【投稿日】 2022年7月1日 【最終更新日】 2022年7月7日

M&Aというと、大企業や有名ベンチャー企業が事業拡大のために行うものというイメージが強いのですが、実は中小企業の事業承継や社員の雇用確保などを目的として行われることもあります。

また、M&Aはそれほど頻繁に行うものでもありませんので、自社がそういう局面に立たされた時に一体どうやったらいいのかが分からない経営者の方も多いものと思われます。

そんないざというときに、適切なサポートをしてくれるのが「M&Aアドバイザー会社」です。

この記事では「M&Aアドバイザー会社」の選び方のポイントや費用相場などについて詳しく解説していきます。

M&Aをお考えの経営者の皆さんはぜひ参考にしてください。

M&Aアドバイザー会社とは?

「M&Aアドバイザー会社」とは、M&Aプロセス全般について、相手企業との交渉から契約成立までのアドバイスや取りまとめなどを行ってくれる会社のことです。

「M&Aアドバイザー会社」のことを、「M&Aアドバイザリー会社」ということもありますが、この記事では「M&Aアドバイザー会社」と表記します。

「M&Aアドバイザー会社」として活動を行っていくには、財務・会計、税務、法律などの専門知識を有するスタッフの他に、企業経営を理解し、交渉やファシリテーションなどのコミュニケーション能力を有するスタッフが必要となります。

また、一流の「M&Aアドバイザー会社」として活躍していくためには、経験と実績も必要になります。

M&Aアドバイザー会社への依頼形式

一般的に、企業がM&Aを行う場合には、M&Aアドバイザー会社に最初の交渉から契約成立までの一連のサポートを依頼することが多いのですが、M&Aアドバイザー会社への依頼形式には「アドバイザリー形式」と「仲介形式」という2つの方法があります。

「アドバイザリー形式」の場合は、売り手企業または買い手企業のどちらかから依頼を受ける形を取り、その企業の利益を最大化するためにアドバイスやサポートを行います。

また、「仲介形式」の場合は、売り手企業と買い手企業との間に「M&Aアドバイザー会社」が入る形となり、双方にとって中立的な立場から取引が円滑に進むようにアドバイスやサポートを行います。

なお、「アドバイザリー形式」と「仲介形式」は、規模によっても使い分けられることがあり、中小企業など比較的規模の小さなM&Aの場合は「仲介形式」が利用され、規模が大きくなると「アドバイザリー形式」が増える傾向があります。

主なM&Aアドバイザー業務の主な依頼先

「M&Aアドバイザー」を業務としている会社や組織には次のような種類があります。

M&Aアドバイザリー

M&Aアドバイザリーは、買い手企業または売り手企業のどちらか一方と契約をして、依頼を受けた側の利益を最大化することを目的としてアドバイスやサポート業務を行います。

M&Aのすべてのプロセスに関わることもありますし、あるプロセスに特化している場合もあります

M&A仲介会社

M&A仲介会社はM&Aの仲介業務を行う会社で、買い手企業と売り手企業の間に入ってM&Aが円滑に進むようにアドバイスやサポート業務を行います。

基本的に、M&Aのすべてのプロセスに関わりますのでM&A全体をスムーズに進めることができます。

なお、M&A仲介会社によっては、買い手企業と売り手企業のマッチングのみを行っている場合もあります。

金融機関

銀行や証券会社などの金融機関では、法人からの業務相談を受け付けており、その一つとしてM&Aに関する相談窓口を設けていることがあります。

会計士事務所、税理士事務所

会計士事務所や税理士事務所は、一般的に専門性のある分野に特化してM&Aのサポートを行っており、特に中小企業の事業承継などのM&Aを対象とするケースが多いようです。

事業承継などに伴う相続税などの税金についても、相談することが可能です。

弁護士事務所

法律事務所は、M&Aの法的な問題についてサポートするケースが多いのですが、大手の法律事務所では本格的にM&Aを扱っているところがあり、比較的規模の大きいM&A案件に対するアドバイスやサポートを行っています。

探偵事務所

M&Aの際には、あらゆるリスクを考慮してデューデリジェンスを事前に行いますが、中にはなかなか一般的なデューデリジェンスでは調査が難しい内容があります。

例えばM&A先の代表や役員に犯罪歴があったり、反社会的勢力との繋がりがあったりしてしまうと、M&A後に大きなトラブルに巻き込まれるリスクが高くなります。

このように、M&A先の代表や役員、社員などの過去の犯罪歴や反社チェック、また過去の行政処分歴、訴訟歴、経歴など、公的な情報や書面などで請求できないような実態情報について調査が可能なのが探偵事務所です。

近年はこういったリスクから、M&Aの際に探偵にその企業の代表や役員、会社の実態などについて調査を入れるケースが増えています。

M&Aアドバイザー会社の業務内容

次に「M&Aアドバイザー会社」の業務内容について紹介します。

「M&Aアドバイザー会社」は、M&Aの交渉の段階からM&A後の経営統合までの全般にわたってアドバイス業務やサポート業務を行いますが、その内容はいくつかのステップに分けることができます。

以下、順にそれぞれのステップについて簡単に説明します。

STEP1:交渉~基本合意

前述のように、M&Aアドバイザー会社への依頼形式には2通りありますが、アドバイザー形式の場合は、交渉から基本合意に至るまで、売り手企業または買い手企業どちらかの代理として交渉に臨みます。

交渉においては、財務や法律の知識はもちろんのこと、M&Aに関する豊富な経験が必要となります。

代表的なM&Aスキームとして「株式譲渡」「事業譲渡」「会社分割」「合併」がありますので、どのスキームが最も望ましいかを検討します。

交渉の結果、売り手企業および買い手企業双方の基本的な合意が得られれば、基本合意書を取り交わします。

基本合意書の記載内容は、スキームや譲渡価格、役員・従業員の引継ぎや雇用条件などの基本条件と、今後のデューデリジェンスや最終契約の締結日、クロージング日などのスケジュール、独占交渉権と独占交渉期間、秘密保持義務、善管注意義務などです。

STEP2:デューデリジェンス

デューデリジェンスとは、買い手企業が売り手企業のリスクを洗い出し、買収価格を決定するための根拠となる事前調査のことで、M&Aの中でも極めて重要なプロセスです。

デューデリジェンスの種類は、財務・法務・税務・労務・ビジネス・不動産など多岐に渡りますので、一般的にそれぞれの分野の専門家である弁護士や税理士、公認会計士などに依頼して行います。

STEP3:最終合意書の作成

最終合意書は、M&Aに関して最終的に合意した具体的決定事項を記載する契約書です。

最終契約書の名称は、M&Aスキームによって異なり、合併であれば合併契約書、株式譲渡であれば株式譲渡契約書、事業譲渡であれば事業譲渡契約書などとなります。

一般的に、買い手企業側のM&Aアドバイザー会社が契約書を作成します。

表明保証、誓約事項、補償条項などの各条項の内容やリスクなどについては、法律の専門家である弁護士が関与する必要があります。

STEP4:クロージング

クロージングとは、M&Aの実行を行うことで、具体的にはM&A契約による資金の移動や人の移動などを言います。

現金や株式の移動などもありますので、財務面からのサポートを行います。

STEP5:PMI(経営統合)

PMIとは、M&A成立後に行う経営統合のことです。

合併などによって会社が1つになるわけですから、新しい社内体制の構築、業務オペレーションやITシステムの統合、経理や財務の統合などをスムーズに進める必要があり、M&Aの中で最も重要で時間がかかる作業と言われます。

社風や企業文化、社内規則、人事、労務などの人に関する問題もありますので、現場の社員の離職などが起こらないように注意して行う必要があります。

PMIの実行計画は基本合意などの早い段階から作成開始することが望ましいため、総合的なアドバイスができるM&Aアドバイザー会社を選定することが望ましいでしょう。

なお、M&Aアドバイザー会社のアドバイス能力も重要ですが、新会社の経営トップのリーダーシップが必要となります。

M&Aアドバイザー会社の費用相場

ここでは、M&Aアドバイザー会社の費用相場について説明します。

M&Aアドバイザー会社を利用する際の報酬の種類には、相談料、着手金、調査手数料、月額報酬、中間報酬、成功報酬などがあります。

M&Aアドバイザー会社によって報酬体系が大きく違っていることがありますので、利用する際には事前にきちんと確認しておく必要があります。

また、M&Aアドバイザー会社には、交渉から最終合意までの全プロセスやPMI(経営統合)まで関わる会社もあれば、法律事務所、会計士事務所、税理士事務所などでは専門分野だけに特化している場合もあり、報酬体系も費用相場も変わってきます。

前述のように主な報酬には次の6つがありますので、それぞれについて、発生するタイミングやその意味合い、費用相場について詳しく説明します。

M&Aアドバイザー会社の相談料

相談料は、正式に依頼する前にM&A専門家の意見や助言を得ることに対する報酬です。

最近では、相談料無料や初回相談無料などとして他社との差別化を図っているケースも増えています。

M&Aアドバイザー会社の着手金

着手金は、名前の通りM&Aアドバイザー業務を正式に依頼する際の業務開始時に支払う報酬です。

M&Aアドバイザー業務を正式に受注すると、各種調査を行うための費用が発生しますので、これをまかなうためという意味合いの費用です。

着手金の費用相場は、50万~200万円程度と言われていますが、規模や内容によっては500万円程度になることもあるようです。

着手時点ではM&Aが成功するかどうかは保証されていませんが、もし不成立となった場合でも着手金は返金されません。

しかし、着手金についても、競合他社との差別化のために発生しない場合や、発生する場合でもM&Aが成功時の成功報酬から差し引くようなケースもあります。

前述のように、着手金には「各種調査を行うための費用」を含む場合もありますので、次項の「調査手数料」との兼ね合いから、「着手金は無料だが調査手数料が発生する」や「着手金は必要だが調査手数料はない」など会社によって様々なケースがあります。

M&Aアドバイザー会社の調査手数料

M&Aアドバイザー会社によっては、調査手数料が発生する場合があります。

この調査手数料とは、財務や法務などの専門家である会計士や弁護士などに調査を依頼するための費用です。

特に、デューデリジェンスの段階では、各方面の専門家に買い手企業の企業調査を依頼しなければならないため、その費用が発生することもあります。

M&Aアドバイザー会社やM&A案件の規模などによって金額にはかなりの幅があり、数10万円~数100万円程度と言われています。

会社によっては、前項の着手金や次項の月額報酬の中に含まれていることもあります。

しかしながら、デューデリジェンスの調査を省くことはできませんので必要不可欠の費用となります。

M&Aアドバイザー会社の月額報酬(リテイナーフィー)

月額報酬とは、M&Aアドバイザー会社と契約している期間中に毎月支払う報酬で、「リテイナーフィー」とも言います。

月額報酬には、毎月定額の場合と業務内容に応じて変動する場合があります。

相場はM&Aの規模によって異なり、小規模~中規模のM&Aであれば月30万〜200万円程度、大規模なM&Aの場合は月1,000万〜1,500万円程度などの高額になることもあります。

月額報酬は毎月発生しますので、M&Aに要する期間に応じて報酬の総額が増加することになります。

M&Aアドバイザー会社の中間報酬

中間報酬は、M&Aの手続きが中間点に差し掛かったときの発生する報酬で、一般的には売り手企業と買い手企業が基本合意書を締結した時点で支払うケースが多いようです。

中間報酬の費用相場は、一般的に成功報酬の10~20%程度で、M&Aの成立時の成功報酬から差し引く場合もあります。

また、着手金と同様に、中間報酬が発生しないM&Aアドバイザー会社もあります。

M&Aアドバイザー会社の成功報酬

成功報酬とは、M&Aの最終契約である最終合意書が締結された時点で支払う報酬です。

成功報酬の金額は、M&Aの取引金額をもとにレーマン方式によって計算されます。

レーマン方式では、次表のように取引金額に応じて1%~5%の報酬料率を定めて、それぞれの部分毎に計算して足し合わせて報酬を算出します。

取引金額 報酬料率
5億円以下の部分 5%
5億円超~10億円以下の部分 4%
10億円超~50億円以下の部分 3%
50億円超~100億円以下の部分 2%
100億円超の部分 1%

例えば、M&Aの取引金額が12億円の場合は、次のようになります。

5億円 × 5% = 2,500万円
5億円 × 4% = 2,000万円
2億円 × 3% = 600万円

したがって成功報酬は、2,500万円 + 2,000万円 + 600万円 = 5,100万円となります。

M&Aアドバイザー会社の選び方のポイント

M&Aアドバイザー会社には、優良な会社を選ぶことが重要ですので、その選び方の5つのポイントについて説明します。

ポイント1:M&Aの知識が豊富なこと

M&Aの実務を進めていくためには財務、会計、税務、法律、労務などのさまざまな分野の専門知識が必要です。

また、近年のM&AではIT関連の知識も求められるようになっています。

M&A会社の中にこれらの知識や実績を有するスタッフが在籍している場合もありますし、外部の弁護士事務所や会計士事務所などと提携している場合もあります。

事前に十分確認しておく必要があります。

ポイント2:M&Aの実績が豊富であること

M&Aに関する十分な実績や経験があるかどうかも選定の際の重要なポイントです。

前項の専門知識に加えて、実績や経験に基づく確かな実行力が必要となります。

選定に際しては、公式ホームページなどで確認したり、相談などの機会に確認する必要があります。

また、担当するM&Aアドバイザーに個人差などがある場合もありますので、依頼する際には遠慮せずに確認することが必要でしょう。

ポイント3:自社に合った専門性を有していること

M&Aアドバイザー会社を選ぶ際には、得意分野や専門分野を確認することも重要です。

M&Aアドバイザー会社には、実績や経験、保有資格などによって得意分野や不得意分野があります。

具体的には、そのM&Aアドバイザー会社が得意とする「業種」「業態」「規模」「地域」などが、自社に合っているかどうかを確認する必要があるということです。

公式ホームページなどで、実績数・成約数だけではなく、業種や規模、地域などについても細かく確認する必要があります。

ポイント4:報酬体系に納得できること

前項で説明したように、M&Aアドバイザー会社を利用する際には各種の報酬が発生しますが、M&Aアドバイザー会社によって大きく報酬体系が違っています。

どの程度の報酬が、どのタイミングで発生するのかをきちんと確認する必要があります。

もちろん報酬が安いに越したことはありませんが、一番重要なのはM&Aがきちんと成立して成功することですので、その点も考慮する必要があります。

ポイント5:安心して任せられること

M&Aアドバイザー会社との付き合いは、相手先の選定・交渉から最終契約の締結やPMIまで長期にわたります。

会社として信頼できるかどうか、自社に合っているかどうかの他に、担当者との相性も重要なポイントとなります。

実績が豊富で自社に合ったM&Aアドバイザー会社を選ぶことが最も大切!

この記事では、M&Aアドバイザー会社の選び方のポイントや費用相場などについて説明しました。

M&Aアドバイザー業務の依頼先や依頼形式にはいくつかの種類があること、発生する報酬の費用相場も依頼先によって大きく違ってくることなどがお分かりいただけたかと思います。

自社のM&Aを成功させて最大限の効果を得るためには、実績が豊富で自社に合ったM&Aアドバイザー会社を選ぶことが最も大切です!

M&Aアドバイザー会社と合わせて、探偵事務所でより実態に基づく調査を!

反社会的勢力との繋がりなどが、企業に致命的な打撃を与えてしまったり、M&Aにおける詐欺なども横行している昨今。

M&Aアドバイザー会社でも、ある程度そういった点などを踏まえて、しっかりと調査を行、M&A業務を丸っとサポートしてはくれますが、金額が大きかったり、自社にとってのリスクが大きかったりした場合には、より実態に基づく精度の高い調査が必要になってきています。

例えば、M&A後に、その会社の代表や役員が反社会的勢力と繋がっており、グレーなビジネスを行っていた事などは、デューデリジェンスなどでは、なかなか表に出てきません。また個人を調べることは個人情報保護法によって厳しく規制されているので、一般の方が調査すると違法になってしまうリスクがあります。

探偵事務所SATでは、そういった一般的なデューデリジェンスでは表に出てきづらい、M&A先の代表取締役や役員など個人に関する調査を承っております。

例えば、過去の経歴や犯罪歴などの調査や反社チェック、企業のこれまでの活動や、近隣からの評判など、M&A後に大きなトラブルや損失につながらないかどうか、個人と会社の実態に踏み込んだ調査が可能です。

ぜひ一度ご相談ください。

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