【投稿日】 2021年10月30日 【最終更新日】 2022年10月27日
人探しや浮気調査のイメージを持っている方が多い探偵。
調査を依頼したいと思っても、「これって依頼できるのかな」「どこまで調べてくれるんだろう」と探偵の調査範囲についてはっきり理解できていない方も多いのではないでしょうか。
実は探偵はできることの範囲や調査手段が法律によって定められています。
今回は探偵に調査できることの範囲を具体的に紹介しながら、依頼できる調査内容について詳しく解説いたします。
SAT探偵事務所 京都本部の代表取締役社長。
浮気調査や人探しといった個人向けのメジャーな調査はもちろん、他所では受任できない難度の企業向けの調査(信用調査、与信調査、M&A時等におけるDD 等)や経営コンサルティング業務にも従事している。
探偵にできること
探偵と言えば、浮気調査や人探しを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
実は、浮気調査や人探し以外にも以下のような調査を行うことができます。
浮気調査 | パートナーや配偶者の浮気・不倫の証拠を掴む |
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人探し | 行方不明者や家出人の居場所を調査する |
企業調査 | ・雇用にともなう身元調査や素行調査を行う ・M&Aや取引に伴うトラブルを避けるため、対象企業の経営状態を調査する |
素行調査 | 対象人物の日頃の行いやを調査する |
嫌がらせ調査 | 嫌がらせを行う人物の特定や嫌がらせを行う理由を調査する |
探偵業法により、探偵は張り込み・聞き込み・尾行を行うことが許可されています。
そのため、探偵は調査報告書に写真や動画などの証拠を添えて依頼者に提出することができるのです。
探偵が調査によって取得した証拠は警察を動かしたり、裁判で証拠として提出したりすることが可能です。
探偵の調査内容であまり知られていないのは、浮気調査や人探しなど個人の依頼だけではなく、企業調査や信用調査などの法人の依頼も受け付けている点です。
専門の調査会社も増えていますが、細かい点で融通が聞くという点では探偵の方が優れています。
探偵に依頼するのはハードルが高いと感じている方もいるかもしれませんが、嫌がらせ調査などの身近なトラブルに関する調査も受け付けているので、些細なトラブルであっても探偵に相談することをおすすめします。
探偵にできないこと
探偵は違法性がある行為や調査対象者の権利やプライバシーを侵害するような調査は行うことができません。
実際に探偵業法には探偵業務実施の原則として以下のように定められています。
探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者は、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。
引用元:探偵業法第六条一部抜粋
具体的には以下のような調査は行うことができません。
- 犯罪歴の調査
- 盗聴器を用いた調査
- 口座残高・借金・クレジットカードの残高調査
- ストーカー目的の調査
- 復讐目的の調査
- 別れさせ工作
きちんとした探偵事務所であれば上記のような調査を行うことはありませんが、中には依頼を受けているところもあります。
「手段は問わないからとにかく調査をしてほしい」という方には好都合かもしれませんが、料金面などで後々トラブルになる可能性が高いです。
また、違法な調査を依頼して探偵が違法行為を行った場合、探偵だけではなく依頼者も責任をとる必要が出る場合があります。
依頼した際に対応できない調査内容であればできないとはっきり伝えるところは良い探偵と言えます。
いやがらせや復讐を目的とした依頼や違法性がある調査は基本的に断られる!
前述した通り、探偵は違法性がある行為や調査対象者の権利やプライバシーを侵害するような調査はできません。
契約前に行われるヒアリングでは、依頼内容を確認して料金や調査スケジュールを検討する目的の他に、違法性がある調査や調査対象者の権利・プライバシーを侵害するような調査ではないかを確認する目的もあります。
違法性がある行為とは、聞き込み・張り込み・尾行またはそれに類する行為以外の調査方法を駆使して調査を行うことです。
例えば、盗聴・盗撮やマンションの敷地内に入って調査を行うことなどは違法行為に当たります。
盗撮や盗聴などの調査方法を使わなければ調査することができないような依頼は引き受けることができません。
調査対象者の権利やプライバシーを侵害するような調査とは、依頼者がストーカーやDV、いやがらせを目的として調査を依頼している場合です。
上記のような調査を引き受けているような探偵には注意しましょう。
【調査内容別】探偵にできることの範囲
探偵が請け負っている調査全体のできること、できないことについて解説しました。
しかし、なかなかイメージが湧かない方もいるのではないでしょうか。
そこでここからは「浮気調査」「人探し」「素行調査」「企業調査」の4つの調査に絞って探偵にできること、できないことの範囲を解説します。
【1】浮気調査
浮気調査で探偵ができることとは以下のような調査です。
- 浮気の証拠取得
- 浮気相手の素性調査
- パートナーの行動調査(会った人物・訪れた場所・買ったものなど)
- 浮気相手との親密度
一方で、以下のような調査は行うことができません。
- パートナーのLINEやSNSのメッセージを調査する
- パートナーの自宅や会社に侵入する
浮気調査は「浮気をしているかどうかを確かめたい」「浮気の証拠を掴みたい」という場合に行われる調査です。
パートナーが浮気をしていることを知っていても、証拠がなければ訴えることも別れてもらうこともできません。
浮気調査に必要となる張り込みや尾行を行うことを許可されているため、不貞行為や浮気の事実があった証拠や浮気・不倫相手の情報を押えることができるのです。
一方でパートナーの自宅に侵入したり、スマホの中身を見たりすることは住居侵入罪や不正アクセス禁止法に抵触する可能性があるため探偵が行うことはできません。
【2】人探し
人探しの依頼では、調査対象者が残していった私物やSNSアカウントなどの情報、聞き込み・張り込みによって居場所を調査することができます。
自分で探すのであれば、ビラ配りやSNSでの拡散など、情報が提供されることを待つ手段がほとんどですが、探偵は聞き込みや張り込みなどの手法によって情報を掴みに行くことが特徴です。
自分で探しても見つからなかったという場合には探偵に依頼するとよいでしょう。
ただし、調査対象者が見つかっても「居場所を知られたくない」という意思があった場合には依頼者に調査対象者の居場所を伝えることはできません。
その理由は、依頼者がDVやストーカーなどを目的として調査対象者を探している可能性があるからです。
一方で、「居場所を伝えてもかまわない」と伝えられた場合は依頼者に対して具体的な居場所を開示することになります。
もしもヒアリングの段階でDVやストーカー行為が目的であることが分かれば、依頼自体を断られる可能性が高いので注意しましょう。
【3】素行調査
素行調査では、恋人や友人の素行調査だけではなく、社員や取引先の役員などの法人単位での素行調査も行うことが可能です。
具体的には以下のような依頼内容が素行調査にあたります。
- 夫が隠れてギャンブルに通っているかもしれないので、本当のことを知りたい
- 内定者の素性や経歴について調査してほしい
- 取引先の信用性を確認したい
- 恋人の学歴や職歴が事実と異なるという噂があるので確認したい
素行調査で収集できるのは学歴や結婚・離婚歴、交友関係、借金、資産に関する情報です。
聞き込み、張り込み、尾行などの調査方法を使いながら素行を調査していきます。
依頼内容によっては写真や動画などの証拠を提出することが可能です。
素行調査は「自分でもできるのでは?」と思われがちですが、調査対象者にバレずに裁判でも使えるような証拠を掴むことができるという点では探偵の方が確実に優れています。
【4】企業調査
探偵は財務・資産に関する調査や身辺調査、信用調査など企業経営に関わる調査を行うことができます。
主に以下のような調査内容が企業調査にあたります。
- 社員の勤務状況に関する調査
- 社員の私生活に関する調査
- 中途採用時の身辺調査(身元調査・信用調査)
- 取引前の企業に関する調査(信用調査・反社チェック)
- 取引中の企業に関する調査
企業調査の中には企業内調査や雇用調査、信用調査など様々な種類の調査が含まれており、調査内容によって調査方法が異なります。
企業内調査や雇用調査では、主に身辺調査や身元調査など個人に対して調査を行うことになります。
企業内調査や雇用調査など、個人に対する調査で探偵ができることは撮影調査(企業の施設内にカメラを設置)、聞き込み調査、張り込み・尾行調査による調査です。
依頼者と近しい関係であればあるほど「○○さんに限って悪いことをするはずがない」と決めつけてしまいがちですが、探偵であれば様々な調査方法を使って第三者視点から調査を行うことが可能です。
また、取引前や取引中の企業に関する調査では、取引先の資本金や売り上げ、負債、破産歴、訴訟関連情報などについて調査することができます。
信用調査では、相手企業が提示する基本情報に偽りがないかを確認するデータ調査や聞き込み調査、張り込み・尾行調査を用いて調査を行います。
信用調査は他の調査よりも高い調査力と企業の経営状況や将来性などの分野への知識が必要となるため、すべての探偵事務所が依頼を受けているわけではない点が特徴です。
聞き込み・張り込み・尾行が可能かつ依頼内容に違法性がない調査は探偵に依頼できる!
探偵は違法性がある調査は一切行うことができません。
中には限りなく黒に近い調査を行っている探偵もありますが、そのような探偵に依頼することはおすすめできません。
なぜなら、違法性が認められれば依頼者が問われる可能性があるからです。
一方で、違法性がなく、張り込みや聞き込みなどの調査方法を用いて調査できる内容であれば探偵は依頼を受けることができます。
もしも「これは依頼できるのだろうか」という調査について自分で判断できない場合には、電話やメールなどで問い合わせてみるのがよいでしょう。
調査できない依頼内容であれば、「できません」とはっきり伝えてくれるような探偵は信頼性の高い探偵であると言えます。