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第三債務者とは?差し押さえを行う場合の第三債権者の定義とは
【投稿日】2023年6月5日
現金や不動産の差し押さえを確実に行う際には、「第三債務者」について理解しておくことが大切です。
もしも債務者側に「差し押さえ可能な財産」が全くなかった場合でも、第三債務者から代わりに債権を回収できる権利が存在します。
そこで、この第三債務者について理解しておくことで、確実かつ迅速に債権の回収を行える可能性が高まります。
今回は、「第三債務者とはどういった定義であるのか」について解説していきます。
第三債務者とは
第三債務者とは、「債務者が債権を持つ債務者」のことを指します。
例えば、賃貸住宅の大家をしている人物が「金融機関から資金を借入し、リフォームを行った」とします。
債務者である大家は賃貸住宅の入居者から月々の家賃を徴収し、借入金の返済を行うこととなるでしょう。
このとき、大家が自己都合により「入居者の家賃」を借入金の返済に用いず、別のことに使用し、金融機関への返済が滞った場合、債務者が債権を持つ債務者、つまり入居者を第三債務者として扱えるのです。
第三債務者である入居者に対しては、差し押さえを行えます。
また別の例として、企業間でも同様のでき事が起こり得ます。
Aという企業に対し100万円の債権を持っているBという企業があり、それとは別にBに対し200万円の債権を持っているCという企業があるとしましょう。
その場合、「AはCから見た第三債務者」となり、Bに対する債権回収ができない場合に「差し押さえ対象」となるのです。
「直接的な関わりがない第三者でありつつも、間接的に債権回収の対象となり得る存在」が第三債務者であり、社会においてはあらゆる場面において、知らぬ間にその対象となっている可能性があるのです。
身近なところでは、「銀行預金が差し押さえられる」というケースが最も多く起こりうる「第三債務者に対する債権回収」の場面といえます。
預金者は銀行に対する債権者であるため、預金者の財産を差し押さえる際には銀行口座を停止することができるというわけです。
第三債務者に発生する支払い責任とは何か
第三債務者となった際に生じる「支払い責任」には、いくつかの種類が存在します。
元々の債権者との間にどのような関係があったかによっても、「支払い責任」の内容は異なります。
支払い責任の分類とは、「債権を差し押さえる」「債権者代位権を行使する」「債権質を利用する」「債権を相殺する」の4種類です。
以下から、それぞれの分類について詳しく解説します。
【1】債権差押による債権回収
最も多くみられる支払い責任はが、直接、債権差し押さえを行うケースです。
銀行口座の差し押さえや、不動産など固定資産の差し押さえなどが該当します。
つまり、目に見えた財産に対して、債権者は債権回収を行うことができるのです。
第三債務者の口座を債権者が凍結させれば、出入金ができず、当人は生活費の捻出が不可能となります。
そのため凍結を解除するために支払いをする必要が第三債務者に生じ、強制的に債権回収を行うことができるようになるのです。
【2】債権者代位権を行使した債権回収
債務者に属する権利を債権者が代わりに行使する「債権者代位権」を認める法律が存在します。
法律に従ってこの権利を行使し、第三債務者に対し債権者が直接的な取立てを行うなどの行為が可能です。
例えば「元々の債権者との間に支払行為が行われていない」などの理由によって債権回収ができていなかった場合では、債務者と第三債務者間のやり取りを無視した取立てを行うことも可能となるのです。
【3】債権質を利用する債権回収
「債権質」とは担保の一種です。
債権を質に入れて金銭を借り入れたり、何らかの債権を別件で発生した債務の担保とする方法です。
例えば「元々の債権者が、第三債務者に対する債権を質に入れることで、自身の支払義務を達成する」といったケースがあげられます。
その際、第三債務者の債権を勝手に債権質に入れることはできず、第三債務者に対し当該債権を債権質に入れることを通知しなければなりません。
そのため、第三債務者は自身の債権が債権質に入れられた場合、事前に告知を受けることとなります。
【4】債権の相殺による債権回収
相互に債権者・債務者の関係であった場合には、相殺を行うことで債権を消滅させることができます。
つまり、相互債務者間における相殺の場合には、お互いに支払い責任が発生しなくなるのです。
ただし、「差押え後に取得した債権」による相殺を行うことはできません。
そのため、差押えが起きる前に相互債務者となっている場合には、当該関係において相殺による債権回収行為が適用できるものの、差押え後の救済措置としては本項目が適用できないということです。
第三債務者の支払い拒否は可能か
債権者の取立請求に対し、任意に支払いをすれば、「第三債務者は自己の債務を弁済した」と法律でみなされます。
しかし元々の債権者との間に不当なやり取りがある場合など、第三債務者とみなされること自体を不服に思う場合には、支払を拒むことも可能です。
第三債務者は一般的な債権者と債務者の関係と同様に、取立権に対する異議がある場合には異議の申し立てを行うことができるからです。
ただし、第三債務者に「債権差押命令」が送付されてから1週間が経過した場合、債権者は直接、第三債務者に取り立てを行うことが認められます。
またその場合、支払い拒否をした第三債務者に対し、取り立てに必要な裁判などを行うことも認められるため、督促や訴訟に発展するケースがみられがちです。
第三債務者の供託とは
第三債務者は「供託」を行うことによって、支払い責任を免れることもできます。
供託とは、法務局内の「供託所」という機関に金銭を預けることを指します。
これを「権利供託」といい、非差押債権の全額を供託すれば支払い責任を負う必要がなくなるのです。
その他、債権差押に関し複数の債権者が競合した場合には、「義務供託」として第三者が供託を行うことが義務付けられています。
義務供託の存在意義は、複数の債権者の間に立場の格差が生まれるのを防ぐためと、複数の取立てから第三債務者を守るためとなっています。
第三者の立場でありながら、他者の事情で強制的に取立てを受けることになるというのは不当な話です。
そうした第三債務者の権利を守る法律が存在するということは覚えておきましょう。
「第三債務者」への債権回収は弁護士に、債権回収にあたっての資産調査は探偵に依頼するのがおすすめ
今回は「第三債務者」の定義について、また差押えが起こった際の第三債務者の立場について解説しました。
債権者・債務者の関係となる際、「債権者の債務状」」を事前に知ることは難しいものです。
そこで、債務者となる際には第三債務者になる可能性を考慮しましょう。
また「債権回収を行う側」となってしまった際には、債権回収についての専門知識を持ち合わせた弁護士事務所へ介入を依頼することがおすすめです。
債権回収に関しては細かい規定が法律により定められており、各制度を熟知していない限り、正常に取立てを行うことが難しいためです。
債権回収においては法律専門家の力を借り、スムーズな回収を目指しましょう。
また、債権回収の前には回収できるだけの資産を対象者が持っているかどうかの資産調査も必要になります。
そういった調査は、探偵事務所などに依頼するのが一般的です。
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