【投稿日】 2022年12月23日 【最終更新日】 2022年12月27日

「友人や知人、または業者などにお金またはなにか物を貸した、もしくはお金を支払ったのに音信不通になってしまった!」ということは、起こりやすい事例です。

お金や物を返してもらったり、支払われていない状態で、相手と連絡がつかなくなると不安になりますし、はじめての場合にはどう対処したら良いかが分からなくなってしまうと思います。

「詐欺にあったのかも」と疑うのも当然です。

すぐに行動し、返却もしくは返金や支払いをしてもらいたい気持ちになるかもしれませんが、まずは一旦どのような対処をすべきかを見極める必要があります。

誤った対処方法を取ってしまうと、こちらが罪に問われてしまう事もあります。

事前にどのような対応をすべきかを知っておきましょう。

今回は、物やお金を貸したり、業者などにお金を支払ったまま相手が音信不通になってしまった際の具体的な対処方法と、その注意点について解説していきます。

詐欺にあった?相手と連絡が取れない対処法

お金や物を貸したり、支払ったまま友人・知人、業者などと連絡がつかなくなった場合には、焦って催促をするのではなく、落ち着いて正しい対処方法を取ることが重要です。

むやみに行動するとそれが裏目に出てしまい、より相手が意固地になってしまったり、脅迫罪などの罪に問われてしまう可能性があります。

今後の付き合いがある友人や業者であれば、極力トラブルや、大ごとになってしまうことは避けたいものです。

電話やメールが通じないほど忙しいというケースや、入院や引っ越しなどによって連絡が取れないというケースも考えられます。

事情によってはこちらが譲歩してみることも必要になってくるかもしれません。

そのため、連絡が取れないからといってしつこく連絡をするのではなく、次のような対処法を検討してみましょう。

対処法1:訪問する

電話やメールで音信不通になってしまった人や業者で住所がわかっている場合には直接訪問してみるのも一つの手です。

1人暮らしなどの場合、体調不良で自宅で倒れているということもあります。

安否確認も兼ねて訪問してみるのも良いでしょう。

迷惑にならないような時間帯を選び、事前に必ず連絡を入れた上で訪問するようにしてください。

連絡を入れずに訪問されるのを嫌がる人もいます。

先に行く旨を記載したメールなどを送っておくと安心でしょう。

あまりにも訪問を繰り返すと迷惑行為として通報されてしまうこともありますので何回も行かず、1度か2度にとどめておくのがベストです。

対処法2:知り合いから話してもらう

当人同士で話し合うのが最も良い方法ですが、何らかの理由で相手が会うことを拒否している場合には、共通の知人など第三者を通して話し合いがしたいという旨や、連絡を取りたいという旨を伝えてもらうのが良いでしょう。

ただし、詳しい話を第三者にしてしまうことで、プライバシーの侵害だと訴えられるケースもあります。

第三者に話す場合には、細かなところまでは話さず、大まかな話にとどめておきましょう。

対処法3:弁護士に相談する

貸しているものや金額にもよりますが、金額が大きい場合や、相手が業者などの場、訪問しても、知人を介しても話し合いに応じない場合には、弁護士を通して話をしてもらうこともできます。

自分自身で返却を求める行為を行ってしまうと、トラブルになりかねません。

費用や時間はかかってしまいますが、それでも良いという場合には民事訴訟などの法的手段を利用するのもひとつの方法です。

そうなると、相手も対応しなければならなくなります。

訴訟などが嫌だという人がいれば、催促を行うこともできます。

そういった内容を話し合うためにも、弁護士に一度相談してみるのがおすすめです。

対処法4:催促状を出す

法的手段を取る前にもう少し簡易的な方法で余地を残したいという人には催促状を出すことをおすすめします。

書面で請求の意思を表示し、相手に対して明確に内容を伝えていきましょう。

具体的には、差出人が作成する書面を元に、郵便局が差出人・宛先・内容を確実に証明してくれる「内容証明郵便」を使用して催促状を送付します。

これにより、確実に相手の住所に届けたという情報が記録されるため、受け取っていないという嘘が通じなくなります。

催促状の内容としては、「○月○日までに以下の口座に支払いをお願いします」という内容と、「支払いが確認出来なかった場合には法的手段を取る」という記載を行うのが一般的です。

しかし、状況や要望によって内容は変わってくるため、催促状の内容自体は弁護士とよく相談して、取り決めましょう。

対処法5:探偵事務所に所在調査・素行調査を依頼する

弁護士に相談するのは少し気が引ける、弁護士ではない方法を取りたい、という人は探偵事務所に所在調査・素行調査を依頼するのが良いでしょう。

所在調査や素行調査とは、その人物の住んでいる場所や、生活や身辺を調査することを指します。

貸した人がこれらを調査をするのは限度がありますし、場合によってはストーカー行為としてみなされて別のトラブルが起こってしまうケースもあります。

そのため、プロの探偵に依頼し、より正確な情報を得るのが良いでしょう。

所在調査や素行調査で調べられるのは以下の通りになります。

住所や電話番号等の変更

連絡先が分からない・完全にどこに住んでいるかもわからないと貸したものの回収は出来ません。

そのため、相手の住所や連絡先は必ず知っておかなければならない情報になります。

自分で調べるのには限度がありますが、探偵に依頼することで細かい情報まで手に入れることができ、その後の対処にも役立つでしょう。

相手の勤務先

相手の勤務先も素行調査で調べられることの一つです。

もしもの時の為に、連絡先を確保しておくためにも勤務先を抑えておく必要があります。

相手の返済能力を知るためにも勤務先情報は重要なものです。

相手が転勤していたり、退職していたりすると返済能力自体がなくなっている可能性があります。

お金を貸した本人が会社周辺をうろついていると不審者として通報されてしまう事もあります。そうなると裁判などになった場合にふりになるので出来るだけ避けるようにしましょう。

経済状況や生活状況

勤務先以外にも、経済状況や生活状況によっては返済能力がない場合もあります。

相手がどのような生活をしていて、どのような経済状況にあるのかも素行調査で調べることができる内容です。

自営業の場合にはその業績が変化してしまった、親や兄弟などが病気になってしまった、他にも借金をしている、ギャンブルなどでお金を使っている、本人が怪我などで働けなくなってしまった…など原因はさまざまですが、こういったことがあると返すものも返せなくなってしまいます。

返すつもりがあったとしても事情によっては話しにくかったり、話したくなかったりして連絡を避けている可能性があります。

所在調査や素行調査は、言わば、大きなトラブルに巻き込まれることなく相手の事情を知れる手段の1つです。

相手の返済意思

返済能力とはまた別で、相手に返す意思があるかどうかを確認する必要があります。

もし、相手に返済の意思がない場合にはすぐに住所や連絡先を特定し、内容証明郵便で催促状を送るなどの措置を取らないといけません。

また、返す意思がないのに物を借りた場合には詐欺罪に当たる可能性もあります。詐欺罪の場合には刑事事件として扱うことができます。

相手を民事事件・刑事事件として裁くための情報は自分で集められるものではありません。裁判に持ち込むためにあらかじめ素行調査を行っておくのもひとつの方法です。

相手と連絡が取れない事への対処における注意点

音信不通になってしまったときの対処方法をご紹介してきましたが、連絡が取れない相手に対して対処方法を取る際には十分注意が必要です。

なぜなら、強引な行動をとってしまうと、こちらにも非が生まれてしまうこともあるからです。

そうならないように、次のような点に注意しましょう。

注意点1:時効に注意!

物を貸した・お金を貸したときに気を付けたいのが「時効」です。

物を貸した・お金を貸した際にそれを返さなければいけない期間を過ぎると自動的に返さなくても良いとされてしまいます。

貸したものによって時効が変わってくるので、そちらも注意したいところです。

種類別の時効期間は以下の通りになります。

債権の種類による時効期間の目安は以下の通りです。

  • 1年:飲食店のツケ、運送費用、レンタルビデオやレンタカー料金、職人の賃金
  • 2年:理容業・クリーニング代金、学校や塾の授業料、売掛金
  • 3年:給料、建設工事の請負代金、自動車修理費、医療費
  • 5年:家賃・地代、商事債権
  • 10年:上記以外の債権

時効に関しては、弁護士に相談しながら様子を見ましょう。

時効が迫っているときには催告を行うことで6か月間延長することができます。

ただし、一時的なものになりますので、時効を完全に阻止するためには訴訟を行わなければなりません。

注意点2:執拗な連絡、勤務先に突然の訪問はしない!

連絡先を知っていて電話が通じる場合、電話での催促がもっとも取られやすい手段です。

何度か電話をかけて催促することで自分も安心するのも事実です。

単なる催促であれば常識的な範囲で数回電話をかけることは問題ありません。

しかし、早朝や夜中などに電話をかけたり、高頻度で執拗に電話をかけてしまうと相手の前向きだった気持ちに水を差してしまう可能性があります。

その行動によって警察に通報される可能性もあります。

家の電話や携帯電話にかけるのは良いですが、職場に連絡を入れてしまうと相手のプライバシーの侵害になったり、名誉毀損となってしまったりする場合があるので控えましょう。

また、相手に連絡が取れないからといって勤務先に押し掛けるのは絶対にやめましょう。借金や物を返さないといったことを会社に知らせると名誉棄損になったり、仕事を妨害したとして威力業務妨害と言われる可能性もあります。

注意点3:勝手にしゃべらない!

共通の知人に相手の様子について聞くのは有効的な手段ではありますが、相手が借金をしていることを第三者に漏らすと名誉棄損に当たる可能性があります。

事実であっても他人の評判を下げるようなことを言いふらしたと判断されれば、名誉棄損罪に問われてしまいます。

刑事罰まで行かなくても、不法行為として訴えられてしまう可能性が高くなります。

第三者に協力を仰ぐときも、「連絡が取れなくて困っている」という程度にとどめて、詳細は話さないようにしましょう。

注意点4:強引な行為はしない!

自宅に勝手に押し入ったり、電話をかけ続けたり、知人に言いふらしたりと強引な行為を行うと自分の立場も危うくなってしまいます。

早く物を返してもらいたい気持ちはわかりますが、冷静な判断を下しながらしっかりとした措置を取りましょう。

手紙を送り続けたり、会社に電話をかけ続けたりするのも嫌がらせ行為になります。

詐欺に合ったかもしれない時に、警察は対応してくれるのか?

所在調査や素行調査のために探偵を雇ったり、弁護士に相談したりするのは気が引ける…お金もかかるので、どうにか警察がしてくれないかと考えている人は多いでしょう。

しかし、警察は相手に貸したお金を取り返してくれません。

なぜなら、警察は刑事事件のみを取り扱い、刑事裁判では被告の刑罰を決めるものだからです。

どうしても警察に働きかけたいということであれば、警察に被害を訴えて動いてもらうしかありません。

しかし、警察は客観的な証拠や刑事事件の要素がなければ動きたくても動けなません。

音信不通であるというだけでは、警察は動きたくても動けないケースの方が多いことも覚えておきましょう。

借金を返さずに音信不通になってしまった場合には、窃盗罪や横領罪、詐欺罪などが該当するケースもあります。

ただし、音信不通になったというだけでは罪の証明が難しいのが事実です。これらを立証するためにも弁護士や探偵の介入は必要だと言えるでしょう。

音信不通には、所在調査や素行調査による証拠収集が有効!

お金やものを貸した相手と連絡が取れなくなった場合には、自分でできる電話や知り合いに頼んでもらうことを行い、それでも難しい場合には弁護士と相談したうえで探偵などに所在調査・素行調査などを行うのが有効的です。

それにより、まずは相手の所在をつきとめ、弁護士などの第三者を通じて、相手と話し合うことが解決への第一歩と言えます。

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