最近では、インターネットやSNSが主流となっていますが、ストーカーの中には手紙や荷物などを送り付けてくる者もいます。自分では意識していなくても、突然、何かのきっかけで、ストーカーに遭うことがあります。

「好きだ」「付き合って欲しい」など一方的な好意を書き連ねる、ありもしない妄想をぶつけるといったものや、差出人を伏せて「いつも見ている」といった内容の手紙は、ストーカーの典型です。「好きだからプレゼントとしたい」と何度も荷物を送ってきたり、汚物などを送ってくるのも、ストーカー規制法に触れる行為です。送りつけるだけでなく、直接手渡ししてくるケースもあります。

ストーカーから手紙や荷物が届いた時は、どのようにすればよいのでしょうか。今回は、ストーカーから手紙や荷物が届いた時の対処方法、警察を動かすために必要なことなどについて、詳しく解説していきます。

ストーカーから手紙・荷物が届いたらどうする?

ストーカーとは、恋愛感情や好意の感情、その感情が満たされなかったことの恨みから、相手に対して何度も嫌がらせをしたり、つきまとったりすることを言います。自分が発した何気ないSNSの一言がきっかけとなる場合もあれば、たまたま道ですれ違った自分のことを知った全く知らない相手につきまとわれるケースもあります。

ストーカーと言われる行為の中には、手紙や荷物、汚物を送りつける行為も該当します。きっかけはともあれ、ストーカーから手紙や荷物などが届いた場合は、どのようにすればよいのでしょうか。

手紙・荷物の開封には手袋などを使う

ストーカーから自分宛てに届いた手紙や荷物などは、ストーカー被害に遭っているという重要な証拠になります。開封する場合は、できるだけ手袋などをして、直接素手で触れないようにしてください。

ストーカーの犯人が直接触れている可能性があるため、指紋など採取できれば、犯人の特定につながる場合もありますし、犯人しか触れられないところから採取した指紋だと、犯人の犯行と特定できます。

また、相手を傷つけようとして、中にカミソリの刃など危険なものを入れていることもあります。開封する場合は、慎重に触るようにしましょう。ストーカーから届いたものに間違いなければ、警察に届け出て、開封してもらうのも良いでしょう。

手紙・荷物を保管し、写真や記録をとる

ストーカーから届いた手紙や荷物は、できる限りそのままの状態で保管するようにしましょう。何度も届いていれば、繰り返しストーカー行為をしたという証明にもなるため、なるべく捨てないようにようにしてください。

届いた手紙や荷物について、写真に残しておくことも大切です。封を開ける前に写真を撮れば届いた時の状況がわかりますし、届いた荷物が食べ物など、日が経つと腐食や劣化するものであれば、届いたものが何かという証拠になります。

直接手渡ししてきた時は、その時の状況や相手の言動などを、できるだけ詳細に書き留めて置いてください。少しでも多くストーカーの証拠を残しておくようにしましょう。

保管・撮影・記録の方法と注意点

ストーカーからの手紙や荷物の保管方法、写真撮影や記録の方法と注意点について説明します。

1.写真撮影

開封する前に写真を撮る。この時、宛名や差出人がわかるように撮影する。開封した後、入っていた手紙や荷物も写真撮影する。開封の様子を動画撮影するのも良い。

2.保管方法

手紙や荷物は、1つずつ密封できるもの(例えばジップロックなど)に入れて、日付を書いて整理しておく。封筒や外箱も捨てずに保管する。

3.記録方法、内容

郵便物や宅配便の場合は、ノートなどに届いた日時、回数を記録する。直接受け取った場合は、持参した相手(知らない人ならその特徴など)、日時、回数のほか、自分の対応や相手の言動などを記録する。

警察に相談する

ストーカーから手紙や荷物が届くようであれば、できるだけ早めに警察に相談するようにしてください。身の危険を感じるような状況であれば、ストーカー犯人の逮捕・検挙のほか、被害者自身の安全を守るためのアドバイスをしてもらえるでしょう。エスカレートして被害が大きくなる前に、適切な対応や解決する方法などを聞いておくと安心です。

ストーカーの犯人を逮捕・検挙するには、犯人を特定して、犯行の証拠となるものを警察に提出する必要があります。犯人が誰かわからない場合や、犯人の検挙を望まない場合は、被害を拡大させないためのアドバイスをしてもらいましょう。

ストーカーの相談時に警察ができる対応とは?

警察にストーカーから手紙や荷物が送られてきたことを相談した際、警察ができる対応には次のようなものがあります。

  • 今後の適切な対応についてのアドバイス
  • 被害者や関係者の周辺をパトロール
  • 未開封のまま持参したストーカーからの手紙や荷物について、開封する際の立ち合い
  • ストーカー行為を拒否する際の立ち合い(相手を警察署などに呼び出す、警察から電話をかけるなどの方法による)
  • ストーカーへの口頭警告(ストーカー規制法上の「警告」ではなく、警察からの単なる警告)
  • 防犯ブザーなどの防犯対策グッズの貸出

探偵に相談する

ストーカーを解決するためには、探偵にも早めに相談することをおすすめします。警察とは違った視点からアドバイスが可能なので、そのアドバイスを受けて今後に備えておくと良いでしょう。

ストーカーを解決する方法には、警察にストーカー被害を届出する(被害届・刑事告訴)、弁護士にストーカーとの交渉を依頼(示談など)または民事訴訟を起こすといったものがあります。この方法をとる場合、いずれにしても犯人を特定して証拠を提出しなければなりません。

犯人の特定や犯行の証拠集めのために、探偵の技術で調査を行い、確実な証拠を集めることができます。警察や弁護士が動けないようであれば、探偵への相談を検討してみてください。

手紙・荷物の受け取り拒否をする

手紙や荷物が郵送や宅配便で届いた場合は、受け取りを拒否することが可能です。ストーカーから送られてきたものを受け取ることで、精神的に大きなダメージを受けるようであれば、受け取らないという選択肢もあります。

受け取り拒否をすることで、相手からのストーカー行為を拒否する姿勢を見せることにもつながります。しかし、相手が逆上する可能性もあり、何よりストーカー行為の証拠が手元に残らなくなります。受け取り拒否をしてもしなくても、早めに警察や探偵などに相談して、最善の解決策を見つけるようにしてください。

郵便物の受け取り拒否をする方法

  • 1.郵便物は決して開封しない(開封すると、受け取り拒否ができません)
  • 2.「受取拒絶」の文字を書いたメモや付せんにハンコを押すまたは署名して、郵便物に貼り付けておく
  • 3.配達担当者に渡す/郵便ポストに投函する/郵便局に持参するのいずれかの方法で郵便物を返還する

宅配便の受け取り拒否をする方法

基本的に、荷物を受け取る前であれば受け取り拒否は可能ですが、いったん受け取ってしまうと宅配業者では対応できず、直接送り主と交渉するしかないようです。

ヤマト運輸の場合、荷物を受け取る前であれば、セールスドライバーまたはサービスセンターへ「受け取り拒否」を申し出れば、ヤマト運輸から送り主へ連絡して返品してくれます。また、ネコポスとクロネコDM便の荷物の場合、未開封であれば、受け取り拒否が可能です。

手紙・荷物を送りつけるストーカー被害を警察に解決してもらうためには

手紙や荷物を送りつけるストーカー被害を解決するには、さまざまな方法がありますが、最も犯人にダメージを与えられるのは、警察が介入して、犯人を逮捕・検挙して処罰することです。

そのためにはどのようにすれば良いのか、詳しく解説します。

ストーカーからの手紙・荷物にストーカー規制法を適用する

まず、手紙や荷物を送りつける行為について、ストーカー規制法が適用可能かみてみましょう。

ストーカーの判断基準

手紙や荷物を送りつける行為がストーカーと判断されるには、次の要件が必要となります。

  • 被害者に対して恋愛感情や好意の感情を持っている、またはその感情が満たされず恨んでいる
  • 被害者が迷惑に感じている、嫌がらせだと思っている
  • 被害者が拒否している
  • 被害者が拒否しても、何度も繰り返し行っている

ストーカー規制法を適用できるケース

ストーカーによる手紙や荷物を送りつける行為について、ストーカー規制法を適用するには、「つきまとい等」の行為に該当していなければなりません。また、一度だけではなく、繰り返し「つきまとい等」が行われる必要があります。ここでは、どのような行為が対象となるのか、例を挙げて説明します。

  • つきまとい・待ち伏せ・押しかけ・うろつき等
     例)直接家のポストに投函する/家の周辺、通勤・通学途中で手渡ししてくる
  • 行動を監視していると告げる行為
     例)手紙に「〇〇にいたね」「今日は〇〇が似合っていたよ」などと書いてある
  • 面会や交際の要求
     例)手紙や荷物を受け取るように強要する/手紙に「愛しているから会って欲しい」「付き合ってくれるまであきらめない」などと書いてある
  • 著しく粗野・乱暴な言動
     例)手紙に「バカ」「死ね」「最低な人間」などの乱暴な言葉遣いが書いてある
  • 汚物などの送付
     例)汚物や動物の死体、不快感を与えるものなどを送りつける・手渡ししてくる
  • 名誉を傷つける事項の告知
     例)手紙に名誉を損なうこと、根拠のない悪いうわさといった中傷する内容を書いてくる
  • 性的羞恥心を害する事項の告知
     例)わいせつな言葉や写真・画像などを送りつけてくる

ストーカー規制法を適用してできること

手紙や荷物を送りつける行為がストーカー行為と認められれば、ストーカー規制法で取り締まることができます。

犯人への「警告」

警察本部長または警察署長名の警告文書により「被害者に対して、これ以上ストーカー行為を繰り返してはならない」という内容で、ストーカーの犯人に警告をすることができます。

警察官が電話や口頭だけで行う警告は、ストーカー規制法上の警告には該当しません。

禁止命令の手続き

文書による警告を行っても、犯人がストーカー行為をを止めない場合は、公安委員会から禁止命令を発出できます。禁止命令に違反すれば、罰則が適用されます。

  • 【命令に違反してストーカー行為をした場合】2年以下の懲役または200万円以下の罰金
  • 【命令に違反したもののストーカー行為にまで至らない場合】6月以下の懲役または50万円以下の罰金

被害者に危害が迫っているなど、緊急の場合であれば、文書警告をしなくても警察本部長または警察署長による禁止命令等の措置を取ることができます。

犯人逮捕

被害者からストーカーの被害届を受理し、必要な捜査をした上で要件が揃えば、犯人を逮捕することもできます。

  • 【ストーカー行為をした場合】1年以下の懲役または100万円以下の罰金

ストーカー規制法以外の罪を適用する

手紙や荷物を送りつける行為が、ストーカー規制法以外の犯罪に該当するケースもたくさんあります。ストーカー規制法に該当しなくても、その他の犯罪行為に触れる行為であれば、その罪名によって犯人を逮捕・検挙できる場合もあります。

住居侵入罪

正当な理由がないのに、人の家や敷地に侵入すると住居侵入罪になります。手紙や荷物を家のポストに投函する、直接渡そうとする際、勝手に家や家の敷地に侵入するなどの行為が該当します。法定刑は「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」になります。

脅迫罪

送りつけられた手紙に、被害者やその家族に対して脅迫するような言葉が書かれていて、その言葉に恐怖を覚えるようであれば、脅迫罪に該当します。法定刑は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」です。

傷害罪・暴行罪

手紙や荷物の中にカッターの刃など危険なものが入っていた場合、それによってケガなどをすると傷害罪に該当します。また、手紙や荷物を直接渡そうとする際、暴力をふるえば暴行罪に、暴力によってケガをすれば傷害罪に該当するケースもあります。法定刑は、傷害罪は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」、暴行罪は「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」となります。

警察に訴えるためにしておくこと

ストーカーの犯人が特定できて、その行為がストーカー規制法やその他の犯罪に触れるものであれば、警察に訴えることができます。そのためには、被害に遭った証拠を持って、警察に被害届を出す必要があります。

犯人との交渉が必要な場合や、刑事告訴する、裁判になる場合は、弁護士に依頼するとスムーズに事が進むでしょう。

手紙や荷物を送りつけるストーカー被害であれば、送られてきたものがそのまま証拠となるため、被害者本人でもたくさんの証拠を集めることが可能です。しかし、犯行につながる確実な証拠を得るには、探偵に依頼すると良いでしょう。特に、犯人の見当がつかない場合は、身を守るためにも自分で調べることなく、プロの探偵に調査を依頼してください。

手紙・荷物を送りつけるストーカー被害に遭わないために

ストーカーから手紙や荷物を送りつけられないようにするには、どうしたら良いのでしょうか。そのようなストーカー被害に遭わないためには、次の点に注意しておくと良いでしょう。

  • 知らない人からの手紙や荷物は、特に慎重に開封する
  • 身に覚えのない手紙や荷物は、できるだけ受け取らないようにする
  • ポストに届いた郵便物はこまめにチェックする
  • 他人に開けられないように、ポストに鍵をつけておく
  • 自分の住所や名前など個人情報が書いてあるものは、シュレッダーにかけるなど読めない状態にしてから捨てる
  • つきまとわれている可能性があるなら、夜はできるだけ1人で出歩かないようにする

手紙・荷物はストーカー行為を解決するための重要な証拠

ストーカーが送りつけてきた手紙や荷物は、ほとんどがストーカーやその他の犯罪の証拠になります。ストーカーを解決するためには必要なものとなるため、捨てたり雑に扱ったりせずに、できるだけ送られてきたままの状態で保管してください。開封する場合には、注意して慎重に対応するようにしましょう。

そして、その証拠を持って、早い段階で警察や探偵に相談してください。ストーカー被害を解決するには、警察の協力が不可欠です。また、犯人の特定や確実な証拠集めは、探偵に依頼するのがおすすめです。

早い段階で警察や探偵に相談すれば、早期解決も十分期待できます。手が付けられなくなる前に、ぜひ相談してください。