【投稿日】 2023年2月25日 【最終更新日】 2023年2月27日

上場企業や大手企業などは、取引先としての信用を確かめるために、新規取引先に対して「決算書の提出」を依頼することがあります。

しかし、中には新規取引先がその決算書の提出を断るケースもあります。

一体どうして、決算書の提出を断ってしまうのでしょうか。

そこで今回は、「どうして決算書の提出を断る新規取引先企業がいるのか」について、考えられる3つの理由をご紹介します。

決算書とは?

決算書とは、「企業の1年間の経営状態」や、財務状況などを明らかにするために作成する書類のことです。

一般的には、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などを指し、特にこの3つの書類を「財務三表」といいます。

それぞれ簡単に説明すると、次の通りです。

  • 貸借対照表(「バランスシート」または「B/S」とも):会計期間末時点において企業が保有する資産・負債・純資産を記載した書類
  • 損益計算書(P/L):会計期間における企業の損益状況(収益・費用)を記載した書類
  • キャッシュフロー計算書(C/F):会計期間における企業の現金や現金同等物(キャッシュ)の流れを記載した書類

決算書を作成する目的

企業が決算書を作成する主な目的は、報告です。

国や、株主、利害関係者に企業の経営状態を報告する目的で決算書は作られます。

目的1:経営陣が株主に資金の運用状況を報告するため

上場企業などの株式会社では所有と経営、それぞれの母体が分離しています。

所有者を株主、経営者を経営陣とした場合、お互いの関係は以下のようになります。

株主による出資

出資金をもとに経営陣が経営

経営により利益を得る

株主に配当金支払いという形で還元

株主としては、自身の出資金がどのように運用されたかを知りたいものです。

その際、経営陣が株主に資金の運用状況を報告するために、決算書を作成します。

目的2:利害関係者に経営状態を判断してもらうため

利害関係者とは、投資家、取引先、顧客などのことを指し、ステークホルダーとも呼ばれます。

上場している株式会社には「金融商品取引法」に基づく決算書の開示義務があるので、利害関係者は、開示資料を見ることによって決算内容を知ることができるのです。

また、未上場であっても会社法上の大会社(資本金5億円以上、または負債合計額200億円以上)に該当する場合は、貸借対照表と損益計算書の開示義務があります。

開示されている決算書の内容を確認して、投資家はその企業に出資するかどうかの判断が可能です。

さらに取引先は、その企業との取引の継続や取引条件などを検討できるようになります。

企業が決算書の提出を求められるケース

企業が決算書の提出が求められるのは、主に国への確定申告や、融資審査、上場企業や大手企業との新規取引などを行う場合です。

ケース1:法人税の確定申告

企業が法人税の確定申告をするときには、決算報告書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、販売費及び一般管理費の明細など)を提出する必要があります。

ケース2:金融機関が融資審査

企業が金融機関に融資を申し込む際には、「融資を行っても大丈夫かどうか」の判断資料として、決算書の提出が求められます。

ケース3:上場企業や大手企業との新規取引

上場企業や大手企業などが、決算書の開示義務のない企業と新規取引を始める際、取引の開始前に決算書の提出を求めてくることがあります。

これは、その新規取引先の支払い能力や経営状態を確認するために決算書の提出を求めているのです。

決算書の提出をお断りしてくる3つの理由

上場企業や大手企業などは、新規取引先に対して決算書の提出を求めてくることがありますが、新規取引先の中には決算書の提出を断っててくる会社もあります。

断る理由は各社それぞれ違いますが、「見せられない何らかの事情がある」ということです。

理由1:経営状態が悪いから

決算書の提出がされない理由のひとつとして、その新規取引先の経営状態が悪く、「決算書を見られると、取引を断られる可能性が高いのでは」と考えているケースが挙げられます。

その企業は、過去に経営状態が悪いことを理由に、取引を断られた経験があるのかもしれません。

結果的に、決算書の開示を恐れているのです。

理由2:法的な開示義務がないから

決算書の開示がなされないケースとしては、開示を依頼した相手であるその新規取引先が、金融商品取引法や会社法における大会社に該当せず、決算書の開示義務がないと考えているから、というものもあります。

理由3:経営状態を知られたくないから

これは、その新規取引先が単純に自社の経営状態を外部に知られたくないと考えているからです。

この場合、必ずしも経営状態が悪いというわけではなく、経営状態が良好な場合であっても外部には知られたくないと考えている経営者はいます。

新規取引先が決算書の提出を断ってきた場合の対応

こちらが新規取引先に「決算書を提示してほしい」と依頼したにも関わらず、それが断られた場合には、以下のような対応が考えられます。

対応1:新規取引を中止する

新規取引先から決算書の提示がされない場合、自社としてはその新規取引を開始せずに終わるという方法を取ることが考えられます。

この方法を選ぶのは、その新規取引先が自社にとってそれほど重要な企業ではなく、代わりに他の取引先がある場合です。

相手企業へは、取引を中止する理由として、「決算書の提示がなかったため社内稟議が通らなかった」と正直に伝えるべきでしょう。

対応2:再度丁寧に必要性を説明して提示をお願いする

新規取引先から決算書の提示がない場合、提示が必要である理由を改めて説明し、提示を求める方法があります。

この方法を選ぶのは、その新規取引先が自社にとって必要不可欠な企業である場合です。

たとえば、新規取引先が重要な技術を持っており、その企業と取引をすることによって技術供与が得られ、自社製品の付加価値が向上し、市場でも優位に立てるというようなケースです。

対応3:調査機関・探偵事務所などに調査を依頼する

新規取引先が自社にとって必要不可欠な企業で、再度提示をお願いしても断られた場合、調査機関に決算書の調達を依頼するという方法があります。

直接の交渉による次の展望が絶望的であれば、経営状態や財務状況などを調査可能である外部の調査機関や探偵事務所といった候補が有力な選択肢となります。

調査の結果「新規取引先の経営状態が悪い」と判明することもあります。

そのときは、メリットとデメリットを比較して、改めて判断しましょう。

新規取引先が決算書の提出を断ってきた場合は、ケースバイケースで対応を考えよう!

今回は、「新規取引先が決算書の提出を断ってくる3つの理由」と、「その後にとるべき対応」などについて説明しました。

自社が新規取引先をどのような位置づけで考えているのか、どの程度重要なのかによってその後の対応は変えるべきです。

ぜひ自社と相手の利害関係を踏まえ、ケースバイケースで考えてみてください。

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新規取引先から決算書の提出を断られたということは、相手側に決算書を出せない何らかの理由があるということです。

そのまま取引を中止するのが一番無難ではありますが、どうしてもその企業との新規取引を進めたいが、決算書など経営状態の把握は必須、という場合には、探偵事務所SATにお任せください。

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