【投稿日】 2019年6月21日 【最終更新日】 2021年10月21日

子供の家出は、親や保護者にとって大きな不安と焦りを感じる出来事です。それだけに、何からどう動けばいいのかわからず、混乱を起こす人も少なくありません。お子さんの年齢が低いほど危険度は高いため、親御さんも不安になるでしょう。しかしだからこそ余計に緊急性が問われます。

では、家出をした子供に対して保護者はどのような対処法がとれるのか、具体的な例を交えて解説していきます。

子供が家出を繰り返す心理にどう対応する?中学生・高校生への精神的対処の重要性

警察が発表している資料を見ると家出の総数は減少傾向にはあるものの、中学生・高校生にあたる10代の子供の家出の件数はいまだに多く、1万7千人以上もの行方不明者届が受理されています。

自立する年齢ではない中高生が、それでも家出を選択する心理状況にはどういったものがあるのでしょうか。その考察から家出した子供の捜索のため、家出を未然に防ぐために、保護者がやるべきことを探ってみましょう。

「ここにいたくない」の気持ちが現れている子供の家出

実際に家出した子供の原因には、以下のような例が挙げられます。

  • 親とケンカして「出て行け」と言われ飛び出した。
  • 家庭内で虐待されて身を守るために家出した。
  • 親に怒られるのが怖くて帰れずにいた。
  • 学校でのいじめが苦しくて家出した。
  • 友達といることの方が楽しくて帰宅しなかった。
  • 親が厳しくて息苦しかったので家出した。
  • 好きな人と離れたくなくて帰宅しなかった。

一見するとそれぞれ別の理由にも見えますが、これらの原因に共通しているのは「ここではない場所への逃避」です。目先の問題に集中しているため後先を考えられず、自分から危険な方向へ向かう危うさを秘めています。

このような理由に対し、「甘えだ」「無責任だ」と感じる保護者も多いのですが、子供の家出は原因が不安定な心と密接に関わっています。成長途上の子どもたちは気持ちを言葉にすることが難しいため、代わりに家出という行動に出てしまうのです。

中学生・高校生のプチ家出を放置していると危険!その都度対処を

プチ家出とは短期間の家出のことですが、短ければ数時間、長いものでは1週間に及ぶこともあります。最初はほんの短時間だったプチ家出が少しずつ長くなったり、行先が友達の家だとわかっていたりするため、親もつい見過ごしてしまいがちです。

プチ家出の特徴は何度も繰り返されることと、中学生・高校生に多いことです。短期間といえども家出は家出。繰り返されるのは、子供の心理的な問題が解決していないせいです。これを放っておくと、いつか大きな事件に発展する可能性もあります。

子供の家出の放置で親が監督義務違反として罰せられることもあるとおり、未成年者の行動の責任は親にも課せられます。なおかつ親には、子供の将来のことを考える義務もあります。

家出によって、子供は被害者にも加害者にもなりえます。子供の将来を守り、子供に対する責任を果たすために、親が家出の危険性をしっかり認識して行動することはとても重要です。

女の子(娘)のプチ家出による「神待ち行為」の危険性

「神待ち」とはSNSなどで不特定多数に隠語で呼びかけ、自分を泊めてくれる人を探す行為です。性交渉目的で女の子を泊める男性も多く、最悪の場合は強姦や望まぬ妊娠、風俗店での強制労働などに繋がる可能性があります。

男の子(息子)のプチ家出による犯罪行為の危険性

お金を手に入れるために万引きや強盗・恐喝といった犯罪に手を染めたり、反社会団体の違法行為に加担してお金を稼いだりする可能性があります。補導(逮捕)されてから始めて保護者が気づくという最悪のケースも少なくありません。

子供であっても年齢や犯罪の凶悪性によっては、少年院に送致されることもありえます。何もかも、起こってからでは遅いのです。

子供のプチ家出への適切な対処

プチ家出に無視は最悪の対応です。短期間といえども子供が何度も家出を繰り返すには、必ず理由があります。帰っては来ても、家出の原因は解決していないのです。

思春期の子供に親がはたらきかけるには注意が必要です。子供にも言い分や自尊心があるのですから、きつく叱っては逆効果になりかねません。また、問い詰めたり改まって本心を聞き出したりしても、なかなか正直に話せないものです。

プチ家出を繰り返す子供へのアプローチの例

  • 子供が出かける際は必ず行き先を尋ねる。
  • 夕食は一緒に食べるなど、毎日顔を合わせる時間をとる。
  • 毎日決まった時間に親からLINEやメールで連絡する。
  • 適切な門限を設ける。
  • 門限より遅くなるときは前もって電話で連絡を入れさせる。

大事なのは、親がいつも気にかけていると子供に伝えることです。またLINEなどの文面だけのやりとりでなく、通話を利用すれば子供の変化にも気づきやすくなります。

プチ家出といっても家出は家出です。行先もわからず連絡も取れず、いつ帰ってくるかわからないとなれば、れっきとした行方不明者です。そうならない最低ラインは守りつつ、少しずつ精神的なケアを試みてください。

子供の年齢や性格・状況を考えた対応が必要

「ここにいたくない」という気持ちの表れである子供の家出は、帰宅後の環境が重要となります。つまり、せっかく帰宅してもその場所が依然居心地悪いままだと、子供が再び家出をする可能性は高いです。実際にあったケースでは、次のような例が挙げられます。

  • 親の不仲やDVが原因で家出をしたが、帰宅しても状況が変わっていなかった。
  • 学校のいじめが原因で家出をしたが、家族も周囲も理解をしてくれなかった。
  • 家出の噂が広がってしまい、冷やかされたり距離を置かれたりした。
  • ビラ配りなどで顔写真が出回って嫌な思いをした。
  • 知らない人にまで声を掛けられて恥ずかしい。

大人にとっては仕方ないことでも、子供はそのように割り切れません。親の些細な言葉で深く傷ついたり、他人の噂や視線が気になって学校に行けなくなったりするのです。そのようなつらい気持ちは、再度の家出につながります。

何が子供を傷つけるかは一概には言えません。年齢や性別によっても、個々の性格によっても異なります。よって絶対の正解はありませんが、子供が家出した原因とともに、帰ってきたときのこともよく考えて対処しましょう。

子供の帰宅がゴールではないことを理解する

子供が見つかったからといって、安心するのは早いです。帰ってきた子供と家出の原因について話し合い、今後どうすべきかを一緒に考えなくては、本当の解決には至りません。根本にある問題を取り除かなくては、また家出を繰り返す可能性もあるからです。

家族間での話し合いでは解決できないケースもたくさんあります。その場合は、以下のような機関や相談先の利用も有効です。

子供の家出に関する相談先

  • 民間のカウンセリングに家族で参加する。
  • 児童相談所や公的機関の相談窓口を利用する。
  • 学校を交えて話し合い子供が安心する解決方法を模索する。

家出という一大事の後では、子供だけではなく保護者も大変な心労を抱えている状態です。決して家族だけで無理をすることはせず、第三者の力を借りながら問題解決するようにしましょう。

娘・息子が帰ってこないとき親がすべきこと!警察との連携や家出の捜索方法

家出する子供の心理ついて理解したところで、実際の家出にどう対処すべきか具体的な捜索方法を解説します。

家出した子供の捜索に必要なのは、行き先の手がかり探しや情報集めです。そのやり方は様々ですが、保護者だからこそできる捜索方法を知っておくと、より多くの重要な情報が集めやすくなります。

子供が帰ってこない…家出かも?というときに探すべき場所と連絡先

もうとっくに部活も終わっているのに子供が帰ってこない、携帯にかけても出ないというようなとき、不安で適切な判断ができないことはよくあります。すぐに警察に連絡していいのか、少し様子を見るべきなのか、迷ううちに不安はどんどん膨らむでしょう。

もちろん警察への連絡も大事ですが、親としてできることは他にもあります。まず確認すべきことや探すべき場所や連絡先など、まだ子供の家出の経験のない方も、是非読んでもしものときの備えをしてください。

家出した子供の携帯電話に連絡を入れ続ける

家出をした子供が携帯電話を持っている場合には、何度も連絡を入れ続けましょう。保護者がかけて出なくても、子供の友人や知人からの電話やメール(LINE)なら返事があるかもしれません。可能なら協力を求めましょう。

但しあまり大勢から連絡が届くと、子供が帰りづらくなることもあります。まずは親しい数人のみに留め、段階的に広げていく方がベターです。

携帯電話のGPS機能を利用して場所を探ってみる

多くの携帯電話にはGPS機能がついています。GPS機能は子供の捜索に大いに役立ちます。GPSを使っての現在地位置特定には予め設定が必要な機種が多いですが、携帯の契約者が親の場合、携帯電話会社や警察を通せば利用可能なケースがあります。

GPSについて詳しく解説した関連記事がありますので、そちらも参照してください。

家出した子供の持ち物から手がかりを探す

家出した子供の部屋を捜索し、持ち物を調べて家出に繋がる原因や行き先の手がかりを探るのも有効な方法です。書き置きや遺書などがないかの確認はもちろんのこと、少しでも気になるものがあれば手がかりとして保管するようにしましょう。

子供の部屋や持ち物を確認するポイント

■書き置き・遺書など
→子供が家出した原因や行先の手掛かりになる。
■財布や貯金箱
→子供の所持金から行動範囲や、突発的なものか計画的なものかがわかる。
■家出する前と後での違い・変化
→些細なことでも手がかりになることがあります。

その他、あれば子供のパソコンや親名義のクレジットカード、キャッシュカードなども確認が必要です。これについては別項で詳しく説明しますので、そちらをご参照ください。

学校・塾・習い事など家出した子供の行動範囲に連絡をとる

学校・塾・習い事など、家出した子供の通い先や繋がりがある場所すべてに連絡を入れ、子供に関する情報を集めましょう。話をして気になる点はメモに残し、可能なら子供の捜索にも協力を頼みましょう。思い出したことがあれば教えてもらうなどのささいなことでも、知り合いの協力は、捜索に大いに役に立つことがあります。

但し、子供が帰ってきたときのことを考えて、家出のことが必要以上に広まらないように注意が必要です。見つかればそれで解決ではないことをくれぐれも忘れないでください。

家出した子供の友人・知人宅や親戚宅を訪ねてみる

子供の友人・知人や親しい親戚を訪ね、子供が顔を出していないかどうかを確認します。その時にいなくても後から訪れる可能性もありますので、その時には保護してもらうよう頼んでおきましょう。また同時に、家出のことを広めないよう注意もしてください。

家出した子供の行き先になりそうな心当たりを探す

子供が普段からよく出向いていた場所は、家出したときの行き先になることが多いです。公園・散歩コース・図書館などの公共施設・スーパーやコンビニといった店舗・カラオケ・ファミレス・ゲームセンターなど、過去に少しでも立ち寄ったり話に出たりした場所をできるだけ多く当たってみてください。

探偵事務所などの第三者機関に相談する

自力での捜索や手がかり集めなどが難しいと思う場合には、早い段階から探偵事務所などの民間企業に相談するのも1つの方法です。

同じ情報からでも探偵なら、素人とは異なる着眼点から手掛かりを得ます。家族や友達だからわかることに調査のプロのノウハウが加われば、より早く家出人の所在に近づけるはずです。

また、探偵には守秘義務があります。依頼者の個人情報や依頼内容が外部に漏れることがありません。また、プロの調査は他人に気づかれにくく、情報の拡散が最小限で済むため、子供の生活や将来への影響も心配いりません。

第三者に話すことで頭の中を整理する良いきっかけにもなりますので、まずは無料相談から始めてみましょう。

必ず警察へ相談して連絡を取り合うようにする

未成年の家出に関して、保護者による警察への相談と届出は必須です。

  • 相談実績があること。
  • 連絡を取り合い続けていること。
  • 少しでも可能性がある手がかりを提供し続けること。

こうした行動の積み重ねが警察側への良いうながしになる他、保護者としてやるべき責務にも繋がります。また、警察に届け出が受理されると情報が全国の警察で共有されるので、警ら中の聞き込みなどからの情報が入りやすくなるのも利点です。

警察に相談することを躊躇してしまう人も多いのですが、特に子供の家出の場合は保護の面でも欠かすことができませんので、必ず警察へ相談して連絡を取り合いましょう。

小学生の家出はすぐ警察に行方不明者届(旧捜索願)を!

小学生が家に帰ってこない場合、家出だけでなく誘拐や何らかの事件に巻き込まれた可能性も大いにあります。本人の意思による家出だとしても、大人や中高生に声をかけられて良からぬ行動をとってしまったり取り返しのつかない被害を受けたりするかもしれません。

そのような危険性の高さから、13歳以下の子供の行方不明者届が提出されると、警察は特異行方不明者と認定し、緊急の案件として捜索に取り掛かります。

小学生以下の子どもに良からぬ思いを抱く人間は少なくありません。手遅れにならないためにもすぐに行方不明者届を出し、警察に捜索を願い出ましょう。

中学生・高校生が帰ってこないことを警察に相談する必要性

お子さんが中学生や高校生ともなると少しくらい帰りが遅くても、あるいはひと晩くらい帰ってこなくても、警察に相談するほどではないと思う親御さんも多いでしょう。心配は心配でも思春期の子供にはありがちなことですし、大ごとにして親子関係がこじれる方を問題視してしまう親御さんもいらっしゃいます。

しかし中高生ならスマホを持ち歩いているため、親の知らないところで様々な情報や人間にアクセスできてしまうことに注意しなくてはいけません。

高校生なら大人とほぼ同等のことができますし、しかも自分の行動の危険性を理解していないことも多いです。そのため簡単に犯罪やそれに準ずる行為に手を染めてしまうことがあります。また中学生ならより危険性への理解が乏しく、その分、誘惑に弱いかもしれません。

そのような事態を未然に防ぐために、警察への相談は必須です。10代の子どもたちは犯罪の加害者にも被害者にもなりうるということをくれぐれも肝に銘じてください。

小学生・中高生、男・女は関係なく家出は警察への相談が必須

うちの子はまだ小さいから、もう高校生だから、男の子だから…。子供への不安な気持ちを打ち消すためにそう思いたい気持ちもわかりますが、どれも子供が家出しても安全であるという根拠にはなりません。年齢や性別を問わず、子供の家出には犯罪やその他の危険がつきまといます。

そして子供の行方不明事件は、成人のケースと異なり警察も積極的に動いてくれることが多いです。行方不明者届の提出を視野に入れ、早いうちに警察に相談しましょう。

携帯電話の履歴を契約会社から取り寄せる

家出した子供が所持している携帯電話が保護者名義で契約されている場合、携帯電話の履歴を携帯電話会社に連絡して取り寄せることができます。最近の通話履歴にある電話番号を調べれば、子供が繋がっていた人物がわかります。

通話の内容がわからなくても、通話している相手が誰なのかを調べれば、そこから手がかりを得られます。携帯電話会社によって取り寄せる方法はまちまちですので、契約している会社に事情を話して相談すると良いでしょう。

家出した子供の銀行口座の確認

家出した子供が銀行口座を持っている場合、その銀行口座の動きを確認するのも大事です。

子供に銀行のキャッシュカードを持たせている場合、通帳記入をして口座の引き落としなどの履歴を確認すれば、家出後の行動がある程度推測できます。場所を特定できるほどの情報がなくても、お金の動きから子供が無事だとわかることもあります

保護者のクレジットカードの確認

保護者のクレジットカードを勝手に持ち出し、キャッシングして家出の資金にしているケースもあります。子供は暗証番号を知らないはずと親は思っていても、盗み見や推測でわかっているかもしれません。

子供の手持ちのお金が増えれば、それだけ行動範囲は広くなります。また子供がお金を持っているところを見て、利用しようとする大人はいくらでもいます。つまりお金があれば子供が見つかりにくくなりますし、危険性も高くなるのです。

そういった事態に早く対応するために、家出に気付いたらすぐに親名義のクレジットカードの確認が必要です。

パソコン内に残されているデータを確認

子供が使用しているパソコンのパスワードがわかっていると、ネットでの検索内容やメールのやり取りなどから家出の手がかりを掴めることがあります。特に検索内容は履歴が消えていても検索予測機能で過去に打ち込んだワードがあらかじめ出るので、どのような内容を検索したのかがわかるのです。

また、家出した子供の携帯電話のバックアップデータを見ることが出来れば、写真・動画・連絡帳などの内容を調べることも可能です。ある程度の知識が必要ですが、捜索の手がかりとなることもありますので確認してみましょう。

部活やPTAの連絡網を利用して情報を拡散する

子供が参加している部活やPTAに頼んで情報を拡散してもらうのも大変有効です。現在では携帯でグループの連絡網を作っているところも多く、1度書き込むだけで関係者に一斉に情報を流す事ができます。

また、PTAは通っている学校だけではなく幅広い地域と繋がっているため、学区外にも情報を流せる他、多くの人に協力をしてもらえる可能性があります。特に小学生以下の子供が家出をしている場合には、緊急性を考えてより早い保護が重要となってきますので、早い段階から多くの人に呼びかけて早期発見を図りましょう。

子供の家出には原因と心理を踏まえた対処が必要

家出した子供に対し保護者が出来る捜索方法について、詳しく説明してきましたがいかがでしたでしょうか。最後にもう一度内容を振り返ってみましょう。

  • 子供の家出は言葉にできない心理的な問題が根底にあることが多いため、精神的なケアが必要。
  • プチ家出を放置しているとより深刻な家出や犯罪に関わる可能性が高い。
  • 幼い子供の家出は危険性が高いため、警察への相談と行方不明者届の提出が必須
  • 子供が帰ってきたときのことを考えて、情報の拡散などには注意する。
  • 探偵などの民間企業に調査を依頼するのも有効。
  • 子供が帰ってきてもゴールではなく、根本的な原因を探って再発を防止しなくてはならない。

子供の家出は保護者にとって大変つらいものですが、家出をした子供もまた、保護者に言えない心の痛みを抱えています。家出をした時の状況や原因をよく見極めながら早期発見に努め、家出の再発防止の糸口を探っていきましょう。

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