【投稿日】 2021年12月10日 【最終更新日】 2022年1月10日
よくニュースなどで耳にする「◯◯グループが株式会社◯◯を合併しました」という言葉。
なんとなく、「子会社化されたのかなぁ」とイメージはできますが、実際のところ合併とは一体どういうものなのでしょうか。
本記事では、合併の概要説明や合併をするメリットとデメリット、合併をする際の手続きや流れについて紹介します。
SAT探偵事務所 京都本部の代表取締役社長。
浮気調査や人探しといった個人向けのメジャーな調査はもちろん、他所では受任できない難度の企業向けの調査(信用調査、与信調査、M&A時等におけるDD 等)や経営コンサルティング業務にも従事している。
そもそも合併とはM&Aの1種!
合併とM&Aという2つの言葉は混合して考えられがちですが、そもそも「合併」とはM&Aの中の1種です。
合併とは、複数の企業を統合して1つの大きな組織にするためにM&Aを行う行為そのものを指します。
合併によって行われるM&Aでは、統合する複数の企業を法的に完全取得するための手段として用いられたり、グループ企業内の機能統合や業績不振が目立つ企業の救済をしたりするなど、さまざまな目的で活用されています。
日本語ではなく英語でこの2つの言葉を見てみると、合併がM&Aの1種だということがより理解しやすくなります。
M&Aは英語でMergers and Acquisitions、合併は英語でmergerです。
この英単語を見れば分かるように、合併はM&Aの中に含まれているのです。
M&Aの日本語訳は「合併と買収」です。
これは、複数の企業を統合して1つにしたり、ある企業が他の企業の株式や展開している事業などを買収したりする手法のことを指します。
要するに、この2つの言葉の根本的な違いは「範囲」です。
合併は複数の企業を1つに統合する手法に対して使う限定的な意味合いである一方で、M&Aはその行為だけではなく株式や事業、サービスの買収などの行為を含めた包括的な意味合いを持っているのです。
買収とはどう違うの?
買収とは、株式譲渡や会社分割、事業譲渡などの手法を指す「M&Aスキーム」の総称のことです。
合併との大きな違いとしては、消滅する企業の有無です。
合併が行われる際には、買収される企業はすべての手続きが完了するとその企業は解散することになります。
その上で、解散した企業が保有していた権利や義務を買収した企業がすべて引き継ぐという流れになります。
そのため、合併を行う場合は事実上消滅する企業が出てきます。
一方で、買収によるM&Aを行う際には、経営権やいくつかの事業やサービスは買収した企業側に権利が渡されますが、買収された企業の法人格は手続きが行われた後も存続します。
つまり、消滅する企業がない合併方法もあります。
このように、この2つの言葉は消滅する企業の有無が最も大きな違いと言えます。
合併には2種類ある!
合併には、吸収合併と新設合併という2つの種類があります。
この2つの種類は、それぞれで特徴が大きく異なります。
吸収合併
会社法第2条27号には、「合併によって消滅する会社が有していた権利義務のすべてを、合併後に存続する会社が承継する手法」という言葉でこの合併方法が定義されています。
これをかみ砕いて説明すると、この合併方法は1つの企業だけが法人格を残して、買収されて消滅する企業の権利や義務などのすべてを法人格を残した企業に継承する行為を指します。
さらに簡単に説明すると、合併が行われた時点で法人格を保有している企業が法人格を持っていない企業を丸ごとすべて取得するということです。
「吸収合併」を英語で表記すると、以下のようになります。
- Absorption merger
- Absorption-type Merger
- Merger by Absorption
- Merger through Absorption
このように、この言葉を英語で表記する際には4つのパターンが使われるので注意しましょう。
新設合併
会社法第2条28号には、「2つ以上の会社が行う合併であり、合併によって消滅する会社の権利義務のすべてを合併に際して設立する会社に承継させるもの」という言葉でこの合併方法が定義されています。
合併によって消滅した企業がこれまでに保有していた権利や義務を引き継がせるために新しい企業を設立して、株式や資産だけではなく従業員との契約や取引先の情報、その企業独自のノウハウや技術などのすべてを設立された企業に継承します。
この合併方法はグループ内の企業における組織の再構築などを目的に行われる場合が多く、複数の企業を統合させて生産性の向上やオペレーションコストの削減などの変革を起こすために採用される手法とも言えるでしょう。
基本的には新しく設立した企業が存続会社になって消滅する企業から引き続ぎを受けるケースが多いですが、場合によっては一度合併の対象となるすべての企業を解散させてから、それぞれの企業が持っていた権利や義務などを新たに設立する企業に移管させる場合もあります。
合併を行う目的
企業の合併やM&Aは、長い時間をかけて話し合いを行った末に行われるのが一般的です。
では、なぜ世の中には他の企業と合併をする企業が多いのでしょうか。
彼らは、どのような目的をもって合併をしているのでしょうか。
合併を行う目的は、大きく分けて次の3つです。
シナジー効果
世の中には数えきれないほどたくさんの企業が存在していますが、どの企業にも例外なくストロングポイントとウィークポイントの両方があります。
すべての企業はストロングポイントをさらに強化させたりウィークポイントを改善したりして売り上げを伸ばすために日々精進していますが、それを完璧に行うのは至難の業です。
例えば、営業する力がストロングポイントである企業が、ウィークポイントである技術力を伸ばすために時間や人材、お金などのコストをかけて努力をしても、技術力を売りにしている競合他社に勝るのはかなり難しいのが現実です。
自分たちのウィークポイントをストロングポイントとしてビジネスを行っている企業と合併をしてシナジー効果が生まれれば、お互いのウィークポイントを補いながらストロングポイントをさらに伸ばせるので、ウィンウィンの関係を築けるのです。
このように、持ちつ持たれつの関係を構築してストロングポイントを伸ばしていければ、ビジネスをさらに大きく広げていけるでしょう。
企業の規模拡大
合併を行えば複数の企業が統合して1つの大きな塊になるので、今までよりも相対的に規模が大きくなります。
今日では、どの業界のどの企業でも自分たちが生き残るために必死で優れたサービスや商品を作るために毎日一生懸命仕事をしています。
しかし、新しいサービスや商品を作ったり営業に力を入れてクライアントを増やしたりするだけの戦略では、いつの日か売り上げや利益の限界が見えてきてしまいます。
一方で、合併をして自分たちの力だけではなく他の企業の力を借りて一緒にビジネスを展開すれば、売り上げ増加や利益率の向上などにつながる可能性が高くなります。
そうなれば、自分たちがビジネスを行う業界での地位が上がるので、次なるステージに進めるようになるでしょう。
自分たちだけでは何年かけてもできなかったことが、合併という手段を用いれば、わずか数年で大きな目標を達成できる可能性もあります。
スケールメリット
先ほど紹介したように、合併を行えば売り上げが大きく増加する可能性が高いので、さまざまなスケールメリットを得られます。
例えば、売り上げが増加すればさらにたくさんの商品を販売するために仕入れる材料の数を増やします。
仕入れの数を増やせば、仕入先とうまく交渉をして1つの単価を安くできる可能性が高くなります。
また、仕入れにかかる費用だけではなく運送費用などのコスト削減にもつながるため、浮いた費用を使ってさらに事業を大きくさせるために投資をしたり新しい戦略を打ち出したりすれば、新しい市場への参戦や現在の市場でのシェア拡大が実現できます。
合併のメリット
合併のメリットは、主に次の3つです。
メリット1:資金調達の手間がかからない
複数の企業を統合して1つにしたり企業を買収したりする際には、さまざまな手続きが必要となるのでたくさんの時間と手間、お金がかかります。
また、M&Aを行う際には銀行からの融資や株主割当増資、第三者割当増資や公募増資などの手段を使って企業を買収するための資金調達をする必要があります。
買収する企業の数が多ければ多いほど多くの資金が必要となるので、場合によっては資金調達をするのにかなりの時間を要することもあります。
それに比べて合併は、資金調達をしなくても手続きを行えるという大きなメリットがあります。
新設合併や吸収合併を行う際には、対価として株式や社債、新株予約権などが使えます。
合併対価を株式にすれば、買収を行う企業は相手の企業に支払う現金を用意する必要がなくなるので、資金調達をせずに合併の手続きを行えます。
このように、資金調達の手間がかからないのは非常に大きなメリットと言えるでしょう。
メリット2:シナジー効果を早期に実現できる
他の企業との合併を行う場合、すべての手続きを終えて合併の効力が発生すると、そこからはすぐに1つの法人格で買収した企業の事業やサービスなどが継承されます。
この部分のタイムラグがほとんどないので、合併して1つになった企業は早期にシナジー効果を生みながら新しいビジネスをスタートさせられます。
また、それぞれの企業が持っているストロングポイントを活かして協力し合えば、売り上げシナジーや財務シナジー、コストシナジーや研究開発シナジーなどの効果を生まれるので、収益の増加やオペレーションコストの削減、技術力の向上やブランド力の強化などのビジネスを大きくする上で不可欠な要素をパワーアップできます。
このように、合併をしてすぐにシナジー効果を実現できれば新しく1つになった企業をさらに大きく生まれ変わらせることができる可能性が高いので、早期にシナジー効果を実現できるのもまた大きなメリットと言えます。
メリット3:ネガティブな印象が少ない
多種多様な種類の手法がある中でも、合併という手法は「相手企業と対等な関係で手続きをする」というイメージを周囲に与えやすいので、ネガティブな印象が比較的少ないのが特徴です。
株式や事業の譲渡が行われると、「買収した企業が何かの圧力をかけて手続きを行わせているのではないか」と考える人もいるため、これらの行為をする企業はネガティブな印象が持たれる傾向があります。
また、株式の譲渡をして企業のM&Aを行う場合には、どうしても企業間で親と子のような関係性が生じてしまいます。
実際に、吸収された企業の社員は、吸収した企業の社員に比べて待遇や地位などが低くなるケースもあると言われています。
このような事態が発生してしまうと、社員のモチベーション低下などの問題につながる恐れもあります。
一方で、新設合併で企業との統合を行う場合、関係するすべての企業が一時的に消滅するので、「すべての企業が対等な関係性である」というメッセージが周囲に伝わりやすくなります。
対等合併をすれば、周囲からネガティブな印象を持たれたり、社員の一部がモチベーションを低下させたりするリスクを回避できるので、合併をする企業にとってはかなり大きなメリットと言えるでしょう。
合併のデメリット
合併にはメリットだけではなく、デメリットも存在します。
合併の主なデメリットは以下の6つです。
デメリット1:他のM&Aに比べて手続きが多い
特に新設合併は世の中に存在するたくさんの手法の中でも、すべての手続きが終了するまでにかなりの時間と手間がかかると言われています。
ただでさえ複数の企業を統合して1つの企業にする際には、株主総会による特別決議や債権者保護の手続きなどを始めとするさまざまな手続きを行う必要性が生じます。
新設合併をする場合は、これらの手続きに加えて新たに企業を設立する手続きを同時進行で行う必要があるので、さらなる手間と時間が必要です。
これらの手続きを同時進行でスムーズに行えなければ、自分たちの事業活動に手が回らなくなり、展開しているビジネスが停滞してしまい売り上げが落ちてしまう恐れもあります。
このような事態に陥ってしまうと、ビジネスの規模を大きくするために合併を行うのにも関わらず、統合するための手続きにかかる負担が大きすぎて、結果的に自分たちが損をしてしまう場合もあるので注意しましょう。
デメリット2:株価の下落リスクがある
現金での支払いをせずに手続きをするために株式や社債、新株予約権などを使って合併を行う場合は、株主の持株比率が低下させてしまう恐れがあります。
合併を行う対価として、買収をする企業が発行した新株を買収をした企業に交付する場合、合併比率によっては買収をする側の既存株主の持ち分が希薄化する可能性があるので注意が必要です。
希薄化とは、企業が発行する株の数が増えたために1株当たりの株価が相対的に下落することを指します。
また、割高な合併比率で企業の統合を行われると、株主にとってかなりネガティブな経済的帰結を招いてしまう恐れもあります。
さらに、その企業が上場している場合は株価が急激に下落する場合もあるので、合併比率を決める際にはきちんと算定する必要があります。
合併をしてから大幅に株価が下落してしまい、「その下落分を上回る収益を得られる可能性が低い」と投資家に判断されてしまうと、株価の下落に歯止めが利かなくなってしまうので十分に注意するようにしましょう。
デメリット3:PMI負担が大きく、手間やコストがかかる
PMIとは英語でPost Merger lntegrationという意味で、合併後の経営統合プロセスを指す言葉です。
合併をすることで享受できるメリットを最大限得るためには、このPMIを有効に行う必要があります。
しかし、複数の企業を統合して1つにするためには、これらをすべてまとめ上げる必要があるので、かなりの手間と労力がかかります。
また、これらの手続きが終わった後も、従業員の急激な増加に伴い人件費などのコストが大幅に上がってしまいます。
合併をする際には、吸収される企業の幹部クラスの社員に対して特別待遇の維持が求められるケースが多いので、人員整理がままならずに人件費の調整がうまくできない場合もあります。
さらに、これらのコストだけではなく、登記の手続きをする際にかかる登録免許税などのコストも必要となるので注意が必要です。
繰り返しになりますが、新設合併をする場合はこれらの手続きに膨大な時間と手間がかかるので覚えておきましょう。
デメリット4:顧客取引縮小
合併する複数の企業の中で同じクライアントを担当する企業がある場合、合併後は取引をするクライアントの数が少なくなってしまいます。
合併をしてシナジー効果が生まれれば大きなメリットを享受できる場合もありますが、場合によっては取引先が少なくなって売り上げが低くなってしまう恐れもあるので注意が必要です。
取引の規模を縮小されるリスクを回避するためにも、合併をする前にすべての企業で集まって顧客情報をきちんと共有しておき、同じクライアントと取引をしている場合は、合併の手続きをする前にあいさつ回りなどをして最悪の事態に陥らないように根回しをしてあらかじめ対策を講じておくようにしましょう。
デメリット5:責任の所在が曖昧になりやすい
合併後に複数の企業が行っていた事業を統合して新たな形でプロジェクトを進めていく場合、最初のころは中心人物として業務を行う人間が決まらないこともあります。
このような状況になってしまうと、そのプロジェクトの責任を誰が持つのかが曖昧になってしまい、思うようにプロジェクトが進まなくなってしまうケースがあります。
責任者不在のままでは事業を前に進められないので、合併が行われる前後で企業同時で話し合いをする場を設けて、役職やパワーバランスなどについてきちんと議論をしてプロジェクトを行う上での責任の所在を明確にしておく必要があります。
デメリット6:価値観や文化の違いによる衝突が起こる可能性がある
複数の企業が統合して1つの企業に生まれ変わる際には、それぞれの企業が持つ価値観や文化の違いによって社員同士で内輪揉めをする可能性も大いに考えられます。
合併の手続きが終了した後に新たに行う業務は、これまで自分たちが行っていた業務内容と大きく異なる場合もあります。
また、合併直後は業務量が一時的に急激する場合もあるため、慣れない環境に戸惑い、ストレスをためてしまう社員も多数現れるでしょう。
また、企業のトップが変わると自分たちが実現するべきビジョンや達成するべき目標が大きく変化します。
新しいリーダーが掲げるビジョンや目標に賛同できない社員の数が多ければ、足並みがそろわないので社内で衝突が起きてしまう可能性もあります。
このように、合併したことが原因となり同じ企業の写真同士で衝突を起こし、大きな分裂が起きてしまうケースもあります。
このリスクを回避するためにも、上層部の人間同士がきちんとコミュニケーションを取って、うまくバランスを取れるように気を付けてマネジメントするようにしましょう。
合併の主な手続き・流れ
合併の主な手続きや流れは次の通りです。吸収合併と新設合併の手続きや流れについてはそこまで大きな違いがないので、これから紹介する内容を抑えておけばどちらの方法を採用しても対応できます。
STEP1:合併契約書締結
まずは、その合併に関わるすべての企業同士で契約を結びます。
この際には、合併の効力が発生する日時や存続する企業が消滅する企業に対してどのような方法で対価を支払うのかなどを決めていきます。
これらの内容が記載されている契約書を制作し、すべての企業が同意して契約を締結すれば次のステップに進みます。
STEP2:事前開示事項の備置き
契約締結後は、合併の効力が発生してから半年が経過する日までの間、契約内容が記載された書面を本店に備置きしておく必要があります。
備置きを回避する日程は、以下の3つの中で一番早く訪れる日です。
- 株主総会が行われる2週間前
- 株主への株主買取請求の催告か公告のいずれかの早い日
- 債権者保護の手続きに関する通知か公告のいずれかの早い日
STEP3:株主及び債権者への通知と株主総会での決議・承認
存続する企業や消滅する企業に関わらず合併に関わるすべての企業は、効力が発生する日の前日までに株主総会で行う特別決議による契約に関する承認を株主と債権者から受ける必要があります。
この会議を行う際には、議決権の過半数を持つ株主が出席している且つその株主の議決権の3分の2以上の賛成を得なければ正式に承認されないので覚えておきましょう。
また、原則として株式を公開している企業は2週間前、後悔していない企業は1週間前までに招集通知を行う必要があります。
STEP4:反対株主に対する株式買取請求
合併に反対している株主は、株式を公正な価格で買い取ってもらう権利を保有しているので、株主が請求をしてきた場合はそれに応じる必要があります。
この際には、株価の決定や株式買い取りの手続きなどを20日前までに行う必要性が生じるので注意しましょう。
STEP5:債権者保護手続き
会社法の規定に基づき、合併の対象となるすべての企業の債権者は、合併に対して何かしらの不満があれば意義を述べる権利があります。
そのため、合併の当事企業は債権者に対して、合併を実施する旨や合併に関わるすべての企業の商号または住所、計算書類に関わる事項などを個別に催告する必要があります。
また、この際には債権者が一定期間内であれば合併に対して異議を唱えれるという旨も伝えておきます。
仮に債権者が異議を唱えた場合は、債券を消滅するための弁済や担保の提供または信託のいずれかを行う必要があるので注意しましょう。
STEP6:合併成立・登記(変更登記・解散登記)
ここまでの手続きをすべて済ませた状態で効力が発生する日を無事に迎えれば、正式に合併が成立します。
企業を吸収する形で合併する場合は、効力が発生してから14日以内に存続する企業の変更登記と消滅する企業の解散登記を行う必要があります。
新設合併をする場合は、消滅する企業の解散登記に加えて、新しく設立する企業の設立登記の手続きが必要となるので注意しましょう。
STEP7:事後開示事項の備置き
合併をする際に存続会社となる企業は、効力が発生した後に消滅した企業から引き継いだ権利や義務などに関する事項が記載された書面か電磁的記録を遅延することなく制作する必要があります。
また、作成した書面は効力が発生した日から半年間本店に備置く必要があるので覚えておきましょう。
合併における注意点・リスク
企業の合併を行う際には非常に複雑な手続きをする必要があるので、手続きを行うにあたって注意しておきたいポイントや抑えておくべきリスクもいくつかあります。
主に次に紹介するような内容に注意し、リスクを回避しながら手続きを行うようにするのが一般的です。
簡易合併・略式合併の場合でも株主総会決議を省略できない場合がある
簡易合併と略式合併を採用する場合、基本的には株主総会での決議は求められません。
複雑で手間がかかる工程が省けるので、よりスムーズに手続きを進められます。
しかし、例外的にこの工程を省略できないケースがあります。
省略できるかできないかに関する判断をする際には高度な知見が求められるので、専門家に相談することをおすすめします。
不適当な合併に該当するリスク
上場している企業が自分たちよりも大きい規模の事業を行っている非上場企業と合併を行う場合、不適当な合併に該当し、上場企業が存続会社になれない可能性があります。
合併の手続きが終わってから実質的な存続性が見られず、新規上場の審査に一定期間内で適合しないと判断された場合、上場が廃止されてしまう恐れがあるので注意しましょう。
今日では、経営不振に陥っている企業を利用して行う「裏口上場」はコストがかかるので価値は著しく減少していますが、不適当な合併に該当していないかどうかをきちんと確認するようにしましょう。
逆取得に該当し、会計処理が変わるリスク
合併の手続きを行う際には、逆取得に該当し、従来とは異なる会計処理が求められる場合があります。
逆取得とは、存続する企業が消滅する企業に対して株式を交付した結果、消滅する企業側の株主の議決権総数が存続する会社の株主総会で過半数に達してしまう状態を指します。
このようになった場合、存続する企業ではなく消滅する企業が取得企業として認められるので、合併後に支配株主が入れ替わってしまうリスクが生じます。
このリスクを回避するためには、株式譲渡で買収をして自分たちの子会社化にした後に合併手続きをするなどの対策を講じておきましょう。
合併の成功は入念な事前調査及びデューデリジェンスが鍵!
本記事では、合併の概要説明や合併をするメリットとデメリット、合併をする際の手続きや流れ、合併を行う際に注意しておきたいポイントや生じる可能性があるリスクについて解説しました。
合併をして複数の企業を統合させるためには、さまざまな手続きを時間と手間をかけて行う必要があります。
理想とする合併を実現するためにも、重要なのが、事前調査及びデューデリジェンスです。
デューデリジェンスでは、事業、財務、税務、人事、環境、犯罪など様々な角度から合併先の企業を調べます。
特に注意したいのが、一般的なデューデリジェンスでは調査しにくい「隠し財産」や「合併先の役員の行動履歴、犯罪履歴」「行政処分履歴」などです。
「合併後に簿外債務が見つかった」「実は合併先の企業の役員と反社勢力とつながりがあった」など合併後に発覚してしまい合併が失敗に終わってしまうことも十分ありえる話です。
今現在はコンプライアンスやイメージなどが重要な時代。そうならないためにも、一般的なデューデリジェンスに加えて、そういった表に出にくい項目についてもデューデリジェンスを行っていく必要があります。
探偵事務所SATには、企業や個人の信用調査、素行調査、財産調査などあらゆる調査経験豊富な探偵が在籍しております。
今後企業の合併、特に未上場の企業の合併などを考えている方は、一般的なデューデリジェンスに加えて、「その会社が提示している書類や実態は正しいのかどうか?」など表に出にくい項目の調査もぜひご検討してみてはいかがでしょうか。
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