【投稿日】 2021年8月16日 【最終更新日】 2022年3月7日

100年以上続く詐欺の手法であるポンジスキーム。

実は、ポンジスキームは捕まえるのが難しい詐欺であると言われています。

ではなぜ、ポンジスキームは捕まえるのが難しいと言われているのでしょうか。

その理由はポンジスキームの仕組みにあります。

今回はポンジスキームの仕組みや見分け方、騙されたときの対処法を解説いたします。

ポンジスキームとは?

ポンジスキームとは、「商品を運用して出た利益を配当金として支払う」と言って出資金を募るものの、実際の運用実態はないという投資詐欺の中の1つの手法です。

ポンジスキームしばらくはきちんと配当金が支払われるものの、そのうちに支払いが滞り連絡がつかなくなるというケースがほとんどです。

実は投資詐欺のほとんどはポンジスキームであると言われています。

アメリカの天才詐欺師である『チャールズ・ポンジ』が行った手法であることから「ポンジスキーム」と呼ばれるようになりました。

ポンジスキームの仕組み

前述した通り、ポンジスキームは「商品を運用して出た利益を配当金として支払う」と言って出資金を募るものの、実際の運用実態はありません。

最初数ヶ月は配当が支払われますが、実際は複数の出資者から集めた出資金で配当を賄っています。

例えば、「年利36%」「元金保証」「運用してお金を増やす」などと勧誘され、運用資金が1000万円のAファンドに10人の出資者集まりました。

それぞれの出資者は100万円ずつ出資したので月々3万円、年間36万円を受け取ることができる計算です。

初めのうちはきちんと月々3万円ずつ支払われますが、実は支払われる配当金は出資者から集めた出資金で、ファンドの運用実態はないというのがポンジスキームの具体的な手法です。

そのうちに支払いが滞り、問い合わせるとすでに逃げられたあとだったというケースがほとんどです。

逃げられた後は捕まえるのが難しい

実はポンジスキームは最初の数ヶ月はきちんと配当金を支払われるため、途中で詐欺だと気づいて捕まるケースは稀です。

一方で逃げられた後で捕まえることができても「出資金は投資ですべて使った」「出資金を投資で増やそうと思ったが、失敗した」などと主張し逃げ切るのがポンジスキームを行う詐欺師の常套手段です。

きちんと配当を支払おうとする意思があったため、詐欺にはあたらないとみなされてしまうのです。

ポンジスキームという手法が100年以上なくならないのは、捕まえるのが難しいという点にあると言えます。

実際にあったポンジスキームの代表的な事例

ポンジスキームは実際に国内外で頻繁に被害が報告されている手法です。

中には以下の事例のように巨額の被害が出ている事例もあります。

ポンジスキームとして知られている代表的な事例は以下の3つです。

事例1:ナスダック事件

ナスダック事件とは、大手証券会社として知られていたナスダック・ストック・マーケットの会長バーナード・マドフが行った巨額詐欺事件です。

被害総額は360億ユーロ(約4兆5000億円)にも上ります。

バーナード・マドフは年利10%を保証するという投資ファンドを運用し、口コミで投資家から資金を集めていきました。

そのうちに投資家だけでなく著名人や金融機関からの投資も集まり、国内外の投資家約4万人から資金を集め、集めた資金から配当金を支払う自転車操業が続きました。

野村ホールディングスや、あおぞら銀行は、元ナスダック・ストック・マーケットに投資した金融機関として知られています。

しかし、リーマンショック後に投資家や金融機関が続々と解約をしだすと、解約金の支払いができずに破綻してしまいます。

バーナード・マドフは2008年12月に逮捕され、現在でも史上最大の詐欺師と呼ばれています。

事例2:豊田商事事件

豊田商事事件とは、被害額が2000億円、被害者は3万人にも上る詐欺事件です。

豊田商事が組織的に行った詐欺なので「豊田商事事件」と呼ばれています。

豊田商事が行ったのは、高齢者や母子家庭をターゲットにして架空の純金を購入させ、豊田商事が預かる代わりに「純金ファミリー契約証券」という紙切れを渡し、利息を払うことを約束します。

純金の代金から前払いの利息を差し引いたお金はすべて豊田商事のものになるという手口です。

「純金ファミリー証券」を渡して安心させるという手口から「ペーパー商法」とも呼ばれています。

豊田商事のテレビCMには芸能人が多数起用されており、世間は急成長している会社だと感じ信用されていたことや、ドルショックにより金の運用が注目されていたことを利用して多くの人を騙した事件です。

事例3:ビットクラブ事件

ピットクラブ事件はポンジスキームとマルチ商法を組み合わせて行われた詐欺です。

そもそもビットクラブとは、仮想通貨の一種であるビットコインのマイニングプールを運営していた団体です。

マイニングプールとは、複数のマイナーが協力しながらマイニング(第三者としてビットコインの取引が正常に行われたことを承認する作業)することです。

「ビットクラブのマイニング設備へ投資すれば大きな収益に繋がる」として出資者を集め、さらに別のユーザーを勧誘して加入すれば報酬が手に入る仕組みでした。

しかし、ビットクラブの幹部たちは集めた資金を自分の生活に使っていたようです。

ビットクラブ事件は現在も裁判が続いており、2021年8月、9月に最終的な判決が下されます。

ポンジスキームの見分け方

ポンジスキームにはいくつかの特徴があります。

以下のような魅力的な投資を勧誘された場合はポンジスキームの可能性があるので注意しましょう。

  • 利回りが年間10%を超えている
  • 元本保証と謳っている
  • 人を紹介すると報酬がもらえる仕組みになっている

利回りが年間10%を超えている

利回りは高ければ高いほど良いと思いがちですが配当利回りが高いのにリスクが低い「ローリスクハイリターン」の商品はポンジスキームなどの投資詐欺である可能性が高いです。

そもそも、投資の利回りの相場が10%以上になることはほとんどありません。

Yahoo!ファイナンスによると、2021年8月12日の配当利回りランキングで2位に浮上している株式会社ベリテの予想配当利回りは平均利回りは9.05%です。

2909社の配当利回りをランキングにし、1位を獲得している会社の利回りでさえ、10%には届きません。

投資商品の種類にもよりますが、配当利回りは3〜7%ほどが相場です。

「配当利回り20%」「月間利回り3%」などと謳って勧誘してくる業者には注意しましょう。

元本保証と謳っている

元本保証を謳っている投資案件のほとんどは投資詐欺です。

なぜなら、元本保証は銀行やなどの一部の金融機関だけに許されている制度だからです。

そもそも、元本保証とは、投資をするために初めにだしたお金(元手)を保証するという意味を持ちます

銀行などの一部の金融機関以外の会社が元本保証を謳って契約を獲得することは出資法で禁止されています。

聞いたことのない会社はもちろん、大企業であっても、認められている金融機関でなければ元本保証はできません。

元本保証を謳って勧誘を行う投資話には注意しましょう。

人を紹介すると報酬がもらえる仕組みになっている

ポンジスキームはマルチ商法と組み合わせて運営されているケースが多く見られます。

「紹介者が加入すれば報酬を受け取ることができる」というのは「マルチ商法」です。

ポンジスキームは架空の商品を販売し、運用するとみせかける詐欺です。

商品の実態がないので「ねずみ講」と解釈することもできます。

実は、実在する商品を購入する「マルチ商法」は合法ですが、商品が実在しない「ねずみ講」は犯罪です。

例えば、化粧品や健康食品の定期購入を勧誘し、報酬をもらうのはマルチ商法ですが、スポーツクラブの入会を勧誘し、報酬を受け取る仕組みは「ねずみ講」と呼ばれる犯罪になります。

犯罪に加担してしまう可能性があるのでうまい投資話に「紹介者が加入すれば報酬を受け取ることができる」というような誘い文句が出た時は注意しましょう。

ポンジスキームに騙された時の3つの対処法

ポンジスキームの被害に遭った時に真っ先に考えるのがお金に関する不安なのではないでしょうか。

ポンジスキームの被害に遭った方の中には、「お金は戻ってくるのだろうか」という不安から二次被害に遭ってしまう方もいます。

ポンジスキームで奪われたお金を取り戻すためには、できるだけ速やかに返還請求を行うことが重要です。

返還請求に繋がる3つの対処法は以下の通りです。

その1、警察に相談する

被害届を提出し、刑事事件だと判断されれば、警察は捜査に乗り出します。

捜査の結果、犯人が捕まれば、民事裁判にかけることで返還請求を行うことが可能です。

しかし、民事事件だと判断された場合には、警察はすぐに捜査しないことがほとんどです。

そのため、警察に被害届を提出する場合は被害を受けた経緯や証拠、他の被害者の有無などの整理し、詐欺罪の構成要件を満たしていることを証明する必要があります。

詐欺を証明できない場合、警察が捜査を始めるまでに時間がかかってしまう可能性が高いです。

その2、弁護士・探偵に相談する

警察を介さず、速やかに返還請求を行うことができる方法として、弁護士や探偵に相談する方法があります。

弁護士は返還請求や不当請求、架空請求への交渉、立証などの法律行為を行うことができます。

立証するための証拠集めや犯人の割り出しができている場合は、すぐに弁護士に依頼して返還請求を行いましょう。

しかし、証拠集めや犯人の割り出しができていない場合は探偵に調査を依頼し、立証に必要な証拠集めを行いましょう。

その3、NPOや国民生活センターに相談する

詐欺を専門に取り扱うNPOや、事業所と消費者間のトラブルを解決する手助けを行う国民生活センターに相談するのも1つの方法です。

NPOや国民生活センターでは、ポンジスキームなどの詐欺被害に関する相談をすることができます。

NPOの場合は専門機関を紹介してもらえるケースが多いですが、直接返還請求を行うということはありません。

一方で国民生活センターはADR(裁判外紛争解決手続)を申請することができます。

ADR(裁判外紛争解決手続)とは、裁判を行わずに和解の仲介や仲裁を行うというものです。

法律や商品、役務の取引などの専門家が集まる国民生活センター紛争解決委員会によって和解の仲介や仲裁が行われます。

「お金がないから裁判ができない」「泣き寝入りしたくない」という方は検討してみることをおすすめします。

ポンジスキームに騙されないための予防法

ポンジスキームに騙されないためには、以下の2点を知っておくことがとても大切です。

  • 配当利回りの相場感(年間3〜7%)
  • リスクとリターンは比例している

投資の世界ではリスクとリターンは比例していると言われています。

つまり、高配当であればあるほどリスクが高いということです。

「すぐにも儲かる」「元本保証」などといううまい話はありません。

特にポンジスキームは被害に遭ってしまうとお金を取り戻すことが難しい投資詐欺です。

投資話を持ちかけられたら、即決はせず、よく考えてから判断するようにしましょう。

異常なほど高利回りの投資はポンジスキームを疑おう!

ポンジスキームに共通するのは、「高配当・高利回り」「元本保証」「私が運用してお金を増やします」などと言い寄ってくることです。

「うまい話には裏がある」という言葉のようにリスクを負わずに儲けられる話は危険です。

被害に遭ってしまった後に警察に被害届を提出するのは対処法の1つとして知っておくべきですが「すぐにお金を返してほしい」という場合は弁護士や探偵に依頼し、速やかに返還請求を行うことが大切です。

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