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警察OBが教える!被害届が受理されない主な理由と、受理されるためにはどうすべきかを紹介!
【投稿日】2021年11月6日
犯罪の被害に遭ったら一番に相談すべきなのは警察です。
しかし、被害を受けて被害届を提出したのに「受理してもらえない」というケースが後を絶ちません。
実は事前準備をせずに行き当たりばったりで被害届を提出してしまうと、警察が被害の全容を正確に把握できず、被害届を受理できないことがあります。
そこで今回は警察に被害届を提出しても受理されない場合の対処法について解説いたします。
警察に被害届を提出しても受理されないって本当?その理由は?
そもそも、日本の犯罪捜査規範には以下のように定められているため、基本的に提出された被害届は受理しなければなりません。
警察官は犯罪による被害の届出をする者があったときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。
引用元:犯罪捜査規範61条
しかし実際には被害届が受理されないケースがあります。
警察で被害届が受理されない理由は以下の2つです。
- 民事事件だと判断されたから
- 被害に遭った証拠がないから
そもそも警察には民事不介入の原則があるため、民事事件には介入することができません。
民事事件とは、「お金を貸したのに期日を過ぎても返してもらえない」など、当事者同士で解決が可能な事件のことを指します。
民事不介入の原則により、警察が民事事件であると判断した場合は被害届を受理することができないのです。
また、被害の事実を証明する証拠がない場合や、申告内容が曖昧な場合も警察は被害届を受理してもらえない場合があります。
なぜなら、犯罪として成立するかどうかの判断ができないからです。
例えば、「財布がなくなった」という事実だけで被害届を提出しようとしても、盗まれたのか落としたのかどうかの判断ができないため、被害届は受理してもらえない場合があります。
また、被害届を提出する人の中には、民事事件を有利に進めることを目的としている人や、いたずら・嫌がらせ目的で被害届を提出しようとする人がいます。
本来の目的とは異なる目的で被害届を提出することを防ぐためにも、被害届は受理されないことがあるのです。
つまり、警察は被害届を受理しないのではなく、受理できないケースがあるということです。
では、本当に犯罪の被害に遭った場合に、スムーズに被害届を受理してもらうためにはどのようにすればよいのでしょうか。
警察に被害届を受理してもらうために必要な事とは?
警察に被害届を受理してもらうためには被害の事実を証明することが重要です。
被害の事実を証明するためには以下の3つの事が必要になります。
- 必要な事1:客観的証拠
- 必要な事2:被害状況が分かる説明
- 必要な事3:医師の診断書(身体的な被害を受けた場合)
必ずしも3つすべてが必要になるわけではありませんが、なるべく揃えておくと警察は被害届を受理しやすくなります。
警察に被害届を受理してもらうために必要な3つの事の詳しい内容は以下の通りです。
必要な事1:客観的証拠
必要なことの1つ目は被害に遭ったことを証明でき、犯人の特定に繋がるような客観的証拠です。
被害の事実を証明できる証拠だけでも被害届が受理される可能性はありますが、犯人の特定に繋がる証拠を併せて提出することで警察は被害届を受理しやすくなります。
なぜなら、すべての事件を一から捜査すると、警察の人員や時間が足りなくなってしまうからです。
そのため、犯人の特定に繋がるような証拠がない場合は被害届が受理されないか、受理されたとしても捜査が開始されない場合があります。
例えば煽り運転の被害に遭った場合、ドライブレコーダーの映像が客観的証拠となります。
ドライブレコーダーの映像は犯人の特定にも繋がる有力な証拠です。
ドライブレコーダーの映像のように、被害に遭ったことに気づいた時点でまずは身の回りの証拠を確保していくことが大切です。
必要な事2:被害状況が分かる説明やデータ
必要な事の2つ目は被害状況が分かる説明やデータです。
申告内容が曖昧である場合は、警察は被害状況を確認することができないため、被害届を受理することができません。
警察に被害届を提出する際は自分で書面を作成する方法と警察官が代筆する方法があります。
被害届の出し方は自分で書面を作成して提出する方法が一般的です。
自分で書面を作成する場合も代筆してもらう場合も、提出時に口頭でいくつか質問をされる可能性があります。
被害に遭った経緯や内容は論理的に説明できるようにしておきましょう。
必要な事3:医師の診断書(身体的な被害を受けた場合)
身体的な被害を受けた場合は医師の診断書を持参しましょう。
例えば、傷害事件に遭ったとしても傷害の種類や程度、被疑者の行為による怪我なのかどうかを証明できなければ傷害事件として立件することは難しいと言えます。
診断書がない場合は傷害を受けたという証明ができないため、傷害罪よりも刑罰が軽い暴行罪として立件されるのが一般的です。
もしも身体的な被害を受けた場合は医師の診断書を添えて被害届を提出することで被害の事実を証明することができるほか、正しい容疑で捜査してもらうことが可能になります。
警察に被害届を受理してもらうためには客観的証拠の有無がカギとなる!
上記で解説した通り、被害届を受理してもらうには被害に遭った事実を証明することが需要となります。
その際に必要となるのが客観的証拠です。
客観的証拠がないと警察は被害に遭った事実を認めることが難しいため、被害届を受理することが難しくなってしまいます。
そのため、被害届を受理してもらうためには被害の事実を証明できるような客観的証拠を集めて警察に提出しましょう。
ただ、被害届が受理されたとしても必ずしも捜査を開始してもらえるとは限りません。
なぜなら被害届には捜査を義務付ける法的効果がないからです。
そのため、あくまでも被害届は捜査のひっかけの1つとなるものとして捉えておきましょう。
被害届を受理されたのに捜査が開始されないという事態を予防するためにも、客観的証拠が重要になります。
何が客観的証拠として提示できるのか判断が難しい場合は、客観的証拠になりそうなものは全て集めて警察に提示しましょう。
客観的証拠はどのような方法で集めればいいの?
被害の事実の証明や犯人の特定ができるような客観的証拠を集める主な方法は以下の2つです。
- 【1】自分で集める
- 探偵に依頼する
自分で証拠を集める場合は基本的に今ある証拠を確保していく方法をとります。
一方で探偵は今ある証拠を確保していくだけではなく、聞き込み・張り込み・尾行によって客観的証拠を能動的に集めに行くのが特徴です。
それぞれの証拠収集方法の特徴をまとめました。
【1】自分で集める
客観的証拠は自分でも集めることが可能です。
自分で集める場合は以下のような方法で証拠を集めていきます。
- 写真・動画・ボイスレコーダーで犯行時の音声や映像を記録する
- 犯人からの着信履歴やメール、資料をコピーする
犯行の瞬間や犯人の顔、犯行時の会話などを写真や動画で撮影したり、ボイスレコーダーで録音したりすることができれば強力な客観的証拠として提示することができます。
しかし、写真や動画の撮影やボイスレコーダーでの録音は繰り返し犯行が行われるような場合でない限り難しいでしょう。
音声や映像を記録するのが難しい場合は犯行中ではなく、犯行後の現場の様子や怪我の状況を撮影しておくと被害届を提出する際に客観的証拠として提出することができます。
また、犯人からの着信履歴やメール、渡された資料はデータを保存するかスクリーンショットを撮るなどの方法で保存しておきましょう。
着信履歴やメール、渡された資料のスクリーンショットは直接被害の事実を証明する証拠にならない場合がありますが、捜査の段階で必要となるものなので保存しておく必要があります。
自分で集める方法は費用がかからない点がメリットとして挙げられますが、証拠を集めていることが相手にバレてしまう可能性や、状況によっては音声や映像を記録することが盗撮・盗難にあたってしまう可能性があります。
そのため、自分で証拠を集める場合は注意が必要です。
【2】探偵に依頼する
探偵というと人探しや浮気調査のイメージがありますが、実は犯罪の証拠収集も得意としています。
探偵は警察と同じように、張り込みや尾行、聞き込みを行うことが許可されているため、被害に遭った証拠や犯人の特定などを行うことが可能なのです。
犯人を特定する際、探偵は依頼人からの情報を元に以下のような調査を行います。
- 聞き込み
- 張り込み
- 尾行
- 定点撮影
- 行動調査
- 指紋鑑定
- 声紋鑑定
上記の調査の他にも、犯人の詳しい情報が必要な場合は身元調査を行い、名前や住所などを調べることが可能です。
また、探偵は証拠として成立するものと・しないものをしっかりと見極めて客観的証拠を集めることができます。
自分でできる限り客観的証拠を集めたものの、被害に遭った事実の証明や犯人の特定ができない場合は探偵に依頼して証拠を集めましょう。
被害届を確実に受理してもらうためには、探偵に依頼して客観的証拠を集めよう!
警察は客観的証拠から被害の規模や悪質性などを把握していきます。
つまり、客観的証拠がない状態では警察は事件を正確に把握することができないということです。
客観的証拠は自分で集められるものもありますが、犯人を特定できる証拠は自分で集めることが難しいものです。
自分で集めるのが難しい証拠は探偵に依頼し、客観的証拠を十分に揃えた上で警察に相談しましょう。
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