スマホで手軽にインターネットを利用できるようになった現在では、直接のつきまといや電話だけでなく、メールやLINE、TwitterなどのSNSを利用したネットストーカー被害も増えています。

そんな時代の変化に対応すべく、2017年のストーカー規制法の改正によってインターネット経由でのストーカー行為も取り締まりの対象になりました。正しい対策をして警察に訴えれば法で裁けますし、もちろん民事で賠償請求もできます。

メール、LINE、SNSを利用したネットストーカーの被害は、無視や拒否だけでは解決しません。むしろストーカー行為がもっとエスカレートするケースも多いです。そうなると、一生消えない傷を負うこともあります。

ネットストーカー被害を防ぐ方法、被害に遭ってしまった場合の正しい対策と対処法警察に協力してもらうためにすべきことについて理解し、ストーカー被害に万全の備えをしてください。

メール・LINE・Twitter・SNS等でのストーカー被害の予防策

ストーカー行為はいったん始まってしまうと解決までに時間がかかり、かつ命の危険が迫るほどにエスカレートしてしまうことも多いです。そのため普段から、ストーカー被害を未然に防ぐための対策をしておきましょう。

ネットストーカーの予防策

メール、LINEなどのSNSを利用したネットストーカーは、ネットであなたを知っただけの相手が行っているケースと、素性を隠した知人のケースがあります。

ネットストーカーが知人であれば、ネットでブロックされても他の方法にエスカレートする可能性が高いので、それも想定して予防策を講じなくてはなりません。

メール・SNSでのストーカー被害を防ぐ方法

  • SNSをはじめインターネットに個人情報・行動予定などを流さない
  • インターネットに自分や家族の顔・容姿などのわかる写真をアップしない
  • 彼氏や恋人であっても裸などの恥ずかしい写真や動画は撮らせない
  • 炎上するようなツイートやメッセージは流さない
  • メールやSNSで怪しい人に絡まれたらブロック、アドレスの変更、アカウントの削除などを早めに行う
  • 必要のないアカウント、使っていないアカウントは悪用されないように削除しておく
  • パスワードをメモするときは人に絶対に見られないように保管する
  • パスワードの使いまわしをしない
  • フリーWiFiは使わないようにする
  • SNSで知り合った相手と電話したり直接会ったりすることをできるだけ控える
  • SNSで知り合った相手と会うなら自宅や実家やその最寄り駅から離れた場所で、第三者を交えて会う
  • 携帯電話は非通知ブロック・公衆電話ブロックに設定する
  • 固定電話にはナンバーディスプレイやその他の迷惑電話対策をする
  • 手帳やスマホは勝手に他人に触られないように気を付ける

ストーカーは1つの手段を断たれると別の形でストーカー行為を再開するケースが非常に多いです。そもそもメールアドレスやSNSのアカウントを、尾行や盗聴によって知ったというケースも考えられます。

ネットストーカー以外のストーカーの対策も読み、普段からできる限りの方法で自分の身の安全や個人情報を守ってください。

自分のメールアドレスの流出を調べる方法

ネットを利用していれば、メールアドレスは様々なサービスのアカウントと紐付けされているはずです。よってメールアドレスをストーカーや悪意の第三者に知られると迷惑メールが届くだけでなく、アカウントを乗っ取られたりストーカーやその他の犯罪に利用されたりするおそれがあります。

SNSのアカウントを知られたり乗っ取られたりすると、そこからさらに個人情報が流出することもあります。

そういった被害を防ぐために、メールアドレスの流出を以下のサービスなどで調べるのも1つの方法です。

自分のメールアドレスが流出していないか調べられるサービス

「Have I been pwned?」(英語)
メールアドレスかユーザー名を入力して検索→「Good news — no pwnage found!」と表示されれば流出していない / 「Oh no —pwned!」と表示されれば流出している
「Firefox Monitor」
メールアドレスを入力すれば流出しているかどうかを日本語で教えてくれる

流出していた場合の対処法

  • パスワードを変更する(できるだけ長く見破られにくいものに)
  • 流出しているメールアドレスは今後使わず、紐付けられたアカウントもすべてアドレスを変更する

仕事などで使っているアドレスは変更できないこともあるでしょうが、その場合はパスワードをできるだけ長く見破られにくいものに変更して、絶対誰にも教えないでください。

メール・LINE・Twitter・SNS等のストーカー被害への対処法と注意点

ストーカー対策の基本は相手を極力刺激しないことです。

そのため初期段階では迷惑メールやLINE・Twitterのメッセージを無視するしかありませんが、無視だけで解決するケースは稀です。しかし同時に、こちらから何らかの反応を返せばエスカレートする可能性は高くなります。

無視やブロックですめばいいのですが、エスカレートしてしまうケースも想定しつつ慎重に対処しなくてはなりません。

ここではストーカー行為によく利用されるメール、LINE、Twitterの3つについて、それぞれの対処法を説明します。

メールでのストーカー被害への正しい対処法

メールアドレスがネットに流出しているケースでなければ、知人がストーカー用のアドレスからメールで嫌がらせを行っている可能性が高いです。しかしもちろん全く知らない相手が、何らかの方法でアドレスを入手したケースもあります。

メールでのストーカー行為(迷惑メール)への対策・対処法

  • 仕事用とプライベート用のメールアドレスは分けて使う
  • 最初のうちは無視する
  • ストーカーメールは1通目からすべて証拠として保存しておく
  • ストーカーメールが来たら念のためパスワードを変更する
  • 何回か送られてきたら証拠をとっていることと、やめないと警察に相談することを伝える
  • 1度拒否の姿勢を示したら、後は読まずに保存しておく(精神的なダメージを抑えるため)
  • どうしても内容が気になるときは信用できる知人に読んでもらう
  • 可能であれば別のメールアドレスを使うようにする
  • 新しいメールアドレスは必要のある人にのみ教える
  • 証拠や心当たりをまとめて警察や探偵や弁護士に相談する

メールアドレスを消去すれば止む場合もありますが、相手があなたの住所などを知っていれば直接接触してきてもっとひどい被害に遭うかもしれません。それに証拠となるメールも見られなくなるため、ストーカー行為が止まなかった場合、解決が難しくなります。

他のメールアドレスに移行しても元のメールアドレスは消さないでおいてください。

また専門知識があれば、PCメールのヘッダーから送信者の情報を読み取ることができます。この方法でも多くの情報が得られるので、犯人を捕まえたいならインターネットに詳しい探偵や専門業者に依頼することをおすすめします。

LINEでのストーカー被害への正しい対処法

LINEのストーカー被害への対処法も、基本的にはメールと同じです。ただLINEは知らない人からの申請を断れるので、基本的にメッセージを送ってくるストーカーは知人のはずです。

知人からのストーカー行為は、物理的な接触に発展しやすいのでその点に特に注意しましょう。

ストーカーによるLINEメッセージへの対策・対処法

  • 友だち自動追加設定をOFFにしておく
  • 知らない人からの友だち申請は認証しない
  • 知らない人を間違えて友だち追加したときはブロックリストに入れる
  • ストーカーからのメッセージはスクリーンショットを撮って証拠として保管
  • ストーカーが知人の場合はブロックせず、返信もしない
  • 証拠をとって警察の生活安全課に相談し、指示に従う

ストーカーが知人であるケースで最も怖いのは、ストーカー行為が物理的な接触へとエスカレートすることです。そうならないようにブロックや拒否などの相手を逆上させるような対応は避け、証拠を集めてできるだけ早く警察に相談してください。

警察が警告などを行えば、ストーカーも自分の行為が違法だと気づいてやめるケースは多いです。

LINEは度々仕様の変更がなされるため、これらの対処法はあくまで現時点(2019年)のものになります。今後さらに安全性を保てる機能が加われば、そちらも随時利用すべきです。

もし全く相手の手掛かりがなく、ブロックしても別のアカウントで接触してきたり、知人が相手でも証拠が集まらなかったりしたら、その時は探偵に依頼してください。警察に相談しても何もしてくれなかった場合も同様です。

Twitterでのストーカー被害への正しい対処法

Twitterは非公開設定にしていなければ誰でも簡単に閲覧でき、知らない人の目に触れる可能性が極めて高いツールです。かつダイレクトメッセージ機能でメールやLINEと同じようにやり取りすることもできます。

Twitterでのストーカー被害を防ぐために大事なのは、個人情報を流さないこととストーカーに接触されにくい設定にしておくことです。

もしそれでも被害に遭ってしまったら、運営に通報するという手段もあるので積極的に利用しましょう。Twitterでのストーカー行為や迷惑行為は、運営会社(Twitter社)の協力なしには解決できません。

Twitterでのストーカー対策・対処法

  • Twitterの「すべてのユーザーからダイレクトメッセージを受信する」をoffにしておく
  • リアルタイムで現在地などをツイートしない
  • 嫌がらせ・ストーカー行為の証拠となるツイートやメッセージはすべてスクリーンショットをとり保存
  • 知らない相手からの嫌がらせを受けたらTwitter社に通報する
  • ストーカーが知人であれば探偵などに依頼して証拠を集める
  • ストーカーが知人以外であればブロック
  • ブロックしてもアカウントを変えてストーカー行為を続けている場合はTwitter社に情報開示請求し、民事訴訟を起こす

ブロックや通報でも解決しない場合は、民事訴訟を起こすことになります。そのためにはまずTwitter社に情報開示請求を行うなど、複雑な手順が必要となるので、弁護士に依頼することをおすすめします。

Twitterのストーカーや嫌がらせで民事訴訟を起こす大まかな手順

  1. Twitter社へ発信者情報開示の仮処分申請(東京地方裁判所で)
  2. Twitter社が犯人の情報を開示
  3. プロバイダへ発信者情報消去禁止の仮処分を申請
  4. 発信者情報開示の訴訟
  5. ストーカーへの損害賠償や謝罪を請求する民事訴訟/示談
  6. 場合によっては被害届や刑事告訴

メール・LINE・Twitter・SNS等のネットストーカー被害を警察の介入で解決する方法

メール、LINE、Twitte、Facebook、InstagramなどのSNS、その他のインターネット掲示板の書き込みなど、これらはすべてストーカー規制法の取り締まり対象となっています(2019年現在)。

しかし実際に警察がインターネットを介してのストーカー行為を操作したり検挙したりすることは稀で、脅迫などの命の危険をほのめかすようなケース以外では、メールアドレスの変更やアカウントの削除・ブロックなどを指示するだけです。

では警察に動いてもらうためには、どうすればいいのでしょうか。

ストーカー規制法を適用するための条件

メールやLINEを送ったり、SNSやネット掲示板に書き込んだりすること自体は罪ではありません。しかし2017年の改正から、メールなどの内容や頻度によってはストーカー規制法(ストーカー行為などの規制などに関する法律)が適用できるようになりました。

条件1.動機が恋愛感情に基づいている

そもそもストーカー行為とは、恋愛感情や恋愛感情が満たされなかった恨みを動機とした嫌がらせのことです。こういったケースは放っておけば殺害や無理心中などに発展しかねないため、そういった事態を未然に防ぐ目的でストーカー規制法が制定されました。

よってストーカー規制法を適用できるのは、動機が恋愛感情かそれが満たされなかった恨みである場合のみとなります。

条件2.拒否しても何回もメールなどが送られてくる

拒否しても相手がやめない、頻度が異常に高いといったケースは、相手が正常な判断力を失ってストーカー化しているサインです。その証拠があればストーカー規制法が適用できます。

メールならフォルダにまとめ、LINEやSNSならスクリーンショットを撮って残しておきましょう。

条件3.交際の強要・監視していると告げる行為など

ストーカー規制法では交際の強要や監視していると告げる行為をストーカー行為と定めています。これらはメールやLINEでのストーカー行為より緊急性が高いとみられ、こういった内容のメールなどが何度も届くようであれば警察が積極的に対策してくれることもあります。

その他、名誉を傷つけたり性的羞恥心をあおったりするような内容の場合もストーカー規制法が適用できます。

具体例

  • 断っているのに「自分と付き合え」という内容のメールが何回も送られてくる
  • 「今日は〇〇をしていたね」「〇〇の服を着ていたね」など行動や服装を言い当てるような内容
  • 帰宅したタイミングで「おかえり」などのメールが来る
  • 夜、照明を消したタイミングで「おやすみ」などと送られてくる
  • 性的な妄想などをしたためた内容のメール
  • してもいない犯罪や非道徳的な行為について書かれたメール

ストーカー以外の罪で訴えられるケース

ネットストーカーに適用できる可能性のある犯罪

脅迫罪:
本人や親族の生命、身体、自由、名誉または財産に対して害を加えることを告げて、人を脅迫する罪(刑法二百二十二条)…二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金
名誉毀損罪:
公然と事実を摘示し、人の名誉を傷つける罪(刑法二百三十条)…三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金
侮辱罪:
事実を摘示しないで、公然と人を侮辱する罪(刑法二百三十一条)…法定刑のうち最も軽く、数十日の拘留で済むケースも

メールやLINE、Twitterのメッセージなどに相手を脅迫する内容が含まれていれば、緊急性が高いと判断され、警察が動いてくれる可能性が高まります。

関連記事:e-Gov「刑法」

警察にネットストーカーの捜査・逮捕をしてもらうためには

ストーカー規制法はストーカー行為自体を罪に問うというより、エスカレートして傷害・殺人などに発展することを防ぐという意味合いが強い法律です。よってそのような事態に発展しにくいネットストーカーは、どうしても警察の対応も鈍くなりがちです。

また相手が誰かわからない状態では警察にできることは少なく、これ以上ストーカー行為をエスカレートさせないためのアドバイスが主になってしまいます。

しかしストーカー行為が罪であることは間違いありません。警察が捜査しやすい条件をそろえれば、積極的に動いてくれる可能性は高くなります。

警察への相談

被害に遭ってすぐ警察に相談し、指示を仰ぎましょう。

相手が特定されていない状態では、電話で相談しても相手をブロックする、アドレスの変更、アカウント削除などの指示で終わることも少なくありません。しかし直接警察署に出向けば親身になって相談に乗ってくれることがあります。

特にメールに脅迫やこちらの個人情報を握っているような内容があったときは、身の危険が迫っている状態なので警察への相談は必須です。

証拠集め

初期段階からの警察への相談は大事ですが、ストーカー行為の証拠がなくては警察にできることはアドバイスくらいしかありません。

ネットストーカーは証拠が集めやすいという利点があります。メールの保護、SNSのスクリーンショットなどは逐一行い、保存しておきましょう。集めた証拠を持って警察に相談すれば、ストーカー行為の深刻さが伝わります。

もしももっと専門的な方法でたくさんの証拠を集めたいなら、探偵に相談してください。

犯人の特定

犯人を特定すれば、警察は犯人に対してストーカー行為をやめるように警告ができます。

警察から警告を受けると、犯人は自分のしていたことが犯罪になりかねないということを自覚し、ストーカー行為をやめることも多いです。また警告を無視してストーカー行為を続ければ、より強い効力を持つ「禁止命令」を出したり、「逮捕」することもできます。

ストーカー行為罪の刑罰は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金ですが、禁止命令を無視してストーカー行為を続けた場合は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金と罰が重くなります。

罪が重いと相手にとっても示談で済ませるメリットが大きく、示談に応じやすくなります。

犯人が誰かわからない場合はSNSの運営会社やプロバイダへの情報開示請求や、その他専門的な調査が必要です。どちらも一般人に簡単にできることではないので、弁護士や探偵に依頼しましょう。

弁護士に相談

集めた証拠を効果的に用いて警察に訴えかけるのは、法律のプロである弁護士の仕事です。刑事告訴や民事訴訟のための訴状の作成はもちろんのこと、被害届の提出などでも心強い味方となってくれるので、被害の証拠を集めるのと同時に相談しましょう。

ネットストーカーの解決が難しい理由

ネットでしか知らない間柄でのネットストーカーは、他のストーカーのケースに比べてエスカレートしやすく解決しづらいという特徴があります。その理由は何なのでしょうか。

ネットのやり取りはエスカレートしやすい

メールやSNSをはじめ、インターネットは匿名で書き込みができます。自分の素性を明かさずに発言できる場では、つい普段は言わないような過激なことを言ってしまいがちです。

その上相手は知らない人であることも多く、知人に面と向かって言うケースに比べれば、罪悪感なくひどいことが言えます。顔を合わせず、かつリアルタイムで反応が返ってくるという状態でのやりとりには、一種の中毒性があるといっていいでしょう。

よって続けるうちによりひどい言葉を、より高い頻度でぶつけるようになってしまうのです。

しかも相手が匿名では、弁護士を通して運営会社やプロバイダなどの協力を得なくては犯人の特定はほぼ無理です。犯人も逮捕されたり訴えられたりしないと踏んでいるからネットストーカーをするのでしょう。

流出したものを完全に消すのは不可能

TwitterをはじめとするSNSの普及により、ネットの書き込みは驚異的なスピードで拡散されるようになりました。デジタルタトゥーと呼ばれるとおり、拡散された情報や画像・動画などは、出どころや真偽に関わらずネット上から完全に消すことは不可能です。

ネットストーカーにはメールやSNS攻撃が多いですが、逆上した際などにはターゲットの個人情報の流出やリベンジポルノを行うこともあります。

こういった事態を恐れて相手を無視しきれなかったり、警察への相談が遅れたりするというのも、ネットストーカー被害の解決が難しい理由です。

メール、LINE、Twitte、Facebook、Instagramのストーカー被害は証拠集めから

インターネットを利用したストーカー行為は犯人の特定が難しい反面、証拠を集めるのは比較的簡単です。そして充分な証拠があれば弁護士を通して運営会社やプロバイダに情報開示を求めることができ、民事訴訟や示談へと進めます。

またストーカー行為の証拠や手掛かりから探偵が犯人を特定できれば、警察がストーカーに対し警告を行うことができます。ストーカー行為がエスカレートしたときには証拠を用いて、ストーカー規制法違反として裁くこともできます。

ネットストーカー被害の解決に大事なのは証拠集めと犯人の特定です。勢いに任せてアカウントを削除したり相手をブロックしたりする場合でも、その前に証拠はきちんと確保しておきましょう。

そしてできるだけ早く警察、探偵、弁護士などに相談し、適切な対処を行いましょう。

もちろんストーカー被害を未然に防ぐための対策も必要です。