【投稿日】 2018年4月26日 【最終更新日】 2021年10月21日

大切なお子様がいじめられていたことに対し、はっきりとした形での決着を望まれるご両親・保護者の方は決して少なくありません。

しかし、そのほとんどは「法律」「警察」というカテゴリーが含まれることが多く、敷居を高く感じてしまう方が多いのもまた事実です。

  • 訴えてもし間違っていたらどうしよう?
  • どのように相談していいのかわからない
  • いじめの相談をするために必要な準備を知りたい

多くのご両親・保護者が抱えるこのような不安について、法的措置の方法やそれに必要な証拠はどのようなものなのかを詳しく解説していきます。

証拠を集め、いじめを認めさせる・訴えることで得られる法的効果とは

いじめ問題の決着点として、いじめにあったお子様とそのご両親・保護者の方が望まれるのは次のような項目です。

  • 謝って反省して欲しい
  • 二度とやらないと約束して欲しい
  • 学校のいじめ対策を強化して欲しい
  • 壊したものは弁償して欲しい
  • 治療費を支払って欲しい

これらの例を見ると、訴えなくても話し合いで済むのでは?と思われる方も多いでしょう。

しかし、実際に学校側やいじめた相手のご家族と話し合われたのに解決せず、逆にお子様が不登校になってしまったケースも存在します。

  • 学校側がいじめ問題を理解してくれなかった
  • いじめた相手とそのご家族が謝罪してくれない
  • 謝罪はあったがその後の対策がされておらず安心出来ない

このような状態になってしまった時、第三者の力として大きな味方となるのが「法律」「警察」です。では、いじめに関してどのような法的効果が得られるのか、その詳細をみていきましょう。

いじめ行為に対する正式な謝罪請求

いじめの加害者から謝罪を受けるという時、もし次のような謝罪をされて納得する方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。

  • 学校の先生が「謝っておられましたので」と伝言してきて終わりにしようとした
  • 電話の留守電にメッセージが入っていて終わりにされた
  • メールやチャット機能を通しての謝罪
  • 直筆ではない手紙を渡された
  • 謝罪なのに二度といじめの話をしないという念書を書かせようとしてきた

実はこれらは本当にあった「いじめ問題に対する謝罪」です。大変残念なのですが、いじめ問題をただの面倒事と捉え、出来るだけ簡単に高圧的に済ませようとする人が多いのもまた事実です。

このようなやり取りを続けていくと、お子様だけではなくご家族に大きな精神的負担が掛かることになります。

  • いじめた子供とそのご家族による直接的な謝罪請求
  • いじめに関する慰謝料や治療費の請求
  • 謝罪の意思を示した正式文書の作成
  • 謝罪を受けての双方の合意と示談をまとめた示談書の作成

いじめを受けた側が欲しいのは、今後は二度といじめられないという安心出来る環境です。

謝罪請求やその後の和解案を示談書としてまとめることが、お子様やそのご家族の安心へと繋がります。法的な守りがありその証拠が残っているという点においては、いじめ加害者への抑止力にもなります。

学校側に対するいじめ防止措置の請求

いじめについてその存在を把握していない、もしくはいじめを認めない学校に対しても、法的書類の送付や提出は大きなメリットがあります。

  • いじめを原因とした登校拒否であることを明確に訴えることが出来る
  • いじめに関する具体的な防止措置の請求
  • いじめによる登校拒否を長期欠席ではなく出席停止処分にして貰う

学校側は、はっきりとした証拠や証言が無い限り即座に対応するということはありません。

また、証拠や証言があったとしても、基本的には当事者同士の話し合いの上で折り合いをつけることを念頭に置いており、学校側からの積極的な動きは期待出来ないことも少なくありません。

  • 学校側が責任問題を問われる状態
  • 教師の社会的な立場が危ぶまれる状態
  • はっきりとした態度と対策を求められる状態

法的書類の提出や訴えは、このような学校が動かざるを得ない状態を作り出す上で非常に有効に働きます。

お子様の学校生活を整える上で、学校にその対策をとって貰うことは不可欠となりますので、対応が悪い場合には法的措置も考慮に入れるようにしましょう。

犯罪行為にあたるいじめを行った子どもの逮捕補導

いじめは主観的な感覚の問題と考えられがちですが、現行法に照らし合わせていくとそのほとんどは立派な犯罪行為となります。

名誉毀損・侮辱 悪口を黒板や掲示板など不特定多数の人が見る場所に書き込む
暴行 マンガやドラマなどの真似と称して殴ったり蹴ったりする
強制わいせつ 嫌がっているのに無理やり服をめくって肌を露出させる
器物破損 嫌がっているのに教科書に落書きされる
脅迫 「クラスの発表に邪魔だから学校くるな」と言われたりメールを送られる

現代のいじめで恐ろしいのは、このような行為を遊びの一環として行っており、それを教師も仲良しグループ内で問題ないと認識していることが多い点です。

しかし、このようなグループ内での遊びには力関係が存在し、「断ったら自分がいじめのターゲットになる」「言うことを聞かないと酷いことをされる」という脅えから、悪いことをしている自覚はあっても止めることが出来ないという子どもが多いのも事実です。

  • 刑事事件として立件し、いじめを行った子どもを逮捕補導して貰う
  • いじめを見過ごしていた学校への事情聴取と指導
  • いじめを受けていた子どもの物理的な保護

事件として立件するためには、いじめが確実に行われていたことを示す証拠が必要となります。

壊れた持ち物や汚された衣服、お子様からの詳細な証言のメモ、ボイスレコーダーなどの音声、怪我をさせられた時の病院の診断書など、証拠になりそうなものは全て保存しておき警察に相談するようにしましょう。

いじめに対する法的措置の種類と必要な証拠の具体例

いじめを相談する時に、その証拠を残して相手に提示することは有効な手段となります。証拠とされるものは沢山ありますが、法的措置を取るためには一体どのような証拠があると良いのでしょうか。

法的措置としてどのような手段を取るのか、それぞれのケース別に必要な証拠をみていきましょう。

いじめ加害者の保護者宛てに内容証明書を送付する

内容証明書とは、「誰が、誰に対して、どのような内容の文書をいつ送ったか」ということがはっきりとわかる手紙の一種です。

郵便局で取り扱っており、受け取る時には受領の証拠として判子を押し、受け取らない場合でも自筆で受取拒否と書かなければなりません。いじめ問題で内容証明書を送る場合、主に次のようなことが目的となります。

  • いじめ加害者とその保護者に法的措置も辞さないことを理解して貰う
  • いじめによる被害の重大性を示す
  • 反省を促し実際に裁判を起こす前に話し合いでの示談を提示する
  • いじめがあったことを知らなかったと言い逃れ出来ないようにする

これは学校に対しても同じで、いじめの相談をしても対応が悪かったり何も進展がない時など、学校側に法的措置も視野に入れていることを示すために送付します。

裁判を起こす前に内容証明を送ることには、次のようなメリットがあります。

  • 加害者側に訴えたことを裁判上で証拠として提示出来る
  • 日付が確定した状態なので無視出来ない
  • 送付されたことによる心理的圧迫感を与えることが出来る

いじめ問題は被害者と加害者の間で感じ方に差が出ることが多く、どれだけ口頭で訴えても軽く流されてしまうことも少なくありません。被害者側の持つ真剣さと問題の重大さに気がついて貰うといった点で、内容証明郵便は大きな効果があります。

しかし、内容証明を送付する為には、以下のような点が重要となります。

  • いじめの加害者が誰なのかはっきりした証拠があること
  • どのようないじめを受けてどのような苦痛があったのか詳細な説明
  • 受けたいじめに対してどのようにして欲しいのかといった要望

実際にいじめ問題で送付された内容証明の例を見ると、「いつ、誰が、どのように、何をしたのか」といった点がはっきりと記載されており、のちに裁判になった時にその根拠となった証拠が認められたケースも少なくありません。

  • 加害者側が送ってきた誹謗中傷のメール
  • SNSやネット上での書き込みで相手が特定出来るもの
  • 加害者の名前や声がわかるボイスレコーダーなどの記録
  • 壊された所持品
  • 登下校時にいじめられている様子が写っている画像
  • いじめに関する証言を集めたメモ
  • いじめを原因とした怪我や病気を証明する診断書

いじめの加害者が特定出来るものは勿論のこと、そうでない場合でもいじめを解決するために必要な証拠となることもありますので、少しでも気になる点がある場合には詳細な記録を取りながら証拠を集めるようにしておきましょう。

いじめ加害者を刑事事件として訴える

いじめを刑事事件として訴える場合には、警察署に出向き被害届を提出する必要があります。いじめの加害者が特定出来ていない場合でも、刑事事件が起こったという事実が証明できる証拠があれば、警察は受理をしやすくなります。

  • 「いつ」「どこで」「だれに」「何をされたか」という詳細な証言
  • 怪我をした時の状態を撮影した画像
  • 病院からの診断書
  • 加害者からのメールやネット上の書き込みの内容
  • 仲間内で回されているSNSのチャットの内容
  • いじめの動画や音声
  • 壊されたり汚された物品や衣服
  • 加害者からの誹謗中傷の手紙やメモ書き、落書きなど
  • 恐喝や売春、万引きを強要された場合には、その詳細の証言やメモなど

いじめを受けていた筈のお子様が、いじめの報復が怖くていじめる側に加担してしまうといった悪循環が起こることも少なくありません。エスカレートしていくと、お子様の将来にまで長く影響することも考えられます。

悪質で命の危険があると判断した場合には、躊躇せずに警察のいじめ相談窓口などを利用して、速やかに被害届を出すことも考慮しましょう。

いじめ問題に関する慰謝料請求等の民事訴訟を行う

いじめにより受けた損害を、慰謝料の請求といった形で行うことも出来ます。

  • いじめによる体調不良や怪我の治療に掛かった治療費の請求
  • いじめが行われていた間に保護者が仕事を休まざるを得なかった時の慰謝料
  • 精神的苦痛を強いられたことに対する慰謝料
  • いじめにより破損した物品の損害賠償請求
  • いじめ加害者の登校差し止めやその保護者への監督不行き届きに対する請求
  • 学校側の正式な謝罪請求
  • 受ける筈だった授業がいじめにより受けられなかったことに対する授業料返還や慰謝料

いじめで心身に受けた傷を計ることは出来ませんが、慰謝料や損害賠償という金額の大きさで示すことは出来ます。

請求金額が余りに不当な場合や、請求内容に根拠がない時などは請求自体が却下されることもありますので、なぜその金額となるのかを証明するための証拠が必要です。

  • いじめを原因とした通院に掛かった費用の領収書や診断書
  • いじめで登校出来なかった期間を記録したメモ
  • 会社を休む際の届け出や休んだ期間を示した書類
  • 破損した物品やその証拠写真
  • 塾や学校の行き帰りでいじめを受けたり邪魔をされている画像や音声
  • いじめを訴えても学校側が対応してくれなかったことを記録した音声データやメモ

法的な訴えを起こす場合、訴える相手が確実にいじめの加害者である事実とそれを原因とした被害があったことを証明する必要があります。

どのようなものが裁判で証拠として認められるかわからないので、些細なものであってもこれはと思うものがあれば必ず保存して証拠を集めておくようにしましょう。

いじめを訴えるために適切な相談先を選ぶようにする

いじめを法的に訴えるためには、専門的な知識と経験を持つ相談先を選ぶことが重要になってきます。これは、いじめ加害者の逃げ道を作らないようにするためだけではなく、訴える側が不利にならないようにする為にも必要なポイントです。

では、実際の相談先としてどのようなところが適切なのか、具体的な例をみていきましょう。

行政書士や弁護士に相談する

法的文書を作成したり、いじめ問題を法律に照らし合わせて解決していく場合には、行政書士や弁護士といった専門家に相談するのが効果的です。

  • 内容証明の作成と送付
  • いじめ問題が解決した後の正式な示談書の作成
  • 裁判で有利になるために必要な証拠のアドバイス
  • どのような権利が主張出来るのかといった相談など

いじめは人間の権利の侵害であり立派な人権問題です。法務局のいじめ相談窓口や行政書士・弁護士事務所に直接相談して、いじめ解決に向けてどのような決着を望むのかを明確にしてみましょう。

行政書士・弁護士にも得意不得意の分野があります。多くの行政書士・弁護士事務所ではホームページを設けていますので、事前にチェックしていじめ問題に強い事務所を選ぶのも良いでしょう。

警察の相談窓口を利用して相談した実績を積んでおく

すぐに立件されなかったとしても、警察の相談窓口でいじめに関する相談をしておくと、のちにその実績が証拠として認められることも少なくありません。

  • 加害者が否定した時期に警察に相談した実績があり証拠として認められた
  • 警察からの調査の申し入れで学校側の対応が変わった
  • 学校の行き帰りの時間に見廻りをして貰えた

全国的にいじめを原因とした暴力問題や自殺問題がクローズアップされていることもあり、各都道府県の警察ではいじめの相談窓口を設け、悲劇的な結末の前に刑事事件として取り扱う方向性が出てきています。

実際に警察に相談した結果、わざと自転車でぶつかるなどしていじめを行なっている現場を警ら中の警官が目撃し、立件出来たことでいじめ解決に繋がったというケースもあります。

気になる点や不安なことがある時には警察に相談してみましょう。

訴えるために必要な証拠集めを探偵事務所に相談する

どれだけいじめの証拠を集めるために頑張ったとしても、お仕事や家事などで忙しいご両親・保護者が24時間見張ることは出来ません。

学校の登下校時や塾の行き帰り、呼び出されて出かけてしまったお子様の様子などを知る為に、調査のプロである探偵事務所に依頼をなさる方も増えています。

  • 子どもに気づかれないように見守ることが出来る
  • 学校外でのいじめ現場の証拠を押さえることが出来る
  • ネット上の情報収集からいじめの証拠を探し出す
  • いじめ加害者の素行調査から問題解決の糸口を探す
  • 作成された調査報告書を証拠として役立てることが出来る

学校側にいじめの相談をした時、学校以外の場所で行われているいじめは各家庭の問題としてあまり協力的ではないことも少なくありません。夜中に集団で集まっている姿が報告されたとしても、口頭で注意を促す程度で終わらせてしまうこともあるのです。

お子様が大きくなると行動範囲も広がるため、ご両親や保護者の方だけでは見守ることが難しくなってきます。ご家族だけではカバー出来ない部分を探偵事務所に相談してみることも、お子様とそのご家族にとって安心出来る有効な手段と言えるでしょう。

まとめ

お子様の受けたいじめを法的に訴える方法と必要な証拠について、詳しくご説明しましたがいかがでしたでしょうか。もう一度内容を振り返ってまとめてみましょう。

  • いじめを法的に訴えることで被害者の権利が守られる
  • 法的な訴えにより学校や加害者側を動かすことが出来る
  • どのような決着をつけたいかを考えて最適な法的措置を選ぶ
  • 法的措置を取る時には専門家へ相談したりアドバイスを受けることも有効
  • 問題解決後も示談書などの法的文書を作成して万が一に備える

現代のいじめ問題は大変悪質で陰湿なものが多く、法的手段を取ることが決して大げさではないケースも増えてきています。

当事者間で納得のいく決着がつかない時には、専門家の力を借りてより良い解決策を模索することも考慮するようにしましょう。

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