【投稿日】 2021年10月26日 【最終更新日】 2022年10月27日
ビジネスにおいて取引を行う前に実施される信用調査(与信調査)。
取引前にリスクを把握することができる大切な調査ですが、そもそもどのような方法で行われているのかイメージができないという方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、信用調査を行う方法を詳しく解説しながら、流れや適切な依頼先について解説いたします。
SAT探偵事務所 京都本部の代表取締役社長。
浮気調査や人探しといった個人向けのメジャーな調査はもちろん、他所では受任できない難度の企業向けの調査(信用調査、与信調査、M&A時等におけるDD 等)や経営コンサルティング業務にも従事している。
そもそも信用調査(与信調査)とは?
企業の信用調査(与信調査)とは、企業同士が取引を行う際に取引相手となる企業に対して、主に支払い能力の有無や経済状況を調査するものです。
信用調査の大きな目的となるのは支払い能力や経済状況についての調査ですが、新規の取引先に対しては「信用できる取引先かどうか」「与信額はいくらに設定すべきか」などを検討する際にも用いられます。
つまり、広義では「取引する相手として信用できるかどうかを見極めるための調査」と表現できます。
そのため、支払い能力の有無や経済状況はもちろん、不動産状況や調査対象企業の取引先など様々な項目から調査を行うのが一般的です。
信用調査(与信調査)が重視される理由
信用調査(与信調査)が重視されるのは、支払い能力がない企業と取引をしてしまうと代金未回収になるリスクがあるからです。
企業間の取引は掛取引が主流となっており、代金の決済は商品やサービスを提供した後であることが多くなっています。
つまり、取引先の企業に支払い能力がないにも関わらず商品やサービスを提供してしまうと、代金が未回収となり自社の資金繰りに影響が出てしまうのです。
そのような事態に陥らないためには、信用できる企業であるか取引前に調査することが重要になります。
信用調査(与信調査)はどういう流れで行われるの?
信用調査(与信調査)では、事前に社内調査を行った後、外部へ調査を委託するのが一般的な流れです。
すでに取引をしたことがある取引先であれば、基本的な情報はすでに社内にデータとして保管されています。
しかし、あくまで過去の基本的な情報であり、現在の支払い能力の有無や経済状況が確認できるものではありません。
そのため、社内にあるデータで情報を収集したあとはネット上の検索結果や無料・有料で公開されているデータベースから調査を行います。
場合によっては、次のステップで直接相手先に訪問し、社内設備や在庫状況のチェックを行います。
注意したいのは直接訪問して調査を行うと、相手先が気分を害する可能性があるということです。
調査の結果信用できる企業であることが判明しても、調査を行ったことで相手先からの信用を落としてしまい、取引がうまくいかなくなる可能性があります。
相手先との関係性が築けていない段階では直接訪問することは避け、調査機関へ依頼しましょう。
信用調査(与信調査)を行う方法
信用調査(与信調査)は以下の4つの方法を組み合わせて行われます。
- 方法1:社内調査
- 方法2:直接調査
- 方法3:外部調査
- 方法4:依頼調査
それぞれの調査方法について詳しく見ていきましょう。
方法1:社内調査
社内調査とは、社外に依頼して調査を行う前に自社で行う調査を指します。
社内に保管されている取引情報から信用情報を収集するのが基本ですが、取引を行った担当者へヒアリングを行うことも有効です。
しかし、社内でのデータ収集やヒアリングだけでは得られる情報が限られてしまうため、以下でご紹介する複数の方法を組み合わせて調査を行うのがよいしょう。
方法2:直接調査
直接調査は相手先に訪問したり、電話やメール、FAXを用いたりして調査を行う方法です。
相手先が遠方にある場合には電話やメール、FAXを用いた調査が便利ですが、実際の企業の雰囲気や仕事の様子を確認できるという点では訪問調査の方がより正確な情報を得ることができます。
また、担当者へヒアリングを行うことで、目には見えなかった内部の情報を得ることができる可能性もあります。
ただし、前述した通り調査対象企業が気分を害する恐れがあるため、事前に調査を行う目的や理由について共有しておくことが大切です。
方法3:外部調査
外部調査は大きく分けて以下の3つの調査に分けられます。
- ①官公庁調査
- ②検索調査
- ③側面調査
一つ目の官公庁調査は法務局で閲覧できる商業登記簿謄本や不動産登記簿謄本を確認する調査方法です。
商業登記簿謄本では、商号や所在地の変更頻度をはじめ、役員変更の経緯などが分かります。
特に注目すべきは役員欄や所在地の変更頻度です。
役員全員が交代した経歴があったり、所在地が転々としていたりするのは詐欺を行う企業の特徴です。
詐欺を行っていない企業であっても上記のような情報が商業登記簿謄本に記載されている場合は信用できる企業とは言えません。
一方で不動産登記簿謄本では、抵当権や不動産所有者についての情報を確認することが可能です。
商業登記簿謄本や不動産登記簿謄本は経営状況を確認できるので必ずチェックしましょう。
二つ目の検索調査とは、インターネット上の検索結果や企業情報に関するデータベースを利用して調査を行う方法です。
調査対象企業がインターネット上で公開している役員人事や決算報告などの情報を商業登記簿謄本と照らし合わせ、事実と異なる点はないか調査みるのも信用調査を行う上で大切な作業の一つです。
インターネットで企業名や代表・役員の氏名で検索するだけでも様々な情報が手に入ります。
三つ目の側面調査は、直接調査と同時に行われる調査です。
主に相手先に直接訪問して得た情報が正しいかどうかをチェックします。
裏付けの根拠となるのは相手先の取引先企業や本店を置くビルのオーナーなどにヒアリングして得た情報です。
ただし、そもそも裏付けの根拠となる情報が正しくなければ元も子もないため、信ぴょう性の高い情報を提供してもらえる人物にヒアリングを行いましょう。
方法4:依頼調査
依頼調査は自社で行った調査では不十分だと判断した場合に行われる調査です。
主に「照会調査」と「依頼調査」の2つに分けられます。
照会調査とは、相手先の関係先に経営状況についてヒアリングをするという方法です。
関係先へのヒアリングによって相手先に関するリアルな情報を集めることができます。
一方で依頼調査とは、調査を専門として行っている民間機関に依頼して信用調査を行う方法です。
依頼調査では、社内調査や外部調査では収集できなかった情報を集めることができます。
依頼調査ならより正確な情報を偏りなく取得できる!
自社で信用調査を行う場合、うまく人手や時間を割けず調査内容が偏ってしまうケースがあります。
偏った情報を元に信用できる企業かどうかを判断してしまうと、調査が不十分だったところにリスクが隠れている可能性があり危険です。
一方で信用調査に対応している探偵や調査会社には豊富なノウハウがあるため、正確な情報を偏りなく入手することができます。
ただし、信用調査に対応している民間機関の中には、企業経営に関する知識が乏しかったり、情報を得ることはできるものの信ぴょう性が低かったりするところがあります。
信用調査の依頼先を選ぶ際は、まずはHPから調査内容や料金について確認した後、事務所に出向いて直接面談を行うことで知識量を確認しましょう。
信用調査(与信調査)の適切な依頼先は?
企業の信用調査の依頼先は主に以下の2つです。
- 【1】探偵
- 【2】信用調査(与信調査)専門の調査会社
探偵や信用調査専門の調査会社に依頼するメリットは、自社で調査する時間を省くことができる点や、客観的な視点から正確に調査対象会社の支払い能力の有無や経済状況を偏りなく把握することができる点です。
自社で調査を行うと、どうしても主観的な視点になるため、事実と照らし合わせることなく誤った情報を信じてしまうケースや、人手や知識が足りず満遍なく調査を行うことが難しいケースがあります。
また、調査対象企業とうまく意思疎通ができず、逆に不信感を抱かれてしまうことも考えられるため、自社で行う信用調査に慣れている場合を除いては探偵や調査会社に依頼するのがよいでしょう
依頼先を選択する際は以下を参考にしてみてください。
【1】探偵
一つ目の依頼先は探偵です。
探偵と言えば人探しや浮気調査など、個人に対しての調査を行うイメージがあるのではないでしょうか。
実際に探偵は個人に対しての調査を得意としていますが、中には信用調査や企業内調査など対企業の調査を行っている探偵があります。
探偵が企業の信用調査を行う際は以下のような方法で調査を進めていくのが一般的です。
- データ調査
- 聞き込み
- 張り込み
- 尾行
データ調査とは、相手先jが提示した基本情報(企業名、所在地、代表者など)に誤りがないかどうかを確認する調査です。
新聞や雑誌、インターネットなど、様々な媒体を活用して多角的に調査を行います。
企業の信用調査では企業経営に関する知識だけではなく、様々な視点から調査を行い客観的な事実を報告することが重要です。
また、探偵は調査会社と比較すると柔軟な対応力があるという特徴があります。
「この点をさらに詳しく調査してほしい」という要望に対して融通が聞くのは探偵です。
実際に、調査会社の手が届かない部分は下請けとして探偵事務所が入り、調査するケースも見られます。
調査力や対応力の点では調査会社よりも探偵の方が優れていると言えます。
【2】信用調査(与信調査)専門の調査会社
二つ目は信用調査専門の調査会社に依頼する方法です。
信用調査専門の調査会社の多くは公的機関の情報を集めた独自のデータベースを持っています。
独自のデータベースでは、不動産登記簿謄本や商業登記簿謄本で得た情報が収集されており、調査を依頼せずにデータベースの閲覧のみ行いたいという契約も可能です。
調査会社の調査内容や手法は探偵とほとんど変わりません。
異なるのは海外企業の信用調査に対応している調査会社があることです。
探偵の場合、海外企業の信用調査に対応している事務所はあまり見られません。
データベースの情報と併せて信用調査を依頼したい場合や海外企業の信用調査を依頼したい場合は調査会社に依頼するのがよいでしょう。
信用調査(与信調査)は客観的な視点が重要。柔軟な対応と高い調査力を求めるなら探偵に依頼しよう!
信用調査(与信調査)を行う方法には、社内調査がありますが、社内調査では収集できる情報が限定されているため調査に偏りが生じてしまいます。
費用を抑えて信用調査を行うという観点では優れているものの、適切な情報が把握できなければ意味がありません。
そのため、社内調査はあくまで依頼調査を行う前の事前準備と捉えるのがよいでしょう。
信用調査の依頼先には探偵と調査会社の2つがあります。
企業の信用調査を請け負っている探偵・調査会社であれば、どちらもビジネスや企業経営に関する知識を持っていると推測できます。
探偵と調査会社の違いは「実績」「対応力」「調査力」です。
信用調査専門の調査会社は、信用調査を専門としているだけあって実績という点では探偵に勝ります。
しかし一方で、調査力や対応力から考えると日頃から難易度の高い調査を行っている探偵の方が優れていると言えます。
対応力や調査力を重視して依頼先を選びたい場合は探偵に依頼しましょう。