

証拠となる情報がたくさん集められていればいるほど、警察や弁護士は迅速に対応することができるため、解決までのスピードが早まります。

被害の証拠として残しておくべき情報は、メールやSNS・ブログのコメント等です。画面をキャプチャして保存したり、印刷をしたりして残しておきましょう。

証拠として残す際には、「いつ」「どこで」「何をされたか」という情報がわかるように、詳細に記録しておくことが重要で、より身の安全を高めることにつながります。

ただし、ストーカーの痕跡はすぐに消されてしまいがちなので、自分で証拠を集めることに不安があれば、専門の探偵などに依頼した方が良いでしょう。

【対処法3】加害者をブロックする

ネットストーカーが全く見知らぬ相手で面識もなく、そこまで被害が大きくない場合には、相手のアカウントをブロックすれば解決することがあります。

ストーカーの心理として構われたいという願望があるので、例えば同じメールがAとBの2人に送られた場合で、Aはメールに反応せずに完全に無視し、一方Bは「もう送ってこないでください」と律儀に返信をした場合、ストーカーはBに対してより執拗なストーキングをする傾向があります。

被害者に対して異常に執着しているというような場合は別ですが、「誰でもいいから絡みたい」というようなネットストーカーの場合には、ブロックしてそれ以上接触できないようにすることが有効です。

【対処法4】自分のアカウントに鍵をかける、またはアカウントを削除する

ブロックと同じく、接触を断ちさえすれば解決するような軽い被害の場合には、自分のアカウントに鍵をかけるという方法もあります。

これは、フォロワーなどの親しい人にしか自分の書き込みが見えないようにする方法です。

ただし、加害者が親しい人になりすましてフォロワーに潜り込んできたり、他人のパスワードなどを盗んで入ってきたりする可能性は残ります。

鍵をかけたからといって油断せず、あまり個人が特定されるような情報はアップしないことが無難です。

もっと深刻な被害の場合、加害者は、被害者がブログやFacebookなどのSNSでアップしている情報をくまなくリサーチして個人情報を割り出してきます。

そうされることを防ぐためには、自分がネット上に持っている全てのアカウントを削除し、一旦ネットから去るという手段も有効です。

ただ、中にはキャッシュとしてネット上に情報が残り続けたり、友人などとのやりとりはそのまま残ってしまったりするなど、単にアカウントを削除しただけでは不十分なこともあります。

アカウントを削除する際には、合わせてキャッシュの削除をし、自分がつながっているフォロワーや友達などとのやりとりも確認しておくと安心です。

【対処法5】SNSや掲示板の管理者に通報し、情報の削除を要求する

掲示板やコメント欄など、誰からも見えるような場所で自分の秘密を暴露されたり、悪口や誹謗中傷を執拗に書かれたりしているときには、その掲示板やブログなどの管理者に対して通報することができます。

誹謗中傷に関する詳しい情報や、削除依頼の方法などは、ネット誹謗中傷弁護士相談ナビなどで詳しく解説してありますので、もしも誹謗中傷で悩んでいる場合は参考にすると良いでしょう。

【対処法6】相手を刺激しない

物理的なストーカーが相手であってもそうですが、相手を刺激しないことが大切です。

しつこく送られてくるメールやメッセージには、絶対に返信しないようにしましょう。

また、誹謗中傷に対しても、極端に相手を罵ったり、応酬したりすればするほど、相手の気持ちを高ぶらせて行為はエスカレートしていきます。

完全に無視をしながら、証拠だけを徹底的に積み上げていきましょう。

ネットストーカーの予防と対策

ここからは、ネットストーカーに遭わないための予防と対策を解説していきます。

全部で13項目あり、多いですが、大事な点なので、ぜひ押さえておきましょう。

【予防と対策1】SNSやネット上に個人情報を公開しない

基本的なことですが、SNSやネット上に個人情報を公開しないことが重要です。

特に顔写真や住所・電話番号などは、ネット上の被害だけでなく直接的な被害に結び付くため、注意が必要です。

また、個人情報を特定する材料は、そういった直接の情報や、ブログやSNSなどの公開プロフィールだけではありません。

SNSやブログへの投稿で、自撮りした時の自宅内の様子が写りこんでいたり、自宅付近の建物やベランダからの風景など、自宅の位置を特定されやすい写真があったりすると、ネット検索などで個人情報を特定されやすくなる危険性があります。

写真の投稿では、特定の学校が判別できるような制服や持ち物を身に着けて情報を公開することも、個人を特定する危険性をかなり高めます。

以上のことから、文章、画像、動画いずれにしてもネット上に投稿してしまう前に、個人情報が特定されてしまう情報を含んでいないかどうかをよく確認することが、ネットストーカー被害に遭わないために重要な対策となります。

【予防と対策2】特定の団体や人を攻撃するような投稿をしない

ネットは匿名性が高いこともあり、特定の団体や人に対して軽い気持ちで攻撃的な発言をする人も見受けられます。

しかし、こうした行為がきっかけで、妬みや憎しみを買い、トラブルのもととなったり、ネットストーカーの標的となったりしてしまう可能性があります。

原則として匿名であるインターネットにおいては、負の感情はリアルよりも増大しやすい傾向にあるため、特定の団体や人を攻撃するような態度をとるといった、リアルの世界でもトラブルの発端になりやすい行動は慎んだ方が身のためだといえます。

常に相手への敬意を忘れず、自分の発言に責任を持つように心掛けましょう。

【予防と対策3】好意を持たせる、勘違いさせるような態度をとらない

ネット上では、公開されているプロフィールや、ブログやSNSなどに公開されている情報から相手を判断するしかないため、これらの情報を基に想像した相手に一方的に好意を抱いてしまうケースがあります。

また、ネット上での情報のやり取りの多くは文字であり、細かい感情のニュアンスは伝わりづらいため、その気がなくても誤解を招く発言が原因となって、自分に好意があると相手が勘違いしてしまい、結果、ストーカー行為に発展することがあります。

このように相手に好意を持たれてしまった場合、嫌だと思うことははっきりと嫌だと意思表示することが大切です。

ネット上では相手のしぐさや表情を見ることができないため、曖昧な態度をとってしまうと「本当は嫌がっていないのだろう」とか、「今はダメなだけで別の機会なら問題ない」など、嫌だという意思がしっかり伝わらず、相手にとって都合のいい解釈をされる可能性があります。

嫌だと思うことや苦痛に思うことを無理に受け入れる必要はありません。

相手のためにも、嫌なものは嫌だとはっきりと態度で示す勇気を持つことが大切です。

【予防と対策4】SNSやメールのアカウントを複数持っておく

人によってSNSやメールを複数のアカウントで運用する事情は異なりますが、複数のアカウントをプライベート用や業務用などというように使い分けることは、ネットストーカー被害を未然に防ぐ上で有効だと考えられます。

1つのアカウントのみで運用していた場合、そのアカウントがネットストーカー被害に遭ってしまうと攻撃され続けることになります。

しかし複数のアカウントを持っていれば、もし1つのアカウントが被害に遭ったとしても、そのアカウントを捨てることで被害の拡大を抑えることができるのです。

【予防と対策5】SNSの公開制限を設定する

SNSでは、公開制限を設定しないと、世界中にいる不特定多数の人に自分の情報が公開されることになります。

自分が有名人なら話は別ですが、面識が無いにも関わらず自分の情報を見る人の中には、個人情報を悪用するなど良くないことを考える人もいる可能性もあるため、友人・知人だけに公開するなどといった公開制限を設定した方が安全性は高まります。

もし、それぞれの事情で公開制限を設定することが難しい場合は、ネット上に公開する文章や画像などには可能な限り個人情報を含めないといった対策が必要です。

また、プライベートな内容に絞ったアカウントと、広く発信したいアカウントに分けて運用するのも良いでしょう。

【予防と対策6】SNSのタグ付けに注意する

TwitterやInstagramのタグは自分で編集することができ、必要な情報を検索するためには非常に便利なものです。

ネット上には情報が溢れているため、自身が発信した情報が埋もれてしまわないように、多くの人はできるだけ検索されやすいタグを付けようとするでしょう。

しかし、だからこそ注意が必要で、例えば自宅周辺の建造物の名前や位置をタグ付けした情報を頻繁に投稿すると、そこから個人情報を特定される可能性があります。

SNSは便利なものではありますが、タグ付けをする時には、個人情報が特定されないように、十分な配慮を心掛けることが大切です。

また、Facebookには「タグ付け機能」という機能がありますが、これは誰かと一緒にいる時に、自分のタイムライン上に投稿する際、その人のアカウントを繋いで、誰と一緒にいるかを表す機能です。

こういったタグ付けをされることで、プライベートな情報がネットストーカーに知られてしまう可能性があります。

Facebookの場合は他人のアカウントでタグ付けされることを拒否できる機能はありませんが、自分のタイムラインに載せるかどうかを決めることはできます。

また、タグ付けはしないようにあらかじめお願いしておくなどの対策をとっておくことも一つの方法です。

【予防と対策7】ネットストーカーになりそうな人は即ブロックする

ネットストーカーは、被害が軽いうちならば、ブロックで解決することも多いです。

したがって、しつこく好意を伝えてくる、根拠のない誹謗中傷をされるなど、ネットストーカーになりそうな気配があったら、即その人をブロックすることが、被害を最小限に抑えるために重要です。

【予防と対策8】アカウントに鍵をかける

ネットストーカーへの対処の部分でも述べましたが、アカウントに鍵をかけるのも有効です。

特に、個人的な話題を投稿するアカウントでは、親しい人しか見られないようにあらかじめ鍵をかけておきましょう。

【予防と対策9】パスワードを定期的に変更する

「パスワードには他人が知り得ない番号をつける」というのはよく言われていることですし、誕生日や電話番号の末尾は避け、0000などのあたりがつけやすい番号は避けるべきだということも常識になってきました。

そのため、例えば恋人の誕生日、ファンのアーティストにまつわる数字など、容易には知り得ない情報からパスワードを設定することが一般的です。

しかし、ネットストーカーは想像以上に被害者の情報を把握しています。

どんな本を読むのか、誰のファンなのか、地元はどこか、恋人はいるのか…そこからパスワードを推察されることがないとは言えません。

また、銀行やクレジットカードなどのパスワードであれば、数回間違えるとロックがかかるため安心ですが、メールアカウントのパスワードなど、何度間違えてもロックがかからないものもあります。

「たくさんあると忘れて困るから」という理由でパスワードを全て共通にしている人も多いですが、ロックがかからないところでパスワードを入手されてしまえば終わりです。

そうなることを避けるためにも、パスワードはこまめに変更し、できれば個人情報とは関係のない数字にして、いろいろなところで共通するパスワードを使わないように注意しましょう。

【予防と対策10】位置情報設定をオフにする

普段から気をつけておきたいのが、SNSなどの位置情報設定です。

Twitterでは、投稿した際にどこから投稿したのかを表示する機能があります。

これはTwitterのみならず、Googleなどのアカウントを持っている場合でも同じです。

位置情報を表示する設定にしておくことで、現在いる場所がわかってしまったり、自宅の所在地がわかってしまったりという危険があります。

位置情報を表示しない設定になっているかどうかは、しっかりと確認しておきましょう。

【予防と対策11】パソコンやスマホのウイルス対策を強化する

ネットストーカーの中には、遠隔操作ウイルスを被害者に送りつけ、被害者のパソコンをウイルス感染させて遠隔操作をして情報を盗み取るという、悪質な行為を行う人もいます。

こういった被害を防ぐためにも、パソコンにはウイルス対策ソフトを入れておきましょう。

ウイルスは日々進化しており、昔のウイルス対策ソフトでは防げないウイルスもあるため、過去に購入したウイルス対策ソフトがあるからいい、と思っている人は要注意です。

【予防と対策12】ダイレクトメールの拒否設定をする

現在は掲示板やSNSなどからも手軽にメールやメッセージを送れるようになりましたが、これがネットストーカーの温床になっているといっても過言ではないかもしれません。

誰からでもメールやメッセージが届くことを防ぐため、SNSでは設定によって送信者を限定することができます。

Twitterであれば、フォロワー以外からはダイレクトメールを受け取らない設定ができます。

Facebookの場合はメッセンジャーの受信制限はできませんが、特定のアカウントからのメッセージだけを拒否する設定が可能です。

【予防と対策13】被害の初期段階から第三者の関与を示唆する

もしかしたらネットストーカー被害に遭っているかもしれない、という心当たりがある場合は、自分だけで解決しようとすると、かえって状況が悪化してしまう場合があります。

そのため、被害の初期段階から警察や企業のコンプライアンス部門、友人や身内などといった第三者が関与していることを示唆することが有効です。

特に、警察はネットストーカーを法的に取り締まる権限を持っているため、警察に相談しているなどといったことを示唆することが最も有効、かつ安全であると言えるでしょう。

<参考>知っておきたいネットストーカーへの法規制

ネットストーカーを法的に規制する法律には、ストーカー規制法が当てはまります。

また、事例によっては名誉毀損や脅迫罪に当たる場合もあり、これらも法律で取り締まれます。

ストーカー規制法

ストーカー規制法は、2000年に施行されましたが、2012年の電子メールによるストーカー行為からの殺害事件をきっかけに一度改正がおこなわれ、さらに2016年にSNS上を利用したストーカー行為から殺人未遂事件に発展したことを受け、メールやSNSのメッセージなどを利用した迷惑行為も適用対象とした法律に改正されました。

具体的には、LINEやFacebook、Twitterなどへの執拗なメッセージ送信や、ブログやSNSのダイレクトメッセージなど個人のページへのコメントなどが規制対象として含まれることとなり、2017年からは非親告罪としての扱いとなっているため、被害届がなくても取り締まりの対象とすることができます。

禁止命令

ストーカー規制法によれば、執拗にメールをしてくるなどのネットストーカーに対しては、そういった行為をやめるように警察等から禁止命令を出すことができます。

2019年に禁止命令の仕組みも見直され、事前の警告がなされていない場合であっても、被害者に危険が差し迫っている時には、公安委員会が加害者に禁止命令を出すことができるようになりました。

警察等からの禁止命令は、違反すると罰則が課されるため、加害者に対しては抑止力が働きます。

この罰則も、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に引き上げられました。

自分がしていることがそこまで大ごとではないと思っていたり、自分の素性が被害者にバレていないと思っていたりする加害者に対しては、警察や公安委員会からの警告や接近禁止命令が効果的な方法の一つです。

名誉毀損

ネット上で、個人名を挙げて根拠のない誹謗中傷を書き込んだり、被害者の社会的評判を貶めるような内容の書き込みを繰り返したりする行為は、自分や相手だけでなく不特定多数の人の目にも入るため、場合によっては、名誉毀損罪に該当するケースも少なくありません。

また、本人になりすましてわざと本人の評判を貶めるような投稿をする行為も、名誉毀損罪に該当することがあります。

脅迫罪

メールやメッセージなどで、「殺すぞ」などと脅しの文句が書かれていた場合は、脅迫罪に当たることがあります。

もしも、そういったメールやメッセージを受け取ったら、必ず画面キャプチャや印刷などをして、証拠として取っておきましょう。

ネットストーカーは放置せず早急に対策を取ろう!

ここまで、ネットストーカーについて、その主な行為や被害に遭った時の対処法、ストーキングを予防する対策などを解説してきました。

ネットストーカーの特徴は、全く知らない人からもストーカー行為を受けやすいということであり、その行為はリアルのストーカーに勝るとも劣らないほど悪質です。

時間が経てばおさまるだろうと考えて何も対策を取らずに放置しておいても、自然に解決することはほぼないと言えるでしょう。 ネットストーカーがエスカレートしてリアルの生活に出てくる前に、早急に対策をとることをおすすめします。

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