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不良社員を解雇する!不当解雇の注意と正当な解雇にするための素行調査

【投稿日】2018年5月11日

社員の勤務態度・素行不良や社員の犯罪行為は、社内風紀を乱したり企業の信用を損なったりするだけでなく、売上や収益の低下をも招きかねません。企業リスク管理の一環として、素行不良社員の解雇もやむを得ないこともあります。

ただし、解雇はその理由の正当性にかかわらず、パワーハラスメントあるいはモラルハラスメントとして問題提起され、企業イメージが傷ついてしまうリスクも生じます。

そのため解雇に踏み切れない、解雇すべきか悩む担当者も多いはずです。そのような社会情勢の中で企業が合法的に解雇権を行使するためには、どう対処すべきなのでしょうか。

そこで、解雇の正当性を認める法的根拠から解説したうえで、問題行動の証拠集めにおすすめしたい探偵の素行調査をご紹介します。

法令遵守した正当な解雇とは

企業が解雇に踏み切るのは、社員の問題行動が業務に支障をきたすほどのものであったり、業務外で犯罪に及んだりした時などが一般的です。ですが、問題が生じたから即解雇というわけにはいかず、関連する法令の遵守が求められます。

ここでは社員の解雇時に企業が守らなければならない法令を確認して、法的根拠に基づいた適切かつ正当な解雇について、徹底的に解説します。

社員の解雇における労働契約法の壁

解雇において大前提となるのは労働契約法です。労働契約法では、企業の解雇権の濫用を防ぎ、労働者の雇用を保護することを目的として、解雇について次のように記載しています。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

ここでポイントとなるのは、解雇には「客観的に合理的な理由」があり、処分内容として解雇が「社会通念上相当である」と認められることです。

「客観的に合理的な理由」とは、解雇処分は致し方ない、と誰もが判断できるだけの解雇理由があることを指します。具体的なポイントは以下のとおりです。

  • 対象者の行為(懲罰の理由)は事実か
  • 第三者でも事実として認められるか(具体的かつ客観的な証拠や証言はあるか)
  • 就業規則に記載された懲罰事由に当てはまるか

また、解雇が「社会通念上相当である」と認められるためには、以下の条件を満たしていなければなりません。

  • 企業側も改善のために、適切な措置(指導・監督・処分)を実行した
  • 解雇を回避するための上記措置にもかかわらず、改善の見込みがない
  • 社会一般的に見て、また過去の事例とも照らし合わせて、解雇処分が妥当である

これらの要件を満たすことができない場合は、解雇はいかなる理由でも正当とは認められないのです。

労働契約法から解雇の正当性を証明するには

ここからは、解雇が正当・合法であると認められるための具体的な法的要件を見ていきましょう。

ここでも労働契約法第16条に記載された「客観的に合理的な理由」の有無が、解雇の正当性を見極めるポイントとなります。

労働提供の債務不履行

労働提供の債務不履行は簡単に言えば、サボりや無断欠勤・遅刻などの過度の勤怠不良や職務怠慢です。

社員は会社との雇用関係が生じた時点で、会社に対して「労務を提供する義務」を負っています(労働契約法第3条第4項、第6条)。そのため、社員が正当な理由なく欠勤・遅刻や職務怠慢などによって労務提供義務を怠ると「労働提供の債務不履行」と見なされるのです。

この場合、以下の要件を満たしていれば、解雇の正当性が認められます。

  • 欠勤・遅刻などの日数に有給休暇を割り当ててもなお、欠勤・遅刻日数として残る。
  • 欠勤・遅刻・サボりの事実が立証されている。
  • 勤怠不良や職務怠慢は、就業規則の解雇事由として記載されている。

ここでポイントとなるのは、「欠勤・遅刻などの日数が、労働基準法第39条の年次有給休暇日数を上回る」ことです。

そのうえで、勤怠不良の具体的かつ客観的な証拠が固まっていれば、解雇における「客観的に合理的な理由」があると認められます。

違法行為や過失

業務中および業務外で社員が罪を犯した場合、会社はその財産だけでなく、財産以外の名誉や社会的信用に損害を被ったとして、犯罪行為などを解雇事由とすることができます。

この場合、就業規則に下記を解雇事由として明記していなければなりません。

  • 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えた時
  • 刑事事件で有罪の判決を受けた時
  • 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなった時

ここでもやはり、犯罪行為や重大な過失があったことの証明が、解雇の「客観的に合理的な理由」となります。

労働基準法から解雇の正当性を証明するためには

不当解雇にあたらないもう1つの法的根拠として、労働基準法があります。労働基準法は、労働条件(就業規則や雇用条件など)の最低基準を定めた法律です。

同法に基づき、会社は「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」について就業規則に記載する義務があります。

また、同法第2条第2項では、社員と会社の両者が就業規則を遵守する義務を定めています。社員に就業規則違反行為があった場合、就業規則に解雇事由として記載されていれば、解雇は可能です。

就業規則違反の行為例:

  • 就業規則で定められた服務規律に違反した。
  • 雇用時に重要な経歴詐称をしていた。
  • 業務命令に背いた。
  • 素行不良で社内の風紀や秩序を乱した。
  • 職責を利用して交際や性的な関係を強要した。
  • 会社の物品や施設を許可なく利用した。

なお、この場合は正当な解雇理由として、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 反省や改善の機会を与えたにもかかわらず、実行されなかった。
  • 規定違反行為の懲罰を課してもなお、新たな規律違反行為を繰り返しており、その都度、戒告、減給、出勤停止というように、懲戒権を段階的に行使している。
  • 就業規則の規定違反行為があった事実を証明できる。
  • 就業規則の解雇事由として記載されている。

就業規則の規律違反を理由に社員を解雇する場合も、事実の裏付けによって「客観的に合理的な理由」を証明しなければなりません。

不当・違法解雇と見なされる事例

「解雇における労働契約法の壁」でもご紹介したように、「客観的に合理的な理由」がなく、「社会通念上相当である」と認められない解雇は、企業の解雇権の濫用にあたるとされ、無効になってしまいます(労働契約法第16条)。

さらには、パワハラ、モラハラ、脅迫、強要に該当する可能性があるだけでなく、社員が解雇を不服として起こした損害賠償請求や未払い賃金の請求により、企業イメージや会社の信用にも悪影響を及ぼしかねません。

そのような事態を回避するためにも、不当・違法解雇の事例から正当な解雇理由を今一度確認しておきましょう。

勤務時間中に仕事をサボっているらしい、という報告を受けた

あくまでも報告レベルで、サボりが立証されたわけでない場合、解雇は無効となります。また、サボっていた時間分の給与支払いや、職務怠慢による売上ロスなどの帳簿データだけでは、サボりの証拠能力として不十分です。

社員が勤務時間中に仕事をサボっていたという事実(行き先・滞在時間など)を証拠として掴んで、初めて解雇の正当性が認められます。

反社的会勢力の一員であると社内告発があった

通常、就業規則で反社会的勢力を排除する旨の規定が記載されています。これに則って解雇事由とすることは可能ですが、本人が反社会勢力に加担している事実が立証されない限り、不当解雇にあたります。

本人の思想や宗教を解雇理由とした

思想や宗教は労働基準法第3条における信条にあたるため、思想・宗教だけを解雇事由として取り上げてはいけません。

第3条(均等待遇)使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。

ただし、社員に過激な思想や布教活動が認められる場合、就業規則で社内での危険思想の流布や布教活動の禁止が記載されてさえいれば、解雇妥当と判断することは可能です。この場合ももちろん、社内でそのような活動・行為があった事実を証明する必要があります。

正当な解雇を立証するために探偵の素行調査を利用して証拠を収集

グレーあるいは黒に限りなく近いグレーゾーンにいる社員を解雇したい時、決め手となる証拠は素行調査で収集すべきです。

素行調査は対象者が「いつ・どこで・誰と・何をしたか」を調べるので、社員の問題行動を具体的かつ客観的に立証することができます。また、調査結果は労働紛争や訴訟に発展した場合にも、裁判資料としても使うことができます。

解雇時の証拠集めに利用したいのが、探偵事務所の素行調査です。調査経験が豊富で企業調査の実績がある探偵事務所なら、より高い証拠能力を持つ事実を掴むことができます。

探偵の素行調査の特色

企業調査の分野での素行調査は、社員が出勤のために自宅を出てから帰宅するまで、あるいは勤務時間中に外出してから帰社・帰宅するまでの全行程を対象に行われます。

素行調査によって特定されるのは、以下に関する記録や写真・映像です。

  • ターゲットが出勤のために自宅を出る時間
  • 通勤ルート
  • 勤務先
  • 退勤時間
  • 勤務時間中に外出する場合は、立ち寄り先
  • 外出中の立ち寄り先での滞在時間
  • 外出中に接触した人物
  • ターゲットの交友関係
  • その他、ターゲットのプライベートに関する情報

素行調査の基本は「尾行と張り込み」です。尾行は常に2人以上のチームで行い、徒歩・車両・交通機関などすべての移動手段と移動経路を追跡します。張り込みはターゲットが1カ所に留まっている間、移動を再開するまで待機してターゲットを見張るほかに、決定的瞬間を撮影する目的でも行います。

探偵事務所の素行調査なら、調査対象の外出中の行動に関する具体的な記録と証拠写真が調査報告書として提出されるので、解雇事由を立証する際に大変有効なのです。

素行調査を探偵事務所に依頼すべき理由

素行調査は自社で行えないというわけではありません。ですが、自社で実施する場合は様々な制約やリスクを伴うため、調査の専門家集団である探偵事務所に任せた方が良いでしょう。

参考までに、素行調査を探偵事務所に依頼した場合と、自社で行う場合の特徴を以下にまとめました。

探偵自社
調査可能な範囲・社外での行動や行き先
・移動手段やルート
・接触した人物
・交友関係などプライベートに関する情報
・帳簿や出勤簿など
・社内文書
・パソコンやメールのデータ
・インターネット閲覧履歴など
・社内システム
プライバシーの問題・秘密保持義務がある
・個人情報保護法などの法令遵守義務がある
業務に関係ないプライベートへの干渉が、プライバシーの侵害にあたる可能性
尾行技術・尾行に気づかれにくい
・ターゲットを見失いにくい
・ターゲットを見失っても、居場所を探し当てやすい
・車両を使った尾行も可能
・技術や経験不足から気づかれやすい
・一度ターゲットを見失うと、居場所を突き止めるのが困難
・車両追尾は訓練・経験が必要なため難しい
撮影技術・決定的瞬間の撮影が可能
・鮮明な画像が撮影できる
・車両追尾中でも撮影ができる
・撮影のタイミングを掴めない
・撮影技術不足で証拠力のある写真撮影が困難
調査実施者の認知調査員はターゲットの認知度が低い、あるいはまったくないため、調査に気づかれにくい実施者が会社関係の人間であるため、調査に気づかれやすい
ストーカー規制法の問題尾行や張り込みは探偵業法で業務として認められているため、ターゲットに気づかれてもストーカー規制法の適用外尾行・張り込みに気づかれると、つきまとい・ストーカー行為とターゲットが認識してしまう可能性がある

上記の表からわかるように、探偵事務所と自社とでまったく同じ費用と時間をかけて素行調査を行ったとしたら、探偵事務所の方がより多くの証拠を集められます。

さらには、調査の専門家である探偵事務所が集めた証拠の方が証拠能力も高いため、費用対効果の観点からも探偵事務所に任せるべきなのです。

違法調査や探偵業法違反の恐れのある探偵事務所は避けるべき

先ほどは探偵事務所への素行調査の依頼をおすすめする理由をご紹介しましたが、調査で扱う情報は他人のプライバシーや個人情報であるため、調査を安心して任せられるか、探偵を信用して問題ないか、といった懸念を抱いて当然です。

そこで、以下に相談・依頼すべきでない業者の典型例をご紹介するので、依頼先としてピックアップした事務所が信用できるかどうかを判断する際に役立てて下さい。

違法調査の有無

違法行為となる調査例には次のものが挙げられます。探偵事務所がこれらの調査を行っていた場合、依頼先からは除外すべきです。

  • 証拠の捜索のために無断で調査対象者の自宅に浸入する→住居侵入罪(刑法第130条)
  • 調査対象者が所有する車両にGPSを設置して居場所を突き止める→プライバシーの侵害(民法709条)
  • 調査対象者の電話に盗聴機を設置して会話を傍受する→有線電気通信法違反(同法第9条・第14条)

都道府県公安委員会に届け出がない

探偵事務所の営業にあたっては、都道府県公安委員会への届出義務があります(探偵業の業務の適正化に関する法律第4条)。業者が探偵業として届出済みかは、相談前に必ず確認しましょう。

探偵業の届出済みであれば、公安委員会より交付された「探偵業届出証明書」を事務所内に掲示しなければならないので、事務所への訪問で届出有無がわかります。また、届出時に発行される「探偵営業届出証明書番号」は、事務所のホームページ上でも確認することが可能です。

重要事項説明義務違反・秘密保持義務違反

探偵は依頼者との契約前に、個人情報保護法およびその他の法令遵守を記載した「重要事項説明書」を交付しなければなりません(探偵業法第8条第3項)。契約前に重要事項説明書を交付しないことは法令違反ですので、速やかに別の探偵事務所を探すべきです。

なお、重要事項説明書には、調査を通して入手した他人の秘密を正当な理由なく第三者に開示しないことや、秘密が載っている文書や資料を適切に取扱い、保管する旨の誓約を明記しなければなりません(探偵業法第8条第1項、同法第10条)。

重要事項説明書が交付された場合は、秘密保持義務の記載を確認して、探偵が調査上の秘密を守るかどうかの判断材料にして下さい。

公安委員会の処分中、あるいは処分歴がある

探偵事務所が探偵業法やその他の法令に違反した場合、管轄する公安委員会より行政処分が命じられます。行政処分の対象となった探偵事務所は一定期間、都道府県の警察・公安委員会のホームページに掲載されるので、相談前に処分の有無を確認すると良いでしょう。

素行調査の取扱い範囲は調査対象の社員のプライバシーや個人情報、依頼内容によっては依頼人の企業機密にかかわる情報など、多岐に渡ります。調査を安心して任せるためにも、上記のチェック項目を探偵事務所選びの基準として活用して下さい。

まとめ

企業は社員の解雇にあたって、その解雇事由を就業規則に記載しなければならないのはもちろん、解雇事由が事実であったと立証できなければなりません。そのため、解雇手続きに入る前に、探偵事務所の素行調査で社員の問題行動や不正行為の証拠固めをしておくべきです。

探偵が提出した調査報告書は、解雇の正当性を認める決定的な証拠であり、同時に労働紛争や訴訟に発展した場合の裁判資料にもなります。社員が処分を不服として不当解雇やパワハラを訴えた時に会社が不利な状況に陥らないためにも、素行調査は信用できる探偵事務所に依頼しましょう。

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