ストーカーというのは、実際に直接つきまとったり、嫌がらせをしたりするだけではありません。しつこいメールのほか、LINE、Twitter、Instagram、FacebookなどのSNSを利用してネット上で嫌がらせをしたり、ブログなどに執拗に書き込みをするのも、ストーカーになるのです。

このようなネットストーカー被害に対応すべく、ストーカー規制法が改正され、インターネットやSNSなどを利用したつきまとい行為なども取り締まりや処罰の対象となりました。しかし、実際にネットストーカーの被害に遭った場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。また、警察に対応してもらうには、どのようにすればよいのでしょうか。

今回は、ネットストーカーの予防対策、対処法と注意点のほか、警察を動かすための対処方法などについて詳しくご紹介します。

ネットストーカーとは?

ネットストーカーとは、インターネットやSNSなどを利用して特定の人にストーカー行為をすることを言います。メールやLINE、TwitterのDMなどで何度もメッセージを送りつける、SNSやブログへ執拗に書き込みをするなどして、しつこくつきまとったり、嫌がらせをしたりすることでストーカーとなるのです。

ストーカー規制法におけるネットストーカーとは?

ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「ストーカー規制法」といいます。)の取り締まり対象となるネットストーカーとは、特定の人への恋愛感情や好意の感情、その感情が満たされなかったことの怨恨によって、インターネットやSNSを利用して、何度も繰り返してつきまとい行為をするものとなります。恋愛感情や好意の感情がなく、単なる嫌がらせの場合は、ストーカー規制法ではなく別の法令で対応することになります。

ネットストーカーは、一般的なストーカーと違って、直接的に身の危険を感じるような被害は少ないものの、精神的に大きくダメージを受けることが多いです。

ネットストーカーとなる行為とは?

ネットストーカーに該当する行為とは、どのようなものなのでしょうか。例を挙げると

  • メールやLINEで好意を寄せるしつこいメッセージが送られてくる。
  • Twitterでしつこくツイートされたり、ブログに執拗な書き込みをされたりする。
  • SNSでリアルタイムの行動を監視される。
  • 本名や自宅の住所、学校、職場など、個人情報を特定されて拡散される。
  • 掲示板に誹謗中傷する書き込みをされる。

などのようなものがあります。これらの行為を、恋愛感情や好意の感情、それが満たされなかったことの恨みに基づいて繰り返し行うと、ストーカー規制法による取り締まりや処罰の対象になるのです。

また、ネットストーカーの行為がエスカレートすることで、ネット上ではなく実際につきまとうようになり、物理的な被害に発展する可能性もあります。

ストーカー以外の罪になるケースも

インターネットやSNSを利用しての行為が、ストーカー規制法上の罪以外の犯罪に該当するケースもあります。ネットストーカーの行為が、ストーカー規制法を適用するための要件を満たしていなくても、それ以外の犯罪に該当すれば、その罪名を適用して犯人を逮捕・検挙することができるのです。

脅迫罪

SNSやブログへの書き込みやメッセージの中に、「殺してやる」など相手を恐怖に陥れるような内容が含まれている場合、脅迫罪に該当するケースがあります。対象となる被害者を脅して怖い思いをさせることによって成立する犯罪です。法定刑は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」となります。

名誉棄損罪

特定の人の悪口や悪い噂など、誹謗中傷する内容をネット上に書き込みする、不特定多数にメールを流すなどして名誉を傷つけた場合は、名誉棄損罪に該当します。法定刑は「3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金」となります。

侮辱罪

ネット上で特定の人のことを「バカヤロー」と罵るなど、事実を示さずにインターネットやSNS上で侮辱した場合、侮辱罪になるケースがあります。法定刑は「拘留または科料」となります。

ネットストーカーへの対処方法と注意点

実際にネットストーカーに遭った場合には、どのように対処すれば良いのでしょうか。

基本的には、相手を極力刺激しないことです。

メールやSNSを無視することで解決できれば良いのですが、それだけでは解決できない場合もあります。何らかの反応をすることで、どんどんエスカレートする可能性もあります。被害を大きくさせないためには、慎重な対応が必要となります。

ここでは、ネットストーカーでよく利用されるメール、LINE、Twitterの3つについて、それぞれの対処法をご紹介します。

メールによるネットストーカーの場合

メール利用によるネットストーカーの場合は、被害者に好意を寄せている知人がストーカーしているケースもあれば、全く知らない相手が何らかの方法でメールアドレスを入手してストーカーしていることもあります。

メールアドレスを変更してしまえば解決できることもありますが、ストーカーが知人の場合、直接つきまといを始めるなど、ストーカー行為がエスカレートするかもしれません。場合によっては、ネットストーカーの証拠となるメールが見られなく可能性もあります。

メールによるネットストーカーへの対処方法

  • 最初のうちは無視する
  • 念のため、メールのパスワードを変更する
  • ストーカーの証拠とするため、1通目のメールから保存しておくようにする
  • 複数回メールが来たら、相手に対して「証拠を保存していること」「止めなければ警察に届出する」と返信して、拒否する姿勢を示す
  • 拒否した後にもメールが届くようであれば、精神的なダメージを防ぐためにも、メールは読まずに保存しておく
  • 可能であれば、ストーキングされているメールアドレスを残したまま、別のメールアドレスを使うようにして、必要な人以外には新たなメールアドレスは教えない
  • 早めに警察に相談する、警察が無理なら弁護士や探偵などに相談する

注意すべきポイント

ネットストーカーからのメールは消去せずできる限りそのまま残してください。メールがストーカーの証拠になるため、メールの内容のほか、送受信履歴も削除しないようにしておいてください。

メールアドレスを変更すると証拠となるメールが見られなくなる可能性があるのであれば、なるべく早めに警察に相談して、対処方法を確認すると良いでしょう。

LINEによるネットストーカーの場合

LINEによるネットストーカーの場合、相手が知人やグループLINEなどでつながった知り合いの可能性があります。ただ、LINEの友だち設定が自動追加するようになっていると、全く知らない人とつながってしまうこともあります。

いったん友だちとしてつながった相手をブロックすると、相手が逆上してストーカー行為がエスカレートすることも考えられます。相手が知人であれば、直接的なつきまといにもつながる可能性もあり、注意が必要です。

正しい対処方法

  • 友だちの自動追加設定をOFFにする
  • 見知らぬ人は友だちに追加しない
  • 間違えて知らない人を友だちに追加した場合は、ブロックリストに入れておく
  • ネットストーカーからのメッセージは、相手に削除される前にスクリーンショットを取って保存しておく
  • 知人がネットストーカーの場合は、ブロックせず、返信もしないようにする
  • 複数回メッセージが来たら、相手に対して「証拠を保存していること」「止めなければ警察に届出する」と返信して、拒否する姿勢を示す
  • 早めに警察に相談する、警察が無理なら弁護士や探偵などに相談する

注意すべきポイント

LINEによるネットストーカーの場合は、知人であったり、何らかの方法でつながりがある人の可能性が高くなります。そのため、急にブロックして連絡がつかなくなると、別のアカウントを使ってメッセージを送ってきたり、直接的なストーカーに発展するおそれがあります。

被害を大きくしないためにも、ネットストーカーからのメッセージを証拠として保存したら、早めに警察に相談してください。証拠が集められず、手がかりが掴めない場合は、探偵や弁護士などにも相談してみましょう。

Twitterによるネットストーカーの場合

Twitterによるネットストーカーの場合は、アカウントのプライバシー設定がなされていれば知人や知り合いである可能性が高くなります。しかし、プライバシー設定がされていなければ、全く知らない人である場合もあります。

Twitterでは、アカウントが非公開設定ではない限り、誰でも簡単に閲覧可能ですし、ダイレクトメッセージの受信設定が「すべてのユーザーからメッセージを受信する」になっていると、フォローしていない相手からでもメッセージを受け取ることができます。

Twitterでのネットストーカーの場合も、慎重に対応する必要があります。

正しい対処方法

  • ダイレクトメッセージの受信設定で「すべてのユーザーからメッセージを受信する」をOFFにしておく
  • 現在地をリアルタイムでツイートしない
  • ネットストーカーからのツイートやメッセージは、すべてスクリーンショットを撮って保存しておく
  • ネットストーカーが見知らぬ相手であれば、ブロックする
  • 複数回ツイートが続いたりメッセージが来た場合は、相手に対して「証拠を保存していること」「止めなければ警察に届出する」と伝えて、拒否する姿勢を示す
  • 早めに警察に相談する、警察が無理なら弁護士や探偵などに相談する

注意すべきポイント

Twitterでのネットストーカーを防ぐためには、プライバシー設定をしっかりしておくことが大切です。そうすることで、ある程度は直接的なツイートやダイレクトメッセージを防ぐことができるでしょう。

それでもネットストーカーが続くようであれば、ストーカーの証拠をもって警察に届出してください。また、Twitter社に直接違反報告をする方法もあります。

その他のSNSと同様、証拠が集まらなかったり、手がかりがつかめない場合は、探偵や弁護士に相談するのも良いでしょう。

ネットストーカー被害で警察を動かく方法

インターネットやSNSなどを利用して繰り返し嫌がらせなどのストーカー行為をすれば、ストーカー規制法の処罰対象になります。状況によっては、他の犯罪が成立する可能性もあります。

ネットストーカーの被害が拡大しないようにすることはもちろん、エスカレートして身の危険が迫らないようにするためには、警察に動いてもらう必要があります。そのためにはどうすればよいのでしょうか。

警察への相談

ネットストーカーの被害に遭っているのであれば、何よりもまず警察に相談しましょう。そして、どのように対処すればよいのか、どうするのが最善なのか、指示を仰いでください。

相手が自宅の住所などの個人情報を知っている場合、脅迫めいた内容のメッセージや書き込みがあれば、身に危険が迫る可能性があります。その場合、ネットストーカーの犯人が特定されていなくても、警察に相談しておけばパトロールを強化するなどの対応をとってくれます。

今後、ネットストーカーに発展する可能性がある場合でも、最善の方法に関するアドバイスをしてくれることでしょう。心配であれば、早めに警察に相談しておくことをおすすめします。

ネットストーカーの証拠集め

ネットストーカーの行為を特定するためには、相手による嫌がらせなどの行為を明らかにしておく必要があります。そのためには、相手からのメッセージや書き込み内容を残しておく、スクリーンショットやプリントアウトするなどして保存するなどして、たくさん証拠を集めておかなければなりません。

相手からの行為だけではなく、相手の嫌がらせに対して自分送ったメッセージや書き込みも保存しておくと、相手とのやり取りによってストーカー行為をより明確化する証拠にもなり得ます。できる限りたくさん集めておくと良いでしょう。

ネットストーカーの犯人の特定

ネットストーカーの相手が特定できていれば、警察からストーカー規制法に基づく警告が可能となります。その警告に従わずにネットストーカーを続ければ、都道府県公安委員会からの禁止命令を出すことができるようになり、禁止命令に違反すれば、逮捕や処罰の対象となります。もちろん、ストーカー行為自体や、その他の法令に触れる行為をしていれば、取り締まりや検挙、処罰も可能となるでしょう。

しかし、法律に基づいてネットストーカーの犯人を逮捕、検挙するには、犯人が特定されていなければなりません。犯人がネットストーカーの犯罪を行ったことにつながる明らかな証拠がないと、逮捕はできません。誤認逮捕などのように、全く関係のない人を捕まえることはできないからです。

ネットストーカーの犯人が特定できないのであれば、プロバイダやSNSなどの運営会社に情報開示を請求するなど、専門的な調査が必要となるケースがあります。警察での犯人捜査が進まないようであれば、弁護士や探偵に依頼するのも良いでしょう。

弁護士に相談

ネットストーカーに関して集めた証拠がたくさんあっても、どの証拠が決定的なものとなるのかは、なかなか判断が難しいところです。その証拠を効果的に使って、警察に対してネットストーカーの捜査を働きかけたいのであれば、弁護士に相談すると良いでしょう。

弁護士であれば、刑事事件だけでなく、精神的ダメージに対する慰謝料請求といった民事訴訟にも対応してもらえます。警察への働きかけのほか、犯人との交渉も行ってくれます。弁護士を味方につけると、それまで受けていた犯人によるダメージを軽減できることでしょう。

ネットストーカーに遭わないために

ネットストーカーの場合、被害者に直接向けられたメッセージによって、精神的なダメージが大きくなります。SNSやブログ、掲示板への書き込みといった被害者以外の人の目に触れるものであれば、「たくさんの人に知られてしまった」ということでも、さらにダメージが大きくなってしまいます。その情報がどんどん拡散してしまうと、恐怖を感じることもあるでしょう。

このようなネットストーカーの被害に遭わないためには、どうしたら良いのでしょうか。

一番効果が高いのは「隙を見せない」ことです。

ネットストーカーの予防対策

では、隙を見せないようにするには、どうすれば良いのでしょうか。

ネットストーカーは、インターネットやSNSでブロックされると別の方法でアクセスしたりしますし、相手が知人であれば、エスカレートして直接的にストーカーしてくることも予想されます。

ネットストーカー被害に遭わないようにするためには、さまざまなケースを想定して防ぐ必要があります。

ネットストーカー被害を防ぐ方法

  • 個人的なSNS、ブログなどに、個人情報や予定などは載せない
  • SNSのアカウントに鍵をつけるなど、限られた人しか見られないように公開設定を変更する
  • リベンジポルノを防ぐために、パートナーや恋人でも裸や恥ずかしい写真や動画は撮らせない
  • 執拗にメッセージやツイートなどが続くようなら、早めに相手をブロックする、アカウントを削除する
  • パスワードは定期的に変更して、使いまわしをしない
  • 使わなくなったアカウントなどは、悪用されないように削除しておく
  • パソコンやスマートフォンのウィルス対策をしっかりとしておく
  • SNSで知り合った相手には慎重に対応し、素性が分からないのであれば、連絡を取り合ったり直接会ったりすることを控える
  • わざと炎上するようなツイートやメッセージは流さない
  • 非通知や見知らぬ番号からの着信に応答しない

メールアドレス流出の有無を確認しておく

SNSやアプリ、インターネットのサービスなどを利用する場合、自分のメールアドレスを登録するよう求められます。もし、そのメールアドレスが流出してしまうと、迷惑メールが届くだけでなく、アカウントの乗っ取りや個人情報の流出につながる可能性があります。

さらに、ネットストーカーやその他の犯罪に利用されるケースも考えられます。

そのような被害を防ぐために、自分のメールアドレスが流出されていないか確認できるサイトがあります。心配であれば、一度確認しておくと良いでしょう。

自分のメールアドレスが流出していないか調べられるサービス

「Have I been pwned?」(英語)
メールアドレス、ユーザー名を入力して流出の有無のチェックが可能。「Good newsーno pwnage found!」と表示されれば問題なし。「Oh noーpwned!」と表示されれば流出している可能性あり。英語での回答。
「Firefox Monitor」
メールアドレスを入力すると、流出の有無をチェックしてくれる。日本語対応。

流出していた場合の対処法

  • 早めにパスワードを変更する(なるべく他の人に分からないようなものに)
  • 今後、流出したメールアドレスは使わない
  • SNSやアプリなどの登録メールアドレスを変更する

メール・LINE・Twitter・Facebook・Instagramなどのネットストーカーには早急な対応を

インターネットやメール、LINE・TwitterなどのSNSを利用したネットストーカーは、知人であるケースもありますが、全く知らない人からもストーカーされやすいという恐ろしさもあります。相手からストーカーされたアカウントを削除したり、相手をブロックしたりすることで解決することもありますが、逆に相手を刺激して、エスカレートする可能性もあります。

「しばらく放っておけば収まるだろう」と考えて放置したり、相手を刺激しないようにされるがままにしておいても、自然な解決は難しいでしょう。無視するだけでは、何の解決にもならないことがほとんどです。

ネットストーカーには、どんなケースでも早めに対処することが肝心です。エスカレートして手が付けられなくなる前に、警察に相談する、探偵や弁護士を頼るなど、何かしらのアクションを起こすようにしてください。