【投稿日】 2020年2月4日 【最終更新日】 2021年10月21日

車の物損事故でこすったりぶつけたりした程度だと、犯人が逃げてしまうケースが多いです。これがいわゆる“当て逃げ”で、以前は逃げられてしまうと犯人を特定することは極めて難しく、完全に逃げ得状態でした。

しかし近年、防犯カメラの増加やドライブレコーダーの普及によって、当て逃げした車とその持ち主を見つけ出すことは比較的容易になっています。といっても被害者自身が探し出すのはまず無理ですが、警察や探偵、弁護士の力を借りれば相手を見つけて責任をとらせることが可能です。

犯人を特定できないと、当て逃げ被害者のデメリットはおそらく、思っている以上に大きいです。泣き寝入りせず、犯人を見つけ出してしかるべき対処をしましょう。

当て逃げした車と持ち主を特定するメリットと解決法

当て逃げした犯人を見つけ出せなければ、当然ながら修理費用も何もかも被害者が負うことになります。少し傷がついたくらいなら諦めようと思うかもしれませんが、当て逃げで泣き寝入りするデメリットはそれだけではありません。

相手を特定すれば責任を取らせることは充分に可能なので、理不尽な損を被らずに適切な対応をしてください。相手に賠償請求するだけでなく、刑事罰を受けさせて罪を償わせることもできます。

犯人に損害賠償請求をする

当て逃げの犯人にまず望むことは車の修理代を支払わせること、すなわち損害賠償請求でしょう。当て逃げの加害者は被害者に対して修理費・治療費などの損害賠償を支払う義務を負います。

当て逃げの被害者が加害者に請求できる賠償金

  • 車の修理費用・諸費用
  • 車が全損した場合には買換費用・諸費用
  • 代車費用
  • 休車損害(車を仕事に使うときは営業損害も)
  • 道路上の施設や建物が壊れた場合の修理費用
  • 自動車の積荷が壊れた場合の積荷損害
  • 当て逃げによって自動車の価値が下がったときの評価損
  • 人身事故のケースのみ慰謝料(運転中に当て逃げされたなど)

基本的には相手の加入している保険会社から支払われますが、当て逃げするような人物は、自動車保険に加入していないこともあり得ます。その場合は民事調停や裁判で争うことになるため、確実に賠償金を支払わせるには探偵による犯人の特定・証拠集めと、弁護士への依頼が必要です。

調停や裁判は面倒と思うかもしれませんが、きちんと犯人に損害賠償請求をしないと、被害者には大きなデメリットがあります。

犯人に損害賠償請求しなかった場合のデメリット

  • 車の修理費用と自分の治療費は自己負担か自分の保険で支払うことになる
  • 自分の保険を使うと保険が3等級下がる(保険料も増加)
  • いったん自分で支払うと、後で犯人が見つかっても損害賠償請求はできない

後で説明しますが、交通事故の被害者のサポートを専門に扱う公益財団法人のサービスがあります。また保険によっては弁護士費用が支払われる特約もあります。

当て逃げ加害者への損害賠償請求は1人で行うわけではなく、様々なサポートを受けられるので、泣き寝入りは損です。

犯人に罪を償わせる

当て逃げは誰もがいつ遭遇するかわからない犯罪です。当て逃げ犯を放っておくとまたどこかで同じことを繰り返し、自分や知り合いが被害にあうかもしれません。しかもその時は、物損でなく人身事故を起こす可能性もあります。

そのような事態を防ぐためにも、犯人には罪を償わせなくてはいけません。公道での当て逃げは道路交通法違反なので、警察に逮捕されれば相応の罰を受けることになります。

当て逃げの法定刑・罰則

  • 1年以下の懲役または10万円以下の罰金
  • 危険防止義務違反:違反点数5点
  • 安全運転義務違反:違反点数2点

ちなみに当て逃げの時効は、被害者側が損害や加害者を知った時から3年です。

公益財団法人「交通事故紛争処理センター」に相談する

「公益財団法人 交通事故紛争処理センター」は、自動車事故に関する損害賠償問題の解決を無料でサポートしてくれる専門機関です。全国各地の支部で、必要な書類や手続きなどの案内、交通事故に関する法律相談などを受け付けています。

法律や保険に関する知識がないと、対応を誤って損するケースは少なくありません。不安があればこういった専門機関も利用してください。

但し交通事故紛争処理センターは、あくまで被害者と加害者の間の紛争をサポートする機関です。犯人が分からない状態ではできることは少ないので、探偵や警察が犯人を特定してから相談するのがベターです。

当て逃げした車と犯人探しのために被害後にすぐすべきこと

警察は被害者が多く凶悪な事件・事故を優先するため、当て逃げ犯を積極的に捜査してくれることはまずありません。そこで現場に犯人が特定できるだけの手掛かりがなかった場合、探偵に調査を依頼する必要があります。

探偵の調査方法は主に、手がかりを基にした聞き込みや張り込み、怪しい人物の行動調査です。当て逃げ犯探しの手掛かりは、目撃情報と防犯カメラ・車載カメラの映像が大半を占めます。被害にあった、あるいは被害に気付いたらできるだけ早く、これらの手掛かりを確保しましょう。

目撃した情報をすぐに記録する

もしも運転中に当て逃げされたり、犯人が逃げるところを目撃したりした場合は、すぐに目撃した情報を記録しましょう。スマートフォンなどのカメラで撮影してもいいですし、メモでもいいです。

犯人探しの手掛かりとなる目撃情報

  • 車のナンバー・車種・色・その他の特徴
  • 運転手や同乗者の風貌・その他の特徴
  • どちらへ走り去ったか

ナンバーがはっきり分かれば警察が照合してくれることもありますし、それが無理でも弁護士に照会を依頼でき、探偵が探す際の有力な手掛かりとなります。

警察に報告して被害届を出す

警察が積極的に当て逃げの捜査をすることはないでしょうが、犯人を特定できるだけの情報がそろっていれば逮捕できますし、犯人が後から自首・出頭してくることもあります。

犯人が自首しても被害届を出していなければ連絡は来ませんし、損害賠償の請求もできません。また警察に届け出て、交通事故証明書を取っておかないと保険金も支払われません。

そのため、当て逃げに気付いたらすぐに110番通報してください。当て逃げの現場で電話をかけるのがベストですが、当て逃げされたことに気づいたのが後日でも、できるだけ早く連絡してください。

警察なら現場近くの防犯カメラの閲覧請求をしやすいのも大きなメリットです。被害者本人が閲覧に立ち会えるとは限りませんが、後日改めて弁護士同伴で閲覧請求すれば許可されることもあります。もちろんその映像は、探偵の調査に大いに役に立ちます。

目撃者・防犯カメラ・ドライブレコーダーなどからの情報集め

目撃者・防犯カメラ・ドライブレコーダー、この3つが犯人を探すのに最も有力な手掛かりです。特に最近普及してきたドライブレコーダーは、当て逃げの一部始終をごく間近で録画している可能性が高いです。

目撃者・防犯カメラの映像を確保する方法

■当て逃げされた現場にいた人に尋ねる
当て逃げされた現場や怪しい人物を見なかったか
隣に停まっていた車を知らないか
向かいや近くの車のドライブレコーダーに映っていないか など
■お店の駐車場なら店員さんに尋ねる
当て逃げされた時間に現場近くで作業していた店員が目撃していないか
駐車場の防犯カメラに映っていないか など
■自分のドライブレコーダーを確認する
古い映像から消される機種もあるので、microSDカードに移しておく

弁護士同伴だと防犯カメラの映像の閲覧が許可されやすいです。そういった意味でも、探偵と弁護士に早めに依頼することをお勧めします。

乗車中の当て逃げなら病院で診断書を取得

これは探偵の犯人探しに直接は関係ありませんが、乗車中に当て逃げに遭ったのなら早めにしておかなくてはならないことの1つです。事故後数日のうちには、整形外科などを受診し、異常がないか検査して適切な診断書をもらってください。

交通事故の怪我はすぐに症状が出るとは限りません。後で気づいても、医師の診断書がなければ損害賠償請求は認められないことがあります。

また交通事故でけがをしていたなら人身事故なので、警察が物損事故より積極的に捜査してくれることも期待できます。診断書を持って改めて警察に相談してください。

自分の契約している保険会社に連絡する

これも直接は探偵の調査とは関係ありませんが、事故後すぐにしなくてはならないことの1つです。

自分の保険を使って修理を行うと、後で犯人が見つかっても修理代を請求できませんが、それでも自分の加入している保険の保証範囲や特約などはすぐに確認しなくてはなりません。当て逃げに対応していない保険や、事故に関係する弁護士費用を賄う弁護士費用等補償特約がついていることもあるからです。

自分の保険の保証内容を調べて、ベストな解決法を選んでください。

当て逃げの状況と手掛かりで調査方法は異なる!

当て逃げの犯人を特定するための証拠や手掛かりは、被害に遭った場所や状況によって異なります。場合によっては有力な手掛かりが見つからないこともありますが、探偵はそれぞれのケースに応じた方法で犯人を見つけ出します。

さらに示談や調停、裁判で解決するには、犯人が分かってから行動調査で確たる証拠を集めなくてはなりません。犯人の特定と証拠集めの2つが、当て逃げ事件での探偵の仕事になります。

有力な証拠となる車のナンバーとドライブレコーダーの映像

車のナンバーがわかれば車両とその所有者を特定できます。但しそれはナンバープレートに記載されたすべての情報がわかっている場合であり、4桁だけでは警察も弁護士も照会してくれない、あるいはできないケースが多いです。

逆に言えば、ナンバーがすべてわかっていれば特定できるということです。つまり予めドライブレコーダーを設置したり、駐車した際に両隣のナンバープレートをスマホのカメラなどで撮影したりしておけば、当て逃げ犯人が見つかる可能性は高くなります。

またナンバープレートの画像は、調停や裁判の証拠としても使えるというのが大きな強みです。画像解析ソフトなどを使えば読めるようにできることもあるので、走り去るのを見たときも、できれば撮影してください。

それと同じく、ドライブレコーダーの映像は裁判の証拠として認められます。但し画像編集が疑われることもあるので、当て逃げの前後も含めた映像があると信憑性が高いです。

もしどちらも完全なものが手に入らなかったとしても探偵なら、行動調査や聞き込みで車両・犯人の証拠写真や関係者の証言などの証拠を集めることができます。

公道で走行中の当て逃げ

公道での当て逃げは、道路交通法違反なので警察の取り締まりの対象であり、捕まれば刑罰が科せられます。しかし防犯(監視)カメラに映っているケースは少ないため、手掛かりは主にドライブレコーダーと目撃情報(被害者含む)に頼るしかありません。

探偵が公道の当て逃げを調査する方法

  • ドライブレコーダーの映像の解析
  • 近隣の施設(走り去った方角など)の防犯カメラの閲覧申請
  • 当て逃げのあった現場での張り込み・聞き込み・情報収集、当て逃げしたと思われる傷のある車が走ってないか
  • 近隣の自動車修理工場への聞き込み。当て逃げした犯人も車の傷を修理に来ている可能性がある
  • 走り去った方向から住んでいる場所や行動範囲を割り出す
  • 情報を整理し、立て看板・ポスターなどでも情報を募る

公道での走行中の当て逃げは犯罪なので、それを自動車修理工場が隠匿すれば犯人隠匿罪、または証拠隠滅罪に処されることもあります。探偵や弁護士から犯罪の事実を示されれば修理工場側は正直に話さなくてはならず、その際には警察が発行した事故証明書が役に立ちます。

大型商業施設の駐車場での当て逃げ

駐車場は私有地ですが、多くの車両が行き来する大型商業施設の駐車場ならば、当て逃げに道路交通法が適用されるケースもあります。よってまずは警察に連絡しましょう。警察が動いてくれれば、駐車場に設置された防犯カメラの閲覧も許可されやすいです。

警察が防犯カメラの確認をした時に自分の名刺を渡しておく、あるいは日を改めて弁護士同伴で訪れるなどすれば、調査や法的手続きのために防犯カメラの映像を見せてもらえる可能性が高いです。

大型商業施設での当て逃げの証拠集めと犯人特定の方法

  • 防犯カメラとドライブレコーダーの映像の解析。
    ・施設内の防犯カメラならドライバーが映っていることも。
    ・他の日にも映っていれば行動パターンがわかる。
    ・立ち寄ったお店に協力が得られれば、住所・氏名などがわかることも
  • 同じ曜日・同じ時間の張り込み
  • 周辺の聞き込み
  • 周辺施設の防犯カメラの閲覧を申請
  • 近隣の自動車修理工場への聞き込み

大型商業施設は防犯カメラが至るところに設置されているため、施設の協力が得られればたくさんの証拠と手掛かりが得られます。そのためにはすぐに警察に連絡し、防犯カメラの映像を確認してもらうことが大事です。

コンビニなど小規模店舗の駐車場など公共の私有地での当て逃げ

コンビニをはじめとする小規模店舗の駐車場でも、当て逃げに遭ったら警察に連絡してください。道路交通法で取り締まられることはまずありませんが、防犯カメラの映像の確認が許可されやすいからです。

またコンビニはごく近所に住んでいるか勤務している人が利用することが多いため、店員や近隣住民への聞き込みから多くの情報が得られます。

コンビニなどの小規模店舗での当て逃げの調査方法

  • 過去にさかのぼっての防犯カメラの映像の確認・解析
    ・遡って見れば車のナンバーやドライバーが映っている可能性が高い
    ・よく訪れる曜日や時間帯などを割り出せる
  • 店員や事故の時間帯の利用客、近隣住民への聞き込み
  • 店舗に張り紙をして情報を募る
    ・知り合いや本人の目に触れる可能性が高い
  • ドライブレコーダーの映像の解析
  • 近隣の自動車修理工場への聞き込み

月極駐車場などでの当て逃げ

月極駐車場での当て逃げは、大家さんに連絡して情報を集めるのが一番です。

大家さんから得られる情報

  • 防犯カメラの映像
  • 当て逃げしたと思われる契約者の情報

この2つが揃えば、犯人はほぼ特定できます。しかしそれは相手が引っ越すなどして、本格的に逃げてしまう可能性も高いということなので、すぐに動いて相手を確保する必要があります。

証拠・手掛かりがあまり集まらなかった場合

証拠や手掛かりが少ない当て逃げのケース

  • 当て逃げされたことに後で気づいた
  • 現場が防犯カメラもない私有地だったので車種などもわからない
  • 防犯カメラに映らない角度での当て逃げ

このようなケースでは自分の車に残った傷から相手の車の色や形を割り出し、現場と思われる場所や自動車修理工場などで粘り強く張り込み・聞き込みをしなくてはなりません。近隣住民しか利用しないような場所ならすぐ見つかることがありますが、そうでなければなかなか難しく、時間がかかります。

犯人らしき人物にたどり着けても証拠が見つかりにくいので、犯人の特定のために行動調査・素行調査も必要なケースがほとんどです。

当て逃げは被害者にも加害者にもなりやすい!普段から対策を!

当て逃げはれっきとした犯罪なので被害者への損害賠償の義務もありますが、軽い物損事故なので犯人が軽く考えてしまいがちです。そのため、当て逃げ被害は後を絶ちません。

だからこそ普段から対策して、当て逃げに遭わないように、遭っても相手を特定しやすいようにしておくことに意味があります。ドライブレコーダーや自動車保険など、実際に被害に遭った時のことを考えて決めておけば、後で困ることがなくなるのです。

犯人を逃げ得にしないために、警察、弁護士、探偵をフル活用して罪を償わせましょう。

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