【投稿日】 2018年7月6日 【最終更新日】 2021年10月21日
「借金返済のために会社の金を着服している」と、根も葉もない噂を流された。「△社の□□は実はブスで顔を整形している」と、事実無根の話と実名をSNSで公表された。
これらは会社やその周辺で流される悪い噂のほんの一例ですが、被害者にとっては深刻な問題です。犯人からの報復や被害の悪化を恐れて泣き寝入りせざるを得なかったり、相談機関を利用したものの解決の糸口が見いだせなかったりして、精神的苦痛が増すばかりの被害者も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は社内の悪い噂や誹謗中傷を取り上げ、これらの悪質な行為に対処する際に探偵の企業内調査をどのように利用できるかを徹底的に解説します。
SAT探偵事務所 京都本部の代表取締役社長。
浮気調査や人探しといった個人向けのメジャーな調査はもちろん、他所では受任できない難度の企業向けの調査(信用調査、与信調査、M&A時等におけるDD 等)や経営コンサルティング業務にも従事している。
会社での悪い噂や誹謗中傷の特徴
まずは、悪質な噂を流す犯人のねらいや、誹謗中傷が被害者と会社全体にどのような影響を及ぼすかなどの点について、簡単に振り返ってみましょう。
犯人のねらい
会社での悪い噂の流布や誹謗中傷を行う犯人のねらいは、ターゲットへの虐めや嫌がらせであるケースがほとんどです。気に入らない社員を仲間外れにしたり、降格・退職に追い込んだりすることがゴールとなります。ターゲットの受けるダメージが少ないと犯人が判断すれば、噂や誹謗中傷がさらに悪質化する傾向にあります。
また、最初はストレス発散やうさ晴らし目的で気に入らない相手の陰口を叩く程度であっても、次第にエスカレートして虐め・嫌がらせへ発展するケースが多く見られます。
被害者への影響
社内で悪い噂や誹謗中傷のターゲットにされてしまうと、被害者は疎外感を覚えたり、噂の出所を探して疑心暗鬼になったりして、社内で孤立しがちです。
また、いくら優秀で勤務態度が良好であっても、根も葉もない噂や誹謗中傷のせいで社内での評判が下がってしまえば、会社には居づらくなります。その結果、自主退職に追い込まれたり、精神的に参ってしまったりすることもあるのです。
会社全体への影響
社内の悪質な噂や誹謗中傷は会社にも影響を及ぼしかねません。職場環境の悪化や被害者の退職による人材流出以外に、自身が次のターゲットになることを恐れる社員の転退職などにも繋がる可能性があります。
他人事ではない?社内での悪い噂・誹謗中傷で生じる刑事・民事罰
会社での悪い噂や誹謗中傷は、ある条件を満たせば刑事罰が適用されます。また、被害者の権利侵害によって損害が生じたと裁判所が認定すれば、犯人は民事上の賠償責任を問われます。
噂や誹謗中傷に直接関与していなくても、いつ被害者や加害者になるかわかりません。自身の身を守るためにも、悪い噂や誹謗中傷によって追求される可能性がある法的責任の理解に役立てて下さい。
悪い噂や誹謗中傷によって受ける可能性のある刑事罰
社内での悪い噂や誹謗中傷は、刑法で定められた要件を満たしていれば犯罪行為と見なされます。具体的には「名誉毀損」・「侮辱」・「信用毀損及び業務妨害」のいずれかの罪に問われる可能性があります。
名誉毀損(刑法第230条)
- 3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金
- 「○○さんは上司と不倫している。」
- 「○○は経費を水増し請求して着服している。」
- 「○○は前科者だ。」
侮辱(刑法第231条)
- 拘留または科料(1,000円以上1万円未満の罰金)
- 「○○はキモイ。」
- 「○○は馬鹿だ。」
信用毀損及び業務妨害(刑法第233条)
相手に関する「虚偽の噂」を流したり、相手を欺いたりすることで、相手の経済的信用を傷つける。あるいは、これらの行為によって、相手の信用が損なわれる恐れがある。
・業務妨害(偽計業務妨害)
信用毀損と同様に「虚偽の噂」を流したり、相手を欺いたりすることで、相手の業務を妨害する。
- いずれも3年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 「○○はクレジットカードのブラックリストに載っているらしい。」
- 「○○は自己破産手続き中だ。」
- 「○○は得意先の社長から借金をしている。」
なお、「名誉毀損罪」と「侮辱罪」は「親告罪(刑法第229条)」と呼ばれ、被害者からの告訴を受けて初めて、検察が犯人を起訴して刑事裁判が行われます。
一方で、「信用毀損罪及び業務妨害罪」は親告罪ではないため、事件が発覚すれば被害者の告訴の有無に関係なく、捜査や刑事裁判が行われます。
悪い噂や誹謗中傷が刑事罰として成立する要件
社内での悪質な噂・誹謗中傷などが刑事事件として立件されるためには、以下の3点を満たしていなければなりません。
- 相手の名誉が毀損される
- 相手の社会的・経済的な信用低下に繋がる
- 「公共の利害に関する場合の特例(刑法230条)」に当てはまらない
なお、3点目の「公共の利害に関する場合の特例(刑法230条)」については、次項で詳しく解説します。
誹謗中傷などが名誉毀損に当たらない特例
誹謗中傷によって社会的信用が損なわれた場合でも、例外的に名誉毀損には当たらない、つまり犯罪と見なされないケースがあります。それは、「公共の利害に関する場合の特例(刑法第230条の2)」に該当する場合です。
刑法第230条では本来、相手の名誉を毀損する行為は「事実の真否を問わず」処罰の対象とされてきました。ところが、事実の真否にかかわらず、すべての事実の摘示を名誉毀損と見なす認識は、日本国憲法で保障された「表現の自由」に干渉するという考えから、刑法が一部改正されました。
その際に「表現の自由」を尊重するために追加されたのが、「公共の利害に関する場合の特例(同法第230条の2)」です。
以下の3つの要件を満たしている場合に限り、たとえ誹謗中傷によって被害者の権利が侵害されようとも、名誉毀損には該当しないと判断されます。
- 摘示された事実が「公共の利害に関する事実である」
- 事実の摘示の目的が「公益を図るためである」
- 摘示された事実が「真実であると証明された」
悪い噂・誹謗中傷によって問われる民事責任
悪質な噂や誹謗中傷の犯人を刑事告訴するのが難しい場合でも、誹謗中傷によって損害を被ったと証明できれば、犯人を民事訴追することができます。裁判所が噂の流布や誹謗中傷が「不法行為による損害賠償(民法第709条)」に当たると判断すれば、犯人は被害者に対して賠償責任を負わなければなりません。
不法行為による損害賠償(民法第709条)
名誉毀損や信用毀損、プライバシーの侵害などにより、相手の人権や尊厳を侵害したり、社会的信用を損なったりしている。また、これらの行為によって、相手が退職や降格・減給などの不利益を受けている。
財産以外の損害の賠償(民法第710条)
同法第709条(不法行為による損害賠償)において損害賠償を命じられた者は、相手の財産以外の損害も賠償しなければならない。
名誉毀損における原状回復(民法第723条)
民法の「金銭賠償の原則(同法第417条)」の例外を定めた条文。悪質な噂の流布や誹謗中傷の被害者からの請求に基づき、裁判所は犯人に対して「名誉を回復するのに適当な処分」を命じることができる。
社内の悪い噂や誹謗中傷に気づいたらどうすれば良いのか?
自身が悪い噂や誹謗中傷のターゲットにされているかもしれない、あるいは同僚・先輩・後輩が被害に遭っているかもしれないと気づいても、どうすれば良いかわからず途方に暮れることが多いでしょう。
そこで、誹謗中傷の手段別に、対処の仕方や注意点などを整理してみましょう。
噂の出所や犯人の特定
被害に気づいて最初にすべきことは、犯人の特定です。噂の流し方や誹謗中傷の手段によって、様々な犯人の特定方法が存在します。
口頭の噂・誹謗中傷の場合
噂の流布や誹謗中傷が口頭で行われている場合は、社内で聞き込みをすることで犯人特定に至ることがあります。
ただし、自身が噂や誹謗中傷のターゲットである場合は、注意が必要です。聞き込みを行っていることが犯人や犯人の関係者に知られてしまえば、火に油を注ぐことにもなりかねません。噂や誹謗中傷の内容がエスカレートする危険性もあります。
一般の人間が極秘裏に聞き込みを行うのは難しいため、犯人の特定は調査の専門家に依頼することをおすすめします。
怪文書による誹謗中傷の場合
郵送やFAXによる差出人不明の怪文書の犯人を特定するには、郵送なら消印、FAXなら送信元のFAX番号、そして文書の筆跡から割り出す方法があります。
ただし、犯人は筆跡による本人の特定を避けるために、パソコンを使っていたり、新聞・雑誌の文字を切り貼りしたりするケースが多く、筆跡から犯人を特定するのは困難な場合が多いと言えるでしょう。
もしも怪文書が手書きであれば、警察に相談するか、探偵事務所に「筆跡鑑定」を依頼してみることをおすすめします。また、パソコンや新聞・雑誌の切り貼りで作成された場合の犯人の特定は、素人ではまず不可能です。この場合は警察や専門家に相談すべきです。
なお、文書が郵送されてきた場合は、犯人の指紋が残されている可能性があります。筆跡鑑定と同様に、警察か指紋鑑定ができる探偵事務所への相談をおすすめします。ただし、文書や封筒に犯人らしき人物の指紋が一切付着していない場合は、指紋鑑定は不可能です。
メールによる誹謗中傷の場合
個人が特定されにくいフリーメールで会社宛てに怪文メールが送信されているケースであれば、メールのヘッダー情報から「送信者の足取り」を追跡することは可能です。
ただし、メールのヘッダーからわかることは下記に限られており、送信者本人の特定は難しいでしょう。
- メールがどのIPアドレスから送信されたか
- どのプロバイダやメールサービスを利用しているか
- どのメールサーバーを経由して来たか
なお、メールのヘッダー情報の確認方法は、以下のサイトを参考にしてみて下さい。
匿名メールで誹謗中傷を受けてメールの送信者を割り出したい場合は、ヘッダーから得られたプロバイダ情報などをもとに、プロバイダやメールサービスの管理者に対して「発信者の情報開示請求」を行うことができます。ただし、情報が開示される可能性は低いです。「発信者の情報開示請求」については、SNSやインターネット掲示板上での誹謗中傷の犯人の特定方法の項目で詳しく説明します。
メールの内容が日時や場所まで詳しく指定された殺害予告であるなど、緊急性が高いと判断されれば、警察への通報をもって捜査が行われ、送信者が特定できることもありますが、稀なケースと言っても良いでしょう。
メールの送信者を特定する方法は、技術的に難しいと感じたり、プロバイダなどへの「発信者の情報開示請求」の手続きが複雑だったりするため、難易度が高いかもしれません。法律事務所や、インターネット調査の実績・経験が豊富な探偵事務所などの専門家に相談してみましょう。
SNSやインターネット掲示板上での誹謗中傷の場合
前述の誹謗中傷メールの送信者を特定する手段でもご紹介しましたが、近年増加しているSNSやインターネット上で行われる誹謗中傷の犯人を特定する際は、「発信者情報開示請求」によって発信者、つまり犯人を特定することが可能です。
「発信者情報開示請求」は、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(通称:プロバイダ責任制限法)第4条」に基づき、情報発信者を特定する手続きを定めています。
「発信者情報開示請求」によって特定が可能な発信者情報は次のとおりです。
- 氏名・住所
- IPアドレス
- E-mailアドレス
- その他発信者を特定しうる識別符号
- 発信日時など
「発信者情報開示請求」を行う際は、裁判所の「仮処分請求」、もしくはプロバイダ・サイト管理者などに対する「任意開示請求」のどちらでも選択できます。ただし、任意開示請求には法的な強制力がないため、「開示関係役務提供者(プロバイダ・サーバー管理者など)」が請求に応じるケースは少ないのが現状です。
また、「発信者情報開示請求」は投稿者、つまり犯人の特定に限定されますが、WebサイトやSNS管理者に投稿の削除を要請することも可能です。これは「名誉侵害情報送信防止措置」と呼ばれており、「プロバイダ責任制限法 第3条の2」で規定されています。
なお、インターネットでの誹謗中傷への対処方法や各種手続きについては、以下の相談窓口でも情報提供しています。法律の専門家に相談したいと考えていても、弁護士事務所は敷居が高いと感じたり、弁護士費用が心配だったりする場合は、まずはこれらの相談機関を利用してみてはいかがでしょうか。
誹謗中傷の証拠収集
社内での悪い噂や誹謗中傷の犯人が特定できたら、誹謗中傷を立証するための証拠集めを行います。
ここでご紹介する証拠は、被害者の権利が侵害されたとして、刑事告訴もしく損害賠償請求する際、被害内容を裏付けるために必要となります。
物的証拠
噂の流し方や誹謗中傷の手段によって、被害者が押さえるべき物的証拠は異なります。それぞれの手段に応じて、必要な証拠について詳しく見ていきましょう。
- 被害者自身のメモ(日時・場所・発信した人物の氏名や所属・誹謗中傷の内容など)
- 噂・誹謗中傷の会話の録音データ
- 隠しカメラなどで誹謗中傷の現場を撮影した動画
- 会社もしくは被害者宛てに届いた文書の原本
- 消印から特定した郵便局の所在地
- メールのヘッダー情報(※●メールによる誹謗中傷の場合参照)
- 送信者(送信者が割り出せている場合)
- 送信日時
- メールソフトを使用している場合は、誹謗中傷メールのファイル保存
- Webメールの場合は、メール本文の画面のスクリーンショット
- 投稿されたSNSやWebサイトのURL
- 投稿日時
- 投稿者のIPアドレス
- 投稿内容のスクリーンショット
- 投稿者の住所・氏名などの発信者情報(「発信者情報開示請求」によって投稿者が特定されている場合)
人的証拠
人的証拠とは、端的に言えば「証言」です。刑事告訴や民事裁判において、証言も有力な証拠ですので、証人がいれば彼らの証言を得ることをおすすめします。
- 目撃者の証言
- 他にも同様の被害を受けている社員がいれば、その人物の証言
刑事告訴あるいは民事損害賠償請求
噂や誹謗中傷が原因で被害者に危害が及んだ、あるいは被害者の権利が侵害されたことを確実に立証できれば、刑事告訴や民事訴訟へと進むことが可能になります。
「名誉毀損」・「侮辱」・「信用毀損及び業務妨害」のいずれかで犯人を刑事告訴する場合、管轄の警察署に相談して、告訴状を提出します。
なお、SNSやインターネット上での誹謗中傷であれば、都道府県警察本部内に設置された「サイバー犯罪相談窓口」へ相談することをおすすめします。「サイバー犯罪相談窓口」に配置されたインターネット犯罪専門の警察官に相談すれば、より適切な助言を得ることができます。
関連リンク:都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口等一覧
また、刑事告訴・民事訴訟のいずれの場合でも、法律事務所に相談するのが一般的かもしれません。ところが、法律事務所では噂や誹謗中傷の現地調査や証拠収集は行わず、提携探偵事務所に依頼しているケースが多いです。そのため、法律事務所が提示した証拠が信頼できるか判断に困ることもあるかもしれません。
一方で、誹謗中傷関連の調査実績が豊富な探偵事務所であれば、被害への対処方法と証拠収集の両方に対応できるだけでなく、類似した調査経験に基づき、被害者に適切なアドバイスを行うこともできます。
告訴や訴訟の段階へ進む場合は、提携弁護士の無料紹介も可能です。まずは幅広く対応できる探偵事務所に相談してみるのが良いでしょう。
悪い噂や誹謗中傷に対処する際の注意点
ここまで、社内での悪い噂や誹謗中傷への対処の仕方をご紹介しましたが、対処の際に注意して頂きたい点がいくつかあります。
犯人の特定後、被害者自らが犯人と対峙するべきではない。
自分の身を守るためにも、新たな被害を生み出さないためにも、犯人が特定できても被害者自らが動くべきではありません。司法の判断をもって犯人に償わせるべきです。
一般的な心理として、犯人に謝罪を求めたくなるのは当たり前のことです。ところが、犯人に直接接触することで相手を刺激したり、逆上させたりする可能性があることを留意しておかなければなりません。
被害者が犯人に直接接触することで起こり得る事態には、次のようなものがあります。
- 噂や誹謗中傷の悪質性が増す可能性がある。
- 暴力に発展する可能性がある。
- 噂や誹謗中傷が一時的に収まることはあっても、根本的な解決には至らない。
- 被害者への誹謗中傷が止まったとしても、別の社員が次のターゲットになる可能性がある。
緊急性の高い内容であれば、直ちに警察に通報すべき。
噂や誹謗中傷の内容が被害者の人権侵害にあたるものであれば、警察や専門の相談窓口へ相談して、然るべき手続きを踏みます。
ただし、殺害予告や脅迫など緊急性が高かったりする内容であれば、生命の危機にかかわります。迷わず110番通報すべきです。
刑事告訴が受理されなかった場合も、諦めずに民事での損害賠償請求を試みる。
たとえ証拠を固めて噂や誹謗中傷を証明できても、残念ながら刑事告訴は受理されにくい傾向にあります。
告訴を断念しても、誹謗中傷によって被害者が損害を被った事実を立証できれば、民事の損害賠償に切り替えて犯人に償わせることが可能です。
探偵の企業内調査で悪い噂や誹謗中傷を立証する
刑事・民事責任を追及する際、犯人に言い逃れの隙を与えないためにも、証拠固めは万全にしておくべきです。
社内の悪い噂や誹謗中傷の立証時、プロの探偵の企業内調査を利用すれば、個人で収集が困難な証拠も集めることができます。
探偵の企業内調査とは
社内の悪い噂・誹謗中傷を探偵が調査する際、調査方法や入手できる証拠には次のようなものがあります。
撮影調査
撮影調査では依頼先企業の許可を得たうえで社内に隠しカメラを設置して、悪い噂や誹謗中傷の会話内容を録画・録音します。隠しカメラの設置場所は事前調査によって、情報収集がしやすい場所に絞り込まれます。
潜入調査
潜入調査は企業内調査でよく使われる調査手法です。社内の噂・誹謗中傷の調査の場合、探偵事務所の調査員が自社の従業員に扮して潜入したうえで、聞き込みを中心に情報収集を行います。
潜入調査は調査員自らが犯人に接触したり、社内メールを利用することが可能になるため、犯人が特定しやすくなったり、誹謗中傷行為の現場に居合わせて証拠を押さえやすくなったり、社内メールを利用した誹謗中傷の場合はデータを確実に入手しやすくなったりする、といったメリットがあります。
インターネット調査
「インターネット調査」は、探偵事務所が独自の手法でWebサイトやSNS上で情報収集を行う調査方法です。誹謗中傷がSNSやインターネット上で行われている場合、最適な調査方法と言えるでしょう。
探偵事務所主体のインターネット調査に加えて、プロバイダ・サイト管理者への「発信者情報開示請求」が認められれば、被害者に開示される発信者情報も有力な証拠となります。
犯人の素行調査
探偵事務所の調査の主軸でもある「素行調査」は、ターゲットを尾行・張り込むことで「いつ・どこで・誰と・何をしていたか」を徹底的に洗い出します。
素行調査で判明するのは、犯人の基本情報や行動だけでなく、性格・趣味嗜好・生活状況・交友関係・資産状況など、犯人に関するほぼすべての情報と言っても過言ではありません。素行調査によって得られる証拠は、記録・写真・映像・音声・動画など各種媒体に収められます。
また、犯人が怪文書を社外で投函・FAX送信していたり、外部のメール・ネットワークを利用していたりする場合、素行調査によって犯行の決定的瞬間を押さえられる可能性もあります。
筆跡鑑定
怪文書などの匿名の手紙や文書の差出人は、探偵事務所の「筆跡鑑定」によって特定することが可能です。
筆跡鑑定では、文字の構成・筆順・筆運び・筆圧などの癖や特徴と、疑わしい人物のそれらとを照合・分析することで、犯人の特定に繋げます。鑑定結果は裁判資料としても使える鑑定書にまとめられます。
指紋鑑定
誹謗中傷の手段が怪文書であれば、手紙や文書の原本を「指紋鑑定」することで犯人特定に至るケースもあります。指紋鑑定の場合、文書に付着した指紋と、犯人と思しき人物が触った物から採取した指紋とを照合します。
犯人の指紋が怪文書に残っている場合にのみ、実施可能な鑑定方法です。また、指紋鑑定の解析結果も鑑定書として依頼人に提出されるため、裁判資料として利用することができます。
声紋鑑定
「声紋鑑定」では、噂や誹謗中傷の録音データをもとに、声の周波数・アクセント・イントネーション・声の大きさ・声の早さ・間の取り方など、声紋から個人を特定します。そのうえで、録音データの声紋と疑わしい人物の声紋とを照合・解析します。
悪い噂・誹謗中傷の調査を探偵に依頼すべき理由
会社内の悪い噂や誹謗中傷の被害を訴えるためには、犯人の特定と証拠収集が大変重要です。これらの過程を探偵に任せると、当然ながら調査費用がかかります。それでも探偵事務所に依頼すべき最大の理由は「証拠収集力」です。
証拠収集力以外にも、調査を探偵に任せるべき理由があります。それらを以下にわかりやすく整理しました。
被害者の安全・安心が確保されやすくなるため
悪い噂や誹謗中傷に対処する際の注意点でもご紹介したとおり、被害者本人が犯人と直接向き合うことは多大なリスクを伴います。
また、被害者はただでさえストレスや精神的苦痛を抱えている状況に置かれているため、心身の負担をこれ以上増やすべきではありません。社内の悪い噂や誹謗中傷の調査を探偵に任せることは、被害者自身の関与の度合いが減り、被害者の心身の安全確保や安心に繋がるのです。
探偵が被害者に最も身近な第三者となり得るため
実績のある探偵事務所は、誹謗中傷への対処方法に関する豊富なノウハウも保有しています。探偵が被害者との信頼関係を築くことができれば、被害者に一番身近な第三者として相談に乗ったり、アドバイスをしたりすることもできるのです。
告訴・訴訟時は提携弁護士にもサポートしてもらうため
刑事告訴や民事訴訟の際は、法律の専門家の助言やサポートを受けることをおすすめします。探偵事務所によっては提携弁護士の紹介を無料で行っており、探偵が集めた証拠の中から裁判に勝つための証拠の選択や、被害者が取るべき手段や手続きのサポートも、提携弁護士が的確に行います。
被害者の個人情報やプライバシーを保護するため
誹謗中傷の被害者が探偵事務所への依頼を検討する時に最も不安に思うのが、個人情報やプライバシーの漏洩やプライバシーの侵害といったリスクではないでしょうか。会社で誹謗中傷のターゲットとなった被害者の心は傷ついています。その傷口をこれ以上広げたくないと考えることは、極めて自然な心理状態と言えるでしょう。
所定の手続きを踏んで都道府県に届出をしている探偵事務所は、依頼人の個人情報やプライバシーを保護し、調査で知り得た情報を適切に取扱う義務を負っています(探偵業の業務の適正化に関する法律 第8条3項、第10条)。
探偵が知りうる被害者の個人情報やプライバシーは保護されたうえで調査が行われるため、被害者は安心して探偵に調査を任せることができるのです。
まとめ
会社で悪い噂を流されたり、誹謗中傷を受けたりして精神的に追い込まれた被害者が会社に居づらくなって退職しても、残念ながら問題の解決にはなりません。しかし、被害者が勇気を出して法的手段に訴えることができれば、犯人への然るべき処罰と事態の収拾へと繋げることは可能です。
これまで、企業が抱える様々な問題の全容解明や解決方法として、探偵事務所の企業内調査を提案してきました。その中で繰り返し強調してきたのは、「証拠の重要性」です。
今回もその例に漏れず、犯人の特定や被害の立証が重要である、とお伝えしました。しかしながら、個人ですべての証拠を集めるのは困難を極めるため、証拠収集はプロである探偵事務所に是非お任せ下さい。
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