最近ではメールやSNSの普及によって減ってきてはいますが、手紙や小包などをターゲットに送り付けるストーカーも存在します。そしていつ、何がきっかけでその被害に遭うかわかりません。

差出人がわからないのに向こうはこちらを知っているかのような手紙や、一方的な好意を書き連ねて何度も送られてくるもの、ありもしない妄想をぶつけたもの、そして汚物やその他の荷物など、ストーカーが送ってくるものは様々です。また、それらを手渡ししてくるケースもあります。

手紙や荷物を送ってくるストーカー被害にはどういった対処と予防をすればいいのか、警察に動いてもらうために何をすればいいのかなど、ストーカーからの手紙や荷物への対策をまとめました。

ストーカーからの手紙への対策(予防策)と注意点

ストーカーとは、恋愛感情やそれが満たされなかったことへの恨みなどから嫌がらせをする人物のことですが、何がきっかけでストーカー被害を受けるようになるかは予想できません。何気ない一言から始まることもあれば、全く知らない相手から突然目を付けられることもあります。

手紙や荷物の送付は、比較的初期段階で行われるストーカー行為であり、何の前触れもなく突然始まることも多いです。

よってストーカー被害を受ける心当たりのある人だけでなく、全く身に覚えのない人も普段からいくつかの点に注意し、ストーカー被害が始まったときのために備えておくことをおすすめします。

これは予防の意味もありますが、どちらかといえば実際にストーカーからの手紙や荷物を受け取ったときに適切に対処できるように備えるためです。そうすればストーカー行為がエスカレートするのを防げますし、早期解決の足掛かりにもなります。

ストーカーからの手紙や小包などに備えるための対策・注意点

  • ポストの中を目で見て確認してから手を入れる
  • 他人に開けられないように鍵をつけておく
  • 手紙や小包などを開封するときは中身まで切ってしまわないように気を付ける
  • 知らない人物からの手紙や小包は特に慎重に開封する
  • ポスト内の郵便物は放置せずこまめにチェックし、必ず開封する(ストーカーのサインに早く気づくため)
  • 職場のロッカーなども可能なら鍵をかける
  • 人気のない場所で直接手渡しされるのを避けるため、夜はできるだけ1人で出歩かない
  • 住所・氏名などの個人情報が書かれたものはシュレッダーにかけるなどして読めない状態にしてから捨てる

ストーカーから手紙が届いたときの対処法

実際にストーカーから手紙や小包が届いたら、大事なのは証拠の保全と警察などへの相談です。届いたものには必要以上に触れず、極力届いたままの状態で証拠として保管し、すぐに警察に相談しましょう。

それぞれの対処法の細かな注意点がありますので、しっかり読んで正しい対策をしてください。

手紙や小包の開封には手袋やピンセットなどを使う

ストーカーから贈られてきたものをそのままの状態で保管するためです。採取された指紋から犯人を特定できることもあるので、あまり素手で触らないようにしてください。

また中にかみそりの刃などの危険物が入っている可能性もあるので、慎重に開封してください。はっきりストーカーからと分かっている封書や小包は、最初から警察に開封してもらうこともできます。最寄りの交番や警察に相談しましょう。

手紙・小包を保管し、写真や記録をとる

ストーカーから贈られたものはすべてストーカー行為の証拠となります。回数・個数の多さを証明できれば、ストーカー規制法やその他の法律を適用できる可能性は高くなりますので、すべて捨てずに保管してください。

保管・撮影・記録の手順と注意点

  1. 開封前に写真を撮るか、開封の様子を動画に撮る(宛名書きなどもわかるように)
  2. 証拠品は1つずつジップロックなどの密封できる容器に入れて、日付を書いて整理する
  3. 外箱や封筒なども捨てずに保管しておく
  4. 郵送やポストへの直接投函されたものは届いた日時や回数をノートに記録する
  5. 手渡しなら相手が誰か(知らない相手なら特徴)、日時、回数、自分の対応や相手の言動をノートに記録する

手紙を渡すだけでストーカー行為として訴えるのは難しいです。しかし回数や手渡ししてきた際の言動などを理由に逮捕されたケースは少なくありません。

送られてきた手紙や品物とともに記録も大事な証拠となるので、相手の言動などもできるだけ詳細に書き留めてください。

警察に相談する

ストーカー行為は時間が経つにつれてエスカレートしやすいので、できるだけ早く警察に相談するのが基本です。

警察にできるストーカーからの手紙・小包への対策

  • 今後の適切な対応などのアドバイス
  • 周辺のパトロール(犯人が手紙を自分で投函・手渡ししているなどの場合)
  • ストーカーからの手紙や荷物の開封時の立ち会い
  • 相手のストーカー行為を拒否する際の立ち合い

もちろん拒否しても何度も手紙が送られてくる、手紙の内容に危険な内容が含まれているといった場合は、ストーカー事件としてもっと踏み込んだ対策ができます。それについては「ストーカーからの手紙を警察に解決してもらうためには」の項や他の記事を参照してください。

探偵に相談する

ストーカー被害の解決のためには、探偵にも早めに相談すべきです。警察とは違った視点からのアドバイスを受けて今後に備えましょう。

探偵が警察と違うところは、ストーカー行為をエスカレートさせないための消極策だけでなく、解決のために犯人の特定や証拠の確保などの積極策をとれるところです。

ストーカーの解決のためには、警察に訴える(被害届・刑事告訴)、弁護士に依頼して示談や民事訴訟を起こすといった方法をとることになりますが、どちらにせよ証拠と犯人の特定は必須です。そして証拠は多ければ多いほど良く、探偵ならプロの技術で調査を行い、確実な証拠を集めることができます。

手紙や小包という物証は、探偵にとって犯人を特定する強力な手がかりです。誰の仕業かわからず警察がすぐには動かないときには、探偵への相談をぜひ検討してください。

郵便物の受け取り拒否をする

手紙や贈り物が郵便で送られたものなら、受け取り拒否をすることができます。受け取るだけで精神的に大きなダメージを受けしまうような状態であれば、これも1つの対策です。

郵便物の受け取り拒否をする方法

  1. 郵便物は決して開封しない
  2. 「受取拒絶」と書いた紙に署名あるいは捺印し、郵便物に貼り付ける
  3. 配達員に渡す/郵便ポストに投函する/郵便局に持参する のどれかの方法で郵便物を返す

郵便以外の業者を利用した送付物なら、配達時に拒否するか営業所に連絡して取りに来てもらうかが主な受け取り拒否の方法です。もちろん絶対に開封してはいけません。

しかし受け取り拒否にはせっかくの証拠が手元に残らず、かつ郵便物を送り返されたことで相手が逆上しやすいという大きなデメリットがあります。それよりは早いうちに警察や探偵に相談して、自分のケースに適した正しい対策を講じることをおすすめします。

ストーカーからの手紙を警察に解決してもらうためには

当然のことですが、手紙や贈り物を送付する、手渡すといった行為自体は罪ではありませんし、ストーカー規制法の対象にもなっていません。よって警察も簡単には動いてくれません。

しかし、その頻度や内容、方法によっては何らかの罪を適用できるケースはいくらでもあります。

警察は、警告や禁止命令というストーカー被害の解決に非常に有効な対策を講じるために、必要不可欠な存在です。きちんと手順を踏んで協力を仰ぎましょう。

ストーカーからの手紙にストーカー規制法を適用する

まずストーカー規制法を適用できるケースを見てみましょう。同じ行為であっても当事者同士の関係性などによって、ストーカー行為とされるかどうかが分かれます。

ストーカー行為の判断基準

  • 被害者が迷惑だと感じるかどうか
  • 拒否したのに続いたかどうか
  • 何度も繰り返されたかどうか
  • 恋愛や恋愛感情が満たされなかったことが動機になっているかどうか

これらを前提として、ストーカー規制法では「つきまとい等」として8項目を取り締まりの対象としています。その中でケースによって手紙や小包の送付・手渡しに適用できるものは、以下の7項目です。

手紙や小包を送る行為にストーカー規制法を適用できるケース

  • つきまとい・待ち伏せ・押し掛け・うろつき等 直接渡す:
    例)何度も家のポストに投函する / 家の周辺、通勤・通学路で手渡ししてくる
  • 監視していると告げる行為:
    例)手紙に「〇〇にいたね」「今日は〇〇が似合っていたよ」などの行動を監視しているような内容があった場合
  • 面会や交際の要求:
    例)受け取りを拒否しているのに受けとるように強要する / 手紙の中に「愛しているから会ってほしい」「付き合ってくれるまであきらめない」などの内容が書かれているなど
  • 乱暴な言動:
    例)手紙に「バカ」「死ね」「最低人間」などの乱暴な言葉づかいがある
  • 汚物等の送付:
    例)汚物を送ってくる・手渡してくる
  • 名誉を傷つける:
    例)手紙に中傷する内容が含まれている
  • 性的しゅう恥心の侵害:
    例)わいせつな写真や文章を送り付けてくる

ストーカーからの手紙は受けとった側の気分を害するものがほとんどですし、手紙を送ったり渡したりする過程で何らかのストーカー行為を行っているものです。よってストーカー規制法で取り締まれる可能性は充分にあります。

刑罰は、ストーカー規制法違反は1年以下の懲役または100万円以下の罰金、禁止命令を無視してストーカー行為を続けた場合は2年以下の懲役または200万円以下の罰金です。

ストーカー規制法以外の罪を適用する

手紙や小包を送りつけるストーカーに適用できる罪

  • 住居侵入罪:手紙を投函したり渡したりする際に、住居や敷地に侵入した場合

    参考リンク:e-Gov「刑法百三十条」

  • 脅迫罪:被害者やその家族などの生命、財産、身体、 名誉、自由などを傷つけられる恐怖を相手に与えるような内容の手紙を送った場合
  • 傷害罪・暴行罪:手紙や小包にカッターの刃などが入っていた場合 / 手渡しする際に相手に暴力をふるったり傷つけたりした場合

これらの罪は多くの場合ストーカー規制法違反より刑罰が軽くなります。より重い罰を与えたい、慰謝料をとりたい、とにかく接触を断ちたいなどの目的に応じて、どの罪で訴えるかを弁護士とよく相談してください。

警察に訴えるためにしておくこと

手紙や小包を送り付けたり手渡ししたりするストーカーが様々な罪に問えることはわかっていただけたかと思います。しかし問題は、警察が動いてくれるかどうかです。

ストーカー規制法が施行され、かつ2017年により適用しやすいように改訂されたとはいえ、すべての訴えに警察が積極的に動いてくれるわけではありません。

警察にストーカーを取り締まってもらうためにすべきこと

  • 被害届を出す
  • ストーカー行為の証拠を集める
  • 探偵に調査を依頼して犯人を特定する
  • 弁護士に諸々の手続きをしてもらう

ストーカー行為の確たる証拠があり、犯人が特定できていれば警察はほとんどの場合、警告や逮捕のために動いてくれます。さらに刑事告訴を考えるなら複雑な手続きが必要となるため、法律のプロである弁護士に依頼するとスムーズです。

また手紙や小包などのストーカー被害の場合、被害者本人でもたくさんの証拠が集められますが、解決のために確実な証拠を得るためには探偵に依頼するのがベターです。特に犯人が誰かわからない場合は、身の安全のためにも決して自分で調べようとせず、プロの探偵に調査を依頼してください。

手紙・小包はストーカー行為を解決するための重要な証拠

ストーカーが送ってくる手紙や小包はすべてストーカー行為の証拠となります。捨てたり雑に扱ったりせずに、できるだけ送られてきたままの状態で保管しておきましょう。開封の際にも注意が必要です。

証拠が確実に手元に残るので、ぜひ早い段階でそれを持って警察や探偵に相談してください。

警察はすぐに有効な対策を講じてくれるとは限りませんが、ストーカー被害の解決のためには、警察の協力が不可欠です。危険物が仕込まれている可能性のある封書や小包などの開封に立ち会ってもらうことなどもできますので、相談は早いに越したことはありません。

そして刑事告訴や民事訴訟、示談などのための証拠集めや犯人の特定は探偵に依頼するのが一番です。手紙や小包などは、探偵にとっては犯人を突き止めるための有力な手掛かりになるからです。

手紙や小包を送ってくるストーカー案件は物的証拠がそろいやすいので、早い段階で警察や探偵に相談すれば早期解決も充分期待できます。