【投稿日】 2022年4月30日 【最終更新日】 2022年5月10日

中古住宅は新築の住宅と比べて購入価格が格段に安いという大きなメリットがあります。

しかし、築年数が経っているということや他の人が住んだことがあるということなどから、建物に何らかの不具合や欠陥が発生している、または今後発生する可能性があるというリスクやデメリットもあります。

この記事では、中古住宅を購入した後に発覚する欠陥にはどんなものがあるのかについてご紹介します。

中古住宅購入後によく見つかる欠陥

中古住宅を購入した後によく見つかる欠陥(瑕疵)の多くは、「物理的瑕疵」「心理的瑕疵」「法律的瑕疵」「環境瑕疵」のいずれかに該当するものです。

物理的瑕疵(かし)

「物理的瑕疵」とは次のような欠陥のことを言います。

物理的瑕疵 購入物件自体に、物理的な欠陥が存在する状態です。
例えば、耐震基準の未クリア、雨漏り、シロアリ被害などが該当します。

この物理的瑕疵について具体的にどのような欠陥なのかについて説明します。

【1】各種設備の故障

中古住宅を購入した後によく見つかる代表的な欠陥は、各種の住宅設備の故障です。

例えば、給湯設備や水回り設備などのように建物に付帯している設備の故障です。

中古住宅を購入した後に住み始めてしばらくしてから、給湯器の調子が悪くてお湯が出なくなったり、水回り設備から水漏れが発生したりすることがあります。

しかし、中古住宅を購入する際の契約書で定められている「契約不適合責任」では、基本的には住宅設備などの付帯設備は対象外となっています。

これは、中古住宅の住宅設備には何らかの故障や不具合があることが一般的ですので、これらの住宅設備を契約不適合責任の対象にしてしまうと、中古住宅の円滑な取引を阻害してしまうと考えられているからです。

このようなことから、購入後に住宅設備などの故障が発生した場合は買主が自己負担で修理をしなければなりません。

これらの出費を抑えるためには、中古住宅の売買契約書の中の「付帯設備表」をもとに、事前にそれぞれの設備を確認する必要があります。

付帯設備表には決まった書式はありませんが、契約までに売主側が作成しますので、買主側は付帯設備表と実際の設備を突き合わせながら状況を確認することができるようになっています。

または、例えば物件引き渡し後一定期間以内の瑕疵や故障には対応してもらえるように、契約内容を変更してもらえればこのようなトラブルを減らすことができます。

【2】耐震基準の未クリア

中古住宅を購入した後によく見つかる欠陥の2つ目は、耐震基準の未クリアです。

耐震基準には「新耐震基準」と「旧耐震基準」があり、現在の耐震基準である新耐震基準は、1981年6月1日に施行されたものですので、対象の中古住宅が1981年6月以降に建築確認を受けたものであれば、新耐震基準で建築された建物だということになります。

建築確認を受けた日付は、交付されている「建築確認済証」で確認することができます。

1981年5月以前に建てられた中古住宅というと築年数は40年上になりますので、購入価格はかなり安くなっていますが、旧耐震基準で建築されたものであることを覚悟しなければなりません。

なお、新耐震基準と旧耐震基準の違いについては次表の通りです。

旧耐震基準 震度5強程度の中規模地震が発生した際に、ほとんど損傷しない強度の建物であることを目標としています。
しかしそれ以上の規模の地震に対しての結果は想定していません。
新耐震基準 震度6強~7程度の大規模地震に対して、ある程度の損傷があるものの、建物が倒壊して人命を奪うことがない性能を有することを目標としています。

【3】断熱材の劣化

中古住宅を購入した後によく見つかる欠陥の3つ目としては、断熱材の劣化が挙げられます。

住宅の断熱材が持つべき断熱性能は、省エネ法によって決められていますが、省エネ法は1980年の制定以降、1992年、1999年、2013年、2016年に断熱材の基準が改定されています。

そのため、使用されている断熱材の性能は築年数によって異なっており、築年数が新しいほど断熱性能は高くなっているということになります。

高い断熱性能を求めるのであれば、築浅の中古物件を探した方が良いでしょう。

また、中古住宅の断熱材について注意すべきことは、断熱材そのものに経年劣化があることと設置工事が不十分な場合は断熱材の欠落などが起こっている可能性があることです。

このような断熱材の劣化状況は外観から確認することができませんので、実際に天井や床下の点検口から目視で確認することをおすすめします。

【4】雨漏り

中古住宅を購入した後によく見つかる欠陥の4つ目として、雨漏りがあります。

雨漏りは「物理的瑕疵」に該当しますので、売買の時点で雨漏りが発生しているのであれば、売主は買主に告知する義務があります。

契約書などで告知があった場合は、買主は雨漏れがあることを承知の上で購入したことになりますので、修理は自費で行うことになります。

また、購入後に雨漏りが発生した場合は、契約書において「契約不適合責任」をどのように取り決めていたかによって変わってきます。

例えば、築20年以上の物件の場合はすべての契約不適合責任を免責とすることも多くありますし、契約不適合責任の権利行使期間を引き渡し後3ヶ月以内に制限しかつ責任内容を限定しているケースもあります。

いずれにしても、雨漏りがない物件であることに越したことはありませんので、天井のシミや小屋裏の状況、外壁の亀裂の有無、可能であれば瓦などの状況も確認しておいた方が良いでしょう。

また中古物件の所有者にも雨漏りの有無や修理履歴などについてしっかりと確認するようにしましょう。

【5】柱や木材など主要な構造の傷み

中古住宅を購入した後によく見つかる欠陥の5つ目は、柱や木材など主要な構造の傷みです。

建築基準法では、壁や柱・床・梁・屋根・階段が住宅の主要構造部と定められていますので、これらの状態を確認しておく必要があります。

建物の寿命を左右する重要な構造部ですので、詳細調査は後述する専門家によるホームインスペクションを依頼すべきですが、床のきしみや異音、不安定さがないかも一つのチェックポイントとなります。

【6】給水管・排水管の不具合

中古住宅を購入した後によく見つかる欠陥の6つ目は、給水管・排水管の不具合です。

給水管・排水管などの水道管には種類によって耐用年数が設けられていますので、その年数を目安に交換などの対策が必要となります。

亜鉛メッキ鋼管 1960年代まで主流だった金属製水道管で、耐用年数はおよそ15~20年です。
配管内の腐食により赤水や漏水の原因となるため1997年以降使用禁止となっています。
塩化ビニルライニング鋼管 1970年代から普及した鋼管内面に塩化ビニル樹脂をコーティングした水道管で、耐用年数はおよそ20~25年です。
当初継手部分に亜鉛メッキ素材が使われていたため内部でサビが発生する不具合がありましたが、その後樹脂製継手が開発されて不具合は解消されています。
塩化ビニル管 近年多く使用されている合成樹脂製水道管で、耐用年数はおよそ40~60年です。
材料コストが安く、施工性に優れ、またサビや腐食の心配もないという非常にメリットの多い水道管です。
架橋ポリエチレン管
架橋ポリブテン管
近年普及が進んでいる「さや管ヘッダー工法」で使用される合成樹脂の水道管で、耐用年数はおよそ30~35年です。
さや管ヘッダー工法とは、ヘッダーと呼ばれるユニットから、継手を使用することなく各水栓に対して直接給水や給湯が行われる配管方法です。

中古物件の給水管・排水管がどの種類なのか、耐用年数が迫っていたり過ぎていたりしないか、過去に水漏れなどの不具合が発生していないかなどを確認しておく必要があります。

なお、給水管・排水管も中古住宅を購入する際の契約書で定められている「契約不適合責任」では、基本的に対象外となっています。

【7】シロアリ被害

中古住宅を購入した後によく見つかる欠陥の7つ目は、シロアリ被害です。

最近では新築時にシロアリ防除を行うことが一般的ですが、その保証期間は5年間となっています。

以前は10年保証が一般的だったのですが、現在では健康に影響を及ぼすような強い薬剤が使えないため5年保証となりました。

そのため、築5年以上の中古物件については売り出しに際してシロアリ防除を行っている場合以外は、シロアリが住み着いている可能性があると考えられますので購入前のチェックが必要となります。

また、売主に対してシロアリ防除の履歴を確認することも必要です。

購入後に見つかると厄介なのが目に見えない欠陥

「物理的瑕疵(かし)」は目に見える欠陥であるため、気づきやすく事前に発見したり、対処しやすい傾向がありますが、その他の「心理的瑕疵」「法律的瑕疵」「環境瑕疵」については、これらは目に見えないということと買主自身では対処できないという点から、非常に厄介な欠陥(瑕疵)ということができます。

これらはそれぞれ次のような欠陥です。

心理的瑕疵 購入物件において過去に自殺や殺人事件などがあったために、心理的に住み心地の良さを欠いているような状態です。
法律的瑕疵 法令などによって購入物件の自由な使用収益が阻害されているような状態です。
例えば、購入した土地に法令上の建築制限が課されている場合などです。
環境瑕疵 購入物件自体には問題はありませんが、購入物件を取り巻く環境に問題がある場合です。
例えば、近隣からの騒音・振動・異臭・日照などの障害があったり、近くに暴力団事務所があって安全で快適な生活が害されるおそれが高いような場合です。

具体的にどのような欠陥なのかを「心理的瑕疵」「法律的瑕疵」「環境瑕疵」と3つ合わせてご説明します。

【1】心理的瑕疵

中古住宅を購入した後によく見つかる欠陥の8つ目は、心理的瑕疵です。

心理的瑕疵とは、購入した中古住宅で過去に自殺や殺人事件などがあった場合で、本来あるべき住み心地を欠いている状態のことを言います。

いわゆる「事故物件」とは、心理的瑕疵のある物件のことです。

2021年10月8日に国土交通省から公表された「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、自殺や殺人事件、特殊清掃が必要となった場合は告知が必要となっています。

しかし、自然死の場合や転倒事故や誤嚥などの日常生活の中での不慮の死の場合は告知は不要となっていますし、告知が必要な場合でも発生から3年を経過した物件は「心理的瑕疵が希釈した」ものとして告知は不要となっています。

ですから、3年以内に発生した自殺や殺人事件については告知がありますので知ることができますが、自殺や殺人事件でも3年以上経過している場合や孤独死の場合は知らずに購入することがあり得るということになります。

中古住宅を購入して住みはじめて、近所の方などから過去の事件などのことを聞くことになって、住み心地を損ねるということが考えられますし、健康上の被害が出てくる可能性もありますので、非常に重要な欠陥だと考えられます。

【2】過去に犯罪被害にあった経歴

中古住宅を購入した後によく見つかる欠陥の9つ目は、過去に犯罪被害にあった経歴です。

例えば、その住宅の立地条件などから泥棒に目をつけられやすい場所にあったり、マーキングがされていたりして、今後も犯罪被害を受ける可能性がある場合です。

その中古住宅が、過去に犯罪被害に遭ったことがあるかどうかは中古物件購入時には非常に重要な情報となります。

【3】近隣トラブルの有無

中古住宅を購入した後によく見つかる欠陥の10番目は、近隣トラブルの有無です。

例えば、近隣から騒音・振動・異臭などの被害を受ける環境だったり、近隣の建物により日照が妨げられるなどの問題があったり、近くに暴力団事務所やゴミ屋敷があって安全で快適な生活が害されるおそれが高いような場合です。

また、古い土地に建てられた住宅の場合に、隣地との境界が曖昧になっていることがあり、近隣トラブルに発展することがあります。

このような近隣トラブルは環境瑕疵に該当する告知義務がある欠陥ですが、近隣トラブルの明確な定義が存在せず、それが環境瑕疵に該当するかどうかはケースバイケースとなっているため、購入後に発覚することが多く注意が必要です。

【4】過去の住人の悪評

中古住宅を購入した後によく見つかる欠陥の11番目は、過去の住人の悪評です。

例えば、過去の住人が借金取りに追われていたり、暴力団や半グレの人間などに追われるような人物だったりすると、新たに他の人がその中古住宅を購入したことに気づかずに、借金取りや暴力団が押しかけたりするようなことが起こり得ます。

このようなことから、その中古住宅に過去にどんな人物が住んでいたのかも非常に重要な情報ということになります。

中古住宅購入前に欠陥をチェックしておこう!

ここまで、中古住宅を購入した後によく発覚する代表的な欠陥を11例紹介しましたが、事前の物件のチェックがいかに大切かということがお分かりいただけたものと思います。

しかしながら、専門的な知識がなければ隠れた欠陥までチェックすることはできません。

これに対する有効な方法として、専門業者に依頼して行う「ホームインスペクション」(住宅診断)があります。

中古住宅のホームインスペクションには、現在の建物の状態を診断するもの、耐震調査を行うもの、どのようなリフォームが必要かを判断するためのものなど、いろいろな種類がありますので、売主・買主の目的や建物の築年数、建築方法などに応じて適切なものを選ぶようにしましょう。

しかし、目に見えない欠陥についてはホームインスペクションではカバーすることができません。

近隣トラブルや犯罪被害歴、心理的瑕疵、周辺の環境調査などについては探偵事務所に依頼して調査をすることが有効な方法となります。

中古住宅購入後に欠陥が見つかるとお金と時間の損失に…!だからこそ、購入前にチェックと対策を!

この記事では、中古住宅を購入した後に発覚しやすい欠陥について説明しました。

これらの欠陥やトラブルに対して適切に対処できるようになっておくことも大切ですが、そもそも欠陥がある中古住宅を購入しないに越したことはありません。

特に、心理的瑕疵や近所トラブルなどの問題は居住者自身では対処のしようがありません。

せっかくのマイホームを購入したのに、トラブル対応に手間ひまを取られては、お金と時間の損失といっても過言ではないでしょう。

だからこそ、中古住宅購入前のチェックが重要なのです!

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