【投稿日】 2022年12月13日 【最終更新日】 2022年12月22日

会社では一人一台PCがある体制が当たり前となっています。

PCはインターネットに繋がっているため、社員の中には就業中であるにも関わらず職務に関係のないサイトを見てしまうことはよくあることです。

どういったサイトまで閲覧OKなのかは、会社それぞれのルールによって違いますが、アダルトサイトに関しては基本的にどの会社も閲覧NGだと思います。

しかし、社員の中には、管理職や経営者の目を盗んでアダルトサイトを見ている事があるかもしれません。

では、就業中にアダルトサイトを見ていた社員を解雇することは可能なのでしょうか?今回はそんな事案について探偵視点で解説します。

就業中にアダルトサイトを見るのは問題?

職場で就業中にアダルトサイトを見ていたら解雇できるかどうかについて考える前に、まず就業中にアダルトサイトを見るという行為について考えてみましょう。

職場でアダルトサイトを見る行為は、倫理観では無条件で問題ありと言えるかもしれませんが、解雇できるかどうかについて考えるのであれば労働問題として捉えなければなりません。

まず、アダルトサイトはそのサイト内情報が職務内容に関係ないのであれば、多くの場合、会社から貸与されたパソコンで、会社が契約している回線を使ってアクセスしている「不適切なサイト」という扱いになります。

会社から上記のような状態で不適切なサイトにアクセスする行為には以下の問題点があります。

  • 就業中の時間であるにも関わらず、業務に集中していない状態であること
  • 不適切なサイトにはサイトの持ち主によりどのような仕掛けが成されているかわからなく、サイト経由でウイルスに感染する可能性があること
  • ウイルス感染、その他フィッシング詐欺などにかかり、社内の情報セキュリティが決壊する可能性があること
  • ウイルス感染やフィッシング詐欺などにかかれば、社用メールアドレスにウイルス添付・スパムメールが届いてしまい社内サーバに保管される可能性があること
  • 通常の業務を行っている他の社員にとって、進捗を阻害される迷惑行為となる
  • 不適切なサイトにアクセスしている者と通常の業務に当たっている社員が同じ額の給料、待遇を受けているのであれば不公平になる
  • 特にアダルトサイトへのアクセスは、他社員に対するセクハラになる

このように、就業中に会社から貸与されたパソコンを使って、会社が契約した回線を使ってアダルトサイトを見る行為には問題があります。

就業時間外だからといって問題にならないかといえば、そんなことはありません。

それは、労働者が職務に専念する義務を持つためです。

また公的な場所でのアダルトサイトの閲覧は、特に女性社員に対する環境型セクハラであり、ハラスメント、つまり嫌がらせ・迷惑行為にもつながります。

リモートワークの就業時間内にアダルトサイトを見てたらどうなる?

では、リモートワークの就業時間内にアダルトサイトを閲覧していた場合はどうなるでしょうか。

こちらも会社貸与のPCから行われていた場合、会社側が所有物である貸与PCがどんなことに使われているのかを調査する権利があるため、アダルトサイトの閲覧が発覚することは十分に起こり得ます。

直接、公の場所でアダルトサイトを閲覧していないためセクハラや迷惑行為などにはなりにくいですが、就業時間内に業務に集中していないため、出社状態と同様に労働問題となります。

前述のように、社内サーバへスパムメールが届くことによる被害も考えられます。

就業中のアダルトサイト閲覧をしていた社員を解雇できる?

結論から言えば、一度のアダルトサイト閲覧が発覚した時点では解雇が不当処分に該当する可能性が非常に高いと言えます。

これは解雇という処分が以下のように最も思い懲戒処分であるためです。

戒告・譴責→減給→停職→諭旨解雇→懲戒解雇

このためアダルトサイトの閲覧を理由として社員の解雇をするには、法的に正当な根拠が必要です。

就業規則や雇用契約書に懲戒処分や懲戒解雇についての記載がない場合、さらに業務中のアダルトサイト閲覧についてどのように問題なのかが記載されていない場合は処分も解雇もできなくなります。

一般的には、業務中のアダルトサイト閲覧を問題とする根拠は就業規則において「職務専念義務違反」「社員として不適切な行為」とされることが多く、この違反に基づいて処分に至ります。

解雇したくても、処分は問題行為の悪質さに左右される

社員が業務中にアダルトサイトを閲覧していても、一度や二度程度では解雇は不当な処分となり法律違反となる可能性が高くなります。

懲戒処分の重さが決定づけられるのは、問題となった行為がいかに繰り返されたのか(頻度)、いかに悪質なのか、どういった内容なのかによります。

社員が行った行動をを就業規則と照らし合わせ、処分が決定されるのです。

アダルトサイトを例に取れば、以下のような点が判断基準となります。

  • どれだけの頻度、アダルトサイトを閲覧したか:頻度が多いほど処分内容が重くなる
  • どれだけの時間、アダルトサイトを閲覧したか:閲覧時間が長いほど処分内容が重くなる
  • これまでに何度同じ内容での処分を受けたか:過去に似たような内容で処分、指導を受けていたにもかかわらず改善の兆しがなかったのであれば、処分内容が重くなる

このように、アダルトサイトの閲覧が即座に懲戒解雇に結びつくことはなく、アダルトサイトの閲覧という問題ひとつとっても、その背景により処分内容は変わります。

アダルトサイトの閲覧が発覚したら、無条件にこの処分が下るということはありません。

就業中のアダルトサイト閲覧が解雇に至るケースとは?

就業中のアダルトサイト閲覧が解雇に至るケースが一切ないわけではありません。

前述のように、社員のアダルトサイト閲覧が原因で会社が大きな損失を被ってしまった場合、解雇や自主退職が起こり得ます。

例えば、アダルトサイトの閲覧に伴うウイルス感染により、会社のサーバなどが壊れたり、情報が漏洩したり、重要な情報を消失してしまったりして金銭的な損害が起こるなどすれば、当該社員に対して損害賠償を起こす正当性が得られます。

問題が司法機関を介した争いになったのだとすれば、結果として退職や解雇となるかもしれません。

就業中にアダルトサイトを見ている社員を解雇するかどうかは慎重に。いきなりの解雇は不当扱いで無理

社員が就業中にアダルトサイトを閲覧しているといった行為は、倫理的に問題行為であるとなんとなく感じられても、即座に解雇に結びつくことはまずありません。

解雇は企業による懲戒処分の中でも最も重い処分であり、簡単に言い渡せるものではないためです。

そのため、感情的に社員を解雇したいと考えても、アダルトサイトの閲覧が発覚してから即座にその社員を解雇すれば逆に会社側が法律違反となる可能性があります。

まずは社員を処分するための正当な根拠を整備する意味で、アダルトサイトの閲覧が就業規則や雇用契約書で処分対象となっているかどうかに立ち返りましょう。

上記のような体制を整えた上で、問題行為を起こしている社員がどれほど会社に対して損害を与えているのかを根拠として必要な処分を下すのが適切と言えます。

就業中のアダルトサイト閲覧など、社員の問題行動調査なら、探偵事務所SATへ!

本記事で解説した通り、社員一人ひとりの問題行動がいきなり解雇処分につながることはほとんどありません。

例えば、2018年には次のように大学職員が2年間で約1220時間もアダルトサイトを閲覧していたことが発覚し、「停職6ヶ月」という処分が下っています。

神戸大の職員が2年間で約1220時間、1日あたり1〜3時間ほどアダルトサイトを見ていたとして、停職6カ月の懲戒処分を受けた。

神戸大学によると、処分されたのは40代の男性事務職員。2017年12月に「パソコンで不適切なものを見ている」という差出人不明の投書があり、調査委員会を設置。2年分のログを調べたところ、勤務時間内に約730時間、時間外に約490時間、イラストSNS「pixiv」のアダルトコーナーを中心に見ていたことが分かった。

このように社員の問題行動があったからすぐに処分という訳ではなく、その頻度や悪質さの程度などをしっかりと精査して処分を下す必要があります。

そのためには、社員が日頃からどの程度アダルトサイトを見ているのか、それが業務自体や周囲に、会社のセキュリティにどのような影響を与えているのかを調査する必要があります。

探偵事務所SATでは、そんな社員の問題行動の調査や証拠収集をサポートしております。必要であれば、建物管理者の許可を得て、探偵業法に基づき隠しカメラを設置し、問題行動の証拠映像と音声などを合わせて取得することも可能です。

仕事中のアダルトサイト閲覧など、社員の問題行動の実態究明や証拠映像・音声の収集は、探偵事務所SATにお任せください。まずは、お電話やメールにてご相談ください。

警察OBに直接相談できる探偵事務所

受付時間/10:00~20:00

※LINE相談は友達登録をして送られてくるメッセージに返信することで行えます。