【投稿日】 2022年11月3日 【最終更新日】 2022年11月7日

今は、誰か人を探したいと思った時、自分でネットやSNSなどで人探しができてしまう時代です。

だからと言って、安易に自分で人探しを行ってしまうことは、個人情報保護法やストーカー規制法など、様々な法律に違反してしまう可能性もあり、実は危険な行為なのです。

今回は、自分で人探しをする際に違反してしまいやすい法律の1つである、ストーカー規制法について、できるだけ分かりやすく解説いたします。

ストーカー規制法とは?

ストーカー規制法とは、簡単に言えば、相手へのつきまとい行為などを規制している法律です。

正式名称は「ストーカー行為等の規制等に関する法律」です。

具体的に規制される行為や罰則、または被害者の援助措置などについて規定しており、被害者に対するあらゆる危害の発生を抑止する法律となっています。

ストーカー規制法の規制対象になる行為

ストーカー規制法で規制の対象としている行為は、主に次の3つです。

  • つきまとい行為
  • 位置情報無承諾取得
  • ストーカー行為

一つひとつ、詳しく見ていきましょう。

【1】つきまとい行為

「つきまとい行為」と聞くと、対象者の後をつける行為をイメージされると思いますが、実はストーカー規制法で規定されている「つきまとい行為」には様々な種類があります。

「その人の後をむやみやたらとつけたりしなければストーカー規制法には違反しない」という訳ではないので、自分で人探しをする際にはどういった行為がストーカー規制法における「つきまとい行為」に該当するのかを把握し、やってしまわないように注意しましょう。

ストーカー規制法では、特定の人物への恋愛感情や、その他好意的な感情から、または恋愛感情や、その他行為的な感じが満たされなかったために生じた怨恨の感情から、以下のような行動を特定の人物またはその家族に対して行うことを「つきまとい行為」として、規定しています。

  1. つきまとう、待ち伏せる、押しかける、うろつく等の行為
  2. 監視していると告げる行為
  3. 面会や交際の要求
  4. 乱暴な言動
  5. 無言電話や、拒否しているにも関わらず何度も連絡してくる等の行為
  6. 汚物等の送付
  7. 名誉を傷つける
  8. 性的しゅう恥心の侵害

1.つきまとう、待ち伏せる、押しかける、うろつく等の行為

「つきまとう、待ち伏せる、押しかける、うろつく等」の行為に該当するのは、主に次のような行動です。

  • 尾行し、つきまとう。
  • 通勤途中や、外出先などで対象者を待ち伏せする。
  • 進路に立ちふさがる。
  • 自宅や職場、学校など、対象者のいる場所の周辺で張り込みや見張り・監視をする。
  • 自宅や職場、学校など、対象者のいる場所に押しかける。
  • 自宅や職場、学校など、対象者のいる場所やその周辺をうろつく。

ストーカー規制法の中で規定されている「つきまとい行為」の中で、一番イメージしやすいのが、これらの行動でしょう。

これらは、人探しを個人が行う上で、無意識に一番やってしまいがちな行為なので十分注意しましょう。

たとえ人探しのためということであったとしても、これらの行為をすると規制の対象になります。つまり、素人が個人で第三者を尾行したり、張り込んだりする行為は、基本的に違法行為になってしまうということです。

また、相手側が気味が悪いと感じたり、怖がったり、警察に被害届を出し受理されてしまえば、ストーカー規制法違反として、警察から処罰を受けることになります。

実際のストーカー規制法の条文には、これらの行動について次のように規定されています。

つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校、その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。

引用元:ストーカー規制法 第2条第1項第1号

2.監視していると告げる行為

「監視していると告げる行為」に該当するのは、主に次のような行為です。

  • 対象者の行動や服装など、見ていないと分からない情報をメールや電話で告げる。
  • 「監視している」という旨を対象者に告げる。
  • 対象者の帰宅時に「おかえりなさい」などと電話したりメールしたりする。
  • ネット掲示板やSNSなどに、上記書き込みや投稿を行う。

人探しを行う中では、相手側の所在や連絡先がそもそも分からないから人探しをしている訳なので、これらの行為を無意識に行ってしてしまう可能性は低いと言えますが、十分注意しましょう。

実際の条文には、「監視していると告げる行為」について、次のように記載されています。

その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

引用元:ストーカー規制法 第2条第1項第2号

3.面会や交際の要求

「面会や交際の要求」に該当するのは、主に次のような行為です。

  • 面会や交際、復縁などを要求する。
  • 贈り物を受け取るように要求する。

恋愛絡みの人探しでは、こういった好意を無意識にやってしまう可能性が高いので十分注意しましょう。

実際の条文には次のように記載されています。

面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。

引用元:ストーカー規制法 第2条第1項第3号

4.乱暴な言動

「乱暴な言動」に該当するのは、主に次のような行為です。

  • あなたに、大声で「バカヤロー」等と怒鳴る。
  • 「この野郎!」「馬鹿野郎!」など、粗暴な内容のメールを送る。
  • 家の前で、故意に車のクラクションを鳴らす。

人探しをやっている中で、これらの行為をしてしまう可能性は低いと言えますが、十分に注意しましょう。

実際の条文には次のように記載されています。

著しく粗野又は乱暴な言動をすること。

引用元:ストーカー規制法 第2条第1項第4号

5.無言電話や、拒否しているにも関わらず何度も連絡してくる等の行為

「無言電話や、拒否しているにも関わらず何度も連絡してくる等の行為」に該当するのは、主に次のような行為です。

  • 無言電話をかける
  • 拒否しているのに、何度も連絡してくる(電話、メール、FAX、SNSダイレクトメッセージ、文書など)

そもそも連絡先や所在が分からないために人探しを行う訳なので、これらの行為も人探しの最中に無意識に行ってしまう可能性は低いと言えます。

しかし、例えば「相手の電話番号かもしれない」ことを確かめるために、相手の声を聞く目的で何度も無言電話をかけたりしてしまうと、これらの行為に該当する可能性がありますので注意しましょう。

実際の条文には次のように記載されています。

電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。

引用元:ストーカー規制法 第2条第1項第5号

6.汚物等の送付

「汚物等の送付」に該当するのは、主に次のような行為です。

  • 汚物や動物の死骸など、相手に嫌がらせ目的で、不快感を与えるものを自宅や職場に送る

人探しにおいて、これらに該当する行為を行ってしまう可能性は低いですが、ストーカー規制法では、このような行為も「つきまとい行為」の一種として規定されています。

実際の条文には次のように記載されています。

汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

引用元:ストーカー規制法第2条第1項第6号

7.名誉を傷つける

「名誉を傷つける」に該当するのは、主に次のような行為です。

  • 相手を中傷したり、名誉を傷つける内容の言動を発したり、電子メールを送ったりする。
  • インターネットで誹謗中傷をする。

これらも、人探しの中でやってしまう可能性が低い行動と言えますが、こういった行為も「つきまとい行為」の一種として規定されています。

また、例えばネットやSNSなどで、人探しの名目で相手側の不名誉にあたる情報を無断で掲載してしまい、それを見た相手側が「名誉を傷つけられた」と感じた場合は、この行為に該当する可能性があるので、注意しましょう。

※そもそも、無断で探している第三者の個人情報をネットやSNSに掲載すると、個人情報保護法にも違反してしまう可能性があります。「◉◉を探しています」など、第三者の情報を無断でネットやSNSに掲載するのは危険なので絶対にやめましょう。

実際の条文には次のように記載されています。

その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

引用元:ストーカー規制法 第2条第1項第7号

8.性的しゅう恥心の侵害

「性的しゅう恥心の侵害」に該当するのは、主に次のような行為です。

  • 卑猥な写真を自宅や職場などに送る。
  • メールや電話、手紙などで卑猥な内容を伝えて、相手を恥ずかしめる。

人探しの中で、無意識に行ってしまう可能性はほとんど無いと思いますが、これらも「つきまとい行為」として規定されています。

実際の条文には、次のように記載されています。

その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。

引用元:ストーカー規制法 第2条第1項第8号

【2】位置情報無承諾取得

ストーカー規制法において、「位置情報無承諾取得」についての規定は、令和3年より新設されたものです。

ストーカー規制法では、特定の人物への恋愛感情や、その他好意的な感情から、または恋愛感情や、その他行為的な感じが満たされなかったために生じた怨恨の感情から、以下のような行為を「位置情報無断取得」として規制しています。

  1. 対象者の私物等にGPS機器など、位置情報を取得するための機器を設置
  2. 実際に位置情報を取得

それぞれ一つひとつ見ていきましょう。

1.対象者の私物等にGPS機器など位置情報を取得するための機器を設置

「対象者の私物等に、GPS機器など位置情報を取得するための機器を設置」に該当するのは、主に次のような行為です。

  • 相手が所持する車両に無断でGPSを取り付ける。
  • 相手の持ち物に無断でGPSを取り付ける。

それまでは、共有財産であればGPSを設置することは違法ではないとされてきました。

しかし、2021年8月の改正ストーカー規制法によって、原則として相手の承諾を得ることなく、無断で相手に設置することは違法行為とされる可能性が高くなりました。

つまり、人探しにおいて、相手といかなる関係にあったとしても、基本的には正当な理由や相手の承諾無しにGPSを取り付ける行為は、違法行為になってしまう可能性が高いということです。

個人でGPSを使うこと自体は規制されていませんが、人探しでそれを活用するのは危険です。絶対にやめましょう。

実際の条文には、次のように記載されています。

その承諾を得ないで、その所持する物に位置情報記録・送信装置を取り付けること、位置情報記録・送信装置を取り付けた物を交付することその他その移動に伴い位置情報記録・送信装置を移動し得る状態にする行為として政令で定める行為をすること。

引用元:ストーカー規制法 第3条第2項

2.実際に位置情報を取得

「実際に位置情報を取得」に該当するのは、主に次のような行為です。

  • 取り付けたGPSから実際にその場所を特定し、うろつく。
  • 無断でスマートフォンの位置情報を取得する。

GPS自体の使用は規制されていませんが、実際にその位置情報を取得したり、特定の場所に行ったりすると、ストーカー規制法の規制対象になってしまう可能性が高くなります。

前述しましたが、法的知識や専門知識のない個人が、GPSを使って人探しを行う行為は危険なので、やめましょう。

実際の条文には、次のように記載されています。

その承諾を得ないで、その所持する位置情報記録・送信装置(当該装置の位置に係る位置情報(地理空間情報活用推進基本法(平成十九年法律第六十三号)第二条第一項第一号に規定する位置情報をいう。以下この号において同じ。)を記録し、又は送信する機能を有する装置で政令で定めるものをいう。以下この号及び次号において同じ。)(同号に規定する行為がされた位置情報記録・送信装置を含む。)により記録され、又は送信される当該位置情報記録・送信装置の位置に係る位置情報を政令で定める方法により取得すること。

引用元:ストーカー規制法 第3条第1項

【3】ストーカー行為

ストーカー規制法では、同一の人物に対して、前述した「つきまとい等」を繰り返し行う行為を「ストーカー行為」と規定しています。

ただし、「つきまとい等」の行為のうち、次の行為については、身の安全や住居などの平穏や、個人の名誉などが害されたり、行動の自由が著しく害されたりしてしまうような方法で行われた場合に限ります。

  1. つきまとう、待ち伏せる、押しかける、うろつく等の行為
  2. 監視していると告げる行為
  3. 面会や交際の要求
  4. 乱暴な言動
  5. 無言電話、拒否後の連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNSメッセージ・文書等(電子メールの送受信に係る部分に限る)

ストーカー規制法の違反者への罰則

ストーカー規制法の違反者へは、もちろん罰則が課されます。

「つきまとい行為」を行った場合と、「ストーカー行為」を行った場合とで対応が違うので、その違いを見ていきましょう。

つきまとい行為をした場合の罰則

つきまとい行為をした場合には、次のように警告、禁止命令という段階を踏んでから罰則が与えられます。

内容 罰則
警告 警察に被害の申し出を行うと、ストーカーに対して警察はつきまとい行為を行わないように警告を行います。

ストーカーを警察署に呼び出して書面を交付したり、口頭で警告したりと警察署によって手段は様々です。

警告を受けたのにもかかわらずつきまとい行為を続けるものに対しては禁止命令が出されます。
禁止命令 各都道府県の公安委員会から「つきまとい行為」を今後行わないようにという旨の書面が送られてきます。

また、禁止命令が出る場合、各都道府県の公安委員会によりストーカー側の主張を聞くための、弁解の機会も設けられます。

禁止命令が出たにもかかわらず、つきまとい行為を行った場合、50万円以下の罰金か6ヶ月以下の懲役が科せられる可能性があります。

また、禁止命令が出たにもかわらず、ストーカー行為を行った場合、200万円以下の罰金か、2年以下の懲役が科される可能性があります。

前条に規定するもののほか、禁止命令等に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

引用元:ストーカー規制法 第20条

ストーカー行為をした場合の罰則

ストーカー行為については、被害者が警察に相談した際、警察がストーカー行為であると認めた場合、刑事手続に進みます。

ストーカー行為はつきまとい行為と違い、次の条文に記載されている通り、警告や禁止命令もなく罰金を要求されます。

ストーカー行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

引用元:ストーカー規制法 第18条

また、つきまとい行為などですでに禁止命令が出ているにも関わらず、ストーカー行為を行った場合には、次のような罰則が適用されます。

禁止命令等(第五条第一項第一号に係るものに限る。以下同じ。)に違反してストーカー行為をした者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。

2 前項に規定するもののほか、禁止命令等に違反してつきまとい等又は位置情報無承諾取得等をすることにより、ストーカー行為をした者も、同項と同様とする。

引用元:ストーカー規制法 第19条

自力での人探しは危険!探偵なら、尾行や張り込みなど、探偵業法に基づき調査できます!

個人で人探しをする場合、尾行や張り込み、住所の特定などを行ってしまうと、個人情報保護法やストーカー規制法に違反してしまいますが、探偵はそういった調査を探偵業法に認められた範囲の中で仕事として行うことができます。

  • 相手の所在地を調べたい
  • 相手の素性を調べたい
  • 相手の行動を監視したい

など、一般人であればストーカー規制法の対象になることであっても、探偵は探偵業法に基づいた業務としてそういった調査をすることが可能です。

確かにお金はかかってきますが、何か事情があり、人探しをしたい場合、自力で調べるよりも人探しのプロである探偵に依頼した方が見つかるまでの期間も短く、見つかる確率も高くなります。

警察OBの探偵が在籍する、探偵事務所SATでは、警察と探偵の双方の視点から、探偵業法に基づいたあらゆる調査手法で人探しを行っております。

認知症など疾病による失踪から、お金を貸したまま行方不明になってしまった友人、突然失踪してしまった親族など、あらゆる人探しについて、全力で捜索対応いたします。

まずは、メールやお電話などでお気軽にご相談ください。

※犯罪につながる可能性のあると判断できる人探しや、違法性のある調査はお引き受けできません。そういった調査は事前にお断りさせていただいておりますので、ご了承ください。

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