【投稿日】 2021年9月17日 【最終更新日】 2022年10月27日

一人暮らしの高齢者がターゲットになりやすいリフォーム詐欺。

インターホンが鳴り出てみるとリフォーム業者だったという経験がある方もいるのではないでしょうか。

実は、いきなりやってくるリフォーム業者のほとんどはリフォーム詐欺業者です。

アポ無しで訪問することの他にもリフォーム詐欺業者にはいくつか共通する特徴があります。

今回はリフォーム業者の手口や実態、騙されてしまった時の対処法を解説いたします。

リフォーム詐欺の実態

リフォーム詐欺は昔から定期的に話題になる詐欺ですが、実はリフォームに関する相談は年々増加しています。

以下の表は国民生活センターが管理するネットワークシステム「PIO-NET」に登録されている、リフォームに関する相談件数の推移です。

年度 2018 2019 2020 2021
相談件数 7,223 8,000 8,757 1,864(前年同期1,464

上記に含まれる相談には、「契約を急かされてリフォーム工事をした」「しつこく契約を迫られ断りきれず契約した」などというケースが見られます。

リフォーム詐欺が減らない要因として考えられるのは、業界に参入しやすいというものです。

請負代金が500万円以上のリフォームの場合は「建設業許可」を受けなければなりませんが、請負代金が500万円未満のリフォームの場合は建設業許可を受けずに営業することが可能です。

また、軽微なリフォームであれば資格がなくても実施できるため、誰でもリフォームを行うことができるのです。

また、技術的な部分は素人には分からないという点もリフォーム詐欺業者にとっては好都合です。

屋根の瓦のリフォームであれば、そもそも本当リフォームが必要なのか、実際に施工したのか、瓦はしっかりと組まれているのかという点は素人では分かりづらく、そもそも施工箇所を見るのが難しい場合があります。

上記のような点を利用して必要ないリフォームやずさんな工事をするリフォーム詐欺が横行しています。

リフォーム詐欺の手口

リフォーム詐欺の手口の基本的な手口は嘘をついて不安を煽り、お金を騙し取るというものです。

状況や謳い文句は違っても、「住宅に不具合がある」「このままでは大変なことになる」など言ってその日のうちに契約させます。

具体的には以下のような3つの手口で行われることが多いのが特徴です。

手口1:不具合があると偽り、契約や商品・サービスの購入を迫る

「床下の柱が傷んでいる」「このままでは折れて家が歪んでしまう」などと大袈裟な表現をして住民の不安を煽り、リフォームの契約や商品・サービスの購入を迫るのはリフォーム詐欺の典型的な手口です。

「床の柱が傷んでいる」など指摘される不具合は、実際は心配する必要のないであるケースや、そもそも不具合は確認できず、嘘をついているケースがあります。

さらにひどいリフォーム詐欺業者の場合は、わざと住宅の一部を壊して不具合を偽るケースや、他の住宅の写真を見せて不具合があることを信じ込ませるケースも見られるのでしっかりと見極めることが大切です。

リフォーム詐欺業者を信じてリフォームを依頼しても、ずさんな工事をされ連絡が取れなくなるというケースが多くなっています。

手口2:災害後に無意味なリフォームを行い料金を請求する

災害後に「無料の耐震診断をする」などと訪問するリフォーム業者はリフォーム詐欺の可能性が高いです。

診断後、「耐震基準を満たしていない」などと偽り、意味のない工事をして高額な費用を請求します。

このような災害後に増えるリフォーム詐欺は、テレビなどで災害の状況を目の当たりにして「我が家は大丈夫だろうか」と不安を募らせた一人暮らしの高齢者をターゲットにしています。

診断後すぐに見積もりを出して契約を迫るリフォーム詐欺業者がほとんどですが、そもそも耐震工事の見積もりはすぐに作成できるものではありません。

耐震診断には1.5〜2時間、見積もりに必要な診断書作成までには1週間ほどかかるのが一般的です。

災害で不安になった気持ちに漬け込んでその日のうちに契約させ、工事を行うのはリフォーム詐欺の手口の1つです。

手口3:補助金や火災保険金が降りると嘘をついて勧誘する

3つ目「補助金や火災保険金が降りるから実質無料でリフォームできる」と言われたので契約すると補助金や火災保険金は全く降りず、全額実費で支払うことになるという手口です。

確かに、一定の条件を満たす耐震工事は自治体から助成を受けることができます。

しかしそもそも、着工前に自治体に申請しなければ、助成を受けることはできません。

助成金の申請時には自治体から派遣された耐震コンサルタントは発行する診断書が必要です。

このように、助成金を申請するまでにはいくつかの過程を踏む必要があります。

補助金や火災保険が降りると言いながらすぐに着工しようとするのはリフォーム詐欺の手口です。

これってリフォーム詐欺?自分でできるリフォーム詐欺の見分け方

リフォーム詐欺に共通しているのは、「無料点検を行う」などと言ってアポ無しで訪問する点です。

話を聞いてくれる人だと分かると、畳みかけるように不安を煽って契約に持ち込みます。

特に、以下の4つの見分け方に当てはまる場合はリフォーム詐欺である可能性があるので注意しましょう。

その1:アポ無しで自宅へ訪問営業し、無料点検・診断を始める

アポ無しで自宅へ訪問し「近くで工事をしています」「お宅の屋根がちょうど見えて気になった」などと言って無料点検や診断を始めます。

無料点検・診断後、「瓦がずれている」「このままでは瓦が吹き飛ばされてしまう」と言って不安を煽り、リフォームの契約を取り付けるのが特徴です。

その2:アポ無し訪問当日に見積もりを出して契約させる

アポ無し訪問をして「瓦がずれている」「このままでは瓦が吹き飛ばされてしまう」などと言って不安を煽った後、その場で契約を迫るのはリフォーム詐欺の特徴です。

優良な業者であれば、契約を急ぐことはしません。

「一刻も早く工事が必要」などと脅して訪問当日に契約を迫るのはリフォーム業者には注意しましょう。

その3:契約を断ると大幅な値下げを行う

契約を断ると、「キャンペーンを適用すると100万円値引きできる」などと大幅な値下げをするのはリフォーム詐欺の常套手段です。

悪質なリフォーム詐欺の場合はもちろん、優良リフォーム業者であっても、大幅な値下げをすると人件費や材料費にしわ寄せが来て、質の低い工事になってしまいます。

優良なリフォーム業者の場合、値下げの限界は請負金額の5〜10%程度です。

例えば、300万円の見積もりでは、10%値引きされたとしても270万円ということになります。

一方でリフォーム詐欺業者の場合は、値引きを考慮してはじめから高額な料金に設定しているため、値引きをしたとしても通常の金額になることがほとんどです。

明らかに大幅な値引き謳う業者はリフォーム詐欺の可能性があるので注意しましょう。

その4:大袈裟な言葉で不安を煽る

「地震が来たら家が倒れる」「台風が来たら屋根が飛ぶ」「早くリフォームしないと大変なことになってしまう」などと大袈裟な言葉で不安を煽る業者はリフォーム詐欺の可能性が高いです。

まずは大袈裟な言葉でターゲットにショックを与え、リフォーム詐欺業者の話に引き込んでいきます。

動揺したところを「屋根の瓦が剥がれている」などと具体的に指摘して信じさせるという流れです。

わかりやすい手法ですが、多くのリフォーム詐欺業者がターゲットにしている一人暮らしの高齢者の場合、リフォーム詐欺業者の話を信じ込んでしまうケースが後を絶ちません。

その5:相談から着工までの期間が短い

優良なリフォーム業者の場合、相談から着工までは最低でも半月ほどかかります。

半月ほどかかる理由は、診断や点検などに最低1〜2日、見積もりまでにて最低2〜3日、契約までに1週間程度、着工までに1週間程度かかるためです。

上記の日数は30万円程度の軽微なリフォームの場合です。

100万円以上のリフォームの場合はさらに長い期間が必要です。

しかしリフォーム詐欺の場合は訪問したその日に見積もり・契約・工事をすべて完了させます。

すぐに工事に取り掛かるのは、ターゲットに考える時間を与えないためです。

相談から着工までの期間が短い業者はリフォーム詐欺の可能性が高いため注意しましょう。

リフォーム詐欺に騙されてしまった時の対処法

詐欺というと第一に警察をイメージする方が多いかもしれません。

確かにリフォーム詐欺業者を捕まえるという面では警察が一番の対処法ですが、お金の返金が目的の場合や、そもそもどこに相談すればよいか分からないという場合は他の対処法のほうが適しているケースがあります。

リフォーム詐欺に騙されてしまった時には以下の4つの対処法から自分に合ったものを選びましょう。

【1】警察に相談する

詐欺というと、第一の対処法として警察をイメージする方も多いはずです。

確かに、警察に詐欺であることを証明することができれば動いてもらえる可能性があります。

警察には証拠を重視するため、「証拠はありますか?」などと必ず聞かれます。

証拠について聞かれた時にしっかりと提出することができるよう、些細なものでもできるかぎり集めて持参しましょう。

一方で、詐欺であることが証明できない場合や、詐欺を証明できたとしても民事事件だと判断された場合、警察は動きません。

また、警察はリフォーム詐欺業者を処罰する機関であり、お金を取り戻すことはできません。

返金を望んでいる場合は弁護士や探偵に依頼しましょう。

【2】弁護士や探偵に相談する

前述した通り、返金を望んでいる場合は弁護士や探偵に依頼するのが一番の近道です。

ただし、弁護士単体では被害の立証ができず、お金の返還請求ができない場合があります。

弁護士は法律行為を行うことができる権限を元に、内容証明郵便を送付したり、直接電話で交渉したりすることができますが、住所が特定できていない場合や証拠集めが不十分である場合は対応することができません。

被害の立証をするために必要となるのは、リフォーム詐欺を働いた業者の住所特定と証拠集めです。

住所特定や証拠集めについては探偵が専門にしている分野です。

探偵は、独自のルートや調査方法でリフォーム詐欺業者に関する情報や証拠を集めていきます。

警察と異なる点は、民事事件でも対応可能である点です。

警察で民事事件だと判断されず、捜査をしてもらえない場合や、お金を取り戻すことが目的の場合は探偵に依頼することでスムーズに証拠を集めることができます。

また、探偵に依頼して証拠集めてから警察や弁護士に相談することでスムーズに刑事事件として立件でき、交渉や訴訟に持ち込むことが可能です。

【3】国民生活センターに相談する

国民生活センターは、消費者からの相談受付や、消費者の生活に関する情報を収集し、研究することを目的としている独立行政法人です。

国民生活センターの相談窓口では、過去に同じような詐欺被害が報告されているか、リフォーム業者へのクレームがないかなどを調査し、今後の対応についてアドバイスを受けることができます。

このように、国民生活センターは警察、弁護士、探偵のように直接問題解決へ働きかける機関ではなく、あくまで相談をしたり、アドバイスを受けたりすることができる機関です。

国民生活センターに相談するメリットは、完全無料で相談できるという点です。

リフォーム詐欺が疑われる場合や、詐欺だと気づいたものの、どのように対応すればよいか分からない場合は国民生活センターに相談しましょう。

【4】住宅リフォーム・紛争処理支援センターに相談する

住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、住宅の建築、売買やリフォームなどに関してのトラブルや不安がある消費者の相談を受け付けている機関です。

国土交通大臣指定の相談窓口で、技術的な問題から法律的な問題まで、幅広い相談に対応しています。

国民生活センターと同様に、過去に同じような相談内容がないかを調べて、今後の対応についてのアドバイスを受けることができます。

国民生活センターと異なる点は、相談内容によっては弁護士や建築士と2対1で面談できる点です。

弁護士・建築家との面談は原則無料で実施されるので、リフォームに関して不安がある方やすぐに警察、弁護士、探偵に相談するのは不安な方におすすめの相談機関です。

リフォーム詐欺に騙されないための予防法

リフォーム詐欺に騙されないための予防法は以下の3つです。

  1. 第三者に相談する
  2. 複数のリフォーム業者に見積もりを依頼する
  3. 業者の情報を確認する

リフォームを行う際は、第三者に相談してから契約することがリフォーム詐欺に騙されないための一番の予防法です。

特に、無料点検を謳ってアポ無しで訪れたリフォーム業者の場合は、複数のリフォーム業者から見積もりをとった上で第三者と相談して依頼するかどうかを決定しましょう。

また、業者の住所などの情報を確認しておくことも有効です。

リフォーム業者は請負代金500万円以上のリフォームを行う際、「建築業許可」受ける必要があります。

500万円以上の見積もりが出ている場合は建築業許可を受けているかチェックしましょう。

建築業許可を受けているかどうかは国土交通省のサイト内にある「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」にて調べることができます。

500万円未満であれば、名刺などからリフォーム業者の電話番号や住所などの情報を集め、実在するかどうかを確認しましょう。

リフォームのアポ無し訪問営業はリフォーム詐欺を疑おう!

アポ無しで訪問するリフォーム業者のほとんどはリフォーム詐欺です。

リフォーム詐欺はいきなり訪問し、畳みかけるように契約を迫ります。

もしすでにリフォーム詐欺の被害に遭ってしまった場合は、リフォーム詐欺に対応している第三者に相談しましょう。

警察や弁護士に相談する場合は、相談する前に住所特定や証拠集めを行っておくとスムーズに対応してもらうことができます。

まずは住所特定や証拠集めを専門としている探偵に相談するのがおすすめです。

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