【投稿日】 2021年11月19日 【最終更新日】 2022年10月27日

信用調査(与信調査)は取引を行う際のリスクを予防する上で大切な調査です。

信用調査をせずに取引を行った場合、代金未回収となるリスクが高まります。

信用調査は代金未回収により自社のキャッシュフローを悪化させないためにも大切な信用調査ですが、そもそもどのようなものなのか理解できていない方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、企業の信用調査とは?という基本的な内容から、信用調査の方法や料金相場などについてご紹介します。

そもそも企業の信用調査(与信調査)とは?

信用調査(与信調査)とは、取引予定の企業が信用できる企業かどうかを調査するものです。

主に支払い能力の有無など金銭的な信用の他にも、経営者や役員に対する調査や資産状況・財務に対する調査が含まれます。

例えば、掛け売りでの取引の場合、信用調査をせずに企業と取引をしてしまうと取引先の資金繰りが悪化していることを見抜けません。

その結果代金未回収となり、自社のキャッシュフローが悪化する可能性が発生してしまうのです。

一方できちんと信用調査を行えば支払い能力の有無を把握することができるため、そもそも取引はしないという判断をすることが可能になります。

企業が依頼者となって個人を調査する場合は個人信用調査となる

法人が依頼者となる場合も個人を対象とした調査の場合は個人信用調査となります。

一般的に個人信用調査というと、クレジットカードやローン審査の通りやすさを自分でチェックする目的で行うものがありますが、探偵が行う個人信用調査は調査対象者の経済状況、人柄や性格、素行などを調査することで信用できる人物かどうかを確認する目的で行われます。

例えば取引先の代表者に対する信用調査であれば「反社会的勢力との繋がりはないか」「パワハラやセクハラなどの問題行為を日常的に行っていないか」などを調査することなどを目的としています。

代表者が反社会的勢力と繋がりがあると判明すれば、相手企業自体がフロント企業である可能性あると推測し、取引をしないことを選択することが可能です。

このように、取引を行うにあたって企業の経済状況や信用性だけではなく、個人の信用性も取引を行う上で重要な要素となります。

個人信用調査は調査項目が多い場合や、事前情報が少ない場合は料金が高くなるため、調査対象者の氏名や住所などはできる限り自分で調べておくとよいでしょう。

企業の信用調査(与信調査)で調査する2つの項目

企業の信用調査(与信調査)で調査する主な項目は以下の2つです。

  • その1:支払い能力はあるか
  • その2:資産・財務状況は良好か

それぞれの詳しい内容は以下の通りです。

その1:支払い能力はあるか

支払い能力の有無についての調査は信用調査の中でもメインとなる項目です。

支払い能力を調査する際は以下の3つのポイントをチェックしましょう。

  • 売掛金の支払いができるだけの収入はあるか
  • 在庫は適正に管理されているか
  • 労働状況は安定しているか

どんなに条件が良い取引先であっても、そもそも支払い能力がなければビジネスは成り立ちません。

そのため、売掛金の支払いができるだけの収入あるのか、取引先の売り上げが減少し債務超過に陥っていないかなどを調査することが重要です。

その他にも、在庫は適正に管理されているか、返品の数は多くないかなどの動きも注意してチェックする必要があります。

また、従業員の労働状況も経営状態を測る一つの指標となります。

例えば、従業員が相次いで離職している場合や、役員の入れ替わりが激しい場合は経営が安定していないことが考えられます。

このように、ただ単に支払い能力の有無だけを見るのではなく、在庫状況や労働状況など様々な側面から調査することが大切です。

その2:資産・財務状況は良好か

代金未回収となることを防ぐためには取引先の資産や財務の状況を把握しておくことも重要です。

もしも支払い能力がなく、代金未回収となり交渉を行っても回収できない場合は、最終手段として差し押さえを行います。

しかし、差し押さえの手続きを行ったとしても、そもそも差し押さえられる資産が取引先にない場合は債権回収を行うことができません。

「差し押さえられる資産がなくて債権回収できない」という状況を防ぐためにも資産調査が重要となります。

資産や財務状況は決算書や不動産登記簿謄本から調べることが可能です。

決算書からは現在の財政状況や資産の内訳と具体的な内容を把握することができます。

一方で不動産登記簿謄本からは、不動産が差し押された経歴の有無や不動産の所有者や抵当権のなどの情報を把握することが可能です。

差押登記がされている場合は、税金の滞納があった場合や、ローンの支払いが滞っている場合です。

税金の滞納やローンの未払い、などの懸念点がある企業は資金繰りが悪化している可能性があるため、取引の判断は慎重に行いましょう。

信用調査(与信調査)の方法

信用調査(与信調査)を行う際の方法は以下の4つです。

一般的に信用調査を行う際は事前準備を兼ねて社内調査を行います。

社内調査を行った後、外部に依頼して調査を行うのが一般的です。

社内調査とは、外部に依頼して調査を行う前に自社で保有する取引先の資料や、新聞などのデータベースから調査を行うものです。

社内調査だけで信用調査を終了させてしまうと調査内容に偏りが生じてしまい、重大なリスクを見逃してしまう可能性があるため、必ず他の調査方法と組み合わせて行いましょう。

2つ目の直接調査は調査対象企業に直接ヒアリングする調査方法を指します。

相手先に訪問したり、電話やメール、FAXを用いたりして調査を行うのが一般的です。

ただ、直接調査は調査対象企業とコミュニケーションがとれていないと不信感を抱かれる可能性があります。

そのため、直接調査を行う際は調査の目的をしっかりと伝え、意思疎通を図ることが大切です。

3つ目の外部調査はさらに「官公庁調査」「検索調査」「側面調査」という3つの調査に分けられます。

外部調査は主に商業登記簿謄本やインターネット、第三者へのヒアリングなど外部からの情報を用いて調査を行う方法です。

4つ目の依頼調査は「照会調査」と「依頼調査」に分けられます。

照会調査は調査対象企業の関係者にヒアリングをする調査方法です。

一方で依頼調査は探偵や信用調査会社に依頼する方法を指します。

探偵や信用調査会社による依頼調査では、第三者の視点から偏りなく情報を集めることが可能です。

自社で調査を行う時間や人員が足りないという場合は初めから探偵や調査会社に依頼ましょう。

信用調査(与信調査)の料金相場

信用調査の料金相場は、依頼する信用調査会社によって異なります。

大手の信用調査会社の場合、1社あたり1万5000円〜2万5000円程度が相場です。

一方で探偵事務所に依頼する場合は1社あたり7万円〜30万円程度が料金相場となっています。

大手の信用調査会社と探偵の料金相場に幅がある理由は、以下の2点です。

  • すでに保有しているデータの量が信用調査会社のほうがはるかに多い
  • 探偵はデータだけではなく、聞き込みや張り込みなどを行いながら調査するため、人員や時間が必要になる

大手信用調査会社は比較的安い料金で利用できる点やどの地域に所在地を置く企業でも調査を依頼できる点が強みとして挙げられます。

一方で探偵は聞き込みや張り込み、尾行を行うことが許されているため、より詳細な企業情報や、代表者、役員などの素行調査を含めた調査を行うことができる点が強みであると言えます。

企業の支払い能力や資産状況などの信用性だけではなく、代表者や役員、担当者などの個人信用調査も含めて調査したい場合は探偵に依頼しましょう。

企業信用調査(与信調査)の調査報告書例

企業信用調査の調査報告書は、調査を依頼する会社によって様式が異なります。

例えば、大手の信用調査会社の場合は、調査対象企業の事業内容や登記内容などのデータを中心に記載し、所見など追加の情報は少ない傾向にあります。

一方で探偵の調査報告書は、調査対象企業に関するデータはもちろん、調査して得た事実に基づいて、さらに深掘りした内容が記載される点が大手の信用調査会社と異なるところです。

以下の表は調査報告書に記載されている内容の一例です。

対象企業 会社名 株式会社 サンプル
所在地 大阪府〇〇市〇〇1-23
代表取締役 A
総合所見 株式会社サンプルは繊維事業を手がけており、衣料素材や産業用素材の生産をはじめ、販売においても積極的に行う。私募債を発行し、対外的な信用を確立している。代表を務めるA氏はリーダーシップがあり面倒見の良い人柄で誰にでも平等に接する点は周囲からの評価が高い。また、懸念事項であった諸団体との交際は認められなかった。
営業実態 国内で衣料・産業素材の生産・販売を行うほか。グループ会社であるB社と連携しながらインドネシアを生産拠点とする動きが高まっている。業歴は20年余りが経過。近年、合成繊維素材の売上高は停滞気味だが、天然素材や付加価値をつけた高機能素材については安定した売上高を保っている。他社を買収した経歴があることから収益内容の変動は大きいが採算性を保っている点は評価できる点である。
業績 20XX年9月 売上 3,067,568千円 利益 488,021千円
20XX年9月 売上 3,289,008千円 利益 263,079千円
20XX年9月 売上 3,380,779千円 利益 379,008千円
資金状況 平成〇〇年4月に私募債を発行。銀行保証付の無担保私募債である。これに伴いC銀行との取引が開始された。翌年同月にも同様の私募債が発行されており、償還期限は3年の一括償却であることが分かった。
これによって長期返済分の金融債務は前年比で5300万円圧縮された。負債合計は前年比と比較して減少し、純資産額も768万円で微増。
資金状況は比較的安定しており、問題はないと言える。
代表者について <経歴>
〇〇大学卒業後、D社に入社し京都支社に配属された。昭和〇〇年4月には繊維事業を展開するE社に転職し、経験を積む。昭和〇〇年5月に独立し株式会社サンプルを設立。現在はグループ会社の監査役を兼任している。<所属団体および背後関係>
懸念されていた所属団体と交際している事実はない。

信用調査(与信調査)は第三者視点で行うことが重要!

信用調査(与信調査)は自社で行うことが可能ですが、調査結果に偏りが出たり、主観的な意見が反映されてしまう可能性があり、重大なリスクを見落としてしまうことがあります。

重大なリスクを見落とさないようにするためには第三者視点で満遍なく調査を行うことが重要です。

第三者視点の信用調査を依頼できる機関とは探偵や信用調査会社です。

細かい数値などデータを中心とした信用調査は信用調査会社が得意としている一方で、探偵はデータだけではなく、代表者や役員、担当者などの個人信用調査を含めたより詳しい調査を行うことができます。

データだけではなく、営業実態や資金状況などより詳しい内容について調査したい場合は探偵に依頼しましょう。

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