【投稿日】 2023年5月27日 【最終更新日】 2023年5月31日

「セーフティネット保証制度」を使って、経営を立て直したいと考えたことはありますか。

しかしながら、制度の具体的な内容が分からない、どう利用すればいいのかわからないという方も多いでしょう。

会社の経営不振などで資金繰りが厳しい時にセーフティネット保証制度は役立ちます。

そこで今回はセーフティネット保証制度の仕組みやメリット、制度利用をする上での手続き方法について紹介します。

セーフティネット保証制度の概要

セーフティネット保証制度とは、中小企業信用保険法に基づいた保証制度の1つで、「経営安定関連保証」とも呼ばれています。

具体的に解説すると、経営不振に陥っている企業に対し、一定の条件を満たした上で管轄にあたる市町村長から本制度の認定を受けた場合、一般保証限度額の別枠として、同額まで保証されるというものです。

以下からは、セーフティネット保証制度の内容についてより細かく解説を加えます。

セーフティネット保証制度の仕組み

セーフティネット保証制度は、中小企業の救済を目的としています。

特に近年では、「感染症の流行によって打撃を受けた、多くの中小企業」の資金繰りをサポートするためにセーフティネット保証精度が有効な手段となっています。

本来、資金繰りのために融資を受ける場合、信用保証協会の保証を受ける必要があります。

しかし、信用保証協会も無制限に保証してくれるわけではありません。

信用保証協会は、該当の中小企業の業績や事業規模、発展の見込みなどを調査して、保証する枠を取り決めます。

セーフティネット保証制度は、この保証枠がなくなってしまった企業や通らなかった企業を保証するという仕組みです。

セーフティネット保証制度の種類は2つ

セーフティネット保証制度は、「経営安定関連保証」「「危機関連保証」の2種類に分けられます。

これらについて、以下から詳しく解説します。

【1】経営安定関連保証

経営安定関連保証は、経営が不安定化した事業に対して、信用保証協会が通常の保証限度額とは別に保証を行うというセーフティネットです。

経営安定関連保証の保証対象は、「突発的な障害によって会社経営を継続することが困難となった事業者」です。

「突発的な障害」とは、取引先の倒産や自然災害、不況による被害などが該当します。

経営安定関連保証は、以下のように1~8号に分類されています。

分類 目的 対象・条件
1号:連鎖倒産防止 民事再生手続開始の申立など行った大型倒産事業者に対し、売掛金債権などを有していることによって資金繰りが難航している中小企業を措置するため ・当該事業者に対して50万円以上売掛金債権等を有している中小企業者
・当該事業者に対し50万円未満の売掛金債権等しか有していないが、当該事業者との取引規模が20%以上である中小企業者
2号:取引先企業のリストラ等の事業活動の制限 生産量の縮小、販売量の縮小、店舗の閉鎖などの事業活動の制限を行っている事業者と直接・間接的に取引を行っていること等により、売上等が減少している中小企業者を支援するため ・事業活動の制限を行った事業者と直接的に取引を行っており、当該事業者に対する取引依存度が20%以上で、当該事業活動の制限を受けた後の3か月間の売上高等が前年同期比マイナス20%以上(※)の見込みである中小企業者
・事業活動の制限を行った事業者と間接的な取引を行っており、当該事業者に対する取引依存度が20%以上で、当該事業活動の制限を受けた後の3か月間の売上高等が前年同期比マイナス20%以上(※)の見込みである中小企業者
・事業活動の制限を行った事業者の近隣に事業所を有しており、当該事業活動の制限を受けた後の3か月間の売上高等が前年同期比マイナス20%以上(※)の見込みである中小企業者
(※)平成14年3月より、マイナス10%以上に緩和
3号:突発的災害(事故等) 突発的災害(事故等)の発生に起因して売上高が減少している中小企業者を支援するため ・指定を受けた地域において1年以上継続して事業を行っている中小企業者
・災害などの影響を受けた後の3ヶ月間の売上などが、前年同月に比べて20%以上の減少が見込まれる中小企業者
4号:突発的災害(自然災害等) 突発的災害(自然災害等)の発生に起因して売上高等が減少している中小企業者を支援するため ・申請者が、指定地域において1年間以上継続して事業を行っていること
・指定災害等の発生に起因して、その事業に係る当該災害等の影響を受けた後、原則として最近1か月間の売上高又は販売数量(建設業にあっては、完成工事高又は受注残高。以下「売上高等」という)が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること。
5号:業況の悪化している業種(全国的) 全国的に業況が悪化している業種に属する中小企業を支援するため ・指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の売上高等が前年同期比5%以上減少の中小企業者
・指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない中小企業者
6号:取引金融機関の破綻 破綻金融機関と金融取引を行っていたことにより、借入の減少等が生じている中小企業者を支援するため 破綻金融機関と金融取引を行っており、適正かつ健全に事業を営んでいるにもかかわらず、金融取引に支障を来しており、金融取引の正常化を図るため、破綻金融機関等からの借入金の返済を含めた資金調達が必要となっている中小企業者
7号:金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整 金融機関の支店の削減等による経営の相当程度の合理化により、借入れが減少している中小企業者を支援するため 経営の相当程度の合理化を実施している金融機関に対する取引依存度が10%以上で、当該金融機関からの直近の借入残高が前年同期比マイナス10%以上で、金融機関からの直近の総借入残高が前年同期比で減少している中小企業者
8号:金融機関の整理回収機構に対する貸付債権の譲渡 RCC(整理回収機構)へ貸付債権が譲渡された中小企業者のうち、事業の再生が可能な者を支援するため 金融機関からの直近の総借入残高が前年同期比で減少し、適切な事業再生計画を作成し、RCCに対する債務について返済条件の変更を受けている中小企業者

【2】危機管理関連保証

危機管理関連保証は、経済的な混乱が起こった際、企業の信用回復のために行われる政府対応に対して申し込むことができる保証です。

経済的に大きな混乱とは、例えば「リーマンショック」です。

主に、以下に該当する企業が保証を受けることになります。

  • 支障が出ている金融取引の正常化のために、資金調達が必要な企業
  • 経済産業省大臣による認定案件のために、原則として最近1ヶ月間の売上高等が前年同月と比べて15%以上減少している企業
  • その後2ヶ月間を含む3ヶ月間の売上などが、前年同時期に比べ15%以上の減少が見込まれる企業

セーフティネット保証制度のメリットとは?

セーフティネット保証を受ける上では、メリットについて知っておくべきです。

以下からは、セーフティネット保証制度における5つのメリットをご紹介いたします。

メリット1:融資が受けやすくなる

セーフティネット保証制度の代表的なメリットとして、融資が受けやすくなるというものがあります。

金融機関は、資金力の弱い中小企業や設立したばかりの中小企業への融資を嫌がります。

理由は、中小企業は、信用があるかわからず、返済の確証が得られないからです。

そこで、セーフティネット保証が役立ちます。

セーフティネット保証制度を利用することで、信用保証協会が融資額の80~100%を中小企業者へ保証してくれるため、金融機関も融資しやすくなるのです。

メリット2:長期借入が可能になる

セーフティネット保証のメリットとして、「長期借入が可能となること」も挙げられます。

セーフティネット保証を利用すると、数年単位での資金調達が可能となるため、資金繰りが難しくなってしまった中小企業であっても事業を立て直せるようになります。

メリット3:原則無担保・無保証人で借りられる

セーフティネット保証は、原則として無担保・無保証人で利用することができます。

法人の代表が保証人となり、別の保証人を探す必要はありません。

また一般的な融資においては、動産や不動産を担保とします。

しかしながら、担保となる資産を持っていない中小企業であっても融資を受けられるのはセーフティネット保証だけです。

ただし、将来性や信用性によっては担保や保証人を要求される場合もあります。

メリット4:代位弁済がある

セーフティネット保証には代位弁済という制度があります。

代位弁済とは、中小企業が受けた融資の返済が難しくなってしまった場合に、保証している信用保証協会が一時的に返済を肩代わりしてくれることです。

資金繰りが難しい中小企業の場合、代位弁済の制度を利用すれば、一時的な体制の立て直しが可能となります。

ただし、借り入れが帳消しになるわけではないため注意が必要です。

メリット5:別枠の融資申請も可能

セーフティネット保証制度は、信用保証協会の設定した枠とはまた別の枠から融資が受けられるという特徴があります。

つまり、「既に枠がいっぱいで融資が受けられない」という企業であっても新たに融資が受けられるのです。

この枠は、中小企業の事業や資産などを考慮して設けられます。

セーフティネット保証制度を利用する時の流れ

実際にセーフティネット保証を利用する場合の流れについて、以下から簡単な手順を紹介します。

【1】利用条件の確認を行う

セーフティネット保証の利用を行う前に、まずは自身が保証の対象であるかどうかを確認しましょう。

セーフティネット保証を受けられるの、中小企業に限られています。

また、セーフティネット保証の中から経営安定関連保証を受ける場合には、利用条件(1~8号)を確認しなければなりません。

もしわからない場合には、事業所のある市町村の役場へ行き、質問してみてください。

【2】申請書類の準備をする

セーフティネット保証を利用するためには、申請書類を整える必要があります。

個人と法人によって必要な書類が異なるため、注意が必要です。

法人 個人
・認定申請書
・売上高および売上見込みのわかる資料
・決算報告書の写し
・月次試算表・損益推移表・売上台帳など
・3ヶ月以内に取得した履歴事項全部証明書
・認定申請書
・売上高および売上見込みのわかる資料
・直近の確定申告書の写し

本人以外が手続きを進める際には、委任状が必要になります。

自治体によっては書類の数が異なります。

【3】セーフティネットの認定申請を行う

書類が揃ったら、認定申請を行いましょう。

中小企業の場合は事業所がある市町村役場、個人の場合には開業届を出している市町村役場に書類を提出します。

書類に不備があると手続きに時間を要するため、注意して下さい。

【4】保証付融資を申し込む

市町村役場でセーフティネット保証の認定を受けたら、その認定書を持って保証付融資を申し込みます。

この場合、金融機関か信用保証協会に申し込むことになります。

認定書の期限が30日となっているので、期限が切れる前に手続きを行いましょう。

信用保証協会の認定の場合、2ヵ月程時間がかかる可能性があります。

【5】融資実行

保証付き融資の申し込みが完了すると、信用保証協会によって融資の申し込みが審査されます。

この審査に通過すると融資額が決定され、融資が実行されます。

ただし、申請した融資と実際の融資額が異なる可能性もあるため留意しておきましょう。

セーフティネット保証制度は便利!

資金繰りに困っている中小企業を救済するために利用できるセーフティネット保証制度は、特に自然災害や事故などで困っている企業にとって多くのメリットがある制度です。

セーフティネット保証による融資を受けたいと検討している場合、条件をしっかり確認し、自社が該当していると分かり次第、市町村役場などに行って相談してみるのが良いでしょう。

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セーフティネット保証制度など、中小企業を救済する制度はありますが、条件があるため、受けられない企業も当然出てきます。

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