【投稿日】 2021年9月17日 【最終更新日】 2022年10月27日

近年、アダルトサイトのワンクリック詐欺や出会い系詐欺、未公開詐欺などの被害者が、悪質な探偵からお金を騙し取られる事例が後を絶ちません。

詐欺被害者をターゲットにする探偵業者には共通するのは、詐欺被害の解決や返金をうたって近づく点です。

このように詐欺被害の解決や返金をうたう悪質な探偵業者を選ばないようにするためには、問い合わせる前の段階で見抜くことが最も大切です。

では、探偵業者を選ぶ際はどのような点に注意すればよいのでしょうか。

この記事では、詐欺被害の解決や返金をうたう悪質な探偵業者の見抜き方と騙されてしまった時の対処法を解説いたします。

悪質な探偵業者が行う詐欺の4つの手口

悪質な探偵業者は、アダルトサイトのワンクリック詐欺出会い系詐欺、未公開株詐欺などの被害者をターゲットにして「被害を解決できる」「お金が取り戻せる」などと近づくという手法が大きな特徴です。

特にアダルトサイトのワンクリック詐欺や出会い系詐欺の被害者は「被害に遭ったことを周囲に知られたくない」という気持ちが強いため、家族や友人に相談することなく探偵に相談し、そのまま契約を結んでしまうことが多いのです。

このような詐欺被害の解決をうたう悪質な探偵業者に騙されないためには、以下のような探偵詐欺の4つの手口を知っておくことや、少しでも不審に思ったら契約をしないことが大切です。

手口1:「証拠がとれなくなる」と急かし、正常な判断をさせないうちに契約させる

調査の内容や見積もりについての説明をしないうちに「急がないと証拠が取れなくなる」などと脅し、正常な判断をさせないうちに契約させるというのが1つ目の手口です。

このような手口では、「契約するまで返さない」などと言って強引に契約を迫る事例があります。

無理に契約させるような悪質な探偵業者に依頼しないよう、事前に見極めることが大切です。

手口2:見積もりに内訳を記載せず、料金を上乗せする

調査前に作成する見積もりに料金の内訳を明記せず、調査時間の延長料金や人件費など上乗せするというのが2つ目の手口です。

通常、見積もりには以下のような内訳が記載されています。

  • 調査基本料
  • 人件費
  • 機材費
  • 交通費
  • 報告書作成料

悪質な探偵の場合は内訳を記載せず、すべてを含めた調査料金のみが記載されている場合があります。

内訳を記載しないのは、人件費や調査時間を水増しできるようにするためです。

もし内訳が書かれていない場合は、調査員の人数や調査にかかる大まかな時間を事前に聞いておきましょう。

事前に確認しても調査員の人数や調査時間を濁したり、調査にかかる料金をあやふやにしたまま契約をさせようとしたりする探偵は悪質な探偵詐欺の可能性があるので注意が必要です。

手口3:高額な解約料を請求する

契約内容について不審に思い、依頼者が解約を申し出ると、「契約済なので解約料が必要」などと言って高額な解約料を請求数する手口があります。

実際に、消費者トラブルの相談窓口である独立行政法人国民生活センターが作成した「探偵業者による消費生活相談」には、調査料金の40%を解約料として請求された事例が紹介されています。※1

手口4:ろくな調査をせずに高額な調査費用を請求する

4つ目の手口は、調査には行くものの現場の写真や関係のない人物の写真を撮影しただけなど、何の証拠にもならないような写真や書類などを調査報告として提出されるという手口です。

特に成功報酬制をとっている探偵事務所では、ろくな調査をせずに「調査に成功した」と言って調査報告し、高額な調査費用を請求するケースが見られます。

悪質な探偵業者を見抜く基準(参考)

警視庁の発表によると、令和2年時点の探偵業届出者業者数は6,379件と、かなりの数の探偵業者が存在していることが分かります。※2

これだけたくさんの探偵業者がいると、悪質な探偵業者を見抜いて契約を避けるのは至難の技のように感じる方もいるのではないでしょうか。

しかし、実は悪質な探偵業者には以下のような5つの共通する特徴があるため、探偵事務所の特徴と照らし合わせれば避けるべき業者かどうかを見抜くことができます。

ただし、以下の5つの基準に当てはまるからと言って必ずしも悪質な探偵という訳ではありません。

中には以下の基準に当てはまっていても優良な探偵は存在します。

あくまで見抜き方の1つであることに注意して参考にしてみてください。

その1:「返金」「解決」とうたっている

そもそも探偵は証拠集めや事実調査の専門家であり、詐欺被害の解決や返金の専門家ではありません。

返金の請求や解約の交渉などが可能なのは法律行為を行うことができる弁護士です。

しかし近年、探偵業者が未公開投資や出会い系サイト詐欺、アダルトサイトのワンクリック詐欺などの被害者をターゲットにして「お金が取り戻せる」「詐欺被害を解決できる」という言葉で近づくケースが見られます。

詐欺被害者に近づいた探偵業者は詐欺に遭った経緯などをヒアリングして契約に持ち込みます。

特徴的なのは返金や解決を謳っておきながら、契約項目は「企業調査」などと記載されていることです。

「企業調査」などと調査に関する項目のみが記載されている理由は、探偵業者は詐欺被害の解決や返金を行うことができないからです。

そもそも探偵は証拠集めや事実調査の専門家であり、詐欺被害の解決や返金の専門家ではありません。

返金の請求や解約の交渉などが可能なのは法律行為を行うことができる弁護士です。

詐欺被害の解決や返金を謳って近づいてくる探偵業者には注意しましょう。

その2:営業所に探偵業届出証明書が掲示されていない

探偵業を営む際は必ず営業開始日の前日までに開始届を提出し、公安委員会から探偵業届出証明書の交付を受ける必要があります。

公安委員会から交付された探偵業届出証明書は、営業所の見やすい場所に掲示することが警視庁から指示されています。

もし営業所に探偵届出証明書が掲示されていない場合は、探偵業の許可を受けていない可能性があるので注意が必要です。

ただし、個人で営む探偵業者の場合は営業所に探偵業届出証明書が掲示されている場合でも信用できる探偵事務所とは言い切れなません。

信頼できるとは言い切れない理由は、個人で営む探偵事務所の場合「過去に犯罪を犯した」「暴力団員や暴力団員でなくなってから5年を経過しない」などの欠格事由にあてはまらなければ誰でも交付を受けることができるからです。

ただし、法人の場合は個人と違い審査が厳しいことに加え、不定期で公安委員会からの検査が入ります。

法人の探偵事務所のほうが公安委員会からの審査や不定期に行われる検査などで監視されているため、信用できる探偵事務所が多いと言えるのです。

このような理由から法人として運営されており、営業所に探偵届出証明書が掲示されている探偵事務所は信頼できると言えます。

その3:本来の目的ではない調査を行う

成功報酬の条件として、本来の目的以外のことを成功条件として設定する探偵業者は要注意です。

例えば浮気調査の場合、浮気の証拠の取得が成功条件となるはずです。

ところが悪質な探偵業者は「見失わずに尾行できる」など本来の目的から外れた内容を成功条件としていることがあります。

成功報酬の条件として設定されたものなので、設定された条件をクリアすると料金が上乗せされます。

成功報酬を受け取るために調査対象に感づかれていても無理矢理尾行するなどの強硬手段に出るといったケースも見られるので注意しましょう。

最悪の場合調査対象に探偵に依頼したことがバレてしまう可能性があるため、成功報酬の条件を設定する際はしっかりと探偵業者側と相談することが大切です。

もし、本来の目的でない内容を成功報酬の条件として何度も提案してくる場合は悪質な探偵業者の可能性があるので注意しましょう。

その4:探偵ではないカウンセラーなどが間に入っている

優良な探偵ほど相談内容についての守秘義務やプライバシーの厳守を徹底しています。

そのため、基本的に探偵以外の人物が間に入って相談に乗ることはありません。

しかし中には、カウンセラーが間に入って相談に乗ったりヒアリングをしたりする探偵業者が存在します。

カウンセラーを雇っている探偵業者のほとんどは、「心の苦しみを受け止められる」「これからどうして行きたいのかを引き出せる」という点をメリットとしていますが、相談内容の守秘義務やプライバシー厳守の観点で言えば必要以上に他の人物と情報を共有するのは望ましくありません。

カウンセラーなど探偵以外の人物が間に入る探偵業者は守秘義務やプライバシーに対しての意識が低いことが考えられるため、注意しましょう。

その5:自宅や喫茶店にすぐ伺う探偵業者

前述した通り、優良な探偵業者は相談内容の守秘義務やプライバシーを厳守するものです。

そのため、第三者に相談内容を知られたり、プライバシーを侵害したりしないようにするために探偵事務所内でヒアリングを行うことがほとんどです。

一方で悪質な探偵業者は、連絡を受けてすぐに「伺います」と言って自宅や喫茶店を指定するケースがあります。

すぐに「伺います」と言う業者は、ターゲットの気が変わらないうちにヒアリングをして契約を持ちかけたいのです。

このように、連絡をした際に「伺います」と言って自宅や喫茶店を指定してくる探偵は、守秘義務やプライバシーに関しての意識が低いため優良な探偵とは言えません。

悪質な探偵業者に騙されてしまった時の対処法

悪質な探偵業者に騙された時の対処法と言えば、真っ先に警察を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

確かに、犯人を捕まえて刑罰を与えるという点では警察へ相談するのが一番です。

しかし警察は捕まえて刑罰を与えることはできますが、お金の返金に関しては関与できません。

そのため、お金の返金を望んでいる場合や、そもそもどの機関に相談すればよいかわからないという場合は他の対処法が適していることがあります。

対処法として考えられる以下の4つの対処法から、自分の目的に合ったものを選びましょう。

1、警察に相談する

悪質な探偵業者に騙されてしまったことに気づいたら、まずは警察に相談しましょう。

被害にあった経緯や内容を具体的に説明すると警察側で刑事事件として立件することができるかどうかが判断されます。

刑事事件として立件するかどうか判断する時に重要なのは証拠です。

証拠がないと「そもそも被害は事実なのか」「どの程度の規模の被害を受けたのか」などを警察が具体的に把握できず、証拠不十分で立件することができません。

また、刑事事件として立件できない場合、民事事件となります。

警察は民事不介入を原則としているので民事事件と判断された場合は捜査してもらうことができません。

もし刑事事件と判断され捜査を依頼できた場合でも、警察ができるは犯人を捕まえて刑罰を与えることです。

返金を目的としている場合は弁護士や他の探偵に依頼するのがよいでしょう。

2、弁護士や他の探偵に相談する

弁護士は法律行為を行うことができる権限を持っているため、「お金を取り戻したい」「契約を解消したい」という場合に依頼する機関です。

ただし、弁護士だけでは返還請求や解約の交渉を行うことができないケースがあります。

弁護士だけでは返還請求や解約の交渉を行うことができないケースとは、事実調査や証拠集めが不十分だったケースです。

弁護士は証拠を元に返還請求を行ったり、解約の交渉を行ったりするため、証拠が不十分のままでは対応することができません。

事実調査や証拠集めができていない場合は、それらを専門としている他の探偵に調査を依頼しましょう。

探偵も警察と同様に、尾行や張り込みが許可されています。

警察と異なるのは民事事件にも対応している点です。

警察で民事事件と判断されなかった場合や証拠がなく弁護士に相談できない場合は、事前調査や証拠集めの専門家である探偵に相談しましょう。

3、国民生活センターや消費者ホットラインに相談する

国民生活センターは、消費者トラブルに関する相談受付や、消費者の生活に関する情報を収集し研究を行っている機関です。

国民生活センターの相談窓口では、過去に同じような被害相談がなかったか、同じ探偵へのクレームが上がっていないかなどを過去のデータから調べ、今後の対応についてのアドバイスを受けることができます。

このように、国民生活センターは警察、弁護士、探偵のように直接被害に関する実務を行う機関ではありません。

あくまで被害に関する相談に乗ってくれたり、アドバイスを受けられたりする補助的な機関として利用しましょう。

国民生活センターのメリットは完全無料で相談することができる点です。

「今後の対応に迷っている」「お金がかかるから弁護士や探偵に相談する勇気がない」という方は一度国民生活センターに相談してみるのもよいでしょう。

条件を満たせば消費者契約法や特定商取引法違反で契約を取り消すことができる(個人のみ)

悪質な探偵業者がターゲットに契約させるために行う手口の中には、消費者契約法や特定商取引違反になるものがあります。

例えば、探偵事務所や依頼者の自宅において、帰る旨を伝えたにもかかわらず帰ることを許されず契約させるようなケースは消費者契約法違反です。

また、詐欺被害の解決・返金をうたって電話をかけさせたり、本来の目的とは異なる契約内容を勧誘したりするケースは特定取引商法に違反しています。

個人で契約した場合は取消権やクーリング・オフ制度を行使して契約を取り消すことが可能です。

一方で、法人で契約した場合はクーリング・オフが適用されないので注意しましょう。

消費者契約法で取消しできる期間は、追認をすることができる時から1年間、契約締結の時から5年間です。

「追認することができる時」とは、契約に違法性があり、消費者契約法によって取消しできると認識した時のことを指します。

一方で、クーリング・オフ制度で取消しできる期間は契約書の交付・告知などの日から8〜20日です。

クーリング・オフ制度は理由がなくても行使することができますが、消費者契約法による取消では、探偵業者側と争うことになると消費者側が誤認したことを立証する必要があります。

消費者契約法に基づいた取消やクーリング・オフ制度の利用については国民生活センターなどに相談しましょう。

悪質な探偵業者に騙されないための予防法

詐欺解決をうたう悪質な探偵業者に騙されないためには「いかに良い探偵を見つけるか、見分けられるか」が重要です。

悪質な探偵業者と同様に、良い探偵業者にも以下のような共通する特徴があります。

  • 法人が運営している
  • 警察OBが在籍している
  • 営業所に探偵業届出番号が掲示されている
  • 料金がある程度明示されている

優良な探偵は経歴や探偵届出番号、料金などの情報をきちんと開示している傾向があります。

一方で悪質な探偵は開示していなかったり、あやふやにしていたりすることがほとんどです。

経歴や探偵届出番号、料金などの情報を依頼者側から確認してもはっきり答えない場合は悪質な探偵の可能性が高いので絶対に契約しないようにしましょう。

解決や返金を約束できる探偵はいない!あくまで調査の専門家!

悪徳な探偵業者に騙されないために一番重要なのは「解決や返金を約束できる探偵はいない」と知っておくことです。

探偵業者はあくまで事実調査や証拠集めなどの調査の専門家です。

「解決」「返金」という言葉で近づいてくるのは悪質な探偵業者である可能性が高いので契約しないようにしましょう。

もしすでに騙されてしまっている場合は、被害が拡大しないうちにすぐに第三者に相談することが大切です。

本記事で紹介した3つの対処法を参考にして目的に合った適切な第三者に相談しましょう。

※1:独立行政法人国民生活センター「探偵業者による消費生活相談」

※2:警視庁生活安全局生活安全企画課「令和2年中における探偵業の概況」

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