【投稿日】 2020年9月1日 【最終更新日】 2021年10月21日
もし詐欺被害に遭ったらどうしますか? まずは警察に相談? それはもちろん正しい選択です。しかし警察に相談したからといって、必ずしも騙し取られたお金を取り返せるわけではありません。
警察に相談する以外でも、実は騙し取られたお金を取り返す方法はいくつかあります。この記事では、犯人の住所を特定して法的措置をとる方法をはじめ、その際に役に立つ相談先や知識までできるだけ詳しく解説します。
SAT探偵事務所 京都本部の代表取締役社長。
浮気調査や人探しといった個人向けのメジャーな調査はもちろん、他所では受任できない難度の企業向けの調査(信用調査、与信調査、M&A時等におけるDD 等)や経営コンサルティング業務にも従事している。
お金を騙し取られる詐欺は身近な犯罪!まさか自分が…という落とし穴
2000年代に広まったオレオレ詐欺、あるいは振り込め詐欺などのニュースを見て、そもそもなぜ詐欺に引っ掛かるのかと疑問に思った人も多いことでしょう。少なくとも自分ならそんなに簡単にお金を払ったりしないと確信すら持っているかもしれません。
しかし詐欺はとても身近な犯罪であり、様々な手口で行われるため、特殊な状況に陥ってしまうと、普通の人はつい騙されてしまいます。未然に防げるなら何よりですが、騙されてしまったらすぐ気づくことが大事です。
まず、詐欺にはどんな手口があるのかを知りましょう。
多岐にわたる詐欺の手口…あなたは大丈夫?
詐欺の手口は時代に応じて移り変わります。近年の傾向としては、犯人が被害者と直接会わずにやり取りする形態が多いです。その裏には、インターネットの普及があります。
- ■男女間の詐欺・結婚詐欺
- 交際や結婚をほのめかし、お金を騙し取る
マッチングアプリや出会い系サイト、LINEなどのコミュニケーションツールを利用
アダルトサイトと同じく、利用を知られないために被害者が被害を隠すケースも
銀行口座やクレジットカード以外の支払い方法を利用して本名・住所を全く明かさないケースも - ■悪徳商法
- 新型コロナ(COVID-19)や難病の治療を謳った無根拠の商品
ダイエットサプリなど美容関連商品
1人を大勢で囲み、商品の購入やマルチ商法への入会を迫る
今すぐなら〇割引などと急かして正常な判断力を失わせる - ■フィッシング詐欺・クレジットカード詐欺
- ネットショッピングの利用者の増加に伴い、フィッシングサイトによる情報の抜き取りや不正利用が増加
被害者がすぐに気づきにくい - ■ゆすり・脅迫・恐喝
- 弱みを握ったり脅迫されたりするため相手の思い通りになりやすく、かつ被害を訴えづらい状況に
- ■消費者金融・闇金
- 複雑な契約書や説明で相手に誤認させて騙し取るなどの手口
法律に詳しくないと騙されやすく、騙されたことに気付きにくい - 自身の身の上話をする
- 友達・兄弟姉妹などを紹介する(しかし家には連れて行かない)
- 結婚の約束をして両親に挨拶に来る(自分の家族への挨拶は後回しにする)
- 何度かお金を借りてその都度きっちり返す
- お金を借りるときに返済する日を宣言する(「〇日に給料が入るから待って」などの理由をつけて)
- 普段から食事をおごったりプレゼントを贈ったりする
- 法律上無効になるような契約書を用意する(契約書の控えを渡してくれない、細かい事項に法律的な瑕疵がある など)
- 1人を大勢で囲み役割分担をしてお金を出すように迫る
- 見破られにくいフィッシングサイトの構築
- お金を取られた自分が悪い・恥ずかしいと思わせ、相談しにくい心理状態にする
- 振込先の銀行:全国銀行協会のサイトに記載されている相談窓口
- 利用カード会社
- 民事事件(個人間のトラブル)と見做された
- 詐欺被害の公訴時効(犯人を処罰できる期間)である7年が既に経過している
- 被害状況が不明瞭であり、詐欺と断定しづらい・被害届の様式を満たさない
- ■職務上請求・弁護士会照会を利用した犯人の住所の特定
- 主に弁護士にのみ認められる権限を行使した情報開示方法
- ■示談交渉
- 当事者同士による話し合い。必要に応じて弁護士が同席し、合意書・公正証書などを作成することも
- ■内容証明を発送して返金を求める
- 内容証明自体に強制力はないが、こちらの法的措置をとる意思を伝えられる
- ■簡易裁判所に支払督促を申し立てる
- 簡易裁判所に支払い督促申立書を提出すれば、書類審査のみで裁判所から相手に支払いの督促がなされる。労力がかからない法的措置の1つ
- ■民事調停
- 裁判所で調停員を仲立ちにした、当事者同士が結論を出すための話し合い
- ■訴訟
- 当事者同士で妥結できなかった場合などに、法廷で徹底的に責任を追及して争う。原告(訴える側)・被告(訴えられた側)ともに代理人として弁護士を立てるのが一般的
- ■警察に告訴状を提出する際のサポート
- 複雑な手続きの代行やアドバイス
- ■被害回復給付金制度の申請
- 詐欺罪などによって犯人が得た財産から、被害者に給付金を支給する制度。個人でも申請できるが、弁護士のアドバイスを受けるとより確実。被害回復給付金制度の詳細はこちら
- プロの技術とノウハウで迅速かつ確実に成果を得られる
- 広範囲を調査できる(外国の調査に対応している探偵事務所もある)
- 自分の時間や労力を費やさずに済む
- 調査のために法に触れたりトラブルを起こしたりする心配がない
- 弁護士や警察に比べ、それぞれのケースに適した柔軟な対応ができる
- 住所特定と同時に証拠を集めることもできる
- 住民票・戸籍の附票の取得:お金を騙し取られた・詐欺に遭った証拠があれば、同一世帯・同一戸籍でなくとも取得できる
- 不動産登記簿を調べる:相手が不動産を所持していれば、登記簿から所有者の登録住所を調べられる
- 共通の友人・知人や家族などに尋ねる
よくある詐欺被害のケースと特徴
参考リンク:金融犯罪の手口 | 一般社団法人 全国銀行協会
詐欺には早く気づいて対処を!こんなケースに要注意!
上に挙げたような詐欺の形態を読んでも、「自分は大丈夫」と思う人もいるでしょう。しかし相手も騙すために様々な工夫をしてきます。犯人にとってはずっとでなくても、逃げる間だけ信じさせればいいのですから、その場だけ何とか騙すための策を講じるのです。
詐欺師が相手の信用を得るための手口
このように、相手はあの手この手でお金を引き出そうとしますし、強く脅されると断り切れず言われるままになってしまいます。しかし詐欺の犯人を捕まえるには、まずは早くに騙されたと気づくことが大事です。そして気づいたら、すぐに以下の相談先に連絡してください。
お金を騙し取られたときすぐに連絡すべき連絡先
もし銀行やカード会社経由で金銭の授受を行ったのなら、すぐに連絡すれば取引自体を無効にすることができるケースがあります。できるだけ早く連絡してください。犯人を探すのはその後です。
銀行やカード会社への連絡は、詐欺被害者の救済制度を利用するために必須です。
また、お金を渡した相手に逃げられないためにしておくべきことについては以下の関連記事で詳しく説明しています。借用書の書式をはじめ、重要な情報がたくさんあるので、是非こちらにもしっかり目を通しておいてください。
詐欺被害の相談先①警察:相談し、詐欺と認められれば被害届を出せる
さて、詐欺を完遂させないために銀行やカード会社などに連絡したら、次は警察に相談しましょう。警察に相談するのは詐欺の被害を訴えて被害届を出し、捜査してもらうためです。
実は、被害者がたった1人かつ被害額が少額のケースだと、警察の積極的な捜査はあまり期待できません。しかし被害届を出し、振り込め詐欺被害が認められれば振り込め詐欺救済法が適用されます。
振り込め詐欺救済法とは、詐欺の犯人が利用した口座などにある資金を被害者に分配することを定めた法律です。正しくは「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配当金の支払等に関する法律」といい、2008年に施行されました。
しかし詐欺は立証しにくい犯罪です。またその他にも様々な理由から、警察が必ずしも被害届を受理してくれるとは限りません。
警察が被害届を受理しないケース
こういったケースでは被害届が受理されづらいのは事実です。しかしだからこそ、相談すること自体に意味があります。何故なら類似の報告が何件も集まることで被害の大きさが認められ、警察が捜査に本格的に着手することもあるからです。
もしどうしても確実に刑事事件として扱ってほしいなら、告訴状を提出することになります。しかし告訴状は被害届よりも受理されにくいですし、それなら弁護士に民事での解決を依頼する方が、騙し取られたお金を取り返せる可能性は高いです。
参考リンク:振り込め詐欺救済法とは | 金融犯罪の手口 | 一般社団法人 全国銀行協会
参考リンク:振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ:金融庁
参考リンク:振り込め詐欺救済法 : 預金保険機構
詐欺被害の相談先②弁護士:民事訴訟などの法的措置と職務上の権限による住所特定
相手の住所がわかっている場合もわからない場合も、詐欺被害を解決するなら弁護士への依頼がほぼ必須です。弁護士は法と交渉のプロであり、こと判断の難しい詐欺案件では、素人が恣意的に動くのは非常に危険だからです。
詐欺の要件を満たしていれば犯人は刑事で裁かれますが、それでも確実にお金が戻ってくるとは限りません。被害金額を取り戻すには民事訴訟の方が適していますし、刑事事件となって前科がつくのを嫌がる犯人なら、それを交渉材料にして返金させることもできます。
弁護士が詐欺案件のためにできること
おそらくこれらのことを詳しく知っていて、恙なく実行できる人は稀でしょう。弁護士はこれらの方法で問題を解決するための、強力なパートナーとなってくれます。しかし弁護士にもそれぞれ得意分野があるので、詐欺に強い弁護士を探して依頼しましょう。それを見極めるためにもまずは相談です。
また、金額的にどうしても厳しいようなら法テラスの利用も検討してください。無料の法律相談や費用の立て替えなど、様々な質問や要望に応えてくれる機関です。
ただし、弁護士は相手の住所・氏名がわからなくてはほぼ打てる手がありませんし、職務上請求・弁護士会請求でも相手の情報にたどり着けないこともあります。計画的な詐欺であれば尚更です。
そういったケースでは、弁護士から連携する探偵事務所へ斡旋するなどの対応がなされます。よって今後の対応を決めたりどんな情報が必要かを知ったりするためにも、弁護士への相談は早い方がいいです。
参考リンク:法テラス 公式ホームページ
参考リンク:戸籍法10条の2第3項|e-Gov
参考リンク:日本弁護士連合会:弁護士会照会制度(弁護士会照会制度委員会)
詐欺被害の相談先③探偵:住所特定をはじめとした臨機応変な調査が可能
警察は捜査に関して特別な権限を持っていますが、詐欺は構成要件(犯罪だと断定するための条件)の判断が難しいなどの理由で、必ず捜査してくれるとは限りません。よってどうしても相手を見つけ出して罪を償わせることを望むのなら、個人的に調査するしかありません。
そこで強力な味方となるのが、調査のプロである探偵です。
探偵に詐欺の犯人の住所特定調査を依頼するメリット
お金を騙し取られたなら民事ないし刑事で裁かれるべき案件ですが、どちらも何の手がかりや証拠もなしには訴訟を起こせません。警察も犯人を特定する材料があるのとないのでは捜査にかける人員や時間に大きく差が出ます。
よって、刑事・民事をはじめどのような解決法をとるにせよ、探偵による調査は決して無駄にはなりません。
探偵の調査に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。探偵に調査を依頼する際は是非読んでください。事前準備や信頼できる探偵の選び方、調査料を削減する方法などについても書かれています。
詐欺被害の相談先④国民生活センター/消費生活センター:詐欺被害に関する総合的なアドバイス
国民生活センターとは、消費者問題や暮らしの問題に取り組む目的で設立された独立行政法人です。消費者と事業者、行政をつなぐ役割を担っていて、全国にある消費生活センターがその窓口になっています。詐欺や悪徳商法などに関する相談も、これらの組織の管轄です。
国民生活センター/消費生活センターは、お金を騙し取られたけれどまだ対処法が決まっていない、わからないという方におすすめの相談先といえます。
消費者ホットラインに相談するには、原則的に事前の予約が必要です。まず「188」か「03-3446-1623」に電話をかけ、郵便番号を入力して最寄りの相談センターにつないでもらいます。詳しい相談方法は、以下のリンク先をご確認ください。
参考リンク:国民生活センター
参考リンク:全国の消費生活センター等_国民生活センター
詐欺被害の相談先⑤法務省:ウェブサイトから被害回復給付金支給制度を申請する
振り込め詐欺やヤミ金融などの各種詐欺をはじめ、主に他人の財産などに対する権利を侵害する犯罪のことを財産犯といいます。この財産犯によって奪われた財産・利益を、犯人が犯罪で得た財産から補填しようというのが、被害回復給付金支給制度です。
下のリンク先の過去の事例を見てもわかるとおり、幅広い犯罪被害に適用できる制度ですが、実際に給付金が支給されるまでにはいくつかの段階を踏まねばなりません。検察庁のサイトから誰でも申請できますが、不安であれば警察や弁護士に相談してください。
参考リンク:被害回復給付金支給制度:検察庁
自分で詐欺の犯人の住所を特定する方法
自分からお金を騙し取った相手が友人や個人的な知人の場合、ある程度の情報が既にそろっているケースもあります。それらを元に自分で相手を探し出す方法も、あるにはあります。
お金を騙し取った相手の住所を自分で特定する方法
しかし相手があなたを騙すつもりなら、そんな簡単に現住所が特定されるような情報は残さないでしょう。住民票や戸籍の附票を調べても、転出先で届を出していなければ現住所はわかりませんし、登記簿も実際に住んでいる住所を登録する必要はありません。
また個人情報の取り扱いに厳しくなっている昨今、公的書類を取り寄せる際に必要な書類も確実なものを要求されます。相手が確実に詐欺を働いた証拠を自分で用意するのは、かなり難しいです。失敗して取り返しがつかなくなる前に、弁護士や探偵に相談することをおすすめします。
詐欺は放っておけない犯罪!二次被害を防ぐためにもしかるべき対処を!
「騙し取られたといってもほんの数万円だから」、「行動を起こすのは大変だし弁護士や探偵に依頼したらお金がかかるから」などの理由で、お金を取り返すのを諦める人も少なくないでしょう。しかし詐欺は、今回放っておいて済むような犯罪ではありません。
被害に遭っても何の対策もとらなければ、詐欺を容認する人物として犯罪者たちに覚えられます。すると次から次へと狙われ、何度もあの手この手で金品を騙し取られることになりかねません。更には、家族や親族までターゲットにされる可能性もあります。
そういった二次被害を防ぐためにも、詐欺に遭ったらできるだけ早く、しかるべき対処をしてください。銀行・カード会社や警察への報告と相談はもちろん、本気でお金を取り返す気なら、弁護士や探偵の力を借りて相手を見つけ出すことも必要です。
今では被害者を守る制度もあるので、自分のケースに適した方法で解決を目指してください。
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