【投稿日】 2022年5月13日 【最終更新日】 2022年6月7日

近年、様々な職業が増え、お手軽に副業を見つけることが可能になってきています。正社員の副業が法律違反ではなくても、副業を禁止としている会社は多くあるでしょう。その主な理由は、本業への支障が懸念されるからとされています。

しかし、会社が禁止していても金銭面から副業をこっそり行っている人も少なくありません。うちの社員がもしかしたら副業しているかもしれない…という企業の方向けに、社員の副業を調査する方法とその注意点について解説していきます。

副業をしている人の割合はどのくらい?

一般的に用いられている「副業」の意味とは、「本業を持っている人が収入を得る手段として、その種類を問わずに何らかの収入を別で得るために働くこと」を意味します。

近年は大手企業の副業の解禁など、これまで副業を禁止していた企業が副業を認める動きが出てきており、東京都が都内の中小企業9,000社、都内大企業1,000社、合計10,000社を対象に、令和3年4月に行った「都内企業における兼業・副業に関する実態調査」によれば、従業員の兼業や副業について全面的に認めている企業は全体の6.3%、条件付きで一部認めているという企業は28.6%。認めていないという企業が64.3%となっています。

この統計から、未だ6割以上の多くの企業が副業を認めていないということがわかります。

参考元:東京都TOKYOはたらくネット「都内企業における兼業・副業に関する実態調査」

副業の調査方法とその注意点

副業している社員を調査する方法は主に5つあります。「社会保険の加入」「雇用保険の加入」「住民税の増額」「調査会に素行調査を依頼」「年末調整」の5つです。

このほかにも、「副業しているところを見られてしまった」「知り合い経由で会社に知られてしまった」など、副業が発覚するきっかけはありますが、副業を確定させる調査方法をご紹介します。

1.社会保険

副業先での勤務が週20時間以上の場合、企業によっては正社員ではなくても、社会保険への加入義務が発生します。2カ所以上の企業で別々に社会保険に加入することは可能ですが、その場合は正社員として働いている会社に社会保険への加入と報酬の決定通知が届きます。そのため、この通知書によって社員の副業が発覚するケースも少なくありません。

社会保険は、パート、アルバイトであっても、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ職場で働いている正社員の4分の3以上であれば被保険者となります(会社の規模によっては、106万円から加入義務があります。)

以下の条件を満たすと加入義務あり

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 賃金月額が月8.8万円以上(年間約106万円以上)
  3. 1年以上使用されることが見込まれる
  4. 従業員501名以上(厚生年金の被保険者数)の勤務先で働いている
  5. 学生でない(夜間や定時制除く)

社会保険加入義務要件を満たす複数勤務先がある場合には、「被保険者所属選択届・二以上事業所勤務届」を提出し、給与を合算した額で社会保険料が決まるので、この保険料の金額から副業を発覚させることも可能になります。

注意点!
社会保険の通知書が会社に届かなければ気づきません。社員が副業先に社会保険の通知書が届かないように申請している場合もあります。その場合には無理に開示することは出来ません。保険料の金額から、算出する必要があります。

2.雇用保険

副業で下記条件を満たした場合、雇用保険への加入が必要です。

次の2つの条件を満たすと雇用保険に加入することになります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること(※所定労働時間とは:会社が就業規則などにより定めた労働時間のこと。)
  • 31日以上の雇用見込みがあること

社会保険はそれぞれの勤務先で加入できますが、雇用保険は1つの企業でしか加入できないと定められています。そのため、知らずに副業先で新たに雇用保険に加入すると正社員として働いている企業に「雇用保険の喪失手続きが行われていません」という通知が送付されてくることがあります。

この通知により、副業が発覚するケースもあります。

注意点!
条件を満たしていない場合には雇用保険には加入しなくても問題ないとされているので、通知が来ない場合があります。

雇用保険に加入できない条件

  1. 1週間の所定労働時間が20時間未満のひと
  2. 31日以上雇用されることが見込まれないひと
  3. 季節的に雇用されるひとで4か月以内の期間を定めて雇用されるひと、または1週間の所定労働時間が30時間未満のひと
  4. 昼間学生(夜間は除く)

これらを免れてしまうと、雇用保険から副業を特定するのは難しいでしょう。

3.住民税

住民税の額は、各企業が前年の給与支払報告書を当年1月末までに自治体に提出して決まるものです。自治体は、その給与額に合わせた住民税を企業側に報告し、それをもとに企業は給与天引きを行います。

勤務先が複数ある場合は、自治体側から給与が最も多い会社に合算した給与額分の住民税の報告が行われるため、住民税のズレから、副業が発覚するケースもあります。副業の所得金額が年20万円を超える場合には確定申告をしなければならないので、確定申告を申請された場合には副業の可能性があります。

注意点!
住民税の徴収方法を自分で納付する「普通徴収」を選択し、天引きされている特別徴収を、普通徴収にして自分で支払い、確定申告を行うことも社員が選択することが出来ます。わざわざ確定申告をする社員は副業をしている可能性があるので注意しましょう。

4.素行調査を依頼

素行調査は、主に尾行や張り込みによって相手の普段の生活環境や行動パターンなどを把握し情報を収集します。調査士に依頼し、副業の可能性がある社員を調べてもらうという方法もあります。

関係各所において風評や評判等、対象人物に関する周囲の情報を収集していくため、かなり信憑性のある調査を行うことが出来るでしょう。副業をしている現場を発見することで副業自体が発覚するケースもあります。

注意点!
調査に必要な費用が掛かります。
素行調査によって得る情報の量や調査の難易度などによって費用が上下するので予め調査依頼の際に聞いておきましょう。

5.年末調整の「給与所得者の基礎控除申告書」

年末調整の際に、「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」を社員は提出しなければなりません。

その中の「給与所得者の基礎控除申告書」には、「給与所得」記載欄があり、これは副業分も含めて合算で記載する必要があるため、この合算した金額によって副業を発見できます。

また、副業が給与所得でない場合でも、「給与所得以外の所得の合計額」欄に額を記載する仕組みとなっているので、金額には注意しておきましょう。

副業が判明した時の対処方法

副業が発覚した場合、「懲戒処分」という対処方法をとらなければなりません。これらは、会社の就業規則によって定められているものに従って下していく必要があります。

<1>解雇

最悪のパターンが、会社の解雇になります。

解雇にせざるを得ない副業のケースには、「企業秘密の情報漏洩」や「他会社役員への就任」など、企業の損失がかなり大きいものになります。

就業規則に則り、該当社員の副業がどの程度のものなのか、副業先ではどのような対応をしていたのか、どんな立場だったのかを確認する必要があります。

本業に支障がない程度の副業は無許可のものであっても、これを理由に懲戒解雇することは違法であり、不当解雇であると判断されてしまいます。

実際に不当解雇と裁判で判決されたケースは以下の通りです。

  1. 副業による多額の収入があっても本業への具体的な支障がなかったケース
  2. 副業が年に1,2回のアルバイトで本業に支障がなかったケース
  3. 副業を会社で黙認していたケース
  4. 業務時間中の副業があっても業務に支障が生じていないケース

勤務先の就業時間内に副業をすることは、企業の秩序からも到底許されるべきではありません。

ただし、倫理的にそうであっても、副業の程度が本業に相当の支障が生じる程度でない限り、裁判所は、企業に対してまず副業の停止を注意、指導することを求めています。その注意、指導を行わずに解雇すると不当解雇であるとしているため、よっぽどのことが無い限り解雇処分は下せないでしょう。

<2>減給処分

モデル就業規則によると、「減給」となった場合には下記のような処分が下されます。

始末書を提出させて減給する。ただし、減給は1回の額が平均賃金の1日分の5割を超えることはなく、また、総額が1賃金支払期における賃金総額の1割を超えることはない。

引用元:厚生労働省「モデル就業規則」

これは各企業の就業規則によって異なるものですので、自社のものを確認する必要があります。

また、実際に処分をされた例もあります。公務員は副業を禁止しているため、処分も重くなる傾向になります。実際には、以下のような減給処分が下されました。

  1. 東京都内で民泊営業をしていた公務員が、6ケ月の間10分1の減給処分
  2. 就業後にビル清掃のアルバイトをしていた公務員が、6ケ月の間10分1の減給処分

これらの処分についても社内での検討が必須となりますので、就業規則などを見直しましょう。

<3>厳重注意

就業規則に則り、処分を下す場合に厳重注意でとどめられることもあります。

「懲戒処分を科して会社の記録に残すほどではないが、将来の戒めとして厳しく注意しておきたい」という時には厳重注意という処分になります。 厳重注意は会社によって口頭で行われる場合もあれば、書面で通達する場合もあります。

副業をされないために行うこと

副業の原則禁止はできませんが、労働者の労働時間を適切に管理するために、副業する際には会社への届け出をしてもらうように「許可制」にするなど規定を設けることは可能です。副業申請を行っても「不許可になってしまうかも」と不安になった場合、申請を行わずに勝手に副業を行う「伏業」を行ってしまうかもしれません。これらを避ける為にも、規定を明確に行う事、誓約書などを準備しておくことを推奨します。

隠れて副業をする「伏業」をされないために規定を明確化しよう
副業については、事前申請、許可制度、取消制度といったルール整備が重要となります。

副業申請されたものに関しては管理が行えますが、「伏業」では副業の内容・状況が見えないため、かえって企業利益を毀損するリスクがあります。しかも、企業がとり得るのは事前予防ではなく事後対応となってしまうため、副業禁止を徹底するよりも、副業を許可する規定を明確にする必要があります。社員が副業をやっているのかよくわからない状況では、懲戒処分を行っても、不許可事由にあたらない限り懲戒処分は無効となります。

会社の利益を守るために「事前申請」を受けて、予め審査する「許可制度」を取り決め、事後的な報告を受けつつ、トラブルが生じた場合に有効な「取消制度」も取り入れる必要があるでしょう。

トラブルが起こった後の対策のためにも、副業はどの程度、どの職種であれば可能なのかをわかりやすくしておきましょう。

副業トラブルを防ぐために制度と誓約書をきちんと準備しよう
こういった副業制度を明確化し、企業と労働者でしっかりとした取り決めを行うためにも、「誓約書の提出」も大切です。誓約書には下記のような内容を含め、採用時の誓約書だけではなく、副業を許可する際にも再度誓約を行うことが大切になります。

  1. 不許可事由に該当する副業は、企業の利益を害するものであるので、この点の表明・保証を得ておく
  2. 申請内容が真実であることの表明・保証
  3. 情報漏洩禁止を再確認
  4. 副業先が反社でないことの誓約、その他

これらをきちんと取り決めておくことで、その後のトラブルなどの防止にもなります。企業側が明確に文章化しておくことが必要になります。

副業を調査する方法は全部で5つ!

副業の調査を行う方法は「社会保険の加入の有無」「雇用保険の加入の有無」「住民税の増額」「調査会に素行調査を依頼」「年末調整の申請の有無」の5つになります。

副業を発見した場合の対処は就業規則に則って行うことになります。しかし、副業禁止を厳しくし過ぎると無許可で行う「伏業」が行われ、リスク管理が出来なくなる恐れもあるので、副業を禁止するのではなく許可制にすることをおすすめします。副業を可能にした場合には、労働者と企業側で規則を明確にし、誓約書を交わすのを徹底していきましょう。

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