【投稿日】 2021年8月20日 【最終更新日】 2021年10月21日

当事務所には詐欺被害の相談に来られる中小企業の経営者の方もいらっしゃいます。

詐欺被害というとオレオレ詐欺や、結婚詐欺など個人が騙されてしまうイメージがありますが、中小企業にも詐欺被害のリスクは潜んでいます。

本記事では、そんな中小企業が気をつけるべき詐欺被害の手口や、騙された時の対処法について解説いたします。

事業者にはクーリングオフ制度の適応がない!

なぜ、中小企業が詐欺被害のリスクを考えなければいけないのか。

それは、事業者同士の契約については、一般的に消費者などに認められているクーリングオフ制度が認められていないためです。

契約についてはあくまで自己責任で締結することが前提となっています。

そのため、もし「お金を払ったのにサービスが提供されない」「当初説明になかった違約金や費用を追加請求された」など事業者同士のトラブルが発生した場合には、原則として事業者間同士での解決をしなければなりません。

一般消費者であれば、クーリングオフ制度により一旦契約をしたとしても一定の期間であれば、無条件で契約の解除が認められていますが、事業者にはそういった保護の制度がありません。

もちろん契約時にしっかりと見極めることは大事ですが、いくら気をつけていても詐欺に合ってしまうことはあるのです。

だからこそ、一体どんな手口の詐欺被害が多いのか、などをしっかりと知っておくこと、そして万が一詐欺被害に合ってしまった際にどのような解決方法が取れるのかを知っておくことが大切です。

中小企業から相談が多い詐欺被害は?

中小企業から相談が多い詐欺被害は「ポンジ・スキーム」です。

ポンジ・スキームとは、簡単に言えば、投資目的で不特定多数の出資者からお金を集め、集めたお金の中から配当と言ってお金を支払い、相手を信じ込ませた上でしばらくすると配当の振込が突然止まり、連絡がつかなくなるという詐欺手法です。

不特定多数の人から集めたお金を配当として支払い、お金を回すだけの実にシンプルな構造です。

例えば「仮想通過事業に投資をしませんか?投資をすれば毎月20%の配当が支払われます」と誘われ、HPなどを調べてみるとしっかりと会社のHPがあるので、大丈夫だと思って出資をすると、最初の1年ぐらいにはきちんと配当が振り込まれます。

これにより、出資した人は「ちゃんと振り込まれている!すごい投資を見つけた」と安心するのです。

また、配当がきちんと支払われすっかりと信じ込んでいる出資者は、他の人に自慢したりしながら、他の人を誘ったりします。

こういったポンジ・スキームの投資話には必ずと言っていいほど、マルチレベルマーケティングのように、出資者を紹介したらいくら、という風に紹介料を追加で支払うなどの仕組みが設けられています。

出資者も配当がきちんと支払われているため、友人などを誘いやすくなりますし、紹介料として自分にお金が入ってきますし、こうやって徐々に出資者が増えていく訳です。

基本的にポンジ・スキームが発覚するまでは、投資先の事業者も事業をきちんとやっているふりをしていたり、ビジネスとして評価されているという場合が多く、ちゃんと配当も支払われているという効果もあり、誰も詐欺だとは疑いません。

そして、1年ほどたったあたりで、急に配当の支払いが止まり、投資先が経営破綻する、もしくはそれ以降連絡がつかなくなるというのが典型的なポンジ・スキームの流れです。

ポンジ・スキームの詳しい事例などについては次の記事に詳しく記載してあるので、こちらも合わせて参考にしてみてください。

非常にシンプルな手法なので、「こんなのに騙される訳ないよ」と思ってしまう方もいらっしゃると思いますが、不思議なほどに騙されてしまう中小企業は後を断ちません。

また、詐欺を立証するのが非常に困難というのも特徴です。きちんと配当が支払われていることから「だますつもりはなかった」と主張されると「故意に騙す意思があったかどうか」という詐欺罪の構成要件を満たさないので、立証が難しくなってしまうのです。

ポンジ・スキームは個人の場合だと数百万程度で済みますが、中小企業の場合には事業への投資ということから数千万〜数億単位で損をして、詐欺被害を立証できず、泣き寝入りをしてしまうことも決して珍しくはないのです。

基本的に中小企業を標的とした詐欺はポンジ・スキームが圧倒的に多いのですが、他にも中小企業が騙されがちな詐欺や詐欺まがいの手口には次のようなものがあります。

  • 地面師詐欺:土地の所有者になりすまし、売却話によって多額のお金を騙しとる詐欺
  • Webサイト制作、運営に関する詐欺:Webサイト制作や運営を行うと言ってお金を受け取り、実際には手抜きのサイトを制作したり、運営を実際に行っていないという詐欺
  • 融資保証金詐欺:融資話を持ちかけ、企業に保証金や登録料などの名目で現金を振り込ませ、お金を騙しとる詐欺
  • SEO対策に関する詐欺:SEO対策を行い、ネットから集客をしますと言って実際には何もせずにお金を騙しとる詐欺
  • リフォーム詐欺:リフォームと称して通常の相場よりも大幅に高い金額を請求する、または代金を支払ったが工事が最後まで完了しない、工事が全くされずに音信不通になるなどの詐欺
  • 求人広告に関する詐欺:「求人を無料掲載しませんか?」と言われ、掲載していると自動更新され、2ヶ月目から多額の求人広告代金が請求されるという詐欺

もし、中小企業が詐欺被害に合ってしまったら?対処法は?

基本的に詐欺の立証が難しいのがポンジ・スキームの特徴ですから、詐欺被害に合ってしまった場合、不法行為として損害賠償請求を行い返金を求めることが多いです。

警察に行くというのも1つの方法ですが、詐欺罪として立件するためには「故意に騙す意思があったかどうか」などが問われるため、相手側に「だますつもりはなかった」と主張され、なかなか警察が動いてくれなという事がよくあります。

このように詐欺被害に合ってしまったら、「詐欺の立証」が対処法としては特に重要になってきます。

相手も詐欺師ですから、ここを証明するのは素人には至難の技です。そのため、こういった部分で探偵の力が必要になってきます。

当探偵事務所には、こういった詐欺被害の損害賠償請求をするための不法行為の証拠集めや企業調査の相談がくる事が多くあります。

相談に来られた場合には、お話をお伺いした上で企業の実態調査を行い、警察や弁護士などと連携をして損害賠償請求などまで一括してサポートすることが可能です。

元々立証の難しい詐欺被害なので、独学で対処しようとしても限界があります。こう言った場合には法律の専門家である弁護士や、調査の専門家である探偵に相談するのが良いでしょう。

中小企業が詐欺被害に合わないためには?予防法は?

「これをすれば確実に大丈夫」という予防法はありませんが、中小企業の詐欺被害の種類や手口を把握し、次のような美味しい謳い文句が相手の口から出た場合には専門家や第三者に相談してみるなどの方法しかありません。

詐欺師は、中小企業が悩んでいそうな「資金調達」や「人材集め」「集客」などあたかもあなたの企業にとってリスクが少なく、かつ良い話であるかのように装って話を持ちかけてくるので、つい話にのってしまう方も多いようです。

そうならないためにも、例えば、投資をする前に、探偵に本当に事業をやっているのか、企業実態や投資先の会社の信用情報などを調べることも有効と言えるでしょう。もしそういった怪しいと感じる場面があれば、お気軽にSAT探偵事務所にご相談ください。

無知は詐欺師の格好の餌食!しっかりと知識をつけて詐欺話に安易にのらないようにしよう!

中小企業の経営者に話を聞くと、1つや2つの詐欺被害経験を持っている方が多くいらっしゃいます。

このように、中小企業をターゲットにした詐欺、詐欺まがいの被害は意外と身近に潜んでいるものなのです。

詐欺被害の手口は匠みなため、確実と言える予防法はありませんが、「楽して儲かるような美味しい話は基本的に向こうからやってこない」という風に考えて日頃から身構えておきましょう。

また、もし詐欺被害に合ったという場合も冷静に本記事でご紹介したように、警察が動かないようであれば法律の専門家である弁護士や、調査の専門家である探偵などに相談をしてみるのがおすすめです。

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