行方不明となった家出人を探すため、まず最初に思いつくのは「警察へ届け出る」ことですね。

しかし、「警察は積極的に捜索してくれない」という思い込みを持つ人も少なくありません。同じ条件での家出であっても、「成人の家出」「未成年の家出」で警察の対応が変わることもあり、どうしてそうなるのか疑問に思うケースも多いのではないでしょうか。

実は警察の対応には明確な基準があり、家出人がこの基準に当てはまると判断されることが非常に重要な点となります。警察の対応の違いと対処法について、ポイントを押さえながら解説していきます。

成人・未成年で違う?警察が積極的に家出人(行方不明者)捜索するのは事件・事故の可能性がある時

日本の警察は、簡単に言うと「個人の命・身体・財産に関わる事件」を捜査・解決するための公的機関です。つまり、警察が積極的に動く時とは「事件・事故の可能性がある」と判断した場合となります。

この判断基準を難しく感じてしまい、警察への届出を躊躇する人も多いのですが、知っておくべきポイントを押さえておくと警察へ相談する時にとても役に立つのです。警察の判断基準について詳しく解説しながら、具体的な例をご紹介していきます。

警察の判断基準について

警察では、行方不明となった家出人を大きく次の二つに分類しています。

特異行方不明者

行方不明者届が出されている行方不明者のうち、「事件・事故の可能性」「未成年で犯罪に巻き込まれる可能性」「遺書などがあり自殺を図る可能性」「精神的不安定で危険物を所持し他者に被害を与える可能性」「自力での帰宅が困難な可能性」がある人のこと。

一般行方不明者

行方不明者届が出されている行方不明者のうち、「自分の意思で家出をした」「家族間のトラブル」「本人に何かしらの悩みがあった」というような民事事件性が高い人のこと。

この二つのうち、警察が積極的に捜索を行うのが特異行方不明者のケースで、これらの項目に当てはまった人が警察の判断基準に該当し、積極的な捜索が行われることになります。

なお、特異行方不明者となる未成年とは「13歳以下」と定められており、中学生・高校生は年齢的に未成年であっても無条件に特異行方不明者となるわけではありません。また、平成29年の警察資料から見る行方不明者の家出の原因としては、次のような項目が挙げられています。

家庭関係
両親の離婚や家族内の不仲・親からの虐待といった家庭内の問題を原因とした失踪。
疾病関係
精神的疾患・認知症による徘徊を原因とした失踪。
事業・職業関係
仕事の失敗や会社の倒産・リストラを原因とした失踪。
異性関係
恋人の浮気や配偶者の不倫・婚約解消・かけおちなどを原因とした失踪。
学業関係
学校でのいじめ・成績の低下・受験の失敗などを原因とした失踪。
犯罪関係
事件・事故などの犯罪を原因とした失踪。
その他
放浪癖がある・遊び癖があり帰ってこないなどを原因とした失踪。

警察に届け出る時には、「推測される家出の原因」と「そこから考えられる事件・事故の可能性」が重要となってくるのですが、どちらの基準においても基本的に成人・未成年で最初から区別することはありません。

家出人が成人でも未成年でも、「行方不明となった状況」「考えられる原因」「事件・事故の可能性」という3つの項目についてよく確認した後、警察の動きが決定することになるのです。

成人であっても警察が積極的に捜索するケース

行方不明者が成人している場合、一般的に自立しており問題がないと思われることを理由に、警察が積極的に動かないケースも少なくありません。しかし、以下のようなケースの場合には、行方不明者が成人であっても警察が積極的に捜索を行います。

  • 自室に遺書が残されていた。
  • 普段から塞ぎ込みがちで精神的疾患を患っていた。
  • 痴呆症により自力で帰宅することが難しい。
  • 貴重品や荷物を全て残したままで突然姿を消した。
  • 会社の経費を使い込み逃げた。
  • ひき逃げした車の所有者が行方不明となった。
  • 婚約者がお金を借りたまま逃げて結婚詐欺の可能性が出てきた。

このようなケースは、「命の危険性」「誘拐の可能性」「事件との関係性」から最優先事項と捉えられ、警察も積極的に行方不明者の捜索を行います。

少しでもおかしい・あやしいと思う部分がある場合には、その根拠となる証拠や証言を集めておくと良いでしょう。

未成年であっても警察が積極的に動かないケース

行方不明となったのが未成年であった場合、基本的には13歳以下であれば「特異行方不明者」に当てはまりますので、警察が積極的な捜索を行います。しかし、同じ未成年でも中学生・高校生が行方不明となった場合、もし次のような項目があてはまるようであれば「緊急性はない」と判断されることも少なくありません。

  • 普段の生活が乱れていて非行に走っていた。
  • 日常的に小さな家出を繰り返していた。
  • 補導された経験がある。
  • 深夜に友人達と出掛ける癖があった。
  • 何度注意をしても言うことを聞かない。

思春期に入った中学生・高校生の場合、夜遅くまで行われる部活や塾などの帰りに羽目を外したり、反抗期で夜遊びを繰り返す可能性も考えられるため、警察も「切迫している状態ではない」と判断することがあるのです。

ただし、次のような状況が見られる場合には、警察も積極的に捜索することがあります。

  • 携帯に連絡をしても繋がらない。
  • いつも出歩いている場所を探しても見当たらない。
  • 友人に尋ねても誰も居場所を知らない。
  • 反社会的団体との繋がりがある。
  • 犯罪に巻き込まれている可能性がある。

中学生・高校生は自意識が目覚める一方でまだ判断能力の乏しい部分もあり、計画的な家出なのか突発的な行動なのか判断が難しくなってきます。また、現代では中学生・高校生の援助交際も多く、お金欲しさに犯罪に手を染める未成年者が後を立ちません。

成人している家出人が自己責任能力を求められるのに対し、中学生・高校生といった年齢の未成年者は責任能力も危ぶまれます。未成年者の健全な育成という観点から見ると、例え特異行方不明者で定められている年齢ではなくても、未成年者が無自覚に犯罪に巻き込まれることは防がなければなりません。

このような状況を踏まえた上で、警察では中学生・高校生の行方不明者に関して、日常の素行と照らし合わせながら対応をしていきます。

家出人の行方不明者届を警察に出す時に押さえておくべきポイント

警察へ行方不明者届を提出するという行為は、命の危険性の有無に関わらず必ずやっておくべき事です。しかし、「届出を出しても動いて貰えないかも知れない」という不安から、警察へ届け出ることを躊躇する人も少なくありません。

警察に積極的に動いて貰うためには、押さえておくべき重要なポイントがあります。どのような点に注意をすればよいのか、具体的な例をあげて解説していきましょう。

家出人の普段の様子を詳細に伝える

大切な人が突然いなくなったという状況は、残された人達にとって「非日常的な事件」です。しかし、警察にとっては「どんなところがおかしいと思うのか」という部分がわからないと、「緊急性の有無が判断出来ない」のです。

行方不明となった家出人の行方不明者届を出す時には、次のような点を警察に伝えるように心掛けてみましょう。

  • 日常生活における家出人の様子。
  • 家出人との関係性と仲の良し悪し。
  • 家出人の性格。
  • 家出人の交友関係。
  • 家出人の基本的な1日の流れ。

この情報からわかるのは、「家出人の普段の様子」です。例えば、家族関係が良好で連絡もマメに行なっていた人が突然行方不明になるのと、日常的に顔を合わせることがなく連絡もほとんどない人の行方不明では、警察の印象もかなり変わってきます。

家出人の普段の様子が穏やかであればあるほど、突然行方不明になった事が不自然な状況であることが警察へ伝わりやすくなりますので、まずはしっかりと家出人の普段の様子を伝えて、残された人が感じている違和感を警察に訴えるようにしましょう。

緊急性が高いと判断した証拠を提出する

警察へ出向いた時に、「家出人の行方不明は緊急性が高いことを示す証拠」があるとより効果的です。状況によっても揃える証拠が異なってきますので、ケース別に具体的な例を挙げてみましょう。

行方不明となった家出人に自殺の可能性がある場合

  • 遺書
  • いじめを記録したメモ
  • 自殺をほのめかす書き込み
  • 自殺の名所を検索したネットの履歴
  • 自殺に関する書籍
  • 友人とのメールのやり取りなど

行方不明となった家出人が誘拐・拉致された可能性がある場合

  • ストーカー行為を受けていたという証拠
  • 交友関係のトラブルに関するメールや書き込み
  • 悩みを綴っている日記やブログ
  • 交友関係にある人からの証言など。

行方不明となった家出人が犯罪を犯している可能性がある場合

  • 金銭関係の横領や窃盗の証拠や証言
  • 結婚詐欺の可能性を証明する証拠
  • 暴行や性犯罪の可能性を証明する証拠など。

原因はわからないが家出をする理由がないことを示したい場合

  • 残されていた財布や携帯などの貴重品
  • 部屋の様子を撮影した画像
  • 行方不明となる直前にやり取りしたメール
  • 電話の記録
  • 登下校や出勤状況の証言など。

家出の原因がわからない状況で何を証拠とするのか、悩む人も少なくありません。しかし、残された人が「違和感を感じた原因」を探し出すことは可能です。証拠となるものは家出のケースによって様々ですが、少しでも違和感を感じる物や証言などは確実に残しておき、より警察に強く訴えられるようにしましょう。

「相談」と「捜索」の実績を積んでおく

すぐに行方不明者届を受理をされなかったとしても、行方不明となった家出人を探すために警察へ相談したり、自力・もしくは探偵への依頼で捜索を行うことは極めて重要です。

行方不明者の捜索は、時間との戦いになってきます。時間が経つほど行方不明となった家出人の痕跡は薄くなっていき、後になって正式に警察が捜索をする頃には、目撃情報も証拠も手がかりとして役に立たない可能性があるのです。

残された人が早い段階から「相談」と「捜索」の実績を積んでおくことで、その情報を警察へ伝える事が可能となり、行方不明者の捜索の需要な手がかりとなってきます。下記の記事では、残された人がやっておくべき事についてさらに詳しく解説しておりますので、こちらを参考に「今出来ること」を考えてみましょう。

行方不明者届が受理されても警察の対応が思うようにならない時の対処法

行方不明者届が受理されたとしても、警察の対応や判断によっては捜索が思うように進まず、焦りや憤りを感じる人も少なくありません。では、このような時にはどう対処すれば良いのでしょうか。警察の対応が思うようにならない時の具体的な対処法についてみていきましょう。

積極的に警察へ出向き情報を求める

行方不明者届が受理されると、家出人の情報はすべて警察のデータベースに登録されて、全国規模で家出人に関する情報が集まることになります。有力情報は警察を通して伝えられますが、なかなか情報が集まらないと警察から状況報告が来ることはありません。

このような場合には、定期的に警察へ連絡を入れて、捜索の状況や現在集まっている情報などを積極的に求めるようにします。その際、自力捜索や探偵事務所で得た情報などを警察へ伝えることで連携を作ることも可能となりますので、一方的に連絡を待つだけではなく積極的に情報を求めるようにしましょう。

自力での捜索を継続する

残された人たちによる捜索を継続することも重要です。家出した当時には話題に登っていた情報も、時間が経つにつれ印象が薄れてしまうと、人の記憶にもなかなか残りにくくなってきます。自力での捜索を継続する理由は、「行方不明者の捜索を風化させないこと」にあるのです。

特に行方不明者が成長段階にある未成年の場合、顔つきや背格好もすべて変わってしまうため、いなくなった当時の写真などを情報提供し続けることで、当時の面影を覚えている人に訴えかけるという効果も期待出来ます。

自力での捜索は残された人にとって精神的にも肉体的にも重労働となりますが、継続することが情報提供へと繋がっていきますので、周囲の人たちに協力を求めながら捜索を続けてみましょう。

探偵事務所に相談して捜索を依頼する

行方不明者の捜索において、探偵事務所に相談することは残された人たちにとって大きなメリットがあります。

  • プロの視点から状況を判断して証拠を集めて貰える。
  • 聞き込みや張り込みといった素人には難しい捜索が可能になる。
  • 探偵独自のネットワークで情報を集める。

この他、不安な時に相談をしたり定期的な報告をお願いすることが出来るなど、残された人たちの精神的な支えとなることも少なくありません。

多くの探偵事務所では無料相談窓口を設けており、依頼者が気軽に相談出来るようになっていますので、まずは相談から始めてみるのも良いでしょう。

まとめ

成人・未成年者で違いが出る警察の対応について、その違いの根拠や警察への対処方法を詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。最後にもう一度内容を振り返り、まとめてみましょう。

  • 警察は「命・身体・財産に関わる事件を解決する公的機関」であり、行方不明者の捜索でもこの基準に照らし合わせて対応が変わる。
  • 警察の規則にある未成年とは基本的に「13歳以下」であり、同じ未成年でも「中学生・高校生」の行方不明者の場合、普段の生活や素行などによっては「緊急性はない」と判断されることがある。
  • 成人であっても「命・身体・財産に関わる事件性がある」と判断された場合、警察は積極的な捜索を行う。
  • 警察へ届け出る時には、「どのような点がおかしい・あやしい」と思うのかを証拠と一緒にしっかりと伝えるように心掛け、緊急性があることを理解して貰うようにする。
  • 警察の対応が思うような結果でない時には、自力での捜索を継続しつつ探偵事務所などへ相談をし、得られた情報を警察へ報告したり積極的に警察へ連絡を入れる続けるなどの対処を行う。

警察の対応についての意見はさまざまですが、「残された人たちが感じている不安・違和感・緊急性」を的確に伝えることで状況は変化します。これは、行方不明者に成人・未成年者の違いがあっても同じです。行方不明者の年齢によって最初から諦めるのではなく、残された人たちが感じている緊急性をしっかりと伝えるよう心掛けてみましょう。