【投稿日】 2021年9月17日 【最終更新日】 2022年10月27日

最近、新しいクルマの利用方法としてカーシェアリングが普及してきており、その1つのサービスである「個人間カーシェアリング」の利用者は50万人を超えるとも言われています。

このような中で、シェアした車を持ち逃げして売却するという「個人間カーシェアリング詐欺」が多発しています。

この記事では、「個人間カーシェアリング詐欺」の手口と騙された時の対処法や予防法についても紹介します。

個人間カーシェアリング詐欺とは?

まず最初に、「個人間カーシェアリング」がどういうものかについて説明します。

カーシェアリングサービスは、大きく「法人カーシェアリング」と「個人間カーシェアリング」に分けることができます。

「法人カーシェアリング」は「レンタカー型カーシェアリング」とも言い、既存のレンタカーサービスを行っている法人が運営しています。

運営会社が所有している車を時間単位で貸し出すもので、レンタカーと同じく「自家用自動車有償貸渡業」に該当するため、道路運送法第80条第1項による許可が必要となり、車両ナンバーもレンタカーと同じく「わ」ナンバーになります。

一方、「個人間カーシェアリング」は、法人が提供しているカーシェアリングアプリを介して、個人が所有している車をシェア(共同使用)するというカーシェアリングサービスです。

共同使用ということから「自家用自動車有償貸渡業」には該当せず、シェア料金は「月額維持費の1日分」を上限として車のオーナーが自由に設定できるようになっており、アプリを介して支払うようになっています。

一般的に、利用者は事前にカーシェアリングアプリを通じて、登録された車の中から好みの車種や利用期間などを選択して予約し、当日所有者と会った際に免許証を提示して本人確認をしてもらって車を借りるというシステムになっています。

そこで「個人間カーシェアリング詐欺」ですが、最初から車を盗むことを前提としてカーシェアリングアプリを使って車を借り、持ち逃げして売却するというものです。

個人間カーシェアリング詐欺の手口

「個人間カーシェアリング詐欺」の典型的な手口は、カーシェアリングアプリを通じて車を借りた後に、個人売買サイトなどに出品して売却するというものです。

しかし、最近の新しい手口では車を借りた時点ですでに買い手を決めてしまっているケースがあるようです。

つまり犯人は事前に、カーシェアリングアプリに登録された車の情報やオーナーとのやり取りから得られた情報を使って、その車を個人売買サイトなどに出品し、商談を成立させた後に車を借り受け、そのまま車を買い手に渡して代金を受け取るという手口を使っています。

これは、事前にクルマの買い手を決めておくことによって、車の借り受けから現金化までの時間を短縮するという狙いがあると考えられます。

個人間カーシェアリング詐欺に遭った際の対処法

ここでは、万一「個人間カーシェアリング詐欺」の被害に遭った際の対処法について紹介します。

警察に相談する

「個人間カーシェアリング詐欺」に遭った場合は、証拠となるものを持って身近な警察署の被害相談窓口に相談をしてください。

しかし詐欺事件として捜査をしてもらうためには「故意に騙す意思があったかどうか」が問われるため、詐欺被害に遭ってしまったときには、いかに詐欺を立証するかが重要になってきます。

もし証拠が不十分だと考えられるような場合などは、警察相談窓口(9110)に電話をして対処方法について相談することもおすすめです。

警察相談窓口は110番と違って、犯罪の可能性のあるトラブルについて気軽に相談できる窓口で、緊急性のない問題でも相談することが可能です。

相談内容によっては被害届を提出して詐欺事件として捜査を開始してもらうこともできます。

弁護士や探偵など民間機関に相談する

警察などの公的機関は無料で相談に乗ってくれますが、その分スピード感や動きが遅いことがありますので、弁護士や探偵などの民間機関に相談するのも良い方法です。

なお、弁護士に相談する場合、「法テラス」という国営の総合相談所を利用すれば、トラブルに関するアドバイスを無料で受けることが可能ですし、日本弁護士連合会(日弁連)のサイト から最寄の弁護士を探して相談することもできます。

個人間カーシェアリング詐欺に合わないための予防法

「個人間カーシェアリング詐欺」に合わないために絶対に確実だと言える予防法はありませんが、犯人の目的はあくまでも売却ですから、高級車や希少価値がある車が狙われやすいという傾向があります。

ですから、自分の車が高級車や希少価値がある車に該当する場合は、少しでも疑念を感じるような相手には貸し出さないなど、自分なりの判断基準を持って対応することも必要だと思われます。

一般的には、アプリを介してのやり取りの際に、走行距離やオプション装備、購入時期など詳しい車の情報を聞いてくる相手は怪しいと考えた方が良いでしょう。

これは個人売買サイトなどに出品するための情報収集であると考えられるからです。

また、「シェア料金を余計に支払うから運営会社を通さず貸してほしい」というような話を持ち掛けてくる場合も危ないと考えられます。

個人間カーシェアリング詐欺の事例

ここで、個人間カーシェアリング詐欺の事例を2件ご紹介します。

いずれも貸し出した時点で、すでに売却先を決めていたという比較的新しい手口の事例です。

事例1

都内在住の会社員で独身の30代のKさんは、2年前に憧れのスカイラインGTRを中古で900万円で購入しました。仕事が忙しく月に数回程度しか乗る機会がないため、昨年から有名なカーシェアリングサービスを利用して乗らない日に貸し出してシェア料金を得ていました。シェア料金は24時間3万5000円に設定していたので、それなりの収入にはなっていました。

今年の春先にアプリを介して女性から借りたいという連絡が入り、当日男性と2人連れで現れた女性に6時間の約束で貸し出しました。しかし、約束の返却時間になっても戻ってこず電話連絡もつかなくなったため警察に通報しました。

その後、ある中古車販売店から車の所有を確認する電話があり、その日貸し出した数時間後に600万円で売却されていたことが分かりました。さらに驚いたことに、Kさんから借りる前に中古車販売店に対して、貸し出した日に車を持っていくという約束をしており、中古車販売店に向かう途中で免許証と委任状などを偽造していたということが分かりました。

入念に下準備をしたうえでの計画的な詐欺行為だと考えられます。

事例2

SさんはメルセデスベンツGクラスを、シェアリング業者のアプリ経由である男に貸し出しましたが、その男は単に運び役で都内の某所で別の男に渡すように指示されていました。その別の男は車を受け取ると、事前に商談を成立させていた夫婦に現金と引き換えに受け渡しをしようとしました。

しかし、その夫婦が何らかの不信感を抱いて警察に通報したため、詐欺は未遂に終わりましたが、男は逃走してしまいました。

この事例も、事前に転売相手を決めており、Sさんから借りたその日を受け渡し日に指定するなど計画的な詐欺未遂だと考えられます。

個人間カーシェアリングをする際にはめいいっぱい保険をかけよう!

この記事でご紹介したような詐欺被害の急増を受けて、日本最大のカーシェアサービスを展開するAnyca(エニカ)では、損保ジャパンと共同で個人間カーシェア専用保険「カーシェアプロテクト」を新たに導入しました。

前述のように、「個人間カーシェアリング詐欺」を予防するための絶対確実な方法はないという現状を考えると、個人間カーシェアリングサービスを利用して自分の車を貸し出す際には、最大限の保険に入って自己防衛をしておくことが必要だと考えられます。

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