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会社の事業再建方法まとめ。成功させるために検討したい5つのポイント
【投稿日】2022年7月21日
経営状況の悪化に伴い、「倒産」という選択肢が浮かび上がった時。
その選択を素直に受け入れる事は中々難しいものです。そうした状況を立ち直らせる1つの方法として、「事業再建」に取り組んでいくというアプローチがあります。
危機的状況にある企業を再生させていく為の手段として考えるべき事柄である事業再建ですが、失敗してしまった場合には破産・清算となる手段でもありますので、実行の際には成功条件の見極め・失敗のリスクをよく理解しておく必要があるのです。
大切な会社を存続させたい、そうした思いを経営継続へ導いていく為に、現状把握すると共に、先々すべき行動を見極めていかなければなりません。
本記事では、事業再建のメリットや実際の道のりをご紹介する他、事業再建を成功に導くポイントを解説していきます。
事業再建について知っておくべき基礎知識
「事業再建」とは、会社が倒産状況に陥った際、赤字状況のある事業の見直しや不採算事業の切り捨てといった社内改革を行う事で、経営状況の安定化を図る方法のことです。
資金調達や経営改善により、事業の立て直しを進めていく手続きである為、現状営んでいる事業内容が対象となります。
経済改革が急がれる近年においても、毎年多くの企業が倒産している事は事実であり、また法的に報告されている事例以外にも、私的整理や夜逃げ等による倒産も少なくありません。
そうした事態を避け、会社を存続させ続ける為の有用な手段として挙げられているのが、この事業再建なのです。
事業再建と企業再生の違い
よく「事業再建」と比較されるのが「企業再生」です。
「事業再建」と「企業再生」は同じ様な気がしますが、全く意味が違います。
「事業再建」と「企業再生」の意味はそれぞれ、以下のとおりです。
- 事業再建:採算の取れていない事業の立て直し
- 企業再生:経営不振の企業の立て直し
企業再生という大きな枠組みの中の1つとして事業再建が位置しているというイメージです。
この2つの言葉は、時に同義として使われる場面もありますが、事業の立て直しに特化した改革の場合は「事業再建」を使う場合が多いようです。
企業倒産が起こりやすい原因とは
現状倒産の気配がないとしても、現代は「VUCA(ブーカ)時代」と言われ将来の先行きが不透明になりやすい時代です。
企業倒産を引き起こさない為には、事前に自社が倒産になりやすい条件を満たしていないか注意深く分析しておく事も大切です。
企業倒産の理由として多くあげられるのは以下の通りです。
- 長期にわたって、経営状況が右肩下がりに推移している
- 企業の資本力が低下している
- トップによるワンマン経営が改善されない状況である
- 提携先の倒産による、連鎖的な経営悪化
- 商品ニーズの減少に伴い、競合他社の倒産も散見されている
- 企業の信用低下・顧客の減少を感じている
- 商品入れ替えの新陳代謝が悪く、新製品の開発が停滞している
- 在庫管理の滞りがあり、在庫状態に悪化が見られる
※上記は一部であり、その他にも様々な理由が見られます。
これらの項目に当てはまる部分があるのであれば、企業倒産という可能性も少なからず存在している事を認識しておくべきでしょう。
複数項目に当てはまるようであれば、一層注意しなければなりません。
「今であればまだ問題ないだろう」といった考え方は、手遅れの状況を生み出す結果に繋がりかねません。早め早めの行動が、事業再建においては吉と出るのです。
事業再建の種類別メリット・デメリット
事業再建では、原則として「債務整理」を行う過程が存在します。
その際に裁判所を介して手続きを行う「法的整理」と、債権者との直接交渉によって手続きを行う「私的整理」どちらかを選ぶかにより、事業再建の流れも異なってくるのです。
その選択に対応し、事業再建にも法的再生・私的再生という種類があり、そのどちらにもメリット・デメリットが存在しています。
双方を理解し、自社がどちらを選択すべきか見極めていきましょう。
法的再生のメリット・デメリット
法的再生の代表的な手段は、「民事再生」が挙げられます。
民事再生法に基づき裁判手続きを行う再生法であり、事業の継続が可能なように現存している負債を法的に整理し、事業再建をする事を目的としているのが「民事再生」です。
裁判所が介入する事で、公平さと強制力を働かせつつ事業再建を行う事が可能となります。事業再建を目指す経営者にとっては、ある種最終手段とも言えるでしょう。
民事再生手続きでは、抱えている債務を一度棚上げし、経営権を失わないまま事業の継続が出来ます。また裁判所の管轄下で手続きが進む為、不正や妨害から守られながら再生を目指せる事も重要なメリットと言えるでしょう。
しかしながら、民事再生を行う際にはその申請が裁判所で公表される事となるほか、全ての債権者を公平に扱う為、事業継続における重要な取引先にも迷惑がかかるというデメリットがあります。
社会的には倒産と同等の扱いをうけるので、社会的信用の低下も免れないでしょう。
安全性を優先するか、水面下での事業再建を目指していきたいかによって、法的再生の選択を取るかどうかは変わってくるのです。
私的再生のメリット・デメリット
私的再生は、法的再生以外の債務整理の総称を指します。
裁判所を介さず、債権者との協議によって同意を得る事で、事業再建を図っていきます。
私的再生を行い事業再建を進めていくには、債権者全員の同意が必要となります。その為、整理積み込みの思案を慎重に行わねばなりません。ただ、法律で定められた手続きを遵守する必要が無いので、状況や要望に応じ柔軟に進めていく事が可能です。
例えば法的整理では全ての債権者を平等に扱わなければなりませんが、私的整理では事業継続において重要な取引先には債権放棄の要請を控え、金融機関等にのみ要請するといった事も可能となります。
公表を控え、社会的な信用を損なわないように気を付けつつ事業再建を進めていけるというのもメリットでしょう。
デメリットとしては、債権者全員の同意がいるという点が挙げられます。
1人でも債権者が反対してしまった場合には実行が不可能となるほか、裁判所の介入が無い為に不正や妨害が起こる可能性も否めないところが、法的再生に比べたデメリットでしょう。
ただその柔軟性から、基本的には法的再生よりも私的再生の可能性を優先的に探っていく事が一般的となっています。
私的再生がどうしても困難な場合の最終手段として法的再生があるという事を覚えておきましょう。
事業再建への5STEP
事業再建は企業倒産を防ぐ為の救済措置でもありますので、基本的に長期的な時間の猶予が無い状態で遂行していく必要があります。
法的再生と私的再生、どちらで進めていくか決定出来た段階で、スムーズな進行に努めていかなければなりません。
どちらの手法を選んだにしても、大まかな流れは同じです。主に次のような5つのステップで事業再建が行われます。
一つひとつのSTEPについて詳しく見ていきましょう。
STEP1:事業の実態を把握する
倒産に至るまでのプロセスは企業ごとに大きく異なります。前述のとおり企業倒産理由は多岐にわたりますし、理由の組み合わせによっても千差万別ですから、まずは自社の状況を把握しなければなりません。
「窮境要因」と呼ばれる、経営悪化の中核的原因の究明は、最初に行うべき工程です。過去の資料を分析し、経営者や役員へのヒアリングを行いつつ正確な実態把握に努める事により、事業再建の戦略基盤を整えていく事が必要となるでしょう。
STEP 2:事業再建の方針を決定する
自社の実態把握が完了したら、次はそれらのデータをもとに事業再建の方針を決定していきましょう。
前述の法的再生、私的再生どちらを選択していくかについても、この段階で協議する内容となります。ただいずれの手法も債務免除の要請が発生しますので、債権者に少なからず迷惑をかける事となってしまいます。
その為、まずは債務を全額弁済出来るかどうかを検討する事から始めましょう。
「リスケジュール」を行い、返済期間の延長や分割返済金額の少額化の交渉を行い、今払える範囲内での全額弁済を目指していけるかどうか。
それが難しい場合には、法的再生や私的再生を検討する、という流れで進めていけば、多くの可能性を模索しつつスムーズな進行が可能です。
STEP3:デューデリジェンスを実施する
「デューデリジェンス」とは、投資などを行う際に投資先の事業内容や財務状況を詳しく調査し、明らかにしておく事です。
今回の場合は自社に対するデューデリジェンスを行うという事になります。
事業再建を行っていくには、現在の資産と負債がどの程度であるかを事前にはっきりとさせなければなりません。
その為、デューデリジェンスで財務状況を正確に把握したうえで事業計画案を練っていく必要があるのです。
また財務状況、事業内容に限らず、必要に応じて法務面、税務面についてもデューデリジェンスを行うなど、広範囲かつ多角的な調査は重要です。中でも労務上のトラブルを調査しておく事が、近年では重視される傾向にあります。
STEP4:事業計画案を作成する
ここまでのステップを踏まえ、事業再建の方法が固まったら、次に「事業計画案」を作成していきます。
事業計画案は、事業再建の為にどのような行動をとっていくかのアクションプランと、数値計画をまとめ作成します。「窮境要因」の特定や除去を目的とした、3~5年規模の再建計画を練る事が一般的と言われています。
事業計画案で最も詳細にまとめるべきとされているのは、債務の弁済計画です。
事業、財務面の計画を通じ、いつ・誰に・どれだけの額を返済出来るのかを明確にしておく事で、債権者との交渉や、金融機関・スポンサーとの交渉も円滑に進めていきやすくなるからです。
既存の金融機関からの融資や、リスケジュールでの資金確保が充分でない場合には、新たなスポンサー企業を見つけなければなりません。
スポンサーが見つかる事で資金確保だけでなく、債権者や金融機関からの信用も向上する可能性が増加する為、スポンサー探しも重要な工程の1つです。
弁済計画は事業再建における必達項目ですので、念入りに計画案を練っておきましょう。
STEP5:事業再建手続きを開始する
資金確保のめどが立ったら、いよいよ事業再建手続きを開始していきます。
一般的な再建計画で最初に着手されるのは、資金流出を止める事です。資金流出が続いてしまえば企業倒産に繋がるリスクも上がりますので、注意しなければならないでしょう。
事業計画案に基づき、随時進捗の確認や計画の見直しを行いながら、事業再建を実行していきます。
3~5年規模の計画となりますので、同じ計画案を練り直す事なく進められない場合も多くあります。だからこそ、継続的な協議を重ね、とどこおりない事業再建を目指していきましょう。
再建計画が完遂し、債権者への弁済が終われば、事業再建は完了となります。
事業再建成功の為の5つのポイント
事業再建は時間の猶予も多くないほか、失敗すれば企業倒産のリスクもある中で行われます。
その為、最大限成功確率を高めた状態で遂行されるべきでしょう。
具体的には、次の5つのポイントが事業再建を成功へと導く上で重要になります。
ポイント1:事業再建を成功させる決意と覚悟を持つ
事業再建は、倒産の危機が迫っている中で進めていかなければならない事業計画です。
その為何よりも重要なのは、会社を立て直していきたいという決意をチーム全体で共有していく事と言えるでしょう。
目標を達成していくまでの数年間、心を折らずに進み続ける事が出来るか。苦悩や葛藤を抱え込むのではなく、どうすれば経営危機の状況を打開していけるかに焦点を当て、具体的な解決策を模索していく事が重要です。
ポイント2:現状と原因を究明し、対策を立てていく
自社が陥っている現状と経営悪化に繋がった原因を究明し、即時で行うべき対策と将来的に行っていくべき対策を見極める事は、事業再建において決して欠かせない要素です。
事業再建では、実際に遂行されていく過程が大切であるのは勿論ですが、事前段階での精査がどれだけ出来ているかによって、効率も余裕も大きく変わって来る事を忘れてはなりません。
法的再生や私的再生、あるいはリスケジュールによる弁済計画の実施に留められるか。遠回りをしない為にも、現状把握に労力を割き、方針を定めておきましょう。
ポイント3:事業再建のスケジュールを明確にする
事業再建を達成しなくてはならない期限は、必ず存在します。
倒産の危機状況のみならず、債権者への弁済期限等も含め、常に時間に追われる状況が生まれやすい点も事業再建の特徴と言って良いでしょう。
また予定通りの進行より遅れが発生する可能性も充分ありますので、事前にスケジュールを明確化し、遅れた場合のプラン等も可能な限り検討しておくと安心です。
ポイント4:社内外を問わず、情報共有は欠かさない
事業再建は、企業存続をかけた救済措置とも言える事業です。
その為、チームワークをしっかりと維持しておく事が非常に大切となってきます。
社内での情報共有やコミュニケーションだけでなく、債権者やスポンサー企業といった社外の関係者との情報共有も欠かさないよう注意しましょう。
常に進捗の見通しが良い状態を維持出来れば、社外からの信用も得られやすくなり、事業再建をより円滑に行っていく事にも繋がるのです。
ポイント5:事業の将来性を見極め、広がりを意識して展開させていく
事業再建は企業にとって現状打破の側面が強いながらも、将来性を秘めた事業である事も意識しておきましょう。
立ち直りの状況によっては、以前よりも更なる経営向上に繋げていける可能性も高いです。
事業再建の成功を足掛かりに、将来的な企業の盛り上がりへと繋げていく。
そうした意識を持ち取り組んでいく事で、長期的なモチベーションの維持にもなっていくでしょう。
事業再建を成功させるには、迅速さと慎重さが何より重要!
本記事では、事業再建の基本的な流れと、成功へ導く為のポイントについてご紹介しました。
昨今の社会情勢を加味すると、業績が順調な企業であっても、いつ、どんな理由で業績が傾くか予想ができない時代です。
「もしも業績が傾いてしまったら」という事もリスクの1つとして、しっかり考えておくことが重要です。また、既に経営不振等で企業存続が危ぶまれている場合には、迅速かつ慎重な現状把握に努め、自社に最適な方法で事業再建に取り組んでいきましょう。
事業再建にあたり、企業内部の調査などは探偵事務所SATにお任せください!
昨今は、企業の内部不正や情報漏洩などが業績不振などの原因となるケースがあります。このように事業再建の際には、あらゆる原因を想定して自社の内部調査(デューデリジェンス)をくまなく行うことが重要です。
これまであらゆる角度で企業調査を行ってきた探偵事務所SATでは、企業内の内部不正や情報漏洩、または事業に携わる役員や社員など個人の素性調査にいたるまで、あらゆる観点から調査を行う事が可能です。
もし、そういった事業再建にあたっての企業の内部調査などが必要となった場合には、探偵事務所SATにご相談ください。メールや電話でご相談を受け付けております。
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