【投稿日】 2023年2月27日 【最終更新日】 2023年2月27日

企業が倒産する前には必ず何らかの予兆があります。

その予兆を見逃さずに早くつかんで、適切な対応をしておくことが必要です。

そこで今回は、取引先の倒産による自社への影響や損失を最小限に抑えるために、企業が倒産する5つの予兆と、取引先にこのような予兆があったときに、どうやって自社や取引先の安全性を客観的に確認するのか、などについて詳しく解説します。

倒産とは?経営破綻とはどう違う?

倒産とは、企業が債務の支払い不能に陥ったり、経済活動を続けることが困難になった状態を指す言葉です。

倒産は法律用語ではありませんが、「法的倒産」と「私的倒産」の2つに大別されます。

「法的倒産」は「法律上の倒産」ともいい、法的手続に基づき裁判所によって「倒産状態にあると認められた」状態のことです。

一方「私的倒産」は「事実上の倒産」ともいい、法的には「倒産状態にあると認められていない」状態ですが、実際に「法律上の倒産」と同じような状態にあることをいいます。

法的倒産と私的倒産を細かく分類すると、以下の表のようになります。

法的倒産 民事再生法 民事再生法に基づく倒産手続で、企業が存続するために一定の財産の保有を認めて債務を圧縮して、企業の経済的な更生を図るものです。
企業自身が手続きを行い、裁判所から選任された監督委員が手続きの進行を監督します。
会社更生法 大企業を想定した会社更生法に基づく倒産手続で、企業が存続するために一定の財産の保有を認め、債務を圧縮して企業の経済的な更生を図るものです。
経営陣の刷新が必要で、裁判所から選任された更生管財人が手続きを行います。
破産 破産法に基づく倒産手続で、裁判所から選任された破産管財人が破産者の財産を処分清算します。
清算して得られた金銭は、債権者に弁済・配当されます。
特別清算 会社法の特別清算規定に基づく倒産手続で、企業の資産や財産をすべて処分清算することによりその企業は消滅します。
基本的に、清算人が手続きを行います。
私的倒産 銀行取引停止 企業や個人が6カ月間に2度小切手や手形の不渡りを出すと「手形交換所取引停止処分」を受けます。
この処分を受けるとその後2年間は、当座勘定や貸出しの取引をすることができません。銀行取引ができない状態とは「事実上の倒産」を意味します。
内整理 企業が支払不能や債務超過に陥った場合に、法的手続きをとらずに債権者と話し合って債権債務の整理を行うことをいい、「事実上の倒産」の状態となります。

最近では「経営破綻」という表現が使われることがありますが、これは債務の弁済が滞り、企業経営が存続できない状態を意味します。

経営破綻は倒産とほぼ同じ意味合いですが、企業が消滅する破産などと違って、「再建型の倒産」のことを指しています。

企業が倒産する5つの予兆

企業が倒産する前には、必ず何らかの予兆があるといわれています。

その企業の取引先(販売先・仕入先)としては、一刻も早くその予兆をつかんで倒産に巻き込まれないように、対策を講じたいところです。

「連鎖倒産」にならないよう、企業が倒産する前の、よくある5つの予兆について知っておきましょう。

【予兆1】支払い期日の延長要請

販売先が倒産する予兆としては、経営状態の悪化や資金繰りの悪化があります。

経営状態・資金繰りの悪化の予兆とは、販売先からの「支払い期日の延長要請」です。

支払い期日の延長を求めてくるということは、「支払い期日までに資金が集まらない」という理由があると考えられ、資金繰りが苦しくなっていると予想できます。

このように、販売先からの支払いが遅れだした場合は、資金繰りの悪化や売上減少などによって経営が苦しくなっている可能性があります。

【2】支払い期日の前倒し要請

支払い期日の延長要請とは対照的に、仕入先から「支払い期日を前倒しして、早く支払ってほしい」という要請があった場合は、「仕入先の資金繰り悪化」の可能性があります。

「何らかの支払いをしたいが、資金がなくできない…」という状態であり、支払い期日よりも前に支払いをしてもらうことで、資金を確保したいという意図が考えられます。

一時的に資金繰りが悪化している場合もあるので、2〜3ヶ月連続でこういった要請が続くようであれば、倒産の予兆として考えても良いと言えるでしょう。

【3】取引先の役員や従業員の突然の退職

企業の役員や経理部門の責任者などは、自社の経営状態が良くないことや資金繰りが悪化していることなどが早期に把握できます。

そのため、会社が倒産してしまう前に役員や経理部門の責任者などがリスクを恐れて辞めてしまうことがあります。

取引先(販売先・仕入先)の役員や、経理部門の責任者などが理由もなく突然辞めてしまった場合は「要注意」と考えた方が良いでしょう。

【4】従業員の解雇や希望退職の募集

経営状態が悪化してくると、企業は人件費を削減するために従業員を解雇したり、希望退職者を募集することがあります。

会社都合による従業員の解雇は法的に難しく、また従業員への給与を減額することもできないため、希望退職者を募ることが多いのです。

希望退職者には既定の退職金に加えて割増金を支払うことが多いため、希望退職者を募った時点ではまだ資金には余力があるといえます。

しかしながら、先々の見通しが良くないために固定費である人件費を少しでも削減しておきたいという考えもあるはずです。

いずれにしても、解雇や希望退職募集がおこなわれた企業は、先行きが明るくないことを示している可能性が高いです。

【5】社長や役員などの不在の増加

ある企業の経営が悪化して資金繰りが苦しくなってくると、社長や役員などが金融機関や取引先に出向くことが増えるため、会社に不在になりがちなことがあります。

経営陣が金融機関に足を運ぶ理由は、主に新規借入の要請や借入金の返済についての交渉をするためです。

一方、取引先に出向く理由は、支払い方法の見直しについての依頼をしたり、何らかの交渉をしにいくためだと考えられます。

【6】税理士の来訪頻度の増加

企業には、顧問契約を結んでいる税理士や公認会計士がおり、通常であれば月に1回程度来訪し、1カ月間の税理業務を行います。

しかし、経営が悪化して資金繰りが苦しくなってくると、金融機関への融資依頼や取引先との支払い交渉を行うための事前打ち合わせなどが必要となり、来訪頻度が増えてきます。

このように、従来より多い頻度で税理士が来訪する状態も、倒産の予兆と考えることができます。

自社や取引先の安全性を確認するには?

取引先の倒産は、利害関係にあるいずれの企業にとっても重大な事態であり、自社への影響を極力軽減する必要があります。

そのため、「取引先の倒産の予兆」をつかんだ場合、自社の安全性を確認する意味でも、次の3つのことを確認しましょう。

【確認事項1】取引先の現状を正確に確認する

取引先に倒産の予兆がみられた場合、どのような段階か、また誰からの情報によるかなどによって違ってきますが、噂レベルの段階では、そちらを根拠に軽率な判断をすべきではありません。

まずは、正確な情報収集が必要です。

具体的には、取引先や噂の出どころに直接出向いて話を聞いたり、取引先と親密な関係にある第三者に話を聞く方法などが考えられます。

【確認事項2】取引先に対する債権・債務を確認する

取引先の倒産による自社への影響や損失を最小限に留めたいのであれば、その取引先との間にどのような債権や債務があるのかを改めて確認しておきましょう。

特に販売先の場合は、「未回収の売掛金」がいくらあるのかを正確に確認しておく必要があります。

【確認事項3】取引先との取引条件の変更を検討する

取引先の経営状況が悪化している場合は、予定通りの債権が回収できない可能性などがあるため、従来通りの取引を続けるわけにはいきません。

しかし、継続的な取引が行われている場合は、自社から一方的に取引を解消することは難しいと言えるでしょう。

その場合は、取引条件の変更などの検討が必要となります。

いずれにせよ、取引契約書や法に則った対応をする必要があります。

取引先の倒産の予兆をつかんだら、まずは正確な情報収集を!

今回は、「企業が倒産する際に見せる5つの予兆」と、取引先の倒産の予兆をつかんだ際には自社の安全性を確認する項目などについて解説しました。

取引先の倒産の影響は最小限に抑えなければなりませんが、予兆をつかんだら、まずは正確な情報収集を行うことが必要です。

焦って先走ってしまい、法的に許されない行動や自分たちが不利になる行動を起こさないように、十分に気をつけてリスクヘッジをしていきましょう。

企業の信用調査や動向調査などは探偵事務所SATまで!

取引先やパートナー企業が倒産する予兆などを、自社で事前に察知する方法はいくつかありますが、限界があります。

仮に取引金額が大きかったり、売上の大部分を1つの企業が占めていたり、「この企業に倒産されたら自社の経営が成り立たない…」という場合には、自社で調査するだけではなく、

探偵など、調査の専門家に依頼し、信用調査や動向調査を依頼するのがおすすめです。

探偵事務所SATでは、取引先やパートナー先企業の信用調査や動向調査など、企業に対するあらゆる調査を承っております。

次のように、取引先やパートナー先の企業に何らかの倒産の予兆が見られた際には、探偵事務所SATまでご依頼ください。

  • 取引先企業の不払いが2〜3ヶ月続いている
  • メインの取引先の企業が倒産寸前だという噂を聞いた
  • 取引先企業の役員が突然数人辞めた

事前に倒産の可能性が高いことを察知することができれば、自社を守るためにできる選択肢も多くなります。

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